2019年12月31日火曜日

ヒトは指示だけでは動かない

 リーダーが指示をしたからといって、職員は動いてくれない。
 それはリーダーにとって大きな悩みだ。
 
 そのことを、舞田氏は「ヒトは指示だけでは動かない」と、次のように述べる。  
 舞田氏による著書の紹介は第16回目である。

 【引用はじめ】

 人間は指示だけでは動かない。
 自分が望むことを、相手がしてくれないとき、なせできないか、そしてどうすればさせられるか。その対応策には三つのレベルがある。
 第一のレベルは、やるべきことに対する知識が欠けているレベルである。その場合には、知識を与える必要があり、指示は有効だ。
 第二のレベルは、頭ではわかっているが、技能が伴わないというレベルである。このときに必要となるのは練習である。
 第三のレベルは、頭ではわかっているし、できるのにやらない、というレベルである。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.28、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 上記の理由のように人間は指示どおりに動いてくれない。
 その理由を簡単にまとめると次のとおり。
 1 知識欠如→やるべきことを教える
 2 技能欠如→やるべきことを練習する
 3 行動欠如→やるべきことの重要性に気付く

2019年12月30日月曜日

問題の解決を投げ出している

 行動の問題を心や性格などの内面で決めつけると、問題解決につながりにくい。
 個人攻撃の罠にはまって、相手をネガティブにとらえてしまう。
 
 そのことを、舞田氏は「問題の解決を投げ出している」と、次のように述べる。  
 舞田氏による著書の紹介は第15回目である。

 【引用はじめ】

 行動分析学では、心や性格といった人間の内面で行動を説明しない。
 部下たちが会議で発言しないのは、「前向きな意識」が欠如している、「積極性」がないからだというように、部下の行動の問題を、意識や性格といった、医学モデルで考えている。
 その結果、「この連中に考えなどあるものか」と、問題の解決を投げ出している。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.28、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 行動の問題を、医学モデルでとらえると問題の解決につながりにくい。
 やる気がない、意欲に欠けるなどと言ったところで、いい結果にならないことは肝に命ずるべきである。

2019年12月29日日曜日

ポジティブな言動が、ポジティブな意識を作る

 私たちは、「前向きになれ」と言われても、すぐにはその通りにはなれないのが普通だ。
 そもそも前向きってなんだからわからない。
 
 そこで、舞田氏は「前向きな意識でなく、前向きな言動」に着目するのだと、次のように述べる。  
 舞田氏による著書の紹介は第14回目である。

 【引用はじめ】

 「前向きになれ」と命令して前向きになるほど、人間は簡単ではない。
 "前向きな意識"というものは何なのか。実は正体が判然としない。
 人の行動を変化させ、そこから、いわゆる意識というものも変えていく。
 ポジティブな言動が、ポジティブな意識を作る。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.26~p.27、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 前向きな意識というより、前向きな行動や言動とはどういうものかを先に考える。
 そうすると、私たちを前向きに変化させてくれる。

2019年12月28日土曜日

行動を科学的な手法で解明

 私たちは行動の問題を経験や勘で解決しようとしてきた。
 それでは、行き当たりばったりの傾向が強かった。
 
 そこで、舞田氏は「行動を科学的な手法で解明」する方法があると、次のように述べる。  
 舞田氏による著書の紹介は第13回目である。

 【引用はじめ】

 自己実現、給料、昇進が働くことの動機づけにならないとしたら、どうやって社員がいきいきと働けるような会社を作れるのだろうか。行動を真に制御する直後の結果とはいったい何なのか。
 人々は、直面する問題を解決するために、試行錯誤の経験を通して効果的に人を動かす手法を編み出してきた。しかし、経験や勘、あるいは名人芸に頼って個別の問題を対症的に解決するのではなく、科学的に確かめられた原理を、体系的かつ一貫性をもって実践する方法がある。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.17、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 行動を直接制御する方法は、自己実現といった単なる仮説で解釈しても役に立たない。
 また、経験や勘、名人芸でもうまくいくこともあるが、失敗することもある。
 もっと科学的な手法を用いることが理にかなっている。
 それが行動分析学を応用する手法なのである。

2019年12月27日金曜日

行動の原因は行動の直後にある

 行動の原因を心の中や性格と考えないとしたら、どのように考えればいいか。
 循環論にならないようにするにはどうするか。
 
 そこで、舞田氏は「行動の原因は行動の直後にある」と、次のように述べる。  
 舞田氏による著書の紹介は第12回目である。

 【引用はじめ】

 人はなぜ仕事するのかー自己実現のため? 給料のため? 昇進のため? 行動分析学の立場からは、そのどれでもない。行動は、直後の結果によって制御される。この「直後」とは、まさに、"直後"であるほど効果的だ。行動分析学では、行動してから60秒以内に起こらない結果は、ほとんど意味がないと考えている。仕事をしてから60秒以内に自己実現できたり、給料がもらえたり、昇進するなどということは現実にはありえない。したがって、自己実現や、給料、昇進は、人々がしごとをすることを動機づけるような直接の原因にはなりえないのである。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.16~p.17、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 行動の原因は直後の結果しだい。それも60秒以内の結果。
 それによって、行動の頻度が増えたり、減ったりするというのだ。
 うーん、どうも信じがたい。
 仕事したからといって直後に自己実現できることはない。給料だって月末にならないともらえない。昇進することだって年度末の人事異動時期がほとんどだ。
 仕事をすることの直接の原因は、なんだろう。プレゼンテーションがうまくいった。部品の組み立てできた。上司の励ましがあったなどである。

2019年12月26日木曜日

個人攻撃になってしまう

 医学モデル(行動の原因は心の中にあるとする行動観)によって、行動の問題を考えるデメリットは何か。それは、「循環論」になることと、「個人攻撃の罠」にはまって、問題解決を遠ざけてしまうことだ。
 
 そこで、舞田氏は「個人攻撃になってしまう」について、次のように指摘する。  
 舞田氏による著書の紹介は第11回目である。

 【引用はじめ】

 医学モデルでとらえる行動の問題の二つ目は、他人のことにせよ、自分のことにせよ、行動を心や性格で説明しようとすると、結局最後は個人攻撃になって、肝心の問題が解決しないからである。
 「あいつはやる気がないから」「私は意志が弱いから」と言うのは、単なる批判や自己弁護である。
 心理的な問題に関しては、この種の評価をするだけで終わるケースが多いが、そう言ったところで、問題解決にはつながらない。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.16、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 行動の問題を心や性格の問題として説明しやすい。
 やる気ないとか、意志弱いとか言いがちだ。やる気を持てとか、意志を強く持てと言ってもどうすればよいかわからない。相手を批判しているだけで、解決につながらない。迷いが深まるだけである。個人攻撃をしているに過ぎない。

2019年12月25日水曜日

循環論的説明

 医学モデル(行動の原因は心の中にあるとする行動観)によって、行動の問題を考えるデメリットは何か。それは、「循環論」になることと、「個人攻撃の罠」にはまって、問題解決を遠ざけてしまうことだ。
 
 そこで、舞田氏は「循環論による説明の問題」について、次のように指摘する。  
 舞田氏による著書の紹介は第10回目である。

 【引用はじめ】

 満足な仕事をしないことの原因は、「やる気がない」ことだと考える。
 それでは、なぜその部下が「やる気のないやつ」だとわかるのだろう。
 それは、期日までに仕事を仕上げないし、質の低い仕事しかしないからである。
 すなわち、「やる気のなさ」というのは、「満足な仕事をしない」ことの言い換えに過ぎない。
 やる気というのは、その人の行動につけられたレッテルなのであって、行動の原因ではないのである。
 
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.15~p.16、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 仕事をしないのはなぜか。それは、やる気がないからだ。
 それじゃあ、やる気がないのはなぜか。満足な仕事をしないからだ。
 こう見ると、単なる言い換えを繰り返しているに過ぎない。
 これでは、行動の原因を明らかにできず、行動の問題を解決できないままとなる。

2019年12月24日火曜日

医学モデルの弊害

 医学モデル(行動の原因は心の中にあるとする行動観)によって、行動の問題を考えるデメリットは何か。
 
 舞田氏は「医学モデルの弊害」について、次のように2点指摘する。  
 舞田氏による著書の紹介は第9回目である。

 【引用はじめ】

 医学モデル(行動の原因は心の中にあるとする行動観)を使って行動の問題の原因を見つけようとすることには、二つの弊害がある。
 一つは、循環論にはまり、本当の原因を見つけられないことだ。
 二つ目は、他人のことにせよ、自分のことにせよ、行動を心や性格で説明しようとすると、結局最後は個人攻撃の罠になって、肝心の問題が解決しないからである。 
 
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.15~p.16、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 医学モデルで、行動の問題をとらえると本当の原因を見つけられず、解決にいたらないのである。
 循環論(言葉の言いかえ)に終始し、個人攻撃の罠(批判)にはまってしまう。
 問題解決を妨げる結果にしかならない。
 

2019年12月23日月曜日

医学モデル=行動の原因は心の中にあるとする行動観

 職員が期待通りに働いてくれない。そうしたとき、その原因をどこに求めるか。
 
 舞田氏はやる気がないなどの「医学モデル=行動の原因は心の中にあるとする行動観」で説明することが多いと、次のように指摘する。  
 舞田氏による著書の紹介は第8回目である。

 【引用はじめ】

 ◎ 医学
   原因 ウィルス(体の中)→症状 発熱、咳。
   原因 内出血(体の中) →症状 青あざ
   原因 乳酸(体の中)  →症状 筋肉痛
   原因 ノロウィルス(体の中)→症状 嘔吐
 ◎ 医学モデル=行動の原因は心の中にあるとする行動観
   原因 やる気(心の中)→行動 仕事をする
   原因 外向的(心の中)→行動 上手なコミュニケーション
   原因 責任感(心の中)→行動 期日に間に合わせる
   原因 弱い意志(心の中)→行動 禁煙中に喫煙する  
 
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.15、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 行動の原因を心の中に求めることが多い。
 やる気がないから、仕事をしないのだと言う。
 それでは、やる気が起きれば仕事をすることになるはずだ。
 仕事をするようになる、やる気はどうすれば起きるのか。
 そこで行き詰まってしまう。
 いくら心の中のやる気を叱咤激励しても、仕事をすることにはならない。
 心の悩みに惑わされてしまう。俺はだめだなあとなんてなってしまう。

2019年12月22日日曜日

行動の問題は心の中にあるか

 職員が期待通りに働いてくれない。働かないのは、やる気がないから、能力がないからと考えてしまう。
 
 舞田氏は行動の問題をやる気がないといった心の問題としてとらえることを「医学モデル」として、次のように指摘する。  
 舞田氏による著書の紹介は第7回目である。

 【引用はじめ】
 熱が出たり、咳が止まらなくなったり、痛みがあるなど、身体の具合が悪いときの原因は身体の中で起きている異変にある。
 それと同じように、行動の問題が起きたとき、多くの人は、やる気、能力、意識、意欲のように、心の中に原因があると考える。これが医学モデルである。
 身体の中の変調が原因で病気の症状が現れるように、心の中の問題が原因で行動に問題が起こると考えるわけである。
 
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.14~p.15、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 行動に関する問題をやる気といった心の問題として考えることが多い。
 やる気といった解釈で行動を変えることができるだろうか。
 職員に「もっとやる気を出せ」を言ったからといって、行動を変えることは難しい。
 行動の問題を心の中に原因を見出そうすることが方向性を見失っているのだ。

2019年12月21日土曜日

やる気がないの説明は医学モデル

 職員が期待通りに働いてくれない。そうしたとき、その原因をどこに求めるか。
 
 舞田氏はやる気がないなどの「医学モデル」で説明することが多いと、次のように指摘する。  
 舞田氏による著書の紹介は第6回目である。

 【引用はじめ】

 部下が期待通りの仕事をしないとき、その原因はどこにあると考えるだろうか?
 やる気がない、能力が低い、意識が低い、向上心がない、意欲がない、スキル不足。
 もっともな説明だ。
 しかし、このように説明することは、「医学モデル」と呼ばれている。
 
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.14、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 「医学モデル」というのは、原因をやる気などの心の中にあるとするのである。
 心の中に原因があって、行動の問題が起きると考える。
 病気が体の中に原因があって、症状が現れるとする医学的な考え方と一致する。
 行動の問題を「医学モデル」でとらえると、循環論に陥り、本当の原因が見つけられない。
 やる気がないから働かない。働かないのはやる気がないからだとなってしまう。結局は、働かない原因を見出すことができないのだ。

2019年12月20日金曜日

行動は死人にはできないこと

 一般的には行動を身体を動かすことととらえることが多い。
 しかし、舞田氏はそれでは不十分であるとする。
 「行動は死人にはできないこと」と、次のように突飛な定義を提案する。 
 
 舞田氏による著書の紹介は第5回目である。

 【引用はじめ】

 一般的な心理学の定義は「筋肉や腺の働き」、つまり、筋肉を使って身体を動かしたり、汗腺から冷や汗をかいたりする行為のことである。
 しかし、ここでは、「行動とは死人にはできないこと」と定義したい。
 このように定義すれば、何か手足を使って動くことだけではない、ものを考えたり、推論したり、記憶したり、プランニングをしたり、相手の気持ちを思いやったり、喜びや怒りを感じることもまた行動とみなすことができる。
 死人にはできること、すなわち、「仕事をさぼる」「欠勤する」「働かない」「会議で発言しない」といった非行動、「叱られる」「褒められる」などの受身は行動ではない。
 つまり、行動とは能動的に何かアクションすることであると定義することによって、ポジティブ思考に頭を切り替えることができる。
 
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.13~p.14、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 行動とは、身体的な動きだけでなく、考えること、喜び怒りなどの感情も含むことと定義する。
 そして、死人にできるような仕事しなかったり、勉強をさぼるなどの行動しない事とか、叱られたり褒めたりなどの受身な事は、行動でないとする。
 行動はあくまでも能動的な事ととらえるのである。
 そこで、「行動とは死人にはできないこと」と定義しているのだ。

2019年12月19日木曜日

行動の問題を専門家に相談しない

 人や組織をより良い方向に変えたい。それには、どうすればよいか。 
 
 舞田氏は「行動の問題を専門家に相談しない」ことについて、次のように述べる。
 舞田氏による著書の紹介の第4回目である。

 【引用はじめ】

 車の調子が悪くなれば、修理工場で整備士にみてもらう。
 身体の調子が悪くなれば、医者に行き、診察を受け、薬を飲む。
 それでは、人々の行動に問題が起きたらどうするか?
 もちろん、社会的にも本人の心身の健康上でもきわめて重篤な問題が起きれば、カウンセラーや精神科の門を叩くこともあるだろう。
 しかし、社員の働きが十分でなく業績が上がらないとか、会議で黙りこくっていて生産的な意見を出さないとか、遅刻や欠勤が多いとか、学生が試験の前にしか勉強しないとか、いくら注意しても子どもがテレビゲームばかりやっている、程度の問題に、専門家の門を叩く人はまずいない。
 
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.11、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 車が故障した、家の水道管が破裂した、骨折したなどについては、修理工場や医者などにみてもらう。
 しかし、子供が言うことをきかない、夫婦仲が悪い、上司が横暴だなどの行動に関する問題を、専門家に相談することは少ない。
 自分で手に負えないことは、専門家の適切な支援が必要なのだが。
 そうした認識が一般的でないのが現状である。
 これを変える必要がある。どうすれば、行動の問題を変えることができるか。専門家の意見に耳を傾け、支援を受けるべきである。自己流のやり方では決してうまくいかないのだから。

2019年12月18日水曜日

支援者の行動の集積が事業所活動

 人や組織をより良い方向に変えたい。そのためには、どんな考え方をすべきか。 
 
 それに関することについて、舞田氏は「支援者の行動の集積が事業所活動」と次のように述べる。舞田氏による著書の紹介の第3回目である。

 【引用はじめ】

 企業は社員によって構成されている。
 社員の行動の集積が企業活動そのものである。
 したがって、企業組織マネジメントの究極の課題は、社員、すなわち、人間の行動の問題といってよい。
 
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.10、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 障がい者福祉サービス事業所も、支援者一人ひとりの行動が利用者に対するより良いサービスを提供するのだ。
 支援者の行動の集積によって、事業所のサービスの良しあしが決まる。
 支援者の行動に問題があれば、サービスに問題が生ずる。
 そうなれば、事業所の評判に傷つく。
 支援者の行動を修正し、より良い組織の立て直しに努める必要がある。

