2025年3月21日金曜日

問題解決(110) 「生来から道徳的な人はいるか」

 人を助けたり、人に迷惑をかけないといったことは、道徳的に素晴らしいことだ。ただ、道徳感だけでそれを実行できる人はごくまれである。より良き行動した直後に好子や嫌子があってはじめて実行するのである。そうした内容について、「パフォーマンス・マネジメント」による第110回目の引用である。

【引用はじめ】

 電車で老人に席を譲るのを、ABC分析すると次のようになる。つまり、人を助けることはそもそも好子になっているはず、人に迷惑をかけることはそもそも嫌子になっているはずという前提から生まれている。そう思っている正義感の強い人がいる。

 確かに、違法駐車の摘発を予告するような掲示や、ゴミ拾いや古紙回収に対する賞品がなくても、こうした道徳的な好子や嫌子だけで我々の行動が引き起こされるなら、こんなに素晴らしいことはない。しかし、現実は時にして直視するのも辛いくらいに厳しいものなのだ。

(島宗理著 「パフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学」 1999年 開成出版刊、p.58)

【引用おわり】

 より良き行動ができるようにするには、それを実行するための行動随伴性が必要だ。道徳的考えたを強調するだけでは、うまくいかない。単なる、説教に終始しがちだ。 

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