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2026年10月28日水曜日

「続く人には『ご褒美』がある」

 私たちの仕事は、毎日の支援記録、送迎、環境整備、ご家族対応など、小さな実践の積み重ねで成り立っています。忙しい毎日の中だからこそ、自分なりの「できたらもらえるご褒美」を用意しておくことは、良い行動を続けるための有効な工夫です。

【引用はじめ】

 自己強化のための好子は5種類あるが、その中の一つ目が「『もの』としての好子」である。

①「もの」としての好子

 自分へのご褒美として、やるべきことができたときに、欲しいものを手に入れる。たとえば、新しいスーツだったり、眼鏡だったりというのがものとしての好子だ。ただ、こうした高額なものである必要はない。朝決めた時間に起きられた日だけ、アイスクリームを買うという可愛らしい例もある。いずれにしても、ものを好子に使うときは、自分が欲しいもののリストをあらかじめ作っておくとよい。そして、もちろん、やるべきことができたときだけ買うことだ。

  (舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.283)

【引用おわり】

 「記録をその日のうちに終わらせたら好きなスイーツを買う」「一週間目標を達成できたら欲しかった本を買う」など、小さなご褒美でも十分です。自分自身の行動を上手に強化しながら、前向きな習慣づくりにつなげていきたいものです。

2026年10月27日火曜日

続く人は、自分をほめている

 仕事の成果を高めるには、自分で自分を上手に励ます「自己強化」が欠かせません。行動分析学では、継続の力となる好子を意識的に活用することが大切だとされています。

【引用はじめ】

 自己強化のための好子には、次のように五つある。

①「もの」としての好子 自分にとってご褒美となる食べ物、衣服などである。

②行動も好子になる 「宿題が終わったら、テレビを見てよい」などである。

③フィードバック 自分の行動を記録してその行動の変化が好子になる。

④社会的好子 自分で自分を褒める、認める、笑顔を見せることなのである。

⑤トークン うまくできたら〇印をつける、ポイントを与えるなどで最終的に一定量たまったら物と交換できるようにするのである。 

  (舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.283~p.284)

【引用おわり】 

 自分に合った好子を見つけることは、前向きな行動を続ける工夫の一つです。例えば、支援記録を期限内に終えた日は好きなコーヒーを飲むなど、小さなご褒美を活用しながら日々の成長につなげていきましょう。

2026年10月26日月曜日

結果が出ないのは、人ではなく随伴性かもしれない

 私たちは利用者支援の中で、さまざまな工夫や声かけを行います。しかし、期待した変化が見られないこともあります。その時は「本人のやる気がない」と考えるのではなく、随伴性そのものを見直し、より効果的な形へ改良していく視点が大切です。

【引用はじめ】

 自分で随伴性を設定し、自分の行動を強化したり、弱化したりすることを、行動の自己管理(セルフコントロールまたはセルフマネジメント)という。自己管理の手順の六つ目が次のような「随伴性を改良する」ことである。

⑥「随伴性を改良する」

 せっかく工夫した人為的な随伴性も効果があまり見られないこともある。何日か続けても行動に変化がないようなら、さらに工夫して随伴性を改良する。

  (舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.281)

【引用おわり】

 支援の成果が見られない時は、支援対象者ではなく支援方法に目を向けることが重要です。行動が変わらないなら、強化子や提示の仕方などの随伴性を調整し、本人に合った形へ改良し続けることが支援の質の向上につながります。

2026年10月25日日曜日

続く行動は、仕組みがつくる

 行動を変えたいと思っても、意志の力だけでは長続きしません。大切なのは、望ましい行動のあとに「やってよかった」と感じられる新しい随伴性を意図的につくることです。その工夫が継続への力になります。

【引用はじめ】

 自分で随伴性を設定し、自分の行動を強化したり、弱化したりすることを、行動の自己管理(セルフコントロールまたはセルフマネジメント)という。自己管理の手順の五つ目が次のような「新しい随伴性を導入する」ことである。

⑤「新しい随伴性を導入する」

 ベースラインが記録できたら、人為的に作った新しい随伴性を導入する。標的行動ができるたびに自己強化をする。グラフは書き続け、行動がどのように変化するか確かめる。

  (舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.281)

【引用おわり】

 標的行動ができたら、自分への小さなご褒美や達成感を結びつけてみましょう。自己強化による新しい随伴性は、良い行動を続けやすくします。記録を取りながら、効果的な仕組みへ育てていくことが大切です。