2019年12月17日火曜日

人はさまざま異なる面を持っている

 人や組織をより良い方向に変えたい。そのためには、どんな考え方をすべきか。 
 
 それに関することについて、舞田氏は「人はさまざまな面を持っている」と次のように述べる。舞田氏による著書の紹介の第2回目である。

 【引用はじめ】

 そもそも人は、普段の生活においても、さまざまな異なる面を持ちながら生きています。たとえば会社と家庭では別人のようだとか、趣味の世界に入ると仕事では見たこともないようないきいきした活躍をするとか、こういったことは、ごくありふれた日常茶飯事でしょう。
 けれどそれは、会社と家庭とで別の人格に切り替わっているわけではありません。私たちは、いつでも同一の人間です。ただ、行動が異なるのです。
 同じ人間が、時と場合でまったく異なる振る舞いをする。なぜ、そういうことが起きるのか。その理由と原理を科学的につかむことができれば、今度は意識的に自他の行動を望ましい方向へと制御することもできる。これが行動理論の考え方です。
 
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.1~p.2、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 私たちは、人格とか性格などといった大まかなことにこだわりすぎるところがある。
 そうしたことにとらわれすぎ、変えられないと嘆いたりする。
 もっと、その時々にどんな行動をするか、その具体的な行動に着目するほうが容易である。
 そうした行動が不適切であったなら、どうすれば適切な行動にすることができるか、工夫するほうが生産的である。
 行動をより良い方向に変化させる手立てこそ重要だ。

 

2019年12月16日月曜日

人や組織の行動を変える

 人や組織をより良い方向に変えたい。
 それが我々の望みである。
 しかし、それが簡単ではない。
 どうしたらいいのだろう。
 そうした方法論を提示してくれるのが、以下に引用した著書からの内容のものである。    
 
 そこで、舞田竜宣氏等の「行動分析学マネジメント 人や組織の行動を変える」といった著書の初回を今後紹介する。
 その第1回目である。

 【引用はじめ】

 人の行動は、変えられる。
 組織の行動も、変えることができる。

 「人は変われる」ということに、異論を唱えたくなる方もおられると思います。
 「三つ子の魂、百までというではないか」と。
 その通り。
 ここで著者が主張するのは、人の性格や人格を変えることではありません。
 人の「行動」を変えるということなのです。
 (本書では「人を変える」という言い方ではなく、「人の行動を変える」という言い方をします)。
 
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.1、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 性格や人格を変えることは簡単ではない。
 行動を変えることに焦点を合わせることを実践するのだ。

2019年12月15日日曜日

「個人攻撃の罠」から抜け出す必要性

 リーダーの行動に関して、組織の業績にいかに影響するかを57回にわたって述べてきた。
 島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」2015年(日本実業出版社刊)をベースにした内容であった。
 その中でも、中心テーマになったのは、「個人攻撃の罠」から抜け出す必要性であった。
 この「個人攻撃の罠」とは、どういうことであったか。
 島宗氏は次のように述べる。
 「業績が思うように上がらないときに、上司や部下の性格や能力を問題視するだけで、解決のための工夫をしなくなってしまうこと」
 こうした行動を変えて、肯定的でポジティブなかかわりをする。
 それには、リーダーが職員に対して期待すべきことを行動化・焦点化することがまず大事である。
 さらに、職員の適切な行動が自発したら、リーダーは間を置かず認める。
 もちろん、業績が急激に向上するわけではない。
 目指すべき業績は細分化し、少しずつ向上できるよう進める必要がある。

2019年12月14日土曜日

日常を覆す環境を作り出す

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーは、常識的なやり方に埋没して問題が生じていたことを変えなければならない。
 叱ることが容易だったということで、職員を委縮させていなかったかということである。 
    
 それについて、島宗理氏は、「日常を覆す環境を作り出す」ことについて、以下のように提案する。
 島宗理氏のリーダー論からの第57回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 個人攻撃の罠や心理学の罠(自主性・想像力・判断力などの心理学的抽象的な言葉を駆使することで満足すること)は、私たちの社会や文化にそうした罠に落ちる行動を強化する随伴性がある証拠でもあります。
 褒めるよりも叱る方が強化されやすいこともしかりです。
 リーダーの行動を変えることで部下の行動を変え、業績の改善につなげるためには、こうした日常を覆す環境を作り出すことが必要になります。
 決して簡単ではありませんが、やりがいがありますし、大きな成果が期待できる仕事です。
 
  (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.226、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 今までやっていたことを変えることはなかなか難しい。
 しかし、業績を向上できるとなればやり方を変える必要がある。
 今までの組織文化なり、リーダーの行動のあり方を見直すべきである。

2019年12月13日金曜日

メンタルヘルスの改善

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーのネガティブな対応が続くことで、組織の雰囲気がピリピリしてしまう。
 常に職員がリーダーとの対応において、緊張状態をつくってしまう。
 職員のメンタルヘルスにとって極めて良くない。 
    
 それについて、島宗理氏は、「メンタルヘルスの改善」を図ることを、以下のように提案する。
 島宗理氏のリーダー論からの第56回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 組織の中の雰囲気、企業風土というのがあります。
 嫌子を使ったマネジメントから、好子を使ったマネジメントへの転換です。
 それにより、社員のメンタルヘルスが改善されます。
 気持ちよく、楽しく仕事ができるようになるだけでなく、休職率や転職率が低下することで、人事のコストも削減されます。
 
  (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.226、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーは職員の良好な点に着目することが求められる。
 あれもダメ、これもダメとダメ出しだけでは、職員の意欲を低下させてしまう。
 職員のより良い行動を認め、少しでも業績向上に結びつける対応が大切である。

2019年12月12日木曜日

危機への対策

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 そのため、リーダーは職員に期待することを行動化し、焦点化することに努める。
 さらに、そうした職員の行動が自主性を発揮するようにする。
    
 また、島宗理氏は、「危機への対策」の重要性についても、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第54回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 部下に期待する行動が不明確で、かつ、嫌子を主に使うとなると、上司から部下へのコミュニケーションは、何か悪いことが起きてからの対処が中心になり、常に後手に回ることになります。
 これに対して、部下への期待を業績につながる行動としてあらかじめ定義し、それを伸ばし、維持するコミュニケーションに軸足を移せば、重大事態を未然に防ぎ、何か起こってしまったときにはスピードをもって対応し、再発しないように改善していくことが可能になります。

  (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.225~p.226、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 重大事態などの危機に対して、組織としてどう対応するか明確にしておく。
 この場合は、スピード感が非常に重要となる。
 事前の準備と対策を具体化しておくことだ。
 それを、組織全員に周知徹底しておかなければならない。

2019年12月11日水曜日

自主的行動を引き出す

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーは、職員が自主的に職務に取り組む態度を求めている。
 それには、ポジティブな働き方ができるようにすることだ。
    
 そのことについて、島宗理氏は、「自主的行動を引き出す」について、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第53回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 焦点化した行動を引き出し、継続させる方法が必要です。
 不安を煽ったり、叱ったり、脅したりする、嫌子を使ったマネジメントから、達成や成長を承認し、祝い、感謝する、好子を使ったマネジメントへの転換です。
 行動化・焦点化とこの転換との合わせ技によって、「しなくてはならないからする」という働き方から、「したいからする」という働き方へとシフトが起こります。
 自主性を高め、イノベーションを活性化するには、このシフトが必須です。

  (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.225、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーは、職員が自主的に行動する働き方ができるようにしなければならない。
 職員の行動を適切に認めるポジティブな対応を多用することだ。

2019年12月10日火曜日

期待すべきことの行動化と焦点化

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーにとって大事なことは、職員に対して、ポジティブな行動に努めることである。
 そのためにはどうするといいか。
    
 そのことについて、島宗理氏は、「期待すべきことの行動化と焦点化」について、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第52回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 リーダーは、部下への期待の行動化と焦点化に努めることです。
 個人攻撃の罠にはまっているうちは、「あいつは~をしない」や「あの人は~ができない」など、部下のマイナス面ばかりが目についてしまいがちです。
 部下への期待を「~する」という具体的な行動として書き出すと、部下のプラス面に気づきやすくなります。

  (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.225、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーは、職員に対して、「~しない」といったマイナス面に注目しまう傾向がある。
 それを、「~する」とプラス面をみるようにする。
 逆の見方をすることによって、新しい展開を図るのである。

2019年12月9日月曜日

ポジティブな取組

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 この組織の業績を向上するにはどうするか。
 それには、ポジティブな組織づくりに努力することである。
    
 そのことについて、島宗理氏は、「ポジティブな取組とは」と、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第51回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 "ポジティブ"にはいくつかの意味が含まれています。

 1つ目は、部下への行動化と焦点化です。

 2つ目は、焦点化した行動を引き出し、継続させる方法です。

 3つ目は、組織としての前向きな成長です。

 4つ目は、組織の中の雰囲気です。企業風土と言ってもいいでしょう。

  (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.225~p.226、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 これが、具体的に実践されれば、組織に大きな変化が現れる。
 リーダーにとっても、職員もハッピーで前向きな行動を展開することになる。
 組織の改善を進めることができる。
 リーダーと職員が一丸となって、ポジティブな取組を行うことが求められる。

2019年12月8日日曜日

おだては強化にならない

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーにとって、職員の業績が向上する働き方がなされるかどうかである。
 褒めたつもりでも、職員の業績に変化をもたらさなければ、それは単なるおだてとしか言えない。  
  
 そのことについて、島宗理氏は、「おだては強化にならない」があると、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第50回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 言葉でいくら褒めても、それが仕事や業績とは無関係なら、おだてているのと同じです。
 部下もそれに気づきますし、強化にはなりません。
 反対に、業績と直結する標的行動の実行や上達を褒めるのであれば、そうした褒め言葉は好子として機能します。

  (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.200、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 職員はおだてを直感的に察知する。
 表面的なおだて言葉で職員の行動が変わるものでない。
 業績に影響するリーダーの対応がなければならないのだ。

2019年12月7日土曜日

期待する行動を見える化

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーが職員に対して行動を単に褒めたからといって、期待どおりの行動が生ずるわけではない。
 それなりの手立てと工夫が必要である。
  
 そのことについて、島宗理氏は、「期待する行動を見える化」することだと、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第49回目の紹介である。

 【引用はじめ】
 部下への期待を行動化、焦点化します。
 それには、成果のコミュニケーション(何を、どれだけ・量、どのように・質、いつまだに・期待)にもとづいて明確に伝えます。
 そして、標的行動を記録し、見える化すれば、ほとんどの場合には正の強化として作用します。

  (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.199、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーは、職員に対して期待することを行動化、焦点化することが大事である。
 さらに、その成果をグラフなど記録して、見える化することだ。
 成果の変化や実態を明らかにすることになる。

2019年12月5日木曜日

褒めることが強化とならない

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーが褒めたつもりでも、それが行動の変化につながらなければ褒めたとはいえない。 
  
 そのことについて、島宗理氏は、「褒めたことが強化作用として機能しないこと」があると、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第48回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 褒められることが強化として作用しないこともあります。
 たとえば、「最近頑張っているなぁ」とか「お前、仕事できるなぁ」といった、漠然とした褒め言葉や、「〇〇くん、信頼してるよ」とか「〇〇さん、お得意さんから評判いいよ」といったおだて言葉は、うまく使えば、部下との信頼関係を築くのには有効ですが、業績につながる特定の行動に対してかける言葉ではありませんから、行動を強化することにはなりません。
 褒める=正の強化ではないのです。

  (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.199、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 業績向上につながるリーダーの働きかけが大事である。
 どうも、褒めれば行動はいい方向に動くと思い込んでいる。
 必ずしも、思ったようにならない。
 そうなったら、褒め方などを変えることだ。
 結果的に、業績が上昇するリーダーの行動に注目する必要がある。

知識と行動のギャップを埋める

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーは、知識どおりの行動ができない。
 知識と行動のギャップに悩むことが多い。    
  
 そのことについて、島宗理氏は、「知識と行動のギャップ」は、永遠の問題として、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第47回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 知識と行動のギャップは、企業経営ではよくある問題であり、永遠の問題かもしれません。
 コンサルテーションにおいて、重要なのはまさにこのギャップを埋める行動支援です。

  (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.171、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 分かっていても、できないことは多い。
 その解決に向けた取り組みが、リーダーにとっての課題である。
 一挙にできないことは、少しの達成に喜びを見いだし進める。
 そうした前向きな取り組みをいかに継続するかが、成功のカギとなる。

2019年12月4日水曜日

リーダーの行動を強化されやすくする

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーは、職員の行動が期待どおりになるように工夫する。
 リーダーにとって、うまくいったといえるような介入を行えるようにするのだ。  
  
 そのことについて、島宗理氏は、「リーダーの行動を強化されやすくする」と、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第46回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 リーダーは、リーダーの行動が強化されるように、成功する確率が高い目標や介入を選ぶことです。
 リーダーがそのような目標や介入を自分自身で考え、決められるように、リーダーの行動に対する先行事象を最小に、後続事象を最大にします。

 締切を設定すると、行動は締切の直前に最も起こりやすくなります。

  (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.168~p.169、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーは、職員が期待どおりに行動してくれることを望んでいる。
 それも、リーダーの意を汲んで(先行事象を最小に)行動できるようになることだ。
 職員の適切な行動に対して、リーダーはよくやったことをしっかり伝える(後続事象を最大に)のである。

2019年12月3日火曜日

不明瞭な指示は消去や弱化につながる

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーは、職員に対してあいまいでおおざっぱな指示を出してしまう。
 そのことで、期待通りのことでなかったため、職員に対して否定的な反応をしてしまう。
 職員は、委縮することだってある。
  
 そのことについて、島宗理氏は、「不明瞭な指示は消去や弱化につながる」と、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第45回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 指示を出したのに、部下からの反応が薄いときには、以下のような随伴性がないかどうか疑ってみて下さい。
 先行事象(A)=「提案して」と言われ
                                    ↓
 標的行動(B)=業務改善の提案をする
                ↓
 後続事象(C)=そうじゃないんだ(↓)
               わかってないな(↓)

 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.168、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーは、職員が理解できるような指示でなければ期待する内容のものにはならない。
 それも、りーだーの力量にかかっている。

2019年12月2日月曜日

仕事の依頼は明確に

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーは職員に対して、適切な行動を得ようとするならば、明確な指示をすることが大事だ。
 職員にとって、何が期待され、何をすべきかはっきりしていることである。
  
 そのことについて、島宗理氏は、「仕事の依頼は明確でなければならない」と、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第44回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 部下に仕事を依頼するときには、何をどれだけ期待しているか明確にすることが必要です。
 そうしないと、部下から行動が引き出されません。何をしていいかわからないからです。
 不明確な指示が出ているときは、何をしても強化されないことが多いものです。
 試しに何かしてみても上司の期待から外れていれば、「そうじゃないんだ」と否定されたり、「わかってないな」と叱られてしまいます。
 消去や弱化が生じることになります。
 そういうことが続くと、不明確な指示は行動を抑制する効果を持つようになります。    
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.167~p.168、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーは、やるべきことが明確になってないまま職員に指示してないか。
 こうなると、職員も混乱し組織の業績も向上しない。
 リーダー自身がしっかり指示内容を把握することが重要である。

2019年12月1日日曜日

個人攻撃の罠にはまったら

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーは職員が適切な行動をしないと、あいつはやる気が能力がないと、ついつい言いがちである。リーダーの職員に対する指示とか、教え方などの問題を職員に転嫁している。「個人攻撃の罠」にはまっている。 
 そのことについて、島宗理氏は、「個人攻撃の罠にはまったらどうするか」について、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第43回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 個人攻撃の罠にはまっているときには、こぼしている愚痴を頼りに発想を転換します。

 態度や性格について愚痴っていたら、部下にやって欲しいこと、やって欲しくないことを、具体的な行動として書き出します。
 知識について愚痴っていたら、どのような情報をどのようにすれば伝えられるか考えてもらいます。具体的には、指示、資料、マニュアルなどを見直します。
 能力について愚痴っていたら、何をどうすれば教えられるか考えてもらいます。具体的には、練習やコーチングなどを見直します。
 やる気について愚痴っていたら、何をどうすれば動機づけられるか考えてもらいます。   
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.166~p.167、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 愚痴る前にやるべきことがある。「個人攻撃の罠」にはまっていると認識したら、逆転の発想を用いて、リーダーとしてやるべきことを具体的に書き出すのだ。職員がやってくれそうなことを。

2019年11月30日土曜日

知識と行動のギャップ

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 書物で学んだことは、できるようになると思いがち。
 なかなかその通りにいかないのが通常だ。
 
