2025年5月29日木曜日

問題解決(178) 「障害者用駐車スペースに車を停めない」

 骨折してギプスをつけていても、障害者用駐車スペースに停めず、遠くても歩く人がいる。それはなぜなのだろう。そうした内容について、「パフォーマンス・マネジメント」による第178回目の引用である。

【引用はじめ】

 骨折してギブスをしているのにもかかわらず、障害者用駐車スペースに車を停めず、わざわざ歩く人の行動をABC分析しましょう。障害者用駐車スペースに車を停めれば、歩く距離が短くなって楽です。まして、ギブスをしているんだから違法駐車ではありません。見つかって怒られるという嫌子出現の不安もありません(弱化からの回復)。さて、それではどんな道徳的な嫌子がこの人の駐車行動を弱化しているのでしょうか?

 自分よりも具合の悪い人が長い距離を歩かなくてはならないかもしれないことが、おそらく道徳的な嫌子になっているのでしょう。よって、障害者用スペースに駐車する行動は弱化されます。この嫌子はモノでもコトでもありません。この人の内言(頭の中で、自分で自分に言う言語行動)です。こうした、いわゆる"意識"と呼ばれる言語行動は、先行条件(A)や結果(C)として、その他の行動に影響しているのです。

(島宗理著「パフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学」 1999年 開成出版刊、p.59, p.111~p.112)

【引用おわり】

 ギプスをつけているので、確かに障害者用駐車スペースを使わずに歩くのはつらい。しかし、もっと障がいの重い人もいる。その人のためには障害者用駐車スペースを使ってもらうべきである。こうした道徳的感情が障害者用駐車スペースを使わないのだ。

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