2019年10月31日木曜日

忙しい人が評価される

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 勤勉そうにしているからといって、必ずしも成果を生み出すことができないという問題がある。
 そのことに関して、島宗理氏は、「忙しい人が評価される」問題を、次のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第15回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 勤勉さは日本の宝です。
 しかし、リーダーシップにとっては、思わぬ弊害になることもあります。

 これまでやってきたことを、これまでやってきたからという理由だけで一生懸命続けていたり、上司に言われたことや会社の決まりを、そうだからというだけで続けていたり。

 こうした働き方が成果を生んでいるうちは問題ない。

 でも、過去にうまくいっていた行動が負の遺産となり、今では逆にコストとして残っている可能性があるのです。

 その一つに忙しそうにしている人ほど評価されるという雰囲気や社風です。
 これを行動の罠と言います。

 たとえば、仕事を早く終えて、まだ上司や同僚が残っているのに帰宅することに後ろめたさを感じるようであれば、この罠にはまっている可能性が高い。    
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.49~p.50、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 長時間勤務は必ずしも成果につながっていない。
 非効率的な勤務態度が横行している。
 それを職員に徹底してこそ、業績があがる組織になる。
 リーダーとして、部下の職員にどのように効率的な職務のやり方を支援できるかを追求するのである。
 

 

2019年10月30日水曜日

行動そのものはコスト

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーによる適切な行動によって、職員が成果を出せる行動を生み出すようにしなければならない。
 ただ、行動もコストだということを忘れてならない。 
 そのことに関して、島宗理氏は、「行動そのものはコスト」であると、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第14回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 行動そのものはコストです。
 たとえば、売り上げるために、営業会議をどれだけたくさん開いても、こうした行動はコストです。
 行動するということは投資することです。
 投資に見合うリターンがなければ、またコストを超えるプロフィットがなければ、マネジメントしての収益は赤字に転落してしまいます。

 機会損失も生じます。
 ある行動をしているときに(例:会議に出席している)、他の行動ができなくて(例:顧客と商談する)、受注する機会を逃しているのなら、機会損失が生じていることになります。

 部下の様々な行動から成果を生み出す行動を絞り込むことも、リーダーの重要な役割です。   
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.49、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 行動も投資であり、それに見合うリターンがなければその行動は問題である。
 適切な行動こそ必要である。
 それが行動の焦点化なのだ。
 むやみに会議を増やすなどの行動をしても、利益につながらなければなんにもならない。

2019年10月29日火曜日

心理学の罠の正体

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーの性格が行動の原因であり、その性格が組織の業績に影響する考えがちである。
 それは大きな誤解である。 
 そのことに関して、島宗理氏は、「心理学の罠の正体」と称して、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第13回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 性格は行動の原因ではありません。
 そう思い込むのは、よくある誤解です。

 「自主性」があるから、会議で積極的に発言したり、自ら率先して部下の指導にあたるわけではありません。
 会議で積極的に発言したり、自ら率先して部下の指導をする人を「自主性がある」とみなしているのです。

 能力についても同じことが言えます。
 「想像力」があるから、他の人がなかなか思いつかないことを思いついたり、作れないものを作るわけではありません。
 そのような人を「想像力がある」と評価しているのです。

 心理学の罠の正体は、行動と原因のこのような取り違えにあります。  
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.39、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 一つ一つの行動の集まりが「自主性」だったり、「想像力」だったりするのである。
 自主性があるから質問や意見を言っているのだとみなしがちだ。
 あくまでも原因と結果の主客の転倒である。
 質問を多くすること、意見をたくさん言うという原因が先にある。
 その結果、自主性のある人となる。
 自主性が先にあるわけでない。
 従って、自主性がないから質問も意見も言わないとする見方からは、解決を見いだしにくい。
 それより、質問や意見を言うためにはどんな手立てがあるかを考えたほうが解決の道に近づく。