 そのことについて、島宗理氏は、「知識と行動のギャップ」について、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第42回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 知識と行動のギャップの背景には、知識があれば行動は変わるはずだという誤った思い込みがあるのです。
 
 何事も小さな一歩から始めることが肝心です。   
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.163、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 現在、さまざまな研修が企画実施されている。
 リーダーや職員も参加する機会が多い。
 講義だけの研修会だけでは不十分ということで、ワークショップといった参加型の研修会も実施されることが多くなっている。
 現場感覚に近い内容を学習できる工夫である。
 そこで学んだことをいかに実践の場で活用するかが課題なのだ。

2019年11月28日木曜日

研修の限界

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。

 研修会に参加して、いい講義を受講し、いい資料や参考書を読むと、実践に生かしたい思う。 
 職場ですぐにでもやってみようとする。
 しかし、思いどおりにはならず、今までどおりのことをやっている。 
  
 そのことについて、島宗理氏は、「研修の限界」について、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第41回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 本を読み、研修を受けて、「これだ!」と確信したけれど、いざ職場で取り入れようとしても何をしていいかわからないとか、やってみたけどうまくいかなかったという声も聞きます。

 研修の罠の存在があり、研修だけでは行動は変わらない。
 リーダーや社員の行動を変え、リーダーを育て業績を上げる方法が必要です。  
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.160~p.161、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 単なる座学による研修では、実践を変えるまでいかないことが多い。
 研修を受ければ、リーダーも職員も実践を変えることができると誤解している。
 知識のみでは行動を変えるのは難しいと知るべきである。
 行動を変えるための随伴性が必要である。

2019年11月27日水曜日

期待する行動を実行し維持する

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーに対して、責任感ある行動をするべきだと唱えるだけでは、個人攻撃の罠にはまる危険性がある。
  
 そのことについて、島宗理氏は、「リーダーにとって期待される行動を実行し維持する」ための強化の随伴性が必要だと、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第40回目の紹介である。

 【引用はじめ】

  知識を獲得し、スキル練習も終わり、やろうと思えばできるようになっても、行動が実行され、維持されるとは限りません。
 部下の行動の維持に強化の随伴性が必要なように、上司の行動の維持にも強化の随伴性が必要です。
 役職や肩書がついたのだから、"自覚"や"責任感"をもって、誰からも承認されなくても、リーダーとして自分で仕事を進めるべきと考える社風の企業は、たちまちリーダーに対する個人攻撃の罠にはまってしまうことでしょう。 
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.156、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーが職員に対して適切な行動を維持するには、周囲からの承認などが必要だ。
 やるべき行動が明確で、職員もそれを抵抗なく受け入れるといった関係ができていることが重要となる。

2019年11月26日火曜日

わかったとできたをつなぐ必要性

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーにはどんな行動が期待されているのか。
 それを学習する機会があってこそ、リーダーとしての役割が果たせることになる。
     
 そのことについて、島宗理氏は、「リーダーに期待する行動を学習する機会が与えられる」必要があると、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第39回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 知識として知っているだけではできない行動もあります。
 野球のバッティングやバイオリンの演奏が、座学だけでできるようになったら奇跡です。
 物理学の法則をすべて理解していてもそれだけで原子力発電所が作れるわけではありません。
 いわゆるスキル系の行動は、できるようになるまでの練習が必要ですが、知識系の行動も同じです。
 リーダーに期待される役割には、スキル系、知識系どちらの行動も含まれ、どちらも丁寧に設計された練習が必要です。

 「わかった!」と「できた!」のつなぐプログラムを補完することです。  
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.155~p.156、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】
 
 物事は「わかった」だけでは、十分といえない。
 「わかった」ことが、「できた」ことにまでならないとただ単なる頭でっかちにしか過ぎない。
 さらに、「できた」ことが「する」といった持続するようにならないと本当に期待する行動になったと言えない。

2019年11月25日月曜日

リーダーに期待する行動を具体的に示す

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーがリーダーとしての役割を果たしていなければ、職員も適切な行動をすることはできない。
     
 そのことについて、島宗理氏は、「リーダーに期待する行動を具体的に示す」ことだと、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第38回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 部下の行動をどのようにマネジメントするか。
 マネジメントをどうすればいいのか、なぜそうするのか、どういう成果が予測されるのか。
 それらについて、部下に具体的に伝える。 
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.155、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーも自ら期待されていることを、明確にしていなければならない。
 そうでなければ、職員だって何をどうすればいいかはっきりしないのだから。
 リーダーは職員がどんな行動をし、どんな仕事をしなければならないのか具体的に示す必要がある。
 リーダーの責任は重い。

2019年11月24日日曜日

リーダーが育たない

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 ところが、リーダーシップがうまくいっていないケースが多い。
 そのため、組織の業績が伸びない。
     
 そのことについて、島宗理氏は、「リーダーが育たない」ことについて、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第37回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 日本にはリーダーが育たない。
 経営者の方々が、こうした不満を抱いている。
 しかし、リーダーがリーダーの仕事ができていないことを、リーダー自身や日本の文化や教育のせいにしているうちは個人攻撃の罠にはまっているだけです。
 何も変わりません。

 リーダーシップによって部下や社員の行動を変えることで会社の業績を伸ばすためには、リーダーがリーダーの役割を果たせるように、リーダーの行動の随伴性(人の行動を変える法則)を整備すればいい。 
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.154、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 経営者の中には、リーダーに対する不平不満を口にする人がいる。
 リーダーがリーダーらしい活躍ができていないというのだ。
 経営者が、リーダーとしての役割を果たす随伴性がないことに気づいていない。
 経営者が「個人攻撃の罠」にはまっている。
 リーダーを育てる随伴性を整える必要がある。

2019年11月23日土曜日

お題目の経営理念

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーは指示や命令が多くなりがちだ。
 また、お題目的な経営理念では、職員の適切な行動を引き出すことは難しい。
   
 そのことについて、島宗理氏は、「指示に頼り過ぎ、お題目的経営理念」の問題について、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第36回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 誰かに何かをしてほしいときには、ついつい先行事象を多用してしまいがちです。
 「○○して下さい」、「そろそろ○○する時間だよ」、「まだ○○してないの?」、「いいかげん○○しろ!」などなど。
 指示や命令、助言や説得などは、すべて先行事象の操作です。
 先行事象が効果を持つのは、引き起こされた行動が後続事象によって強化されてるときのみなのですが、私たちはこのことも忘れがちです。

 お題目で終わっている経営理念や最初から実行不可能な経営計画は、それに従った行動が強化されず、行動を引き起こす力を失った先行事象といえるでしょう。 
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.153~p.154、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーは、指示・命令や経営理念などの先行事象に頼り過ぎる傾向がある。
 もっと、職員の行動に注目して、適切な行動を認めるよう心掛けることが必要だ。
 リーダーは後続事象を重視するようにしなければならない。

2019年11月22日金曜日

指示の多用、叱責の多用、強化の多用

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーは職員に対して、指示を多用するか、叱責を多用するか、褒めるなどの強化を多用するかで、職員の仕事の仕方も違ったものになる。
   
 そのことについて、島宗理氏は、「仕事をやりたいからする」ためにはどうするかを、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第35回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 指示や命令など、先行事象を多用すれば、部下の行動は指示待ちになり、"自主性"は育ちにくくなります。

 ただし、叱責や批判など、嫌子を多用すると、部下の行動は抑圧的になり、最低限の仕事だけをこなすようになります。

 反対に、褒めたり、成功を一緒に喜ぶなど、好子を後続事象として使った正の強化を多用すれば、部下が自分から進んで行動するようになります。

 「やらなくてはならないからする」仕事から、「やりたいからする」仕事への転換が起こります。
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.150~p.151、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 職員が指示待ちだったり、強制的でないと仕事をしないのはなぜか。
 リーダーの指示や叱責が多いことが原因であることを認識しなければならない。
 リーダーが職員の適切な行動に対して、タイミングよく認める関係が必要である。

2019年11月21日木曜日

リーダーの仕事

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーは、職場において職員をどのようにすることが求められているのか。  
 そのことについて、島宗理氏は、「リーダの仕事」として、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第34回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 リーダーの仕事は、部下から、
  1. 「業績を生み出すのに重要な行動」の、
  2. 「自主的な実行」を、
  3. 「引き出し、維持すること」である。    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.150、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーは、組織の業績を上げる行動は何か、明確に提示することである。
 そして、職員が業績を上げるための自主的な行動を行うようにする。
 その行動が持続されるようにするのだ。
 リーダーは、組織がそうなるように環境を整えるのである。

 

2019年11月20日水曜日

できないことにとらわれている

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーが職員のできないことばかりをあげつらう問題がある。  
 そのことについて、島宗理氏は、「できないことばかりとらわれている」ことの問題を、以下のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第33回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 部下のマネジメントに苦労している上司の方々の多くは、部下の「できないこと」に注意の大半を奪われています。
 残りの半分は「できること」に目が向いているかというと、残念ながらそうではなく、できない理由を部下の能力や性格や態度に求めることに奪われています。
 個人攻撃の罠ですね。   
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.109、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーにとって、職員のできない面だけとらえやすい。
 そして、あれもこれもできない、さらに指示通りにできないし、しない。
 だめな奴だ、できない奴だとレッテルを貼る。
 職員を信頼しない。それだから、リーダーも職員から信頼されないといった悪循環に陥る。
 職場の雰囲気は最悪である。
 これを打開しなければならない。

2019年11月19日火曜日

イノベーションが根付く組織

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーは職員を信頼し、職員の提案に耳を傾け前向きに評価することで、職場が変わっていく。  
 そのことについて、島宗理氏は、「イノベーションが根付く組織」として、以下のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第32回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 Z社では、仕事のやり方は社員に任せられていました。
 会社が求める成果が伝えられ、それを達成し、さらに成長する方法を社員が協力し、ときには競い合ってアイデアを出し合い、工夫していました。
 上司からの指示やマニュアルは最小限で、むしろ社員から上司へ提案する行動や、マニュアルを改定していく行動が強化されていました。
 自分に意見をしてくる社員の話もよく聞き、すぐに反対はせず、まずはやらせてみていました。
 正の強化を中心にしたマネジメントスタイルで、イノベーションを強化していたのです。

 イノベーションを強化する随伴性が会社の文化として根付くと、イノベーションそのもの(新しいアイデア、製品やサービス、改善、発見など)が好子として機能するようになります。   
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.74~p.75、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーは、職員の適切な行動を注視し、それに素早く承認することである。
 職員の意欲が高まり、次への新たなより良い行動につながる。
 職場の雰囲気も元気になる。

2019年11月18日月曜日

保守的なマネジメント

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーの指示に従った仕事によって、それを成し遂げれば承認される職場だと、まずまずの成果が上げられる。
 可もなく不可もない業績と言える。
 そのことについて、島宗理氏は、「保守的なマネジメント」として、以下のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第31回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 Y社では脅しや叱責はほとんど見られません。
 上司からの指示が多く、マニュアルが第一で、やるべきことをやるべきようにすることが求められました。
 指示に従っていれば、マニュアルにそって仕事をしていれば、上司から褒められ、承認されます。
 褒められたり、承認されたりすることは、たいていの人にとっては好子です。
 これまで通りに仕事する行動が好子出現によって強化されている職場です。
 好子出現による強化は正の強化と呼ばれます。

 正の強化が中心の職場は、楽しく、健康で、それなりにやりがいも持てるようになります。
 上司の指示やマニュアル、会社の方針が適切で、ビジネス環境に適応しているなら、特に問題はないマネジメントスタイルです。
 でも、ビジネス環境が変わったり、競争が厳しくなり、これまでと同じ仕事のやり方では通用しなくなると脆くなるタイプのマネジメントです。  
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.73~p.74、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 これまで通りの仕事であれば、ある程度問題なしと認められる。
 しかし、現状維持としか言えない。
 急激な社会的変化によって、業績が先細りとなり兼ねない。
 職員たちはその変化に対応できない。

2019年11月17日日曜日

命令や叱責中心のマネジメント

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーが職員にどういう態度で接するかによって、かなりの違いが出る。
 命令や叱責が多いと多くの職場は疲弊することになる。
 そのことについて、島宗理氏は、「命令や脅し、叱責」の問題を、以下のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第30回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 X社では負の強化を使ったマネジメントが横行していました。
 命令や脅し、叱責が中心です。
 負の強化が多い職場は、生産性が頭打ちになるだけでなく、うつ病などの精神疾患や事故も増えます。
 仕事に支障が出てしまいそうな問題に部下が気づいても、それを上司に報告すると怒られることになるので、重要な報告行動が実行されなくなります。
 休職者や退職者が増えることで、残された社員の負担が増えますが、人材の補充がなかったり、遅れたり、採用された社員の指導に時間を割かれたりして、職場は急速に疲弊していきます。  
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.73、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーによる命令や脅しなどでは、職員はどうしても強制的にせざるを得ない。
 極端な場合は、パワハラとも受け取れかねない。
 職場内の雰囲気も意気消沈。暗くなってしまう。
 いつ叱責されるかと、びくびくした状態になる。
 生産活動も下降する。

2019年11月16日土曜日

細部にこだわり自分だけでやってしまうことの問題

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーが職員に対して、細部まで指示すると自ら実行する機会を奪ってしまう。
 また、リーダーが職員に仕事を任せず、みな自分でやってしまえば職員の仕事をする機会を奪っている。 
 そのことについて、島宗理氏は、「部下を育てる機会を逃している」と、以下のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第29回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 マイクロマネジメントの罠にはまった上司が、部下に細部まで頻繁に指示を出すことで、指示に従う部下の行動は強化できますが、部下が自ら考え、動くという行動については、実行する機会を奪ってしまいます。
 実行する機会が奪われるということは、強化される機会も奪われるということです。
 学習は生じません。

 「自分でやってしまった方が早い」という上司の行動は、自分で仕事をすることが強化されることで、部下に任せる行動が弱化されたり、消去される職場で起こりがちです。 
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.72、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーは、職員が仕事をする機会を奪わない職場環境に配慮しなければならない。
 進んで仕事を実行するための職場にするのである。
 細部にこだわった指示を出し過ぎない。あまりに細かい指示を出さないことである。
 職員の仕事が遅いといって、リーダーがやってしまっては元も子もない。
 職員が仕事をする機会を奪ってしまうことになるのだ。
 職員を育てる職場環境づくりが重要だ。

2019年11月15日金曜日

リーダーの叱責は自主性を抑制

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーが職員を叱責や批判することで、そうしたことを逃れようとする行動が生じる。
 そのため、不安や恐れが伴う。決して、自主的な行動を促すことにはならない。  
 そのことについて、島宗理氏は、「リーダーの叱責や批判」について、以下のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第28回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 上司に叱られた部下が、それ以上叱られないために仕事をしたり、上司から批判されないように仕事をする行動は、嫌子消失の随伴性(逃避)や、嫌子出現を阻止する随伴性(回避)で強化されています。

 こうした随伴性は負の強化と呼ばれます。

 負の強化も行動を増やす随伴性ですが、叱られたり、批判されることが前提ですから、不安や恐れなど、嫌悪的な情動反応がつきものです。
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.71、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーが職員に対して、叱責や批判を繰り返すと、職員の不安などが生ずる。
 そうした情動反応から逃れようと、リーダーの指示などに従うことになる。
 自主的な行動というより、リーダーの指示通りの行動だ。
 結局、職員は受動的な行動になってしまう。
 指示待ちの職員にリーダーがしてしまっている。

2019年11月11日月曜日

指示待ちを責めることの問題

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーが職員に対して、「指示や命令」が多くなっていないか。
 そのため、職員は指示されないと適切な行動ができなくなっている。  
 そのことについて、島宗理氏は、「指示待ちを責めること」について、以下のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第27回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 若者の自主性の低さを嘆き、"指示待ち"と責め、個人攻撃の罠にどっぷりとはまっていませんか?

