2021年7月31日土曜日

好子(こうし)と嫌子(けんし)

 強化と弱化の原理では、行動の結果によってその後の行動が繰り返すか、繰り返さないかを明らかにする。「良い結果」か「悪い結果」かということである。

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第32回目である。

【引用はじめ】

 「強化の原理」「弱化の原理」における「行動した結果」の「良いこと」「悪いこと」は、専門用語では「好子(こうし)」「嫌子(けんし)」と言います。

 好子(こうし) 「行動の直後に現れる刺激や結果のことで、直前の行動を強化させるもの」

 嫌子(けんし) 「行動の直後に現れる刺激や結果のことで、直前の行動を弱化させるもの」

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.49

【引用終わり】

 行動の直後に「好子」が提示されれば、行動は強化されることになる。逆に、行動の直後に「嫌子」が提示されれば、行動は弱化される。

 強化、弱化、好子、嫌子という4つによって、心という仮説を考慮しなくても、行動の予測がかなり可能になる。 

2021年7月30日金曜日

心を原因とせず行動の予測ができる

 強化と弱化の原理によって、行動が繰り返すようになるか、繰り返さなくなるかが予測できるようになる。ABA(応用行動分析学)がうちたてた理論である。

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第31回目である。

【引用はじめ】

 行動を分析してみると、行動が繰り返されたり、逆に繰り返されなくなるしくみがわかってきます。これこそが、ABA(応用行動分析学)の優れた機能です。

 人が行動する・しないに関して、心のなかを原因とせずに、環境の変化によって、行動の予測ができるようになってくるのです。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.49

【引用終わり】

 心の状況しだいで行動が決まるという考え方が常識だった。それを180度転換し、行動は環境によって決まるとしたのが、ABA(応用行動分析学)である。

 行動の直後がどういう状況であったかで、その行動は繰り返すか、それとも繰り返すかが決まるのだという考え方である。 

2021年7月29日木曜日

弱化の原理二つ目のパターン

  弱化の原理は、一つ目のパターンはある行動をした結果、悪いことが起こる。そうすると、その行動は繰り返されなくなる。それが「弱化された」となる。

 二つ目のパターンはある行動をした結果、良いことがなくなる。そうすると、その行動が繰り返されなくなる。それも、ABA(応用行動分析学)の分析では、「弱化された」となる。

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第30回目である。

【引用はじめ】

 ◎ 弱化の原理

 「人が何かの行動をした結果、悪いことが起きるか、良いことがなくなると、その行動は繰り返されなくなる」

 「強化」とは逆の「弱化」の原理に関する2つ目のパターンが次のようなことである。

 《弱化の例②》

 「Aさんが、カフェでたくさん注文したところ、今月の食費がほとんどなくなってしまいました」

 「たくさん注文する」という行動をした結果、「お金」という良いものがなくなってしまいました。

 Aさんは、今後、カフェでたくさん注文するという行動は、あまり繰り返さなくなりました。

 お金がある ⇒ たくさん注文する ⇒ お金がなくなった

 「たくさん注文することが弱化された」となります。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.48

【引用終わり】

 弱化の原理の二つ目のパターンが、ある行動をした結果、良いことがなくなるということであった。そうすると、この行動は繰り返さなくなるのだ。この行動は弱化されてしまう。

 弱化にも二つのパターン、さらに強化にも二つのパターンがあるのである。 

2021年7月28日水曜日

弱化の原理=1つ目のパターン

  ある行動をした結果、悪いことが起こる。そうすると、その行動は繰り返されなくなる。それは「弱化された」となる。

 また、良いことがなくなると、その行動が繰り返されなくなる。それも、ABA(応用行動分析学)の分析では、「弱化された」となる。

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第29回目である。

【引用はじめ】

 ◎ 弱化の原理

 「人が何かの行動をした結果、悪いことが起きるか、良いことがなくなると、その行動は繰り返されなくなる」

 「強化」とは逆の「弱化」の原理を考える。「弱化」の1つ目のパターンが次のようなことである。

 《弱化の例①》

 「Aさんは、カフェでパンケーキを食べたら、パサパサで甘くとてもまずかった」

 Aさんが「パンケーキを食べる」という行動をした結果、「まずい」という、嫌なことが起きました。

 Aさんは、このカフェに行ったとき、このパンケーキを食べることは、二度とありませんでした。

 パンケーキがおいしそう ⇒ パンケーキを食べる ⇒ とてもまずかった

 「パンケーキを食べることが弱化された」ということになります。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.47~p.48

【引用終わり】

 「弱化」は「強化」と逆の原理である。

 ある行動をしたら悪いことが起こるので、その行動を繰り返さなくなる。

 行動の悪い結果のために、行動をしなくなってしまうのだ。

2021年7月27日火曜日

人が何かの行動をしたら、悪いことがなくなった

 ある行動をした結果、良いことが起こる。そうすると、その行動が繰り返される。それは「強化」である。

 また、悪いことが起こっていたことがなくなる。そういったことが繰り返されると、ABA(応用行動分析学)の分析では、「強化」という。

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第28回目である。

【引用はじめ】

 ◎ 強化の原理

 「人が何かの行動をした結果、良いことが起きるか、悪いことがなくなると、その行動は繰り返されるようになる」

 《強化の例②》

 「Aさんは、カフェが寒かったので、定員に伝えたところ、暖房の温度を上げてくれた」

 Aさんが「店員に伝える」という行動をした結果、「寒い」という嫌なことが、なくなりました。

 Aさんは、寒いときには、また店員に声をかける、という行動を繰り返すようになります。

 寒さを感じる ⇒ 店員に声をかける ⇒ 寒さを感じなくなる

 「店員に声をかけることが強化された」ということになる。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.47