2019年10月28日月曜日

心理学の罠・研修の罠

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 私たちは、抽象的でりっぱな言葉で企業目標を立てがちだ。
 さらに、研修によって学んだことで一時的満足を得がちである。
 それによって、リーダーや職員の行動が適切に増えたり、減ったりすることはほとんどない。
 そのことに関して、島宗理氏は、「心理学の罠や研修の罠」と称して、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第12回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 標的行動の候補を洗い出す行動化ですが、この最初のステップでつまずく原因の一つが心理学の罠です。
 「自主性」とか「想像力」とか「判断力」といった、抽象的な言葉を駆使することに満足してしまう。
 これでは、どのような行動を増やし、どのような行動を減らせばいいのかわからない。
 最悪、会社案内に掲載するようなお題目で終わってしまいます。
 お題目としては立派な企業理念や経営目標が、世の中にいかに多いのか。

 また、知識や感動による行動の変化は一時的なものでしかない。
 それにも関わらず、感動や"目からウロコが落ちる"ことを期待して、研修会に出かけていく人が絶えません。
 もちろん、常に新しいことを学ぶ姿勢は大切です。
 でも、目からウロコが落ちても行動は変わりません。
 これを「研修の罠」と言います。
 知識や感動はそれだけでは業績に結びつきません。
 それらをきっかけに行動変容まで引き起こす仕組みが必要です。 
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.38・p.39、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 私たちは、「積極性」とか「自主性」とか「思いやり」などの抽象的な言葉で物事を解釈して、何とかしようとする。
 さらに、研修や本などにより知識を得て、うまくいくように思う。
 ところが、そうしたことだけでは、何も変わらず嫌悪感さえ味わうことになる。
 だからこそ、変えるべきことを行動化し、その中から標的行動を焦点化するのである。
 そして、焦点化した行動を変容する仕組みを工夫しなければならない。
 






2019年10月27日日曜日

標的行動の行動化・焦点化

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 この場合、リーダーの性格があーだから、こーだからと言いがち。
 リーダーの性格のせいにしてしまう。
 性格などが原因だとしても、何も問題が解決できない。
 「個人攻撃の罠」を克服しなければならない。
 そのことに関して、島宗理氏は、「標的行動の行動化・焦点化」することだと、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第11回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 性格ではなく行動に着目することを行動化、行動化した候補から対象を選ぶことを焦点化、選んだ行動を標的行動と呼びます。 
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.31、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 問題となる行動に着目するのである。
 あの人は引っ込み思案などという性格で決めつけても何の解決にもならないからだ。
 まず、問題となることの行動とはどんなことかを明確にする。
 リーダーの引っ込み思案といった大まかな捉え方をするのでなく、具体的に部下に対して「相手に近づく」とか、「話をする」とか、「共通の話題をもつ」とか、「行動化」するのである。
 「行動化」した中でも、特に重要な行動を「焦点化」することで、リーダーにとって大事なこと取り上げるのである。

2019年10月26日土曜日

性格は行動の原因ではない

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 この場合、リーダーの性格が行動を決定していると誤解しがちだ。
 そうした誤解が個人攻撃の罠に陥ってしまう。
 そのことに関して、島宗理氏は、「性格は行動の原因ではない」と、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第10回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 性格はそう変わるものではありません。
 「場面や状況によって変わりにくい行動の一貫性」が、"性格"の定義だからです。

 性格が行動の原因だと、世の中のほどんどの人が信じ込んでいます。
 これが個人攻撃の罠を"罠"たらしめている原因です。

 性格は行動の原因ではありません。
 行動の傾向をまとめて表現したものが性格なのです。 
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.30、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーの性格を問題視して、解釈することが多い。
 事業所の業績が上がらないのは、リーダーの性格があんなだからだなどと言いがちだ。
 それでは、なんの解決にもならない。
 個人攻撃の罠に陥っていることに気づかない。
 性格などに原因を見出すことが誤りである。
 リーダーの行動を見つめなおしてこそ、解決を図れることに気付くべきである。

2019年10月25日金曜日

個人攻撃の罠に陥らない

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 この場合、リーダーの特性を問題にすることが多い。
 しかし、それだけに注目していては、うまくいかない。
 そのことに関して、島宗理氏は、「個人攻撃の罠」について、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第9回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 リーダーシップは、人となりとして語られがちです。
 ところが、性格や能力など、個人の特性のみに目をむけていると、うまくいかないときにその人を責めるしか手がなくなります。