 部下が自ら進んで仕事をしないときにまず確認すべきなのは、指示や命令などの先行事象にたよりすぎていないかどうかです。
 次に、部下が自ら進んで仕事をしたときに、その行動を消去したり(無視する、取り合わなかったする)、弱化していないかどうかです(間違いを指摘する、否定する)。

 そのような職場やチームでは、それ以上指示されたり、文句を言われないようにすることだけで強化されるようになります。
 指示があるときだけ仕事をして、それ以外は自分から進んで仕事をしなくなります。
 まさに"指示待ち"です。 
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.70、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーは、職員の自主性を批難する。
 しかし、その場合リーダーが原因であることに気づいていない。
 リーダーによる職員の行動に合わせない指示が問題になっていることを。
 あいつは、能力がないとか、努力しないとか、情熱に欠けるなどと「個人攻撃の罠」にはまっている。
 職員にとっては、傍若無人なリーダーにしかみえず、リーダーに言われた通りしていれば、その場をしのげるといったことになりがち。
 それが指示待ち状態に陥るのだ。

効果のある随伴性

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 そこで、重要なのは行動に影響する随伴性とは、どういう条件の時か知っておくべきである。 
 そのことについて、島宗理氏は、「効果のある随伴性」について、以下のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第26回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 即時性の公式
  随伴性は行動の直後に後続事象が発生するときに効力化する。
  直後とは数秒以内のことである。

 言語化の公式
  後続事象が遅延しても、随伴性を言語化すれば効力化できることがある。
  ただし、そのためには以下の2つの公式を満たすこと。

 十分な量の公式
  後続事象は行動の公式ごとに十分な量を発生させる。
  (塵も積もれば山となる型への対策)

 高確率の公式
  後続事象は行動の実行ごとに十分な確率で発生させる。
  (天災は忘れた頃にやってくる型への対策) 
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.68、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーがすべきは次のようなことになる。
 リーダーの適切な行動をした直後に好子を出現することで強化する。
 それによって、リーダーの適切な行動が増える。
 ただ、直後に好子を出現できないこともある。
 明日まで、資料を作成して持ってくると言語化することで、その行動が可能となる。
 また、資料作成に長期間かかる場合、資料作成を細分化して、「塵も積もれば山となる」というやり方をする。
 さらに、資料作成がずっと先でいい場合、時おり職員に声がけしてどのぐらい進んでいるかを報告させる必要がある。
 それが、「天災は忘れた頃にやってくる」型への対策だ。


2019年11月10日日曜日

できない、続けられない行動

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。 
 リーダーはやりたいと思ってもできない、続けたいが続かない行動がある。
 そのことについて、島宗理氏は、「行動に影響しない随伴性」について、以下のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第25回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 やらなければならないのにできない。
 続けないと意味がないのに続けられない。
 継続が困難な原因の一つは、行動に影響しない随伴性にあります。
 
 例えば、リーダーは自分のためにも、部下のためにも、会社のためにも、部下ともっと話をしないとならないとわかっていました。
 そうすれば業績も上がるし、部下も育つし、自分の評価も上がるからです。
 
 業績の向上も、部下の成長も、自分の評価が上がることも、リーダーの行動にとっては好子のはずです。
 だとすれば好子出現による強化によって、標的行動が増えるはずですが、現実はそうではありません。
 
 そのためには、いくつかの条件が満たされなければならないのです。  
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.65~p.66、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーにとって、職員に対して、やらなければならない行動、続けなければならない行動の随伴性を見出だす必要がある。
 やるべき標的行動につづく、後続事象がどうなるかが影響する。
 それについては、次回で述べる。
 

2019年11月9日土曜日

学習と遂行の区別

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。 
 リーダーは、知っていたり分かっていてもすることができないことも多い。
 そのことについて、島宗理氏は、「学習と遂行の区別」の必要性について、以下のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第24回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 リーダーが知っておくべきなのが学習と遂行の区別です。

 学習とは、それまでできなかったことができるようになることです。
 新しい行動の習得です。
 遂行とは、できるようになったことをすることです。
 習得した行動の実行です。
 行動は学習されたら必ず遂行されるとは限りません。

 学習にも遂行にもそれぞれそのための随伴性が必要です。
 この区別が不十分だと、できるのだからやってしかるべきという幻想の虜になってしまいます。
 そして、できないと「やる気がないのか!」と個人攻撃の罠にまっしぐらです。   
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.64~p.65、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 タバコは健康を害することがわかっていても、それをやめようとしない。
 それは意志が弱いからだと、決めつける。
 個人攻撃の罠にはまってしまう。
 タバコの害を学習し、それに代わる健康増進の運動などが遂行できるようにするのだ。
 学習のみでは行動が確実に変わることは期待できない。

2019年11月8日金曜日

継続が困難な理由

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。 
 リーダーが適切な行動ができるようになったからといって、それが一時的で継続できないケースも多い。   
 それはなぜか。
 そのことについて、島宗理氏は、「継続が困難な理由」を以下のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第23回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 行動の実行に役立たない随伴性もあります。

 コーチング研修などを受講し、部下を褒めてみたら、部下の行動が見違えるように変わり、感激したという体験を持つ人もいる。
 同時に、しばらくするうちに部下の行動が元に戻ってしまい、あの感動はなんだったんだ、やっぱり駄目なやつは駄目だと元の木阿弥になってしまったひともいる。

 上司が褒めることで部下の行動が増えたなら(強化の公式)、上司が褒めるのをやめたら部下の行動も元に戻るのは自然の摂理です。(消去の公式)

 一度できるようになった仕事は、放っておいても、ずっとできるのがあたりまえだと思っていませんか?
 "継続は力なり"は、難しいことです。
 随伴性なくして行動なしというのが厳しい現実です。 
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.64、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーの適切な働きかけで、職員の行動が変わった。
 職員の行動はいつの間にか元に戻ってしまう。
 それは、リーダーによる適切な働きかけが一時的なものであったから。
 職員の適切な行動が定着するまで、リーダーが働きかけなかったことが原因である。
 適切な行動が確実に身に着くまで、リーダーも適切な働きかけを続けなければならない。



2019年11月7日木曜日

見えない随伴性を見える化

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。 
    
 そのことについて、島宗理氏は、「随伴性を探ること」を以下のように強調する。
 島宗理氏のリーダー論からの第22回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 性格や能力にとらわれ、個人攻撃の罠にはまっているときに、視点を180°転換し、行動に影響している要因を随伴性から探っていく。

 行動は目に見えますが、随伴性はそうではありません。
 リーダーシップにとって大切なのは、目に見えない随伴性です。

 行動は随伴性によって変わる。
 この法則こそ、リーダーシップのコアコンピタンス(核となる能力)となる行動公式です。 
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.61、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーの行動に影響する要因は何か。
 先行事象→行動→後続事象という随伴性を明らかにするのである。
 そうすれば、目に見えない随伴性を見える化することができる。
 職員の性格や能力にこだわって、あいつが悪いからだと個人攻撃の罠にはまって立ち往生しなくてもよくなる。
 随伴性を探ることで、解決の道を見いだすことが可能になるのだ。

2019年11月6日水曜日

強化の公式、弱化の公式

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。 
 リーダーにとって適切な行動を増やしたり、不適切な行動を減らしたりするための公式がある。    
 そのことについて、島宗理氏は、「強化の公式、弱化の公式」として以下のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第21回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 強化の公式
 行動は行動することで好子が出現すると増える。
 (これを正の強化と呼びます)
 行動は行動することで嫌子が消失すると増える。
 (これを負の強化逃避の公式と呼びます)

 弱化の公式
 行動は行動することで嫌子が出現すると減る。
 (これを正の弱化と呼びます)
 行動は行動することで好子が消失すると減る。
 (これを負の弱化と呼びます)  
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.60、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 例えば、リーダーは職員に遠慮して話しかけることが少ないといった行動を変えたい場合どうするか。

 まず、リーダーが職員に一言を話しかけてみる。それに職員がにこっと微笑む。それが好子となって、リーダーの話しかけることが増える。正の強化である。
 今度は、リーダーが一言話しかけると、職員の嫌な顔が消える。嫌子が消失して、話しかけることが増える。これが負の強化である。

 次に、リーダーが職員に話しかけると嫌な顔をする。嫌子が出現することで、話しかける行動が減ることになる。
 さらに、リーダーが職員に話しかけると微笑みが消失する。好子が消失することで、話しかける行動が減る。これが負の弱化である。

 こうした随伴性の分析によって、複雑そうにみえる行動も単純な関係で分析することができる。
 
 

 

2019年11月5日火曜日

行動を増やす強化、行動を減らす弱化

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。 
 そのリーダーの適切な行動を増やす、また不適切な行動を減らすことが求められる。    
 そのことについて、島宗理氏は、随伴性に関する以下のような概念を示す。
 島宗理氏のリーダー論からの第20回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 行動の後に出現したとき、その行動の将来の頻度を増やす後続事象を好子、行動の後に出現したとき、その行動の将来の頻度を減らす後続事象を嫌子と呼んでいます。

 行動の後に好子が出現することでその行動の将来の頻度が増えることを強化、行動の後に嫌子が出現することでその行動の将来の頻度が減ることを弱化と呼んでいます。

 行動の直後に変化する環境要因(好子か嫌子か)と、それがどのように変化するか(出現か消失か)を組み合わせると、4つの基本的な随伴性になります。
        出現     消失
 好子    強化     弱化
 嫌子    弱化     強化  
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.59、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーの職員に対する行動の直後に好子を出現することで、その行動が増える。
 例えば、リーダーが職員に「がんばっているね」などと声がけしたら、職員がにこっと笑うことで、リーダーの職員に対する声がけが増える。
 逆に、リーダーの指示に対して、職員が嫌な態度を示せば、リーダーの声がけが減ってくる。
 こうしたリーダーの声がけの工夫が、職員のより良い行動の促進につながるのだ。
 

 

2019年11月4日月曜日

行動を変える手立て

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 そのリーダーの行動を変える概念として「随伴性」という考え方がある。
    
 そのことについて、島宗理氏は、「行動は随伴性で変わる」と以下のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第19回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 "人見知り"な性格が原因で部下に話しかけないと思い込んだリーダーがいます。
 そのリーダーも状況が変われば話しかけるようになります。
 性格が決定的な要因とは言えません。

 個人攻撃の罠にはまると思考停止状態になり、それ以上、行動を変える要因について考えなくなってしまいます。
 そうした時、「部下に話しかける」といった標的行動の先行事象と後続事象といった随伴性を推定してみるのです。
 そうすると、標的行動に影響している様々な要因が見えてきます。
 行動を変えるにはどうすればよいか、その手掛かりもつかめるようになります。 
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.59、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 随伴性という用語はききなれない。
 「先行事象→標的行動→後続事象」の関係において、行動が増えたり、減ったりすることを「随伴性」と言う。
 行動はこの関係における随伴性を変えることによって変わる。
 

 

2019年11月3日日曜日

リーダーのコアコンピタンス(核となる能力)

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 そのために、リーダーは人の行動に関する知識や技術を学ぶことが大事である。   
 そのことについて、島宗理氏は、「リーダーのコアコンピタンス(核となる能力)」は人の行動を変える法則を理解することと述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第18回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 人の行動についての知識と技術は、リーダーにとって最も重要なコアコンピタンス(核となる能力)の一つです。

 なぜ、あの人は〇〇をするのか?
 あの人に〇〇をしてもらうにはどうすればいいのか?

 部下の行動あれ、顧客の行動であれ、上司の行動であれ、自分の行動であれ、人の行動を変える法則さえわかれば鬼に金棒です。
    
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.56、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 人の行動はいかなる原理に基づいているのか。
 なぜ、あの人は多くの人に好かれるのか。
 反対に、なぜ、あの人は多くの人に嫌われるのか。
 なぜ、あの人は仕事を効率よくさばくのか。
 反対になぜ、あの人は仕事が遅く間違いを犯すのか。
 こうしたことについて、その背景にある行動原理がわかれば、人の行動を変えることもできる。
 リーダーの資質として、行動の法則を学ぶことこそ大切である。

2019年11月2日土曜日

成果のコミュニケーション

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーは職員に対して、どのような成果を期待しているのか、正確に伝えることである。  
 そのために、島宗理氏は、「成果のコミュニケーション公式」を示す。
 島宗理氏のリーダー論からの第17回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 期待通りの成果が上がっていないときにも、行動化や焦点化をする前に、まずはどのような成果を期待しているかを部下に伝えるところから始めます。

 あなたが部下に期待している成果と、あなたが期待していると部下が思っている成果とが一致しているかどうか確かめます。
 誤解があったり、情報に過不足がないかどうか確認し、共通理解するためのコミュニケーションです。

 部下に期待する成果を伝えるときには、何を、どれだけ、どのように、いつまでにという4つの基本情報を明確化しましょう。

 成果のコミュニケーション公式:基本4項目
  1.  何を
  2.  どれだけ(量)
  3.  どのように(質)
  4.  いつまでに(期限)   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.51~p.52、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 こうした基本を踏まえて、リーダーは、職員に明確に期待する内容を伝える必要がある。
 リーダーと職員間に期待する中身があいまいだったり、ずれがあったりすることが問題になるのだ。
 明確な互いのコミュニケーションによって、成果が可能になる。
 互いが納得し、理解するとはこういうことである。
 
 


2019年11月1日金曜日

最小限のマネジメントで最大限の成果を出す

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 研修のための研修になっていないか、本質を忘れて細部にこだわり過ぎてないかなど注意する必要がある。 
 そうしたことについて、島宗理氏は、「最小限のマネジメントで最大限の成果を出す」ことの重要性を、次のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第16回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 研修の罠にも注意すべきです。
 新しいことを学ぶ姿勢は大切ですが、学んだことが仕事に活かされないければ、研修にかけた時間や労力はコストのままで回収されず、行動の不良債権となります。

 さらに、リーダーとして注意すべきなのがマイクロマネジメントの罠です。
 マイクロマネジメントとは、仕事の進め方について、微に入り細に入り、部下に指示し、監視し、指導することです。
 手取り足取りの丁寧な指導は、部下がその行動がまだできないときだけに留め、できるようになったら終了すべきです。
 いつまでたっても独りでできるようにならないというのなら、部下の指導法を見直すべきです。

 リーダーの行動についても生産性を上げるという発想が重要です。
 最小限のマネジメントで最大限の成果を出すことを目指します。 
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.50~p.51、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 研修を受けたからといって、必ずしもそれが直接業績につながりません。
 研修を受けただけで満足してしまう傾向があります。
 それを仕事に活かす努力が必要です。
 また、あまりに細部にこだわってそれに時間をかけ過ぎたりする場合があります。
 本質的な中身を見失ってしまったりしたら、元も子もなくなります。
 いずれも、「研修の罠」「マイクロマネジメントの罠」にはまらないことです。
 最小限の労力によって、最大限の成果につなげる工夫を常に行う必要があります。


 

2019年10月31日木曜日

忙しい人が評価される

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 勤勉そうにしているからといって、必ずしも成果を生み出すことができないという問題がある。
 そのことに関して、島宗理氏は、「忙しい人が評価される」問題を、次のように指摘する。
 島宗理氏のリーダー論からの第15回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 勤勉さは日本の宝です。
 しかし、リーダーシップにとっては、思わぬ弊害になることもあります。

 これまでやってきたことを、これまでやってきたからという理由だけで一生懸命続けていたり、上司に言われたことや会社の決まりを、そうだからというだけで続けていたり。

 こうした働き方が成果を生んでいるうちは問題ない。

 でも、過去にうまくいっていた行動が負の遺産となり、今では逆にコストとして残っている可能性があるのです。

 その一つに忙しそうにしている人ほど評価されるという雰囲気や社風です。
 これを行動の罠と言います。

 たとえば、仕事を早く終えて、まだ上司や同僚が残っているのに帰宅することに後ろめたさを感じるようであれば、この罠にはまっている可能性が高い。    
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.49~p.50、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 長時間勤務は必ずしも成果につながっていない。
 非効率的な勤務態度が横行している。
 それを職員に徹底してこそ、業績があがる組織になる。
 リーダーとして、部下の職員にどのように効率的な職務のやり方を支援できるかを追求するのである。
 

 

2019年10月30日水曜日

行動そのものはコスト

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーによる適切な行動によって、職員が成果を出せる行動を生み出すようにしなければならない。
 ただ、行動もコストだということを忘れてならない。 
 そのことに関して、島宗理氏は、「行動そのものはコスト」であると、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第14回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 行動そのものはコストです。
 たとえば、売り上げるために、営業会議をどれだけたくさん開いても、こうした行動はコストです。
 行動するということは投資することです。
 投資に見合うリターンがなければ、またコストを超えるプロフィットがなければ、マネジメントしての収益は赤字に転落してしまいます。

 機会損失も生じます。
 ある行動をしているときに(例:会議に出席している)、他の行動ができなくて(例:顧客と商談する)、受注する機会を逃しているのなら、機会損失が生じていることになります。

