私たちは「やる気が出たら動く」と考えがちですが、行動分析学では、先に行動を促す環境を整えることが重要だと考えます。今回の引用は、「締切の設定」が行動を後押しする確立操作として働くことを教えてくれます。
【引用はじめ】
満腹状態、二日酔いでは好子の効力は下がり、スポーツで汗をかいたあと、塩辛いナッツを食べたあとでは好子の効力は上がる。このように、好子の効力を変えるような出来事や生理状態を確立操作という。確立操作には、いくつかの種類がある。その一つが「締切の設定」である。
③締切の設定
来るべき大きな試験の日程をカレンダーや手帳に赤ペンで書き込んだ。試験前に遊びの誘惑を我慢して、カレンダーの赤丸を睨みながら勉強に専念する。この赤ペンの印は何の役に立つか。遊びの誘惑にかられたとき、ふとカレンダーに目をやると、赤ペンで「試験」と書いてある。その瞬間、「今勉強しないと試験に落ちるかもしれない」という不安が頭をよぎる。カレンダーの赤い文字は、この不安を喚起する機能がある。そして、諦めて試験勉強に取りかかると、不安がいくらか緩和する。
カレンダーの「試験」という文字は勉強の期限を示している。カレンダーは、試験に落ちるかもしれない不安の効力を高める「確立操作」といえる。
(舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.261~p.262)
【引用おわり】
利用者支援の記録提出や個別支援計画の作成、行事準備なども、締切を明確にすることで行動が起こりやすくなります。利用者支援においても、目標達成の日程を見える化することで、一歩ずつ取り組む力を引き出すことができるでしょう。