 業績が思うように上がらないときに、上司や部下の性格や能力を問題視するだけで、解決のための工夫をしなくなってしまう。
 これを、「個人攻撃の罠」と呼びます。

 この罠から抜け出すには、個人の特性ではなく行動、そして行動を引き起こし、継続させる環境づくに、視点を180度転換する必要があります。 
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.28、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーなどの性格や能力を問題にするだけでは、問題解決にはつながらない。
 そのために、問題解決を図る適切な行動をいかに引き出すか、その工夫をしなくなる。
 個人の問題としてとらえてはなんら発展を促せない。
 個人を攻撃するのでなく、問題解決につながる行動のあり方は何かを注視するのである。
 我々は安易に個人攻撃をしがちであることに気づかなければならない。
 「個人攻撃の罠」に陥らないことに留意する必要がある。

2019年10月24日木曜日

リーダーシップのリスクと可能性

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 そのことに関して、島宗理氏は、「リーダーシップのリスクと可能性」について、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第8回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 リーダーの行動は業績を飛躍的に伸ばす可能性がある一方で、会社に取り返しのつかないダメージを与えることもあります。

 強い口調で指示を出し、目標を達成しないときやミスがあったときに怒りをあらわにすることで、部下の行動を統率する上司もいる。
 そのことで一時的に高い業績で実現したとしても、部下に不安や不満がたまり、離職者が増えたり、メンタルヘルスに不調をきたして休職者が出たりすると、そうしたコストがいずれ経営を悪化させます。

 しかし、部下に優しく、慕われているのであればいいというわけではありません。
 業績を上げるための部下の行動を増やせないようなら、ブラック上司に比べれば発覚しにくいものの、会社にとっては見えないリスクになります。  
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.25、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 以上のように、リーダーの職員に対する行動のあり方で、良きにもなるし、悪しきにもなる。
 組織の業績を伸ばすには、リーダーが職員の行動を適切に引き出す必要がある。
 職員一人ひとりが業績を伸ばす行動ができるようにする。
 それには、強制的な指示とか放任とかでなく、職員が自主・自立的に業績を伸ばす手立てである。

2019年10月23日水曜日

リーダーの行動で業績は倍々に

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 そのことに関して、島宗理氏は、「組織の業績はリーダー次第」と、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第7回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 リーダーの行動が変わると、企業は変わります。
 リーダーの行動は、組織の他の社員の行動を動かす原動力なのです。

 リーダーの行動が動き始めると、社員の行動は、2倍にも3倍にもなります。

 リーダーの行動で業績は乗数的に増加します。
 逆に、リーダーの行動次第で業績は乗数的に悪化します。 
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」pp.23~24、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 組織における職員の行動は、リーダーの働きかけが原動力となる。
 業績を向上させるも、低下させるも、リーダーがいかに適切な働きかけをするか。
 それによって、職員も行動が変わってくる。
 職員が自主的・自律的に行動するようになることが重要である。

 

2019年10月22日火曜日

引き出し維持すること

 リーダーにとって、職員の仕事の能率をあげ、業績をあげるには、職員がどのような状況になればいいか。
 そのことに関して、島宗理氏は、「重要な行動を引き出し維持すること」と、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第6回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 行動の「実行」には、やりたいと思う気持ちや、そうした方がいいという知識だけでは不十分です。

 ビジネスで成功するために何をすべきかわかっているのに、なかなか実行できません。
 これを「知識と行動のギャップ」と言います。

 業績につながる重要な行動は、一度実行すればそれで終わりではありません。
 実行の継続が求められます。

 部下のパフォーマンスを上げるために新しい取組みを始め、当初は物珍しさも手伝って盛り上がります。
 しばらくしないうちに元通りになってしまいます。

 着実な実行を持続することです。 
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」pp.21~22、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 思っていることが、そのとおりに実行できないことのほうが多い。
 上記で述べる「知識と行動のギャップ」だ。
 そうした矛盾は常にある。
 そのギャップをうめることこそ大事だ。
 リーダーとして、職員に適切な行動ができるようにする方策を身につける必要がある。

2019年10月21日月曜日

自主的な実行

 リーダーにとって、職員の仕事の能率をあげ、業績をあげるには、職員がどのような状況になればいいか。
 そのことに関して、島宗理氏は、「自主的な実行」ができるようにすることだと、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第5回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 3つの会社では、リーダーの行動によって部下の行動に大きな違いが生まれていました。
 