 部下の様々な行動から成果を生み出す行動を絞り込むことも、リーダーの重要な役割です。   
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.49、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 行動も投資であり、それに見合うリターンがなければその行動は問題である。
 適切な行動こそ必要である。
 それが行動の焦点化なのだ。
 むやみに会議を増やすなどの行動をしても、利益につながらなければなんにもならない。

2019年10月29日火曜日

心理学の罠の正体

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーの性格が行動の原因であり、その性格が組織の業績に影響する考えがちである。
 それは大きな誤解である。 
 そのことに関して、島宗理氏は、「心理学の罠の正体」と称して、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第13回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 性格は行動の原因ではありません。
 そう思い込むのは、よくある誤解です。

 「自主性」があるから、会議で積極的に発言したり、自ら率先して部下の指導にあたるわけではありません。
 会議で積極的に発言したり、自ら率先して部下の指導をする人を「自主性がある」とみなしているのです。

 能力についても同じことが言えます。
 「想像力」があるから、他の人がなかなか思いつかないことを思いついたり、作れないものを作るわけではありません。
 そのような人を「想像力がある」と評価しているのです。

 心理学の罠の正体は、行動と原因のこのような取り違えにあります。  
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.39、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 一つ一つの行動の集まりが「自主性」だったり、「想像力」だったりするのである。
 自主性があるから質問や意見を言っているのだとみなしがちだ。
 あくまでも原因と結果の主客の転倒である。
 質問を多くすること、意見をたくさん言うという原因が先にある。
 その結果、自主性のある人となる。
 自主性が先にあるわけでない。
 従って、自主性がないから質問も意見も言わないとする見方からは、解決を見いだしにくい。
 それより、質問や意見を言うためにはどんな手立てがあるかを考えたほうが解決の道に近づく。

2019年10月28日月曜日

心理学の罠・研修の罠

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 私たちは、抽象的でりっぱな言葉で企業目標を立てがちだ。
 さらに、研修によって学んだことで一時的満足を得がちである。
 それによって、リーダーや職員の行動が適切に増えたり、減ったりすることはほとんどない。
 そのことに関して、島宗理氏は、「心理学の罠や研修の罠」と称して、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第12回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 標的行動の候補を洗い出す行動化ですが、この最初のステップでつまずく原因の一つが心理学の罠です。
 「自主性」とか「想像力」とか「判断力」といった、抽象的な言葉を駆使することに満足してしまう。
 これでは、どのような行動を増やし、どのような行動を減らせばいいのかわからない。
 最悪、会社案内に掲載するようなお題目で終わってしまいます。
 お題目としては立派な企業理念や経営目標が、世の中にいかに多いのか。

 また、知識や感動による行動の変化は一時的なものでしかない。
 それにも関わらず、感動や"目からウロコが落ちる"ことを期待して、研修会に出かけていく人が絶えません。
 もちろん、常に新しいことを学ぶ姿勢は大切です。
 でも、目からウロコが落ちても行動は変わりません。
 これを「研修の罠」と言います。
 知識や感動はそれだけでは業績に結びつきません。
 それらをきっかけに行動変容まで引き起こす仕組みが必要です。 
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.38・p.39、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 私たちは、「積極性」とか「自主性」とか「思いやり」などの抽象的な言葉で物事を解釈して、何とかしようとする。
 さらに、研修や本などにより知識を得て、うまくいくように思う。
 ところが、そうしたことだけでは、何も変わらず嫌悪感さえ味わうことになる。
 だからこそ、変えるべきことを行動化し、その中から標的行動を焦点化するのである。
 そして、焦点化した行動を変容する仕組みを工夫しなければならない。
 






2019年10月27日日曜日

標的行動の行動化・焦点化

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 この場合、リーダーの性格があーだから、こーだからと言いがち。
 リーダーの性格のせいにしてしまう。
 性格などが原因だとしても、何も問題が解決できない。
 「個人攻撃の罠」を克服しなければならない。
 そのことに関して、島宗理氏は、「標的行動の行動化・焦点化」することだと、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第11回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 性格ではなく行動に着目することを行動化、行動化した候補から対象を選ぶことを焦点化、選んだ行動を標的行動と呼びます。 
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.31、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 問題となる行動に着目するのである。
 あの人は引っ込み思案などという性格で決めつけても何の解決にもならないからだ。
 まず、問題となることの行動とはどんなことかを明確にする。
 リーダーの引っ込み思案といった大まかな捉え方をするのでなく、具体的に部下に対して「相手に近づく」とか、「話をする」とか、「共通の話題をもつ」とか、「行動化」するのである。
 「行動化」した中でも、特に重要な行動を「焦点化」することで、リーダーにとって大事なこと取り上げるのである。

2019年10月26日土曜日

性格は行動の原因ではない

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 この場合、リーダーの性格が行動を決定していると誤解しがちだ。
 そうした誤解が個人攻撃の罠に陥ってしまう。
 そのことに関して、島宗理氏は、「性格は行動の原因ではない」と、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第10回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 性格はそう変わるものではありません。
 「場面や状況によって変わりにくい行動の一貫性」が、"性格"の定義だからです。

 性格が行動の原因だと、世の中のほどんどの人が信じ込んでいます。
 これが個人攻撃の罠を"罠"たらしめている原因です。

 性格は行動の原因ではありません。
 行動の傾向をまとめて表現したものが性格なのです。 
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.30、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーの性格を問題視して、解釈することが多い。
 事業所の業績が上がらないのは、リーダーの性格があんなだからだなどと言いがちだ。
 それでは、なんの解決にもならない。
 個人攻撃の罠に陥っていることに気づかない。
 性格などに原因を見出すことが誤りである。
 リーダーの行動を見つめなおしてこそ、解決を図れることに気付くべきである。

2019年10月25日金曜日

個人攻撃の罠に陥らない

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 この場合、リーダーの特性を問題にすることが多い。
 しかし、それだけに注目していては、うまくいかない。
 そのことに関して、島宗理氏は、「個人攻撃の罠」について、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第9回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 リーダーシップは、人となりとして語られがちです。
 ところが、性格や能力など、個人の特性のみに目をむけていると、うまくいかないときにその人を責めるしか手がなくなります。

 業績が思うように上がらないときに、上司や部下の性格や能力を問題視するだけで、解決のための工夫をしなくなってしまう。
 これを、「個人攻撃の罠」と呼びます。

 この罠から抜け出すには、個人の特性ではなく行動、そして行動を引き起こし、継続させる環境づくに、視点を180度転換する必要があります。 
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.28、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーなどの性格や能力を問題にするだけでは、問題解決にはつながらない。
 そのために、問題解決を図る適切な行動をいかに引き出すか、その工夫をしなくなる。
 個人の問題としてとらえてはなんら発展を促せない。
 個人を攻撃するのでなく、問題解決につながる行動のあり方は何かを注視するのである。
 我々は安易に個人攻撃をしがちであることに気づかなければならない。
 「個人攻撃の罠」に陥らないことに留意する必要がある。

2019年10月24日木曜日

リーダーシップのリスクと可能性

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 そのことに関して、島宗理氏は、「リーダーシップのリスクと可能性」について、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第8回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 リーダーの行動は業績を飛躍的に伸ばす可能性がある一方で、会社に取り返しのつかないダメージを与えることもあります。

 強い口調で指示を出し、目標を達成しないときやミスがあったときに怒りをあらわにすることで、部下の行動を統率する上司もいる。
 そのことで一時的に高い業績で実現したとしても、部下に不安や不満がたまり、離職者が増えたり、メンタルヘルスに不調をきたして休職者が出たりすると、そうしたコストがいずれ経営を悪化させます。

 しかし、部下に優しく、慕われているのであればいいというわけではありません。
 業績を上げるための部下の行動を増やせないようなら、ブラック上司に比べれば発覚しにくいものの、会社にとっては見えないリスクになります。  
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.25、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 以上のように、リーダーの職員に対する行動のあり方で、良きにもなるし、悪しきにもなる。
 組織の業績を伸ばすには、リーダーが職員の行動を適切に引き出す必要がある。
 職員一人ひとりが業績を伸ばす行動ができるようにする。
 それには、強制的な指示とか放任とかでなく、職員が自主・自立的に業績を伸ばす手立てである。

2019年10月23日水曜日

リーダーの行動で業績は倍々に

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 そのことに関して、島宗理氏は、「組織の業績はリーダー次第」と、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第7回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 リーダーの行動が変わると、企業は変わります。
 リーダーの行動は、組織の他の社員の行動を動かす原動力なのです。

 リーダーの行動が動き始めると、社員の行動は、2倍にも3倍にもなります。

 リーダーの行動で業績は乗数的に増加します。
 逆に、リーダーの行動次第で業績は乗数的に悪化します。 
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」pp.23~24、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 組織における職員の行動は、リーダーの働きかけが原動力となる。
 業績を向上させるも、低下させるも、リーダーがいかに適切な働きかけをするか。
 それによって、職員も行動が変わってくる。
 職員が自主的・自律的に行動するようになることが重要である。

 

2019年10月22日火曜日

引き出し維持すること

 リーダーにとって、職員の仕事の能率をあげ、業績をあげるには、職員がどのような状況になればいいか。
 そのことに関して、島宗理氏は、「重要な行動を引き出し維持すること」と、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第6回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 行動の「実行」には、やりたいと思う気持ちや、そうした方がいいという知識だけでは不十分です。

 ビジネスで成功するために何をすべきかわかっているのに、なかなか実行できません。
 これを「知識と行動のギャップ」と言います。

 業績につながる重要な行動は、一度実行すればそれで終わりではありません。
 実行の継続が求められます。

 部下のパフォーマンスを上げるために新しい取組みを始め、当初は物珍しさも手伝って盛り上がります。
 しばらくしないうちに元通りになってしまいます。

 着実な実行を持続することです。 
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」pp.21~22、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 思っていることが、そのとおりに実行できないことのほうが多い。
 上記で述べる「知識と行動のギャップ」だ。
 そうした矛盾は常にある。
 そのギャップをうめることこそ大事だ。
 リーダーとして、職員に適切な行動ができるようにする方策を身につける必要がある。

2019年10月21日月曜日

自主的な実行

 リーダーにとって、職員の仕事の能率をあげ、業績をあげるには、職員がどのような状況になればいいか。
 そのことに関して、島宗理氏は、「自主的な実行」ができるようにすることだと、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第5回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 3つの会社では、リーダーの行動によって部下の行動に大きな違いが生まれていました。
 
 X社の社員は監督に叱られないように最低限の仕事をしてしました。
 彼らにとって、仕事は「やらなければならないこと」でした。

 Y社の社員はX社の社員より楽しんでいました。
 彼らにとって、仕事は「言われた通りにすればうまくいくこと」でした。

 Z社の社員は仕事に夢中でした。
 彼らにとって、仕事は「やりたくてやっていること」でした。
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.20、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 職員は、リーダーに頼ることなく、「自主的に」仕事を行うようになることを目指す必要がある。
 それには、段階がある。
 まず、「義務感」で仕事をする。
 次に、「指示通り」に仕事をする。
 最後は、「自立して」仕事をする。
 自主的に、自立して仕事をすれば、より良い仕事の仕方を工夫するようになるのだ。

2019年10月20日日曜日

業績を生み出すのに重要な行動

 リーダーにとって、職員のどのような行動を引き出すかが大切である。
 職員が業績を上げられるように導かなければならない。 
 
 そのことに関して、島宗理氏は、「業績を生み出すのに重要な行動」ということについて、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第4回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 部下の行動をいかに引き出せるかが上司の腕の見せどころである。
 会社や事業の成功を導く行動とそうではない行動を見分け、前者に選択集中することが肝心です。

 行動を見極める選球眼は、意識されない力量であり、それゆえに習得することも難しいスキルです。

 これを行動化や焦点化として明示し、誰にでも学び、使えるように解説します。   
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.20~p.21、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 事業所の職員にとって、業績を上げられる行動とは何か。
 リーダーは、明確に示す必要がある。
 それによって、職員の行動もその方向に進み、業績も上がることになる。
 リーダーは、業績が上がる行動を焦点化できることが重要である。

2019年10月19日土曜日

リーダーの役割

 リーダーというのは、どういう役割を果たす人なのか。
 そこを明確にしておく必要がある。
 島宗理氏は次のように定義する。
 島宗氏の著書からの引用は、第3回目だ。

 【引用はじめ】

 "リーダーシップ"をリーダーの役割として、次のように定義します。

 リーダーの仕事は、部下から、
 1) 「業績を生みだすのに重要な行動」の、
 2) 「自主的な実行」を、
 3) 「引き出し、維持すること」である。   
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.19、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーは、福祉サービス支援者にとって、「重要な行動」を、「自主的に実行」するように、「引き出し、維持する」ことができるようにすることである。
 そのために、リーダーはいかなる働きかけをすればいいか。
 リーダーは、支援者の悩みや問題に適切な働きかけをして、課題解決に努める。
 そのためには、具体的な行動によってしか、解決は図れないのである。

2019年10月18日金曜日

企業は行動なり

 組織におけるリーダーが、業績や成果を上げようとする時、何に焦点をあてるべきか。
 それはそこで働く人であり、その人の行動である。
 島宗理氏は、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論の第2回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 企業の業績は、そこで働く人たちの行動によって創り出されます。
 「企業は人なり」とは「企業は行動なり」ということなのです。
 
 企業の業績や価値(Value)はその企業で働く人の行動(Behavior)によって決まる。
 公式に表すと次のとおり。
    V(業績)=B(行動)   
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.18、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 「企業は行動なり」の公式によって、組織を動かす原理をシンプルに考えてみる。
 組織で働く一人ひとりの「行動」がその企業なり、福祉サービス事業所のよしあしを決めている。
 支援者の日々の「行動」を振り返ってみる。
 それによって、支援者のより良き方向性も見いだせる。
 

2019年10月17日木曜日

企業は人なり

 前回の投稿で、「川村隆彦著『支援者が成長するための50の原則』2006年、中央法規出版刊」を46回にわたって紹介し、そのことで、区切りをつけた。
 「専門の支援者を育てる話」だった。
 内容的には、支援者が大事にしなければならない心構えが述べられた。
 
 これから紹介するのは、「リーダー論」であり、リーダーとしての具体的な行動のあり方を述べた著書である。
 必要とする支援者には、実際の現場において活用がしやすい内容である。
 まず、以下において、「人の重要性」を強調している。 

 【引用はじめ】

 「企業は人なり」とは、社員を育て、社員の能力を最大限に活かすことが経営者の役割です。
 これは、松下幸之助氏の名言。

 ヒト、モノ、カネの経営資源のうち、最も伸び代が大きいヒトに着目すべきです。

  人は宝であります。
 それを人財としてうまく活かせるか、宝の持ち腐れにしてしまうかは、経営者の手腕にかかってくるという認識です。     
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.17、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 組織において、そこで活躍する人を、単なる人在や人材でなく、人財にするのが経営者やリーダーである。
 それがあって始めて、組織が活性化する。
 リーダーはそのためどのような関係を築かなければならないか。
 このことを、上記の島宗理本から学ぼうと思う。

2019年10月16日水曜日

おすすめの本

 「専門の支援者を育てる話」ということで、46回のシリーズとなった。
 川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」2006年、中央法規出版刊の紹介である。
 福祉サービスに携わる人にとって、良書といえる。
 支援者のプロを目指す人たちには、座右の書となるものだ。
 迷ったとき、困ったときなど本書をパラパラとめくるとヒントが見いだせる。
 難しい局面にあるとき、あきらめずもう一度取り組もうとする意欲が出る。
 おすすめの本だ。
 特に、「深く考えよう」という項目がいい。
 支援の「原則」に対して、自分なりにどのように考えるべきか、質問がいくつも述べられている。
 その質問に対する答えは、自分で考えなければならない。
 自分に合致した考え方、方策を見出す必要がある。
 本書を自分なりにカスタマイズして実践につなげる仕掛けになっている。
 著者は読者に対して、本物のプロを目指す支援者を期待しているのである。

 

2019年10月15日火曜日

メインとサブの調和力

 専門の支援者を育てる話の45回目。
 支援者として「豊かな人間性」を支える専門スキルを培うには、「メインとサブの調和力」を理解することが重要である。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 若いころは、主役だけがすばらしく、脇役は物足りないと勘違いしていたが、今ではそうは思わない。この二つが調和してすばらしい力となるからだ。

 メインとは、物事の中心となる概念である。
 サブとは、メインを支え、引き立たせる概念である。

 あらゆる完成度の高いもの、美しいものには、メインとサブ、またそれらの調和力がみられる。
 メインだけでも、サブだけでも不完全であり、互いが調和して完成度が高まる。
 そうしたものの見方を養うならば、支援者は、物事への洞察力を高め、より完成度の高い支援とは何かを理解できる。   
   
