どうしても許すことのできない悪行は、嫌子を使って弱化の随伴性を使わざるを得ない。犯罪行為、反社会的行為、生命を脅かす行為などである。相手に問題として自覚してもらえることだと、消去の手続きを使ってもいいケースがある。それが、以下による引用の内容である。
【引用はじめ】
これまで強化されていた行動が消去されると、バーストが起きるということは、一方で、今までしなかったさまざまな行動が現れるということだ。消去によって、行動の変動性が高まるのである。
そう考えると、消去では行動が減るのに時間がかかるという点も、いつも悪いこととは限らない。そこには、「考える」「試す」「気づく」といった、人の成長にとって重要な新しい行動が現れる可能性が高まるといえるからだ。考えたり試したりさせてはいけないこと(簡単にいえば、悪いこと)は弱化すべきだが、人があるべき姿に向かって自分の行動を変えていく道のりにおいては、少しくらい試行錯誤や迷いがあったほうがよいともいえる。
実際、消去による行動の制御では、弱化と比べて対象者は圧倒的に自分でものを考える。そして、「気づき」の瞬間を得ることができる。だから、ある程度、時間をかけて相手の成長を待つべき状況では、弱化より消去のほうが向いているといえるだろう。
(舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.77)
【引用おわり】
相手に対して、問題だ、悪いことだと考えられる機会を与えられるようにすることも必要である。それが消去の手続きとも言える。周囲も我慢して、消去に付き合うことも大事な時がある。