 X社の社員は監督に叱られないように最低限の仕事をしてしました。
 彼らにとって、仕事は「やらなければならないこと」でした。

 Y社の社員はX社の社員より楽しんでいました。
 彼らにとって、仕事は「言われた通りにすればうまくいくこと」でした。

 Z社の社員は仕事に夢中でした。
 彼らにとって、仕事は「やりたくてやっていること」でした。
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.20、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 職員は、リーダーに頼ることなく、「自主的に」仕事を行うようになることを目指す必要がある。
 それには、段階がある。
 まず、「義務感」で仕事をする。
 次に、「指示通り」に仕事をする。
 最後は、「自立して」仕事をする。
 自主的に、自立して仕事をすれば、より良い仕事の仕方を工夫するようになるのだ。

2019年10月20日日曜日

業績を生み出すのに重要な行動

 リーダーにとって、職員のどのような行動を引き出すかが大切である。
 職員が業績を上げられるように導かなければならない。 
 
 そのことに関して、島宗理氏は、「業績を生み出すのに重要な行動」ということについて、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第4回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 部下の行動をいかに引き出せるかが上司の腕の見せどころである。
 会社や事業の成功を導く行動とそうではない行動を見分け、前者に選択集中することが肝心です。

 行動を見極める選球眼は、意識されない力量であり、それゆえに習得することも難しいスキルです。

 これを行動化や焦点化として明示し、誰にでも学び、使えるように解説します。   
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.20~p.21、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 事業所の職員にとって、業績を上げられる行動とは何か。
 リーダーは、明確に示す必要がある。
 それによって、職員の行動もその方向に進み、業績も上がることになる。
 リーダーは、業績が上がる行動を焦点化できることが重要である。

2019年10月19日土曜日

リーダーの役割

 リーダーというのは、どういう役割を果たす人なのか。
 そこを明確にしておく必要がある。
 島宗理氏は次のように定義する。
 島宗氏の著書からの引用は、第3回目だ。

 【引用はじめ】

 "リーダーシップ"をリーダーの役割として、次のように定義します。

 リーダーの仕事は、部下から、
 1) 「業績を生みだすのに重要な行動」の、
 2) 「自主的な実行」を、
 3) 「引き出し、維持すること」である。   
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.19、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーは、福祉サービス支援者にとって、「重要な行動」を、「自主的に実行」するように、「引き出し、維持する」ことができるようにすることである。
 そのために、リーダーはいかなる働きかけをすればいいか。
 リーダーは、支援者の悩みや問題に適切な働きかけをして、課題解決に努める。
 そのためには、具体的な行動によってしか、解決は図れないのである。

2019年10月18日金曜日

企業は行動なり

 組織におけるリーダーが、業績や成果を上げようとする時、何に焦点をあてるべきか。
 それはそこで働く人であり、その人の行動である。
 島宗理氏は、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論の第2回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 企業の業績は、そこで働く人たちの行動によって創り出されます。
 「企業は人なり」とは「企業は行動なり」ということなのです。
 
 企業の業績や価値(Value)はその企業で働く人の行動(Behavior)によって決まる。
 公式に表すと次のとおり。
    V(業績)=B(行動)   
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.18、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 「企業は行動なり」の公式によって、組織を動かす原理をシンプルに考えてみる。
 組織で働く一人ひとりの「行動」がその企業なり、福祉サービス事業所のよしあしを決めている。
 支援者の日々の「行動」を振り返ってみる。
 それによって、支援者のより良き方向性も見いだせる。
 

2019年10月17日木曜日

企業は人なり

 前回の投稿で、「川村隆彦著『支援者が成長するための50の原則』2006年、中央法規出版刊」を46回にわたって紹介し、そのことで、区切りをつけた。
 「専門の支援者を育てる話」だった。
 内容的には、支援者が大事にしなければならない心構えが述べられた。
 
 これから紹介するのは、「リーダー論」であり、リーダーとしての具体的な行動のあり方を述べた著書である。
 必要とする支援者には、実際の現場において活用がしやすい内容である。
 まず、以下において、「人の重要性」を強調している。 