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.218&p.219、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 支援者は、利用者にとってのサブの位置付けと言っていい。
 利用者をどう支え、より良い活動に導くかである。
 利用者をメインとして、適切な活動を促すための支援を行うのである。
 そこでは、支援者はあくまでも黒子の役目を果たすことになる。

 

2019年10月14日月曜日

物事を単純にとらえ、複雑に発展させる力

 専門の支援者を育てる話の44回目。
 支援者として「豊かな人間性」を支える専門スキルを培うには、「物事を単純にとらえ、複雑に発展させる力」が不可欠になる。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 私たちは複雑な世界に生きていると錯覚するが、実は複雑なものは何もなく、すべては単純なものの組み合わせである。

 複雑そうな問題に出合うとき、それを複雑なものではなく、簡単な問題が複雑に絡まったものとして一つひとつの問題を解決するための原則を応用することができる。

 支援者として、どんなに複雑なものであっても、それを構成する単純なものを見いだすよう目を訓練し、ものをみる力を高めよう。  
   
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.214&p.217、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 物事の多くは、複雑そうに見えても、単純なものの組み合わせに過ぎない。
 複雑なものを単純なものに分解することが大事だ。
 その単純なものを一つずつときほぐす。
 それによって、問題を一つずつ地道に解決することである。

2019年10月13日日曜日

絶え間ない学習と実践の繰り返し

 専門の支援者を育てる話の43回目。
 支援者として「豊かな人間性」を支える専門スキルを培うには、「絶え間ない学習と実践の繰り返し」が不可欠になる。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 専門的な知識、能力、そして資質は、絶え間ない学習と実践の繰り返しによって、
少しずつ自分自身に注ぎ込むことができる。
 この学習と実践は二つの車輪であり、片方を動かすならば、もう片方も動かさなければ意味がない。

 賢い支援者は、学習したことを実践に移し、実践したことからさらに学習課題を見いだす。
 このような繰り返しが経験とつながり、自分を整える。  
   
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.211&p.212、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 学習だけとか、実践だけといったことでは、本物の支援者とは言えない。
 学習も実践も両方に裏打ちされた支援者でなければならない。
 今やっている実践は、今まで学習した知識が背景にあると言えることだ。
 また、この学習内容は、こうした実践によって試すことができると説明できるようにする。
 学習は学習、実践は実践といったことは、プロとは言えないのだ。

2019年10月12日土曜日

教える相手を知る力

 専門の支援者を育てる話の42回目。
 支援者として「豊かな人間性」を支える専門スキルを培うには、「教える相手を知る力」が大事だ。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 相手に心からの関心を示すことは、教える力のなかで最も重要な力である。
 支援者としてこのことを理解しないと、どんなにすばらしい原則をもってしても、相手の心を開き、成長させることはできない。

 相手を知るとは、相手の今だけを知るのではありません。
 相手が将来なりうる姿について知らなければなりません。
 つまり、相手の将来を見通すビジョンが必要です。 
   
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.204、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 支援者が利用者等に対して、「教える」といった支援を行うには、相手をよく知ることである。
 そんなこと当然と思うかもしれない。
 それがよくなされていないことが多く、利用者との関係に支障きたしたりする。
 利用者の今を知るのみでは足りない。
 将来こうありたいことも含めたことをしっかり把握しなければならない。
 

2019年10月11日金曜日

施設コンフリクトの克服

 専門の支援者を育てる話の41回目。
 支援者として「豊かな人間性」を支える専門スキルを培うには、「施設コンフリクト」への考え方を克服できるようにしなければならない。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 施設コンフリクトとは、知的障害者などの施設を新たに建設しようとするとき、それに対して、住民たちが真っ向から反対することで起こる人権摩擦である。
 施設コンフリクトが起こると、建設計画が中断、あるいは断念される。
 そしてそこで暮らそうとする障害者の人権が侵害される。
 住民たちが反対する理由の多くは、障害者に対する「不安感」があげられるが、その根底には、障害者とふれあった経験がないことから生まれる強い偏見がある。 
   
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.197、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 障害者差別解消法は平成25年に制定された。
 共生社会の実現に向けた第一歩である。
 しかし、法律ができたからといって障害者施設が地域に完全に受け入れるようになっているか。
 根底では障害者の受け入れがなかなかなされないこともよく耳にする。
 そこには、障害者に対する根強い差別や偏見があるためだ。
 そのため、障害者理解を積極的に働きかける支援者の力が必要となる。
 地域に出かけ、地域に貢献し、地域との協力を図ることである。


 

2019年10月10日木曜日

社会的スキルを得させる

 専門の支援者を育てる話の40回目。
 支援者として「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「社会的スキルを得させる」ことが大事である。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 社会的スキルとは、人が社会のなかで生きていくうえで、必要とするさまざまな能力である。
 社会的スキルを得させるためには、人々に数々の体験をさせ、外的にも内的にも刺激を与えることで、彼らがもっている資質や能力をさらに引き出し、磨いていく必要がある。

 社会的スキルは、一人で考えて得るのではない。
 他者とのぶつかり合いから学ぶものである。
   
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.169、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 他者とのかかわりで学ぶのが社会的スキルである。
 社会的スキルは人同士の直接的関係によって学ぶものだ。
 その学びが成長発達を促す。
 学びはさらに大きな学びにつながり、より高度な社会スキルを得ることになる。

2019年10月9日水曜日

仲間意識を高める

 専門の支援者を育てる話の39回目。
 支援者として「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「仲間意識を高められる」ようにすることも大事にしなければならない。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 仲間意識とは、「私」ではなく「私たち」という気持ちをもつことである。
 それは一人ではなく仲間がいるという安心感と仲間への帰属意識である。

 メンバーが集まれば、自然と仲間になるわけではない。
 しかし、支援者の意図的な働きかけにより、互いが仲間として、絆を深めていける。
 同じ体験をするならばそこでの楽しさ、悲しさ、喜び、つらさのすべてを分かち合い、仲間意識を深めることができる。
 そしてそれが思い出となり、将来にわたって人々を支え続けるのである。     
  
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.165、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 支援者は、まず利用者一人ひとりのことをよく理解し、個々に合った支援に努めることである。
 それがグループがまとまることにつながる。
 グループの仲間同士が力合わせることになる。
 互いの力が合わさってより良い活動がなされることになる。

2019年10月8日火曜日

支援の終結

 専門の支援者を育てる話の38回目。
 「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「支援の終結」も大事にしなければならない。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 終結とは、これまでの支援の関係を終えることである。
 しかしこれは単なる終わりではない。
 これまでの道程を振り返り、ともに過ごしてきた時間が、かけがえのないものであることを分かち合う大切な瞬間である。

 大切な関係が終わるとき、だれであっても複雑な感情を抱く。
 まして相手の存在が大きければ、それだけ「別れ」に伴う失望や不安も大きい。
 同時に、「別れ」は、「次の始り」を意味するため、期待や希望の感情も存在する。
 こうした利用者の感情をしっかりと受け止める力が、終結をより価値のあるものとする。     
  
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.161・p.162、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 支援の終結は、誰にもいつかは来る。
 どんな形であれ支援のあり方をふり返り、最後に「ああ良かったなあ」と言えるようなものでありたい。
 支援者も利用者も、その時笑顔になるか涙になるか、今までの関係が出てくる。
 お互い「いい関係だった」と思えたらすばらしい。
 

2019年10月7日月曜日

専門職を養い育てる力

 専門の支援者を育てる話の37回目。
 「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「専門職を養い育てる力」が大事となる。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 どのような仕事にも教える人と学ぶ人が存在する。
 スーパービジョンとは、熟練の人(スーパーバイザー)が、経験の浅い人(スーパーバイジー)の専門性を高めるために助言や訓練を与えていくことである。
 このような訓練には、スーパーバイジーが組織や機関の役割、機能を熟知し、それらを十分に遂行できるように助ける管理的機能、また彼らに専門的な仕事を教える教育的機能、さらに慣れない仕事から来る悩みの相談を受け、燃え尽きないよう心理的サポートを行う支持的機能が含まれる。    
  
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.156、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 支援者として一人前になるには、熟練者(スーパーバイザー)からの教えを十分吸収しなければならない。
 熟練者は、初心者にとってそれこそ頼りになる存在である。
 その教え方ひとつで良き支援者になるかどうかが決まる。
 
 

2019年10月6日日曜日

エンパワメント

 専門の支援者を育てる話の36回目。
 「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「エンパワメント」という「障害者の本来持っている力を引き出す支援」が大事となる。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 人は、偏見や差別、権利侵害など、否定的な環境に取り巻かれたり、加齢や病気、障害を負ったりすると、自立した主体的な生活をあきらめてしまうことがある。
 エンパワメントは、こうした人々がもっていた生きる力を取り戻すための支援である。

 エンパワメントは、私たちの支援に一つの方向性を与えてくれる。
 全くの無力な状態を支援のスタート地点とするなら、地域社会でいきいきと生活する姿はゴール地点となる。
 この二つの地点は、少しずつ力を取り戻しながら進む長い1本の線で結ぶことができる。   
  
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.151,p.153、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 エンパワー(empower)は、「能力や権限を与える」という意味である。
 エンパワメントとは、能力や権限は訓練や指導によって後から付加されるものではない。
 本人が本来もっているもので、それが社会的制約によって発揮されていなかった。
 本人が力を発揮できるようにするためには、あらゆる社会資源を再検討し、条件整備を行なっていく必要があるという見方である。
(障害保健福祉研究情報システム https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/glossary/Empowerment.html

2019年10月5日土曜日

権利を代弁する力

 専門の支援者を育てる話の35回目。
 「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「権利を代弁する力」が大事となる。

 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 真の権利擁護は、当事者に情報を提供し、彼らを権利の主体としてエンパワメントを行う。
 そして当事者に、自分の権利を主張するよう働きかける。
 問題に直面し、力を失った当事者の権利を擁護する支援者は、判断能力と自立度に応じて、彼らの力を高め、自分の声で主張できるように働きかける。
 彼ら自身による主張が難しい場合、彼らの最善の利益を擁護できる方法を模索する。 
  
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.148、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 障害者の権利が侵害されないよう支援者は全力を尽くす必要がある。
 そして、障害者自身が権利を守れる力をつけることも重要だ。
 障害者の権利擁護を大事にするのは、支援者にとっても権利侵害にあう可能性だってあるからだ。

2019年10月4日金曜日

社会資源の開拓

 専門の支援者を育てる話の34回目。
 「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「社会資源の開拓」が大事となる。
 
 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 利用者のために、必要だと感じるサービスが、いつも私たちの手の届く所にあるとは限らない。
 そんなとき、私たちは「難しい」とあきらめるのではなく、つくりださなければならない。
 社会資源は、地域のなかに埋まっているものであり、そこへ出かけて掘り当てるのは、支援者の仕事だ。
 今、私たちが手にしているあたりまえのサービスも、これまでつくり上げてきたものだと気づくならば、この働きを受け継ごうという気持ちが高まるだろう。

 支援者として、利用者と地域社会、双方を結びつけるために、積極的に地域に出て社会資源を探そう。
 そうした姿勢が不可能を可能にするのだ。 
  
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.145、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 利用者に合ったサービスとは何か。
 実情に合ったものになっているかどうか常に問いながら、支援のあり方を考慮することである。
 それがより良いサービスにつながる。
 そのためには、現状に満足していてはだめだ。
 地域を見渡して広くより良いサービスがないか探すことである。
 今まで埋もれて気づかなかった社会資源を見出すことができる。
 それを使ってより良いサービスを創り出すことだってできる。

 

2019年10月3日木曜日

効果的な危機介入

 専門の支援者を育てる話の33回目。
 「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「危機に遭遇した時のあり方」が大事となる。
   特に、効果的な危機介入がいかにあるべきかということである。
 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 危機に効果的に介入するためには、何より、素早さが求められる。
 すぐに人々のもとへ駆けつけ、彼らが目の前で起きている現実を認識できるよう助ける。
 そして、その後、彼らから表出されるさまざまな感情を受け止めながら悲嘆作業を進める。
 また情緒的に弱められている彼らを支えるために、可能なかぎり人的・物的資源を与えようとする。
 危機介入は、通常、最初の6週間程度の集中的なかかわりを指し、その後は、長期的な支援へと切り替えられる。
  
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.135、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 危機に際しては、できるだけ素早い対応が必要だ。
 支援者ができるスピーディな援助である。
 拙速的なことであってもないよりはいい。
 まず、援助の手を差しのべることである。

2019年10月2日水曜日

セルフ・エスティームを高める

 専門の支援者を育てる話の32回目。
 「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「セルフ・エスティームを高める=人を変化させるための力」が大事となる。
   セルフ・エスティームとは、「自己肯定感」とも訳される言葉である。
 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 セルフ・エスティームを高める支援とは、小さな働きかけの積み重ねである。
 職員の多くは、「忙しくて、利用者と話もできない」と嘆く。
 しかし利用者が求めているのは、長い時間、話すことではない。
 利用者の小さな努力や達成を見逃さず、ひとことに心を込めて、彼らをほめるだけでも、セルフ・エスティームを高めることができる。   
 
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.127、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 支援者自身のセルフ・エスティームも必要なことは当然だ。
 それがあってはじめて利用者などの支援にもそうした働きかけがなされる。
 相手の問題に注目するのでなく、より良い態度に目配りする。
 そうしたことを継続することが重要である。

2019年10月1日火曜日

プランニング=将来像を見据える力

 専門の支援者を育てる話の31回目。
 「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「プランニング=将来像を見据える力」が大事となる。
 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 支援者には、利用者の将来像を見据える力が必要である。
 それは利用者の現在の地点にいっしょに立ち、そこから1年後、あるいは5年後、10年後を眺め、どのような場所で、どのような生活をしていることが、最もその利用者にとって利益となるかを見通す力である。    
 
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.122、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 支援者は、利用者の実態をよく知り将来どのような姿が望ましいか計画を立て対応すべきである。
 利用者が将来どうあるべきか現実的な計画の立案である。
 そうした将来を見通す力を養うことは、支援者の専門スキルを高めるものといえる。
 
 

2019年9月30日月曜日

問題を抱える人々を理解する

 専門の支援者を育てる話の30回目。
 「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「問題を抱える人々を理解する」ことが大事だ。
 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 問題を抱える人々を理解することは、信頼関係を築き、支援の計画を立てるための土台である。
 この土台から支援は開始されていく。
 もし人々への理解が深ければ、支援も深まる。
 しかし理解が表面的になれば、それだけ支援も表面的になってしまう。
 また人々を理解することは、それ自体が重要な支援でもある。
 人々は、自分自身をよく理解してもえらえるとき、心が癒され、力を得ていく。
 そしてさらに積極的に支援を受けようとする。   
 
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.117、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 支援にあたっては、利用者等の「理解」が大事である。
 障がいゆえに問題が生じているとの一面的な見方では、真の理解とは言えない。
 利用者が個別に抱える事情もよく理解しなければならない。
 問題が生ずる背景の必然性に同レベルの親近感を持つことである。

2019年9月29日日曜日

ストレングス視点

 専門の支援者を育てる話の29回目。
 「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「ストレングス視点」を持つことが重要だ。
 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 人には弱い面もあれば、強い面もある。
 弱いところを突かれ、そこを改善することだけを求められたら、人々は気落ちしてしまうだろう。
 なぜなら、助けを必要としている人々の多くは、さまざまな弱さ、問題、悪い習慣に苦しんでいるからだ。
 支援者として、人々の強さ―ストレングスにもっと目を向けることだ。
 そうするならば、彼らの笑顔は戻り、支援という道をいっしょに歩きだすに違いない。  
 
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.115、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

  支援者は、利用者のストレングスを見出すことが大事になる。
 あれもできない、これもできないといった弱さばかりに目が行きがち。
 そのなかでも、ストレングスが必ずある。
 そこから支援のあり方を見出すのである。
 それを続けていけば、利用者との距離が縮まる。

2019年9月28日土曜日

傾聴と共感力

 専門の支援者を育てる話の28回目。
 「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「傾聴と共感力」が重要だ。
 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】
 
 傾聴とは、相手の話をよく聴こうとすることである。
 また、相手から発せられる言葉と感情、メッセージに気づこうとする姿勢である。
 こうした姿勢が共感を生む。
 共感とは、相手の気持ちを共に感じることである。 
 
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.101、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 傾聴は共感と表裏一体のものである。
 利用者をよく知ることでもある。
 利用者は何で困っているか、よくその様子を見て適切な援助に努める。
 そこが傾聴の態度であり、利用者への共感が生まれ、適切な対応も可能なのだ。

2019年9月27日金曜日

人の信頼を勝ちえる力

 専門の支援者を育てる話の27回目。
 「豊かな人間性」を支える専門スキルとして「人の信頼を勝ちえる力」が重要だ。
 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 信頼関係とは、共感的な関係である。
 それは利用者のありのままに受け止めることに始まり、彼らの話を聴き、その痛みや感情に共感していくことで深められる。
 つまり「受容」「傾聴」、そして「共感」のスキルを向上させることが、信頼関係を築くことにつながる。
 「もし相手の信頼を勝ちえるならば、支援の半分以上はすでに終わっている。しかし信頼を勝ちえることができなければ、支援は成り立たない」。  
 
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.98、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 信頼は、相手の痛みに共感できて始めて得られる。
 相手の実情をよく理解することだ。
 その大変さや問題を受け入れ、共感するのだ。
 それによって相手の信頼を得られる。
 

2019年9月26日木曜日

ディレンマを乗り越える

 専門の支援者を育てる話の26回目。
 「豊かな人間性」を支える資質として「ディレンマを乗り越える力」を身につける必要がある。
 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 実践現場において、支援者は、利用者の価値観とのディレンマだけではなく、同僚、ほかの専門職、あるいは所属する組織の価値観とのディレンマを幾度も経験する。
 その場合、支援者の上下関係や力関係により、価値観を押し付けたり、押し付けられたりする。
 さらに社会資源が不足することで、思うように利用者の決定を支援できない現実にぶつかる。
 ディレンマとは、相反する二つの考えの板ばさみに合い、決めかねる状態である。
 解決法がみえないなかでも、支援者は、どちらかを優先し、決定していかなければならない。 
 
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.87、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 支援者は、実践のなかで利用者にとってどちらを選択すべきか迷うことは多い。
 最善の選択といっても、妥協が強いられたりするのだ。
 理想どおりにいかない。
 その場合でも、自分にとってより良い選択に努めることしかない。
 現実を踏まえ、その中でもより良い選択である。

2019年9月25日水曜日

ソーシャル・インクルージョンって何?