2026年10月24日土曜日

変化は、グラフにあらわれる

 毎日の支援や業務の中で、自分の行動がどのように変化しているかは意外と見えにくいものです。記録をグラフ化すると、努力の積み重ねや変化の傾向が目に見える形となり、次の行動への意欲につながります。

【引用はじめ】

 自分で随伴性を設定し、自分の行動を強化したり、弱化したりすることを、行動の自己管理(セルフコントロールまたはセルフマネジメント)という。自己管理の手順の四つ目が次のような「グラフをつける」ことである。

④「グラフをつける」

 せっかく行動の記録をつけるなら、それをグラフで示すことだ。たとえば、横軸に日数、縦軸に営業の訪問件数などをとり、線グラフを書く。訪問した件数を示すグラフはフィードバックとして作用する。

  (舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.281)

【引用おわり】

 グラフは結果を示すだけでなく、自分の行動を振り返るための大切な道具です。変化を見える化することで、小さな前進にも気づきやすくなり、継続的な改善と成長を後押ししてくれます。

2026年10月23日金曜日

まず測る。それから変える

 支援の改善に取り組むときは、「変えた後」だけでなく「変える前」を知ることが欠かせません。まず現状の行動量を測定することで、取り組みの効果や方法の善し悪しを客観的に判断できるようになります。

【引用はじめ】

 自分で随伴性を設定し、自分の行動を強化したり、弱化したりすることを、行動の自己管理(セルフコントロールまたはセルフマネジメント)という。自己管理の手順の三つ目が次のような「ベースラインをとる」ことである。

③「ベースライン(介入前の測定)」

 ベースラインというのは、従来通りの状況で起こる行動の量である。たとえば、営業活動などで、自己強化を取り入れる前に訪問していた顧客の件数である。新しい随伴性を導入する前、どのくらい標的行動をしているのかをまず記録する。営業日誌などから、毎日どのくらい顧客訪問していたか件数を数えてみるのである。

  (舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.281)

【引用おわり】

 新しい随伴性を導入する前の行動量を把握しておけば、導入後にどのような変化が起きたのかを明確に確認できます。ベースラインは、取り組みの効果を確かめ、より良い支援や業務改善につなげるための出発点なのです。

2026年10月22日木曜日

記録が、成長を見える化する

 私たちは、自分の行動を意外と正確には把握できていません。だからこそ、行動を記録することが大切です。記録は思い込みを事実に変え、改善の成果や課題を見える形にしてくれます。

【引用はじめ】

 自分で随伴性を設定し、自分の行動を強化したり、弱化したりすることを、行動の自己管理(セルフコントロールまたはセルフマネジメント)という。自己管理の手順の二つ目が次のような「行動を記録する」ことである。

②「行動を記録する」

 行動を記録することは行動変容のために非常に重要である。新しい随伴性を導入する前と後とで、どれだけ行動が変わったか確認する必要があるからだ。また、人間は自分のことは自分が一番よく知っていると思いがちだが、案外そうでもないことがある。自分では気づかないうちに過大評価や過小評価をすることも少なくない。実際、行動の記録をとればそれは明確になる。だから、できるだけ負担をかけずに記録をとるための用紙を工夫してつくるとよい。

  (舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.280~p.281)

【引用おわり】

 行動の記録は、自分を評価するためではなく、自分を成長させるための道具です。続けることで変化は見えるようになります。小さな行動でも記録し、改善につながる一歩を積み重ねていきましょう。

2026年10月21日水曜日

「できた!」を増やせる行動を選ぶ

 利用者支援では、まず「強化のチャンスが多い行動」を標的行動にすることが大切です。成功体験を積み重ねやすく、利用者本人も職員も変化を実感しやすいため、支援の好循環が生まれます。

【引用はじめ】

 自分で随伴性を設定し、自分の行動を強化したり、弱化したりすることを、行動の自己管理(セルフコントロールまたはセルフマネジメント)という。自己管理の手順の一つが次のような「標的行動を定義する」ことである。

①「標的行動を定義する」

 自己管理で最初にすることは、どの行動を強化するか決めることである。行動を作り上げるには、できるだけ好子を手に入れるチャンスが多くなければならない。それためには、一日に少なくとも一回はする行動を取り上げることだ。少しでも、強化のチャンスを増やすために、毎日する行動を選ぶのである。毎日する行動を標的行動に選んで、強化できるようにするのである。 