 【引用はじめ】

 「企業は人なり」とは、社員を育て、社員の能力を最大限に活かすことが経営者の役割です。
 これは、松下幸之助氏の名言。

 ヒト、モノ、カネの経営資源のうち、最も伸び代が大きいヒトに着目すべきです。

  人は宝であります。
 それを人財としてうまく活かせるか、宝の持ち腐れにしてしまうかは、経営者の手腕にかかってくるという認識です。     
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.17、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 組織において、そこで活躍する人を、単なる人在や人材でなく、人財にするのが経営者やリーダーである。
 それがあって始めて、組織が活性化する。
 リーダーはそのためどのような関係を築かなければならないか。
 このことを、上記の島宗理本から学ぼうと思う。

2019年10月16日水曜日

おすすめの本

 「専門の支援者を育てる話」ということで、46回のシリーズとなった。
 川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」2006年、中央法規出版刊の紹介である。
 福祉サービスに携わる人にとって、良書といえる。
 支援者のプロを目指す人たちには、座右の書となるものだ。
 迷ったとき、困ったときなど本書をパラパラとめくるとヒントが見いだせる。
 難しい局面にあるとき、あきらめずもう一度取り組もうとする意欲が出る。
 おすすめの本だ。
 特に、「深く考えよう」という項目がいい。
 支援の「原則」に対して、自分なりにどのように考えるべきか、質問がいくつも述べられている。
 その質問に対する答えは、自分で考えなければならない。
 自分に合致した考え方、方策を見出す必要がある。
 本書を自分なりにカスタマイズして実践につなげる仕掛けになっている。
 著者は読者に対して、本物のプロを目指す支援者を期待しているのである。

 

2019年10月15日火曜日

メインとサブの調和力

 専門の支援者を育てる話の45回目。
 支援者として「豊かな人間性」を支える専門スキルを培うには、「メインとサブの調和力」を理解することが重要である。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 若いころは、主役だけがすばらしく、脇役は物足りないと勘違いしていたが、今ではそうは思わない。この二つが調和してすばらしい力となるからだ。

 メインとは、物事の中心となる概念である。
 サブとは、メインを支え、引き立たせる概念である。

 あらゆる完成度の高いもの、美しいものには、メインとサブ、またそれらの調和力がみられる。
 メインだけでも、サブだけでも不完全であり、互いが調和して完成度が高まる。
 そうしたものの見方を養うならば、支援者は、物事への洞察力を高め、より完成度の高い支援とは何かを理解できる。   
   
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.218&p.219、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 支援者は、利用者にとってのサブの位置付けと言っていい。
 利用者をどう支え、より良い活動に導くかである。
 利用者をメインとして、適切な活動を促すための支援を行うのである。
 そこでは、支援者はあくまでも黒子の役目を果たすことになる。

 

2019年10月14日月曜日

物事を単純にとらえ、複雑に発展させる力

 専門の支援者を育てる話の44回目。
 支援者として「豊かな人間性」を支える専門スキルを培うには、「物事を単純にとらえ、複雑に発展させる力」が不可欠になる。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 私たちは複雑な世界に生きていると錯覚するが、実は複雑なものは何もなく、すべては単純なものの組み合わせである。

 複雑そうな問題に出合うとき、それを複雑なものではなく、簡単な問題が複雑に絡まったものとして一つひとつの問題を解決するための原則を応用することができる。

 支援者として、どんなに複雑なものであっても、それを構成する単純なものを見いだすよう目を訓練し、ものをみる力を高めよう。  
   
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.214&p.217、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 物事の多くは、複雑そうに見えても、単純なものの組み合わせに過ぎない。
 複雑なものを単純なものに分解することが大事だ。
 その単純なものを一つずつときほぐす。
 それによって、問題を一つずつ地道に解決することである。

2019年10月13日日曜日

絶え間ない学習と実践の繰り返し

 専門の支援者を育てる話の43回目。
 支援者として「豊かな人間性」を支える専門スキルを培うには、「絶え間ない学習と実践の繰り返し」が不可欠になる。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 専門的な知識、能力、そして資質は、絶え間ない学習と実践の繰り返しによって、
少しずつ自分自身に注ぎ込むことができる。
 この学習と実践は二つの車輪であり、片方を動かすならば、もう片方も動かさなければ意味がない。