 専門の支援者を育てる話の25回目。
 「豊かな人間性」を支える資質として、「ソーシャル・インクルージョン」といったどんな境遇にある人も包み込む力が必要だ。
 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 ソーシャル・インクルージョンとは、社会で暮らすすべての人々を孤立や孤独、排除、摩擦などから守り、互いに包み合い、支え合うという理念である。
 こうした理念を実現するには、まず孤立する人々、孤独な人々、排除された人々、摩擦に苦しむ人々の真実の姿に気づき、支援者としての立場から、何ができるのかを考え、実践することである。  
 
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.83、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 身近な所で苦しんでいる人びとがいる。
 そうした人びとに対して、関心をもつことである。
 そして、支援者としてできることを考えよう。
 相手の立場でどんなことができるかを考える。
 困っている人への寄り添う姿勢こそ、支援者としての資質を高める力である。

2019年9月24日火曜日

社会正義の実現

 専門の支援者を育てる話の24回目。
 「豊かな人間性」を支える資質として「社会の不正義」に敏感であることも大切だ。
 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 現代は、競争社会であり、多数派の陰で、少数派の権利が侵害されるという不正義がみられる。
 障害のある人々が施設から出て町で暮らそうとするとき、地域住民が反対するなどの行為は、明らかに不正義である。
 施設で働く支援者は、自分の組織のなかのことに目を奪われ、地域社会で起こっている不正義にまで興味を抱く機会に乏しい。
 しかし、もし支援の力を高めたければ、地域社会に起こるさまざまな不正義を解決することに協力してほしい。  
 
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.81、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 障害者は少数派であり、その権利が平気で侵害されている場合がある。
 偏見や差別が今もってなくならない。
 虐待されて悲惨な状況を呈したケースもみられる。
 こうした社会の不正義に目をつぶらない。
 それが支援者の役割でもある。
 より良い社会を創り上げることだ。

2019年9月23日月曜日

プライバシーと秘密保持

 専門の支援者を育てる話の23回目。
 「豊かな人間性」を支える資質として「プライバシーの尊重」の重要性について理解する必要がある。
 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 支援者は、問題を抱える人々と話し合うとき、さまざまな個人情報や領域に立ち入ることになる。
 つまりプライバシーの一部を共有しなければ、支援していくことができない。
 だからこそ、支援者には、ほんとうに必要な情報を収集し、それ以外のプライバシーに最大限、配慮することが不可欠である。
 そして、いったん知りえた情報に関しては、厳粛に秘密を保持するという約束が伴う。
 この約束があって初めて、人々は自分のプライバシーを分かち合ってくれるのである。 
 
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.75、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 利用者のプライバシーを大事にするのは、当然である。
 しかし、支援するにはプライバシーにかかわる情報を知らなければ適切な支援を行うことができない。
 支援に必要な情報については、他に漏らさない倫理基準をもって対応しなければならない。

2019年9月22日日曜日

受容の大切さを知ろう

 専門の支援者を育てる話の22回目。
 「豊かな人間性」を支える資質として「受容すること」の大切さを理解しよう。
 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 多くの人が「受容は理想である」とか「受容だけでは支援できない」と主張する。
 人々がそういうのは、ほんとうの意味での受容を理解していなからだと感じる。
 支援者の多くは受容が単に、相手に優しい言葉をかけ、時には大目にみて、甘やかすことだと思い違いをしている。
 受容とは支援の手法の一つではなく、 根底におくべき資質である。
 うわべではなく、その人間のあるべき姿を見極めることであり、それをその当事者にも理解させることである。
 
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.72、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 受容とは、利用者のありのままを理解することである。
 また、そのありのままを認めることでもある。
 支援者として、利用者の今ある姿を受け入れ、あるべき姿への支援のあり方を工夫するのである。

2019年9月21日土曜日

利用者の自己決定を尊重すること

 専門の支援者を育てる話の21回目。
 「豊かな人間性」を支える資質として「利用者の自己決定を尊重すること」とは何か、絶えず自問自答する必要がある。
 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 私たちは支援者として自問しなくてはならない。
 「一体、私たちが考えているプランを利用者や家族は十分に知っているのだろうか?」
 「どのくらい目標に近づいたのかを、きちんと評価しているだろうか?」
 「利用者は、自分のサービスやプランについて意見をいい、決定に参加しているだろうか?」
 支援とは利用者のものであり、利用者の自己決定を尊び、彼らの願いを最優先にかなえていくことなのだから。    
 
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.66、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 支援者は、障害の実情に応じた自己決定ができる工夫を行うべきである。
 個別支援計画の立案において、利用者と保護者が承認する。
 その場合、署名、捺印をしている。
 利用者にとってその計画を理解しているのだろうか。
 説明が利用者にわかるようなものになっていないケースが多い。
 もっと利用者にとって理解できる個別支援計画のフォーマットを工夫することが求められる。

2019年9月20日金曜日

利用者の利益のために

 専門の支援者を育てる話の20回目。
 「豊かな人間性」を支える資質として「利用者の利益の最優先」といったことに配慮しなければならない。
 そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

  「虐待」などの権利侵害をしないことだけが、利用者の利益を最優先することではない。
 本来、権利侵害をしないことはあたりまえで、利用者のためになる、それ以上の支援を行うことが利益を最優先することである。
 しかし現実には、支援者が権利侵害に陥るケースは減っていない。
 
 問題を抱える人々は、社会的にも経済的にも力が弱められている。
 支援者は、自分の専門的な能力や立場を、こうした人々を支え彼らの力を強めるためにこそ用いるべきである。
 もし支援者が未熟さや怠惰なために自分の能力を十分に出せなかったり、意図的に自分の利益や満足のために濫用するならば、たとえその選びがどんなに小さなものでも、利用者の権利を侵害する道を進み始める。  
 
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.53、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 支援者の存在は、利用者あってのものである。
 利用者のためになる適切な支援がなされてこその支援者なのだ。
 あれもできない、これもできないと利用者をさげすむ態度は、支援者失格である。
 利用者の今ある姿を受け入れることだ。
 そこから、次への方向性を見いだすのが専門的な支援者といえる。
 

2019年9月19日木曜日

人々に捧げる覚悟

 専門の支援者を育てる話の19回目。
 「豊かな人間性」を支える資質として「奉仕の精神」を忘れてはならない。
 そのことの重要性について、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 支援者には、学んだ知識や知恵、そして技術と精神を、人々のために捧げる覚悟が必要だ。
 それこそが専門職なのだ。
 高い報酬を得ていても、そうでなくても、仕事への動機に奉仕の精神がなければ、相手にも自分にも真の力を与えることはできない。 
 
  (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.61、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 奉仕というと、ただ働きといったイメージがある。
 そういうことを言っているのでない。
 何のために働くのかということをつきつめることだ。
 単に、お金のために働くことではないはず。
 障害のある人のため支援するという、価値ある仕事に専念し、その喜びを感ずることである。
 それが奉仕という意味である。

2019年9月18日水曜日

偏見や差別は個性の否定

 専門の支援者を育てる話の18回目。
 「豊かな人間性」を支える資質として「人のありのままを尊ぶ力」が大事だ。
 そのことの重要性について、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 小学校のころ、小児麻痺のため、足の不自由な男の子がいた。
 彼が足を引きずりながら歩くので、それが「おもしろい」と何人かの子どもたちは、笑ったり、まねたりした。
 こうした行動はしだいにエスカレートして、彼はいじめの対象となった。
 そしてだれも彼を助ける人がいなかった。
 同じクラスの一人は、大人になり、社会で責任ある地位についた。
 しかし彼はいじめられている男の子を助けなかったことを深く後悔した。
 彼は今でも、その子の悲しい顔、悲痛な顔を思い出すという。
 
  (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.56、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 支援者は、人々の違いを尊重しないといけない。
 障害というハンデを理解し、そのハンデに向き合う姿勢が大事だ。
 そうした人々のありのままを尊ぶのである。

2019年9月17日火曜日

可能性を見いだす能力

  専門の支援者を育てる話の17回目。
 「豊かな人間性」を支える資質として「可能性を見いだす能力」が必要だ。
 そのことの重要性について、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 人々が、真に変化、進歩、成長し、自己実現にたどり着けるかどうかは、支援者が、彼らの可能性を見いだし、それをどこまでひきだせるかにかかっている。
 こうした力は、単に「可能性を信じている」というあいまいなものではなく、自分が成長できた経験、さらに人の成長を助けた経験に裏打ちされた確信からもたらされる。
 支援者は、人間の変化や進歩、成長する能力を確信する度合いに応じて、それを実践することができる。
 人間の可能性を見いだし、その能力を最大限に引き出すことは支援者の責務であり、人々を自己実現に導く専門的な能力なのである。

  (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.53、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 障害のある人の変容は、遅々としている。
 支援者はそうした変容に寄り添っていく必要がある。
 ゆっくりした変容を見据えていくのである。
 変容の可能性を信じて、適時適量の支援を行うのである。

2019年9月16日月曜日

人間の尊厳を輝かす

 専門の支援者を育てる話の16回目。
 「豊かな人間性」を支える資質として「人間の尊厳を輝かせる」ことが大事だと、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。

 【引用はじめ】

 今、社会は人間の尊厳を否定する行為で満ちている。
 力や立場の弱い者が、日々、虐待、暴力、偏見、差別、排除などの権利侵害の犠牲となっている。
 こうした行為を行う人びとは、ほかの人々の尊厳を理解しないだけでなく、自分にも尊厳があることを忘れている。
 彼らは、自分の尊厳を輝かせる機会を捨てているのだ。
 支援者として、一人ひとりに尊厳があることを、確信しよう。
 その尊厳を輝かせるための小さな実践を続けよう。
 人は自分に尊厳があることに気づいてとき、それを輝かせ、また他者にも認めることができるからだ。 

  (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.49、2006年、中央法規出版刊)

 【引用おわり】

 人は誰もが尊い存在である。生まれ持った違いを認め、一生涯を生き抜くのである。
 たまたま障害があっても、その人がより良く生きるための支援がなされなければならない。
 その人の尊厳に敬意を払い、適切な支援を行うのである。

2019年9月15日日曜日

自分の価値観の形成

 専門の支援者を育てる話の15回目。
 「豊かな人間性」を支える資質として「自分の価値観と向き合う」ことが大事である。
 そのことについて、川村隆彦氏(2006年)は次のように述べる。

 【引用はじめ】

 「人権」や「社会正義」など、専門職の理想とするべき価値と倫理は、頭だけで理解するものでない。
 それはこれまでの自分の経験や価値観と共鳴させながら、自分自身の根に取り入れていくべきものである。
 人がかけがえのない存在であるという価値観は、暗記するものではなく、自分の経験のなかに発見するものである。
 そして、そのための出発点が、自分自身の価値観と向き合うことなのである。 

  (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.45)

 【引用おわり】

 人はそれぞれ違った人生を歩む。
 そこで学ぶ捉え方も異なる。
 辛い経験を糧としてより良い人生を歩もうする。
 反対に、同じような経験をしても辛いままの体験を再経験してしまう人生もある。
 辛くて問題になる経験を反面教師として、より良いものにする努力こそ大事にしたい。
 直接的な経験を通じて、より良い価値観の形成が求められる。
 

2019年9月14日土曜日

専門職の価値と倫理を学ぶ

 専門の支援者を育てる話の14回目。
 「豊かな人間性」を支える資質として「専門職の価値と倫理」を学ぶことについて、川村隆彦氏(2006年)は次のように述べる。

 【引用はじめ】

 ある児童養護施設で職員による虐待が発覚した。
 悲しいことに、その中心となっていたのは施設でも指導的な立場の人々であった。
 彼らは、以前から利用者を馬鹿にしたり、いうことを聞かない場合、力づくで押さえつけたりした。
 彼らの人間性に問題があるのは明らかだが、それにもまして、この人々は専門職の価値と倫理を学んだことがなかったようだった。  

  (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.40)

 【引用おわり】

 専門職の価値と倫理とは、「人間の尊厳」「個性と多様性」「奉仕の精神」「利用者の利益と最優先」「受容」等である。
 こうした内容をしっかり学び、身につけることがなければならない。
 専門職の資質を形づくる土台をなすものである。

2019年9月13日金曜日

セルフ・エスティーム(自尊心)を高める

 専門の支援者を育てる話の13回目。
 「豊かな人間性」を支える資質として「セルフ・エスティーム」を高めることも考慮していないと。
 
 それについて、川村隆彦氏(2006年)は次のように述べる。

 【引用はじめ】

 セルフ・エスティームとは直訳すれば「自尊心」であるが、悪い意味でのプライドや高慢とは違う。
 それは「自分自身が価値ある存在であるという肯定的な感情」であり、人間として存在するための基盤である。
 セルフ・エスティームが低ければ、絶えず自分の価値を人の目にゆだねることになり、結果として人が自分をどう思っているのかばかり気になる。
 しかしセルフ・エスティームが高ければ、自らのすばらしい価値について人と比較する必要はないのだ。

  (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.31)

 【引用おわり】

 俺は他人よりすごいなどと威張る必要はない。
 そうなると鼻持ちならない。
 他人と比べてどうこうでなく、自分自身に対する信頼感をもつことである。
 自分に対する肯定的な見方といっていい。
 自ら尊ぶ気持ちだ。
 それが「セルフ・エスティーム」ということになる。
 これを高めていって自信ある行動につなげるのだ。

2019年9月12日木曜日

熱意ある対応

 専門の支援者を育てる話の12回目。
 「豊かな人間性」を支える資質として「熱意」も重要だ。
 しかし、「熱意」は簡単に得られるものでない。
 それについて、川村隆彦氏(2006年)は次のように述べる。

 【引用はじめ】

 もし、あなたが、強い熱意を得たいならば、物事や機会を簡単に手にしてはならない。
 人は努力もなしに簡単に手に入れたものを大切にしない。
 それどころかすぐに放りだしてしまう。
 強い熱意を得たいならば、相応の努力と忍耐、犠牲を払った後に得られることを学ぶべきである。
 努力する過程で人は熱意を蓄積できるからである。 

  (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.30)