  (舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.280)

【引用おわり】

 行動変容は小さな成功の積み重ねから始まります。強化しやすい行動を選び、できた瞬間を見逃さず認めることで、利用者の自信と意欲は育ちます。まずは成功しやすい一歩から支援を組み立てていきましょう。

2026年10月20日火曜日

記録する人は成長する

 私たちは利用者支援の工夫について学ぶことが多いですが、その考え方は自分自身の成長にも活かすことができます。今回は、行動分析学にもとづく「自己管理(セルフマネジメント)」の基本的な進め方を紹介します。

【引用はじめ】

 自分で随伴性を設定し、自分の行動を強化したり、弱化したりすることもできる。これを行動の自己管理(セルフコントロールまたはセルフマネジメント)という。自己管理の一般的な手順は次のようになる。

  1. 「標的行動を定義する」 どの行動を強化するか決める。
  2. 「行動を記録する」 その行動の記録をとる。
  3. 「ベースラインをとる」 新しい随伴性を導入する前に、どのくらい標的行動をしているのかを記録する。
  4. 「グラフをつける」 行動の記録をグラフにする。
  5. 「新しい随伴性を導入する」 ベースラインの記録ができたら新しい随伴性を導入する。
  6. 「随伴性を改良する」 随伴性に効果が見られないなら、改良した随伴性を導入する。

  (舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.279~p.281)

【引用おわり】

 目標を決め、記録し、結果を振り返りながら改善していくことは、自分自身を成長へ導く大切な方法です。小さな変化を積み重ねることが、より良い支援や働きやすい職場づくりにつながっていくのではないでしょうか。



2026年10月19日月曜日

自分をほめる力が、明日の力になる

 私たちは日々、利用者さんの小さな成長や頑張りを見つけて称賛することを大切にしています。では、自分自身に対してはどうでしょうか。今回は「自分をほめること」の大切さについて考えてみたいと思います。

【引用はじめ】

 自己強化で大事なことは、自分の褒め方です。おもしろくすることがコツです。理屈的に冷静に褒めることではなく、脳や体が快感を覚えるような褒め方をすることがポイントです。

 日本では、自分を褒めるというのは「はしたない」と思われ、タブーのようにされてきましたが、大きな間違いです。自分を褒めることと、人に自慢することとは違います。それを混同してはいけない。周囲に自慢するというのは、確かに「はしたない」行為だと思いますが、自分を褒めることとは、自慢することとは無関係です。たとえば周囲からみたら平然としていても、心の中では自分への感動に浸っている。そんな誉め方でもよい。日本でも、大きなことを成し遂げた人々をよく研究すると、彼らは無意識のうちに自分を上手に褒めている。つまり、自分を褒める脳を持っていた人々が成功していたのです。

  (舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.272)

【引用おわり】

 一日の終わりに、「今日はよく頑張った」「ここまでできてよかった」と自分自身を認めることも大切な習慣です。自分を励ます力は、明日への意欲や利用者さんへのより良い支援につながっていくのかもしれません。


 

2026年10月18日日曜日

誰も見ていない時こそ、本当の支援が見える

 私たちは「良い支援をしよう」と考えます。しかし、本当に大切なのは、誰も見ていない時でもその行動を続けることです。その力を育てる鍵が、自分で自分の良い行動を認め、励ます「自己強化」にあります。 

【引用はじめ】

 建前を言うのは簡単ですが、現実の職場には、建前を実行させる随伴性があるとは限らない。人間の行動を決めるのは随伴性ですから、それが適切でないときには建前とは違った本音が生まれ、人が見ていないところでは本音に従って動く。だから、誰も見てないところでの行動を変えるには、自分で自分を強化することが必要になります。

 よい行動をしたら褒める。でも自己強化では、自分を褒めるのは自分です。トップクラスになる運動選手というのは、自分で自分を褒めるのがうまい人ばかりです。彼らは途中の細かな動作の一つひとつに好子を与えているのです。おそらく彼らの脳内では、一つの動作が決まるたびに快感物質がピュピュッと分泌されているのではないでしょうか。

  (舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.269~p.270)