 賢い支援者は、学習したことを実践に移し、実践したことからさらに学習課題を見いだす。
 このような繰り返しが経験とつながり、自分を整える。  
   
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.211&p.212、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 学習だけとか、実践だけといったことでは、本物の支援者とは言えない。
 学習も実践も両方に裏打ちされた支援者でなければならない。
 今やっている実践は、今まで学習した知識が背景にあると言えることだ。
 また、この学習内容は、こうした実践によって試すことができると説明できるようにする。
 学習は学習、実践は実践といったことは、プロとは言えないのだ。

2019年10月12日土曜日

教える相手を知る力

 専門の支援者を育てる話の42回目。
 支援者として「豊かな人間性」を支える専門スキルを培うには、「教える相手を知る力」が大事だ。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 相手に心からの関心を示すことは、教える力のなかで最も重要な力である。
 支援者としてこのことを理解しないと、どんなにすばらしい原則をもってしても、相手の心を開き、成長させることはできない。

 相手を知るとは、相手の今だけを知るのではありません。
 相手が将来なりうる姿について知らなければなりません。
 つまり、相手の将来を見通すビジョンが必要です。 
   
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.204、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 支援者が利用者等に対して、「教える」といった支援を行うには、相手をよく知ることである。
 そんなこと当然と思うかもしれない。
 それがよくなされていないことが多く、利用者との関係に支障きたしたりする。
 利用者の今を知るのみでは足りない。
 将来こうありたいことも含めたことをしっかり把握しなければならない。
 

2019年10月11日金曜日

施設コンフリクトの克服

 専門の支援者を育てる話の41回目。
 支援者として「豊かな人間性」を支える専門スキルを培うには、「施設コンフリクト」への考え方を克服できるようにしなければならない。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 施設コンフリクトとは、知的障害者などの施設を新たに建設しようとするとき、それに対して、住民たちが真っ向から反対することで起こる人権摩擦である。
 施設コンフリクトが起こると、建設計画が中断、あるいは断念される。
 そしてそこで暮らそうとする障害者の人権が侵害される。
 住民たちが反対する理由の多くは、障害者に対する「不安感」があげられるが、その根底には、障害者とふれあった経験がないことから生まれる強い偏見がある。 
   
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.197、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 障害者差別解消法は平成25年に制定された。
 共生社会の実現に向けた第一歩である。
 しかし、法律ができたからといって障害者施設が地域に完全に受け入れるようになっているか。
 根底では障害者の受け入れがなかなかなされないこともよく耳にする。
 そこには、障害者に対する根強い差別や偏見があるためだ。
 そのため、障害者理解を積極的に働きかける支援者の力が必要となる。
 地域に出かけ、地域に貢献し、地域との協力を図ることである。


 

2019年10月10日木曜日

社会的スキルを得させる

 専門の支援者を育てる話の40回目。
 支援者として「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「社会的スキルを得させる」ことが大事である。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 社会的スキルとは、人が社会のなかで生きていくうえで、必要とするさまざまな能力である。
 社会的スキルを得させるためには、人々に数々の体験をさせ、外的にも内的にも刺激を与えることで、彼らがもっている資質や能力をさらに引き出し、磨いていく必要がある。

 社会的スキルは、一人で考えて得るのではない。
 他者とのぶつかり合いから学ぶものである。
   
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.169、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 他者とのかかわりで学ぶのが社会的スキルである。
 社会的スキルは人同士の直接的関係によって学ぶものだ。
 その学びが成長発達を促す。
 学びはさらに大きな学びにつながり、より高度な社会スキルを得ることになる。

2019年10月9日水曜日

仲間意識を高める

 専門の支援者を育てる話の39回目。
 支援者として「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「仲間意識を高められる」ようにすることも大事にしなければならない。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 仲間意識とは、「私」ではなく「私たち」という気持ちをもつことである。
 それは一人ではなく仲間がいるという安心感と仲間への帰属意識である。

 メンバーが集まれば、自然と仲間になるわけではない。
 しかし、支援者の意図的な働きかけにより、互いが仲間として、絆を深めていける。
 同じ体験をするならばそこでの楽しさ、悲しさ、喜び、つらさのすべてを分かち合い、仲間意識を深めることができる。
 そしてそれが思い出となり、将来にわたって人々を支え続けるのである。     
  