 【引用おわり】

 障害のある利用者には、ていねいな支援が必要だ。
 できるだけ失敗のない段階をふんだ支援を繰り返す。
 そうした支援を支えるのは「熱意」ある対応である。

2019年9月11日水曜日

最善を尽くすこと

 専門の支援者を育てる話の11回目。
 「豊かな人間性」を支える資質として「誠実さ」も重要だ。
 それについて、川村隆彦氏(2006年)は次のように述べる。

 【引用はじめ】
 
 施設で寝たきりの高齢者や重度の障害者のおむつを交換したり、体を拭く場合、カーテンをすると、ほんとうに丁寧にやっているかどうかは、利用者と自分自身しかわからない。
 しかし正直な支援者は、どのような状況におかれても最善を尽くそうとする。

  (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.26)

 【引用おわり】

 どの状況にあっても、全力を尽くして支援に当たる。
 人が見ていないから、利用者は何も言わないからと、適当に済ましてしまう。
 そうしたことを何度もやれば、それでいいんだとなる。
 いい加減な支援がずっと続く。
 利用者には不利益なことは当然だが、支援者に対する信頼はなくなる。
 支援者は周囲からも信頼されなくなる。
 支援者の成長も止まってしまう。

2019年9月10日火曜日

9月のジョイフルDAY

のぞみの家では、休日の過ごし方支援として指定土曜日に希望する利用者の方に対して、調理実習や娯楽活動を支援するジョイフルDAYを行っています。

9月のジョイフルDAYは・・・
午前中の調理実習:季節の芋煮・おにぎり・キャベツときゅうりの浅漬け
午後の娯楽活動 :JA滝山まつり(ヒルズサンピア)めぐり

今回の調理実習では、自分の食べるおにぎりの分量をはかり、自分でにぎりました。
JA滝山まつりでは、のぞみの家の玉こんや、おみやげ用のクッキー、フランクフルトやかき氷など、好きなものを選んで買う利用者の方の姿を見ることができました。












献身さと利己心

 専門の支援者を育てる話の10回目。
 「豊かな人間性」を支える資質として「献身さ」も必要だ。
 それについて、川村隆彦氏(2006年)は次のように述べる。

 【引用はじめ】
 
 献身的な人は、たとえ自分の働きが、相手の目にふれない隠れたものであっても、相手の利益のために尽くすことができる。
 倫理綱領にある「利用者の利益の最優先」という倫理基準は、この献身さをなくしては理解されない。
 献身さの反対は利己心である。あなたが支援を行うとき、その心は、献身さと利己心の間を、行ったり来たりする。
 相手に献身的であれば、それだけ心に喜びがあり、利己的であれば、それだけ心がむなしさで満ちるのである。  

  (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.21)

 【引用おわり】

 献身的な行為がなければ、利用者に対する支援も成立しない。
 利用者にとって、より良い行動ができるための適切な支援である。
 それも利用者が満足するような対応でなければならない。
 量と質が適切な支援である。

2019年9月9日月曜日

豊かな人間性が地盤

 専門の支援者を育てる話の9回目。
 有能な支援者の基盤には、「豊かな人間性」が大事だ。
 それについて、川村隆彦氏は次のように述べる。

 【引用はじめ】
 
 支援者としての専門教育は、豊かな人間性という地盤のうえに積み上げられるものである。
 人権意識、人を信頼することも、グループで仲間と協力することも、地域で人々とともに生きようとすることも、豊かな人間性のうえにこそ、積み上げることができる。

  (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.14)

 【引用おわり】

 「豊かな人間性」といわれると、抽象的でわかりづらい。
 でも、私たちは次のような一般的な言葉で表現している。
 「愛、思いやり、親切、優しさ、友情、勇気、情熱、責任感、正義感、正直、誠実、礼儀、信頼」(川村p.13)
 「豊かな人間性」って、肯定的で積極的、前向きな行動のことである。

2019年9月8日日曜日

有能な支援者

 専門の支援者を育てる話の8回目。
 有能な支援者とは、どういう人か。
 それについて、川村隆彦氏は次のように述べる。

 【引用はじめ】
 
 有能な支援者は、有能な教師でもある。
 教える力をもつ支援者が人々に与える影響は計り知れない。
 彼らは、自ら学ぶ力をもっている。

  (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.9)

 【引用おわり】

 有能な支援者を目指そう。
 学ぶ力、教える力を兼ね備えた人たちだ。
 そうした人たちは、利用者や施設の組織をも変える。

2019年9月7日土曜日

小さな実践の積み上げ

 若者を専門家に成長させるには、どうするか。
 そうした話の7回目。
 専門家にするには、将来をみすえて少しずつ成長するような助言が必要だ。
 それについて、川村隆彦氏は次のように述べる。

 【引用はじめ】
 
 現在の姿でなく、将来、成りえる自分が見えるとき、人はそれに近づきたいと願う。
 今はたとえささいな望みでも、あきらめずに、小さな実践を繰り返してほしい。
 それがさらに強い望みにつながり、人々を完成に導いていく。  

  (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.8)

 【引用おわり】
 
 小さな実践によって、より良い支援のあり方が身につく。
 絶え間ない地道な努力の繰り返し。
 それが成長を支える。

2019年9月6日金曜日

専門家は少しずつ成長する

 「働く意味を失った若者」に対してどのように支援するか。
 そして、どのように育てるか。
 そうした話の6回目。
 誰だって、すぐに専門家になれるわけでない。
 りっぱな支援者になるには、助言なり訓練がいる。
 将来をみすえた対応である。
 それについて、川村隆彦氏は次のように述べる。

 【引用はじめ】
 
 支援者を、現在の姿から、少しずつ完成に導くためには、まず、彼らの将来像を思い描く必要がある。
 「私は、将来、どのような支援者になれるのだろうか?」
 「彼は、将来、どのような専門家になれるのだろうか?」
 そして、思い描いた将来の姿に向けて、あなたの助言や訓練を与えてほしい。 

  (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.8)

 【引用おわり】

 川村氏は、現在の姿だけで判断しては誤るとも言っている。
 現在の不完全さに対して、不満を抱くことが多い。
 専門家は少しずつ成長するのだ。 

2019年9月5日木曜日

新たな意欲づけ

 「働く意味を失った若者」の話の5回目。
 施設の支援者たちは、毎日多忙で、働くことの意義など教えられなかったという人が大半。
 しかし、それに反する答えもある。
 次に引用する。

【引用はじめ】
 別の施設で同じような質問をすると、支援者の一人が「忙しくてあまり時間をとれないですが、いっしよに仕事をしている人びとに関心を示し、 できるだけ彼らと話し合っています」と答えた。
 「なぜそうするのですか?」と尋ねると、「私自身そうしてもらったからです」と、自分の経験を話してくれた。

 人を養うことは、1日わずかな時間があればできる。
 養うことができないほんとうの原因は、「大切さ」とその「方法」を知らないからである。
 人を養うことの「大切さ」と「方法」を知るとき、人々は変わっていく。  

  (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.7)

 【引用おわり】

 若者が挫折するのは、先輩たちにも責任がある。
 ちょっとの話し合いの機会によって、若者はヒントを得ることができる。
 新たな意欲につながる。
 それが人を育てることなのだ。

2019年9月4日水曜日

いっぱいいっぱい

 昨日から続けている「働く意味を失った若者」の話。
 4回目となる。
 この若者に対する先輩たちの対応が以下の引用だ。

  【引用はじめ】

 ある施設の支援者たちに「みなさんのもとで働く人々を専門的に養っていますか?」と聞いてみた。すると一人は、「忙しすぎて、構ってる暇がない」と答えた。
 別の人は、「どのようにすればいいのかわかりません。私自身、今まで専門的に養われたことがないんです」と答えた。
 (川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.7)

 【引用おわり】

 施設が多忙で教えるひまがない。さらに、今までも自分たちは教えてもらった経験がない。
 教えたり、教わったりする施設風土がない。
 多忙という理由で。
 自分たちのことで精いっぱい。常に、みんな「いっぱいいっぱい」なんだ。
 支援者の苦労が大変とつい同情してしまうのだが。

 さて、この話は次にもつづく。

2019年9月3日火曜日

働く意味を失った若者

 前日の本ブログは、「多忙感のみ残る仕事」がタイトル。
 川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」からの記述である。
 障がい者サービス事業所で意欲的に働いていたのが、いつの間にか多忙さに埋没してしまっている話だ。
 そのつづきは、こうなっている。

 【引用はじめ】

 やがて毎日が同じ作業の繰り返しに思えてきた。
 がんばっても、がんばらなくても、何も変わらないように思えた。
 だれも彼に仕事の夢やビジョンを語ってくれなかった。
 人を支援することのすばらしさややりがいを、教えてくれる人はいなかった。
 この若者は、しだいに働く意味を見失っていった。 (p.7)

 【引用おわり】 

 毎日の繰り返しに意味を見いだせなくなっている若者。
 やりがいを見失ってしまった。
 この時、若者に対する支援が適切になされるどうか。
 仕事の意義を語り合える仲間がいないと。
 支援者の成長を支える視点である。

 この話は3回目。これからもこの話は、まだまだつづけます。

 

2019年9月2日月曜日

多忙感のみ残る仕事

 本日は9月2日、月曜日です。
 理事長の出勤は月曜日です。
 のぞみの家会議室で本ブログを書いているところです。
 昨日の「理事長の部屋」のつづきです。
 川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則-あなたの心と力を築く物語-」の一節は、「人を助ける仕事をめざし、支援者としての一歩を踏みだした」という個所の引用だった。
 そのつづきは、こうである。

 【引用はじめ】

 最初、仕事は何もかも新鮮だった。利用者を体当たりで受け止めた。
 成功もあり、失敗もあった。
 しかし彼には、そのことを話し合い、適切なアドバイスをくれる人がいなかった。
 そして、忙しいだけの日々が過ぎていった。(p.7)

 【引用おわり】

 最初の新鮮な驚きや輝きが、時間とともに失われていく。
 利用者に対する情熱的ながんばりもいつの間にかなくなっていくのだ。
 なぜか。
 成功や失敗に対する仲間や先輩からの適切なアドバイスがない。
 多忙さに埋没してしまうのだ。
 あんなに意欲に燃えてやろうとしていたのに。
 いつの間にかなんとなくやらされている感じになっている。
 自らがんばっている感じがなくなっていく。
 多忙感のみが残る仕事となる。

 ということで、この支援者の話はまだまだつづく。


2019年9月1日日曜日

支援者向けの良書

 支援者向けの良書がある。
 川村隆彦著「支援者が成長するための50の法則―あなたの心と力を築く物語―」中央法規出版(2006年)、定価2600円(税別)
 川村氏は、神奈川県立保健福祉大学准教授で、日本ソーシャルワーカー協会倫理問題委員だ。
 ソーシャルワーク修士。
 ソーシャルワーク関係の著書も多い。
 私の手元にある上記の著書は、2014年第11刷のもの。初版は2006年だからロングセラーとなっている。
 この手の著書としては、売れ筋と言っていい。

 本書の帯には、「"決意を込めた実践力"を養うために!」とある。
 さらに、「福祉、保健、医療、教育など人々の支援にかかわるさまざまな専門職が実践するために深く理解し、身につけておかなければならない原則について、多くの身近な事例を通し具体的に考え学びます。」 
 数年前に、購入していたのだが、前半部をななめ読みした程度だった。

 序章に次のような記述がある。

 【引用はじめ】

 空を向いて、ぽつんと立っている「建てかけの家」を目にしたとき、一人の若者のことを思い出した。
 彼は中学のころから、人を助ける仕事につきたいと考えていた。
 自分が問題を抱えていたとき、他の人から助けてもらった経験があり、それがきっかけとなり、人を助ける仕事をめざすようになった。
 彼はその後、専門的な知識を学び、ボランティアで実践の楽しさも知った。
 やがて彼は施設に就職し、支援者として一歩を踏み出した。(p.6-p.7)

 【引用終わり】

  もちろん、施設就職してからのその後が書いてある。どうなったか。それは、次に続く。
 乞うご期待。
 今後、本書をだしに私なりの思いを伝えていきたい。
 お付き合い願いたい。
   

特定処遇改善加算

 福祉・介護職員に対する処遇改善加算が実施されることになっています。
 今回は、福祉・介護人材確保を一層進めるためのものです。
 特に、経験・技能のある職員に重点化を図るものです。
 福祉・介護サービス事業所で勤続年数10年以上の資格のある職員に対する処遇改善です。
 これが、2019年度において、福祉・介護職員等特定処遇改善加算の創設です。
 資格とは、介護福祉士、社会福祉士、保育士、精神保健福祉士などが入ります。
 特定加算によって、多少の処遇改善がなされることは職員にとって朗報です。
 仕事に対する励みになることを期待しています。

2019年8月30日金曜日

指導監査への対応

 昨日は、「社会福祉法人指導監査」だった。
 9時から18時半まで、時間オーバーして詳細な監査だった。
 山形市福祉推進部指導監査課から3人の担当者によるものだった。
 定款はじめ、評議員会・理事会議事録、諸規程、会計簿等による点検。
 当施設側は、施設長、サービス管理者、会計の担当者が対応した。
 法人運営にあっては、定款と制度運営があわないところがあるとの指摘があった。
 会計では、経理規定と事務処理上整合してないところがみられた。
 こうした指導事項に関しては、1か月後文書で市側より届く。
 それを受けて、さらに1か月後に施設側としてどんな改善を行ったかを報告しなければならない。
 指導監査のために、少ないスタッフで時間をかけての準備をしてもらった。
 法人運営にはなくてはならない仕事に努力してもらった。
 心から感謝申し上げたい。

2019年8月29日木曜日

社会福祉法人指導監査日

 本日は、社会福祉法人さくらんぼの里指導監査を受ける日です。
 この監査のために、準備した資料も大変。
 山形市福祉推進部指導監査課から3名が来訪。
 「法人運営」、「事業」、「管理」などが監査の対象となっています。
 「法人運営」は定款、評議員会・理事会など、「事業」は事務一般、社会福祉事業、公益
事業、収益事業など、「管理」は人事管理、資産管理、会計管理などの詳細が監査されます。
 2年に1回、担当者にとってはなかなか厳しい。
 時間外、休日勤務によって乗り切っております。
 1日緊張が続きます。
 関係事務文書の常日ごろの整備が適正かどうかです。
 そうは言っても日々の多忙さが思いどおりにいかないというのも事実です。
 毎日の業務の見直しを図る上からも、監査を受けることは非常に意義深いと捉える必要があります。
 監査結果は、本日中口頭による指摘、のちほど文書で改善等内容が明確に提示されます。
 それを受けて、当法人の改善等結果を報告することになります。


 

2019年8月28日水曜日

初投稿です

 「社会福祉法人さくらんぼの里」理事長に就任して初の投稿です。
 黒木仁です。
 就任は令和元年(2019年)6月28日(金)でした。
 今後、知的障がい者サービス事業所「のぞみの家」関連の情報を様々公開しますので、時折本ブログをのぞいてくれることをお願いします。
 なお、今日は時間ないのでここまでです。
 よろしくお願いします。
 

2019年8月26日月曜日

宿泊訓練

8月2日(金)、3日(土)で金山町にあるシェーネスハイムで宿泊訓練を行いました。美味しいごはん、きれいな景色、気持ちいい温泉を満喫してきました。

がんばること
<守ること>
①時間を見て行動する ②一人で行動しない ③ゆずりあう ④大きな声をださない
<お金を上手に使う>
<自分でできることは自分でする>

それぞれの『がんばること』をつみ重ねていき、次にいかせていければいいなと思います。





あじさいこんにゃく祭

7月6日(土)あじさんこんにゃく祭を開催しました。
多くの方にご来場いただきました。

こんにゃく、しそ巻、山形名物しょうゆ煮玉こん、みそ田楽、のぞみ煮込み、野菜、花、クッキー、せんべい、喫茶店メニュー(ケーキセット・アイスコーヒー・水出し緑茶・納豆ぼた餅)などなど準備し、みなさんに楽しんでいただきました。

また、来年もあじさいが咲く時期に開催します!




はじめまして

はじめまして、のぞみの家です。

山形市にある、障がい福祉サービス事業所(多機能型:生活介護・就労継続支援B型、共同生活援助)です。


利用者が地域で自立した日常生活及び社会生活を営むことができるようサービスの提供を行います。
個人の意見を尊重し、利用者の適正に応じた個別支援計画に基づいたサービスの提供を行います。

を、施設の目的にかかげ、自主製品の製造、販売活動、下請け作業を主に、利用者の活動・生活のサポートを行っています。

自主製品は『手造りこんにゃく・しそ巻き・手作り小物』です。
地域のお祭などに出店し、手造りこんにゃくの『山形名物!玉こん』や『みそ田楽』を販売し、好評です!

お近くにお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。