【引用おわり】

 支援の質は、人前での行動だけでなく、一人の時の行動にも表れます。小さな実践でも「今の対応は良かった」と自分を認める習慣が、より良い支援を続ける力になります。自己強化を大切にしていきましょう。


2026年10月17日土曜日

学びを喜びに変える

 日々の学びや技能向上は、すぐに成果や評価として現れるとは限りません。だからこそ、その努力を続けたくなる価値や喜びを見いだせる職場づくりが、組織にも一人ひとりにも求められています。

【引用はじめ】

 一つの行動がいくつもの随伴性で何重にも制御されている。しかも多くは、長期的には強化されるが、短期的に見ると弱化される。だから、この効力の弱い強化随伴性を、いかに魅力的なものにしていくかの確立操作がどうしても必要になる。

 職員がそれぞれ技能を高める努力を続けられるために、一人ひとりが「技能を高める」ことそれ自体が、いかに事業所にとっても本人にとっても重要な好子であるかを、確立していかなければならない。

  (舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.265)

【引用おわり】

  技能を高めることが利用者支援の質を高め、自分自身の成長や達成感にもつながる。その実感こそが最も強い好子です。学び続けることが自然な選択となる環境を、みんなで育てていきたいものです。

2026年10月16日金曜日

変化を支える言葉の力

 利用者支援や業務改善で新しい取り組みを始めると、最初は手間が増え、負担に感じることがあります。しかし、その取組の意義を共有し、成果や努力を認め合うことで、変化は定着していきます。今日はそのポイントを考えてみましょう。

【引用はじめ】

 組織の大きな構造改革は、そこに働く人々に行動の変化を要求することになる。業務が増えたり、まったくしたことのない行動を要求されるかもしれない。たとえば、パフォーマンス・マネジメントが導入され、新しい行動評価システムを始めるとすれば、行動の測定や記録などの新たな仕事が増えるだろう。新しい仕事は負担を増やすから、新たなプロジェクトに基づく仕事の遂行には弱化随伴性が働く。だから改革は進まない。

 このような場合、新しい取り組みをいかに強化するか、新しい取り組みへの好子の効力をいかに増大するかという配慮が必要になる。そこでトップマネジメントが、新しい取り組みをいかに評価しているかを言葉を通して語りかけ、言葉や言葉以外のあらゆる手段を通して強化する。トップマネジメントによる新プロジェクトの支持は、弱化随伴性の力を弱め、強化随伴性の力を強める確立操作なのである。

  (舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.264~p.265)

【引用おわり】

 新しい取組を進める鍵は、「なぜ行うのか」を理解し、小さな実践を積み重ねることです。利用者の笑顔や成長、仲間からの承認が大きな力になります。互いの挑戦を支えながら、より良い支援につなげていきましょう。

2026年10月15日木曜日

目標が、毎日の行動を変える

 私たちは日々、利用者支援のなかでさまざまな目標を立てています。目標は結果を追うためだけではなく、一つひとつの行動に意味と達成感を与え、継続する力を生み出してくれるものです。

【引用はじめ】

 業績の向上には、フィードバックや強化と並んで「目標設定」がよく使われ、その効果も広く認められている。目標設定はなぜ効果があるのか。目標値を決めることにより、その目標に達することは強化されるかもしれない。しかし、本来強化されるべきものは目標に達する行動ではなく、それに至るたくさんの行動、たとえば、一回一回の受注や顧客を訪問する行動である。これらの本来強化されるべき行動は、目標の有無にかかわらず強化される。ただし、目標を立てない場合より目標を立てるほうが、受注や顧客訪問の成果がより強化的になるのである。「よし、これで目標まであと○○件」というように。したがって、目標の設定は確立操作なのである。

  (舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.263)

【引用おわり】

 利用者の成長も職員自身の成長も、小さな行動の積み重ねから生まれます。目標を明確にすることで、日々の支援や工夫の価値が見えやすくなります。今日の一歩を大切に積み重ねていきましょう。

2026年10月14日水曜日

見える締切が、行動を生み出す

 私たちは「やる気が出たら動く」と考えがちですが、行動分析学では、先に行動を促す環境を整えることが重要だと考えます。今回の引用は、「締切の設定」が行動を後押しする確立操作として働くことを教えてくれます。

【引用はじめ】

 満腹状態、二日酔いでは好子の効力は下がり、スポーツで汗をかいたあと、塩辛いナッツを食べたあとでは好子の効力は上がる。このように、好子の効力を変えるような出来事や生理状態を確立操作という。確立操作には、いくつかの種類がある。その一つが「締切の設定」である。