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.165、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 支援者は、まず利用者一人ひとりのことをよく理解し、個々に合った支援に努めることである。
 それがグループがまとまることにつながる。
 グループの仲間同士が力合わせることになる。
 互いの力が合わさってより良い活動がなされることになる。

2019年10月8日火曜日

支援の終結

 専門の支援者を育てる話の38回目。
 「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「支援の終結」も大事にしなければならない。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 終結とは、これまでの支援の関係を終えることである。
 しかしこれは単なる終わりではない。
 これまでの道程を振り返り、ともに過ごしてきた時間が、かけがえのないものであることを分かち合う大切な瞬間である。

 大切な関係が終わるとき、だれであっても複雑な感情を抱く。
 まして相手の存在が大きければ、それだけ「別れ」に伴う失望や不安も大きい。
 同時に、「別れ」は、「次の始り」を意味するため、期待や希望の感情も存在する。
 こうした利用者の感情をしっかりと受け止める力が、終結をより価値のあるものとする。     
  
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.161・p.162、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 支援の終結は、誰にもいつかは来る。
 どんな形であれ支援のあり方をふり返り、最後に「ああ良かったなあ」と言えるようなものでありたい。
 支援者も利用者も、その時笑顔になるか涙になるか、今までの関係が出てくる。
 お互い「いい関係だった」と思えたらすばらしい。
 

2019年10月7日月曜日

専門職を養い育てる力

 専門の支援者を育てる話の37回目。
 「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「専門職を養い育てる力」が大事となる。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 どのような仕事にも教える人と学ぶ人が存在する。
 スーパービジョンとは、熟練の人(スーパーバイザー)が、経験の浅い人(スーパーバイジー)の専門性を高めるために助言や訓練を与えていくことである。
 このような訓練には、スーパーバイジーが組織や機関の役割、機能を熟知し、それらを十分に遂行できるように助ける管理的機能、また彼らに専門的な仕事を教える教育的機能、さらに慣れない仕事から来る悩みの相談を受け、燃え尽きないよう心理的サポートを行う支持的機能が含まれる。    
  
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.156、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 支援者として一人前になるには、熟練者(スーパーバイザー)からの教えを十分吸収しなければならない。
 熟練者は、初心者にとってそれこそ頼りになる存在である。
 その教え方ひとつで良き支援者になるかどうかが決まる。
 
 

2019年10月6日日曜日

エンパワメント

 専門の支援者を育てる話の36回目。
 「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「エンパワメント」という「障害者の本来持っている力を引き出す支援」が大事となる。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 人は、偏見や差別、権利侵害など、否定的な環境に取り巻かれたり、加齢や病気、障害を負ったりすると、自立した主体的な生活をあきらめてしまうことがある。
 エンパワメントは、こうした人々がもっていた生きる力を取り戻すための支援である。

 エンパワメントは、私たちの支援に一つの方向性を与えてくれる。
 全くの無力な状態を支援のスタート地点とするなら、地域社会でいきいきと生活する姿はゴール地点となる。
 この二つの地点は、少しずつ力を取り戻しながら進む長い1本の線で結ぶことができる。   
  
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.151,p.153、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 エンパワー(empower)は、「能力や権限を与える」という意味である。
 エンパワメントとは、能力や権限は訓練や指導によって後から付加されるものではない。
 本人が本来もっているもので、それが社会的制約によって発揮されていなかった。
 本人が力を発揮できるようにするためには、あらゆる社会資源を再検討し、条件整備を行なっていく必要があるという見方である。
(障害保健福祉研究情報システム https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/glossary/Empowerment.html

2019年10月5日土曜日

権利を代弁する力

 専門の支援者を育てる話の35回目。
 「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「権利を代弁する力」が大事となる。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 真の権利擁護は、当事者に情報を提供し、彼らを権利の主体としてエンパワメントを行う。
 そして当事者に、自分の権利を主張するよう働きかける。
 問題に直面し、力を失った当事者の権利を擁護する支援者は、判断能力と自立度に応じて、彼らの力を高め、自分の声で主張できるように働きかける。
 彼ら自身による主張が難しい場合、彼らの最善の利益を擁護できる方法を模索する。 
  
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.148、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 障害者の権利が侵害されないよう支援者は全力を尽くす必要がある。
 そして、障害者自身が権利を守れる力をつけることも重要だ。
 障害者の権利擁護を大事にするのは、支援者にとっても権利侵害にあう可能性だってあるからだ。

2019年10月4日金曜日

社会資源の開拓

 専門の支援者を育てる話の34回目。
 「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「社会資源の開拓」が大事となる。
 
 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 利用者のために、必要だと感じるサービスが、いつも私たちの手の届く所にあるとは限らない。
 そんなとき、私たちは「難しい」とあきらめるのではなく、つくりださなければならない。
 社会資源は、地域のなかに埋まっているものであり、そこへ出かけて掘り当てるのは、支援者の仕事だ。
 今、私たちが手にしているあたりまえのサービスも、これまでつくり上げてきたものだと気づくならば、この働きを受け継ごうという気持ちが高まるだろう。

 支援者として、利用者と地域社会、双方を結びつけるために、積極的に地域に出て社会資源を探そう。
 そうした姿勢が不可能を可能にするのだ。 
  
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.145、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 利用者に合ったサービスとは何か。
 実情に合ったものになっているかどうか常に問いながら、支援のあり方を考慮することである。
 それがより良いサービスにつながる。
 そのためには、現状に満足していてはだめだ。
 地域を見渡して広くより良いサービスがないか探すことである。
 今まで埋もれて気づかなかった社会資源を見出すことができる。
 それを使ってより良いサービスを創り出すことだってできる。

 

2019年10月3日木曜日

効果的な危機介入

 専門の支援者を育てる話の33回目。
 「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「危機に遭遇した時のあり方」が大事となる。
   特に、効果的な危機介入がいかにあるべきかということである。
 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 危機に効果的に介入するためには、何より、素早さが求められる。
 すぐに人々のもとへ駆けつけ、彼らが目の前で起きている現実を認識できるよう助ける。
 そして、その後、彼らから表出されるさまざまな感情を受け止めながら悲嘆作業を進める。
 また情緒的に弱められている彼らを支えるために、可能なかぎり人的・物的資源を与えようとする。
 危機介入は、通常、最初の6週間程度の集中的なかかわりを指し、その後は、長期的な支援へと切り替えられる。
  
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.135、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 危機に際しては、できるだけ素早い対応が必要だ。
 支援者ができるスピーディな援助である。
 拙速的なことであってもないよりはいい。
 まず、援助の手を差しのべることである。

2019年10月2日水曜日

セルフ・エスティームを高める

 専門の支援者を育てる話の32回目。
 「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「セルフ・エスティームを高める=人を変化させるための力」が大事となる。
   セルフ・エスティームとは、「自己肯定感」とも訳される言葉である。
 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 セルフ・エスティームを高める支援とは、小さな働きかけの積み重ねである。
 職員の多くは、「忙しくて、利用者と話もできない」と嘆く。
 しかし利用者が求めているのは、長い時間、話すことではない。
 利用者の小さな努力や達成を見逃さず、ひとことに心を込めて、彼らをほめるだけでも、セルフ・エスティームを高めることができる。   
 
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.127、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 支援者自身のセルフ・エスティームも必要なことは当然だ。
 それがあってはじめて利用者などの支援にもそうした働きかけがなされる。
 相手の問題に注目するのでなく、より良い態度に目配りする。
 そうしたことを継続することが重要である。

2019年10月1日火曜日

プランニング=将来像を見据える力

 専門の支援者を育てる話の31回目。
 「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「プランニング=将来像を見据える力」が大事となる。
 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 支援者には、利用者の将来像を見据える力が必要である。
 それは利用者の現在の地点にいっしょに立ち、そこから1年後、あるいは5年後、10年後を眺め、どのような場所で、どのような生活をしていることが、最もその利用者にとって利益となるかを見通す力である。    
 
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.122、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 支援者は、利用者の実態をよく知り将来どのような姿が望ましいか計画を立て対応すべきである。
 利用者が将来どうあるべきか現実的な計画の立案である。
 そうした将来を見通す力を養うことは、支援者の専門スキルを高めるものといえる。