③締切の設定

 来るべき大きな試験の日程をカレンダーや手帳に赤ペンで書き込んだ。試験前に遊びの誘惑を我慢して、カレンダーの赤丸を睨みながら勉強に専念する。この赤ペンの印は何の役に立つか。遊びの誘惑にかられたとき、ふとカレンダーに目をやると、赤ペンで「試験」と書いてある。その瞬間、「今勉強しないと試験に落ちるかもしれない」という不安が頭をよぎる。カレンダーの赤い文字は、この不安を喚起する機能がある。そして、諦めて試験勉強に取りかかると、不安がいくらか緩和する。

 カレンダーの「試験」という文字は勉強の期限を示している。カレンダーは、試験に落ちるかもしれない不安の効力を高める「確立操作」といえる。

  (舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.261~p.262)

【引用おわり】

 利用者支援の記録提出や個別支援計画の作成、行事準備なども、締切を明確にすることで行動が起こりやすくなります。利用者支援においても、目標達成の日程を見える化することで、一歩ずつ取り組む力を引き出すことができるでしょう。

2026年10月13日火曜日

「好き」を与えすぎていませんか? 〜飽和化から考える利用者支援〜

 利用者支援では、「好きなものを使ってやる気を引き出す」ことに目が向きがちです。しかし、好きなものがありすぎる状態では、その効果が弱まることがあります。今回は行動分析学の「飽和化」から支援の工夫を考えます。

【引用はじめ】

 満腹状態、二日酔いでは好子の効力は下がり、スポーツで汗をかいたあと、塩辛いナッツを食べたあとでは好子の効力は上がる。このように、好子の効力を変えるような出来事や生理状態を確立操作という。確立操作には、いくつかの種類がある。その一つが「飽和化」である。

②飽和化

 好子が豊富にある状態では効力は下がる。これが好子の飽和化である。たくさん食べて満腹になる。飲みすぎて二日酔いになる。長時間昼寝をしてしまうと、夜眠れなくなる。好子を十分に摂取してしまうと、しばらくの間、好子の効力は低減する。

 飽和化を上手に使うことで、望ましくない行動を抑制することができる。たとえば空腹のときに、スーパーマーケットやデパート地下の食品売り場には行ってはいけない。遮断化で食品の強化力が増し、よけいなものを買い込みすぎるからだ。食材を買いに行くときは、ある程度おなかを満たし、食品の効力を下げることで衝動買いを防ぐことができる。

  (舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.261)

【引用おわり】

 おやつや動画、活動なども、与えすぎると魅力が薄れます。利用者の「好き」を長く支援に生かすには、量やタイミングを調整する視点が大切です。飽和化を防ぎながら、意欲や達成感を引き出す支援を心掛けたいものです。

 

2026年10月12日月曜日

待つことが意欲を育てる

 私たちの行動は、その人の「好きなこと」がどれだけ魅力的に感じられるかに大きく影響されます。行動分析学の「遮断化」は、利用者支援において意欲や参加意欲を高めるヒントを与えてくれる考え方です。

【引用はじめ】

 満腹状態、二日酔いでは好子の効力は下がり、スポーツで汗をかいたあと、塩辛いナッツを食べたあとでは好子の効力は上がる。このように、好子の効力を変えるような出来事や生理状態を確立操作という。確立操作には、いくつかの種類がある。その一つが「遮断化」である。

① 遮断化

 満腹状態になり、食べるのをやめたとしても、しばらく時間がたてばいずれ空腹となり、また食べる。食物をしばらく食べないでいると、すなわち、食物を遮断されていると、食物の効力が増すのである。このように特定の好子を一定期間遮断することを遮断化という。水分をしばらくとらないでいると、飲み物を手に入れるための行動が起こりやすくなる。自動販売機を見つけたらコインを入れて飲み物を買ったり、喫茶店に入ったり、冷蔵庫を開けたりする。禁欲が続くと性的刺激の強化力が増す。給料日直後は散在しても、日がたつにつれ、手元資金が減ってくると、好子を減らすような大盤振る舞いはしなくなる。

  (舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.260~p.261)

【引用おわり】

 利用者支援では、好きな活動や物をいつでも与えるだけでなく、適切に待つ時間をつくることも大切です。遮断化を上手に活用することで、活動への意欲を高め、自発的な行動を引き出しやすくなります。

2026年10月11日日曜日

「やる気は環境で変わる!確立操作を支援に生かそう」

 利用者支援では、「やる気がない」と見える行動も、環境の影響を受けていることがあります。今日は行動分析学の「確立操作」を学び、利用者が意欲的に活動できる支援のヒントを考えてみましょう。

【引用はじめ】

 満腹状態、二日酔いでは好子の効力は下がり、スポーツで汗をかいたあと、塩辛いナッツを食べたあとでは好子の効力は上がる。このように、好子の効力を変えるような出来事や生理状態を確立操作という。

 確立操作には、いくつかの種類がある。ここでは代表的なものを三つ取り上げる。

① 遮断化 食物をしばらく食べないでいると、食物の効力が増す。このように特定の好子を一定期間遮断することを遮断化という。

② 飽和化 好子が豊富にある状態では効力は下がる。これが好子の飽和化である。

③ 締切の設定 試験日を記入したカレンダーは、試験準備をその日までしっかりしないと試験に落ちるかもしれない不安の効力を高める確立操作である。

  (舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.259~p.260)

【引用おわり】

 確立操作は、利用者の「やりたい」「もらいたい」という気持ちを高める工夫です。活動前の待つ時間や選択肢の提示などを意識し、一人ひとりの意欲を引き出す支援につなげていきたいものです

2026年10月10日土曜日

「ほめるなら、今。」

 利用者支援では「何を伝えるか」だけでなく、「いつ伝えるか」が大切です。同じ言葉や賞賛でも、タイミングや利用者の状態によって効果は大きく変わります。今回は行動分析学の「確立操作」について考えてみましょう。

【引用はじめ】

 好子の効力は常に変化する。同じ好子であっても、与えられたタイミングによって、効力は変わる。もちろん、行動の直後に与えられるほどよい。会話をする際に、相手からの反応が0.3秒遅れるだけで違和感を持ち、発話が滞ることが実験的に確認されている。それほど強化のタイミングは重要である。

 その他にも好子の効力を変えるものがある。食べ物はすべての人にとって重要な生得性の好子であるが、満腹状態では、ごちそうを目の前にしても食べるという行為は起こりにくい。愛飲家でも、二日酔いのときはお酒を飲むのはおろか、見るのも嫌な場合がある。一方、普段はあまり水を飲まない人も、スポーツのあとや塩辛いものを食べたあとでは、水は強力な好子になる。

 満腹状態、二日酔いでは好子の効力は下がり、スポーツで汗をかいたあと、塩辛いナッツを食べたあとでは好子の効力は上がる。このように、好子の効力を変えるような出来事や生理状態を確立操作という。

  (舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.259~p.260)

【引用おわり】

 利用者の行動を支援するときは、行動直後の声かけと、その人の心身の状態に目を向けることが重要です。確立操作の視点を持つことで、一人ひとりに合った効果的な支援につなげることができます。

利用者 😀 [作業]  → 職員 😊👍○  行動 ───→ すぐにほめる

2026年10月9日金曜日

「『いつもの褒め方』が効かなくなる理由」

  利用者さんへの声かけや励ましも、いつも同じ形では次第に慣れてしまい、効果が薄れることがあります。今日は行動分析学の「好子のマンネリ化」という考え方から、支援を見直すヒントを紹介します。

【引用はじめ】

 改善提案制度がマンネリ化して活性化することが課題になっている。かつては、提案箱に改善案を入れてもらっていた。今はメールになって、受付時にお礼の返信と、提案に対するわずかな報奨金のお知らせしている。提案1件に500円支給される。活性化のため報奨金を増やすべきか。一時的に提案は増えても、そのうちまた低迷してしまう。お金ではマンネリ化しやすい。減るとものすごく文句が来て、増やしてもそのうち慣れて当たり前に感じてしまう。だから、それで提案制度を活性化しようとすると、報奨金を上げ続けなければなくなる。好子のマンネリ化であり、行動分析学では飽和化という。

  (舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.252)

【引用おわり】

 大切なのは、ごほうびや賞賛を増やし続けることではなく、その人に合った喜びや達成感を見つけ、時々変化を加えることです。支援の工夫を続けることが、利用者さんの意欲と成長につながります。