【引用終わり】

 カフェに寄ったら店内がとても寒かった。それで店員に「寒い」と訴えた。そうしたら、店員は暖房を入れてくれた。暖房を入れてもらいたかったら店員にそのむねを訴えるようになる。行動の図式は次のようになる。

 暖房なし ⇒ 店員に「寒い」と言う ⇒ 暖房あり

  

2021年7月26日月曜日

パンケーキを食べることが強化された

 ある行動をした結果、良いことが起こる。そうすると、その行動が繰り返される。こうした分析のことを、ABA(応用行動分析学)では、「強化」という。

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第27回目である。

【引用はじめ】

 ◎ 強化の原理

 「人が何かの行動をした結果、良いことが起きるか、悪いことがなくなると、その行動は繰り返されるようになる」

 《強化の例①》

 「Aさんが、カフェでパンケーキを食べたら、とても美味しかった」

 Aさんが「パンケーキを食べる」という行動をした結果、「とても美味しい」という、好ましいことが起きました。すると、Aさんは、またこのカフェに行ったとき、このパンケーキを食べるという行動を繰り返すようになりました。「パンケーキを食べることが強化された」。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.46

【引用終わり】

 近所のカフェに行ったら、パンケーキがとても美味しかった。そうすると、そのカフェに何度も通うようになる。カフェに通うことが強化されたのである。

 また、パンケーキが美味しかったので、そのカフェではパンケーキの注文を繰り返すようになる。パンケーキを注文することが強化されたのである。 

2021年7月25日日曜日

行動を変えるためのキーワード

 自律型職員をめざすためにも、自ら望ましい行動を起こすことができるようにする必要がある。それには、ABA(応用行動分析学)の理論を勉強するのがいい。その中でも、4つのキーワードをしっかり理解することである。

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第26回目である。

【引用はじめ】

 行動を変えるには、ABA(応用行動分析学)の理論を理解する必要がある。

 それには。次の4つのキーワードをマスターすることである。

 強化(きょうか)、弱化(じゃっか)、好子(こうし)、嫌子(けんし)の4つです。

 この4つのキーワードを、それぞれ組み合わせることで、行動の大部分の分析と、そこから改善するやり方がつかめるようになります。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.45~p.46

【引用終わり】

 ABA(応用行動分析学)の中核的キーワードの4つをしっかり理解することで、行動改善に大いに役立つ。強化、弱化、好子、嫌子の4つの組み合わせで、行動の分析が明確になる。一見して複雑そうに見える行動でも、単純に解釈することができる。

 今まで個人の内面を推測して概念をつくり出していたものを、外面的な行動事実のみに着目するだけで、行動の原因を明らかにし、その改善にも役立つことがわかる。 

2021年7月24日土曜日

自律型職員とは

  自律型社員とは、自ら望ましい行動ができる人である。指示がなくても会社にとって期待する行動ができる人である。

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第25回目である。

【引用はじめ】

 自律型社員とは、「指示をしなくても、自ら望ましい行動を起こすことができる社員」です。

 具体的には、次のような行動変容をもたらす社員のことです。

  • 報連相をしっかりできる
  • 会議では自ら進んで発言する
  • 指示に対して、プラスアルファの結果を出してくる
  • 業務に対する改善について提案するようになる
  • 自ら仕事のスキルを身につけて自己成長をする

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.45

【引用終わり】

 私たちの障がい者通所施設にとって最も大事にすべきことは、適切な利用者支援である。利用者が充実した活動ができるようにすることである。施設の活動に積極的に取り組める支援を工夫するのだ。

 その実現を図るためにも、自律型職員をめざす必要がある。自律型職員とは、上記の「引用」のように組織が高まる職員同士のきめ細かなコミュニケーションが重要である。

2021年7月23日金曜日

個人の内面に「意識メーター」は存在しない

 自律型社員を育てるには、「やる気」や「意識の高さ」といったことを問題にする考え方が多い。問題の原因は、個人の内面だから、その内面を改善しようとする。

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第24回目である。

【引用はじめ】

 「やる気」や「意識の高さ」、「情熱」や「想い」などが大事であって、それを引き上げていけば、きっと自律型の良い社員になる、という考え方がやはり主流なのです。

 しかし、それでうまくいっていないケースは本当に多く見かけます。そもそも、心のなかを原因とすると、すべて結果論でいくらでもいうことができてしまいます。

 うまくいけば、「意識が高まったから」といえますし、うまくいかなければ、「まだまだ意識が低いから」といえます(循環論に陥っている状態です)。

 人のどこかに「意識メーター」なるものは存在していないのです。目に見えないメーターがあるとしても、それはまわりがいくらでも主観で決められるものなのです。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.44

【引用終わり】

 個人の内面に関する「意識」が高まればうまくいくし、「意識」が低下すればうまくいかないと、「意識メーター」の高低いかんが問題行動を変えるというのは、結果論にしか過ぎない。

 物事の結果を見て言っているだけであり、因果関係の説明にはなっていない。これでは問題行動の改善にはなんの役立つものでないのだ。

2021年7月22日木曜日

個人の問題行動を個人の内面で特定するか、環境によって特定するか

  問題行動に対して、その原因を個人の内面とするか、逆に環境とするかで改善のアプローチも異なってくる。

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第24回目である。

【引用はじめ】

 授業中に、男の子が動き回る原因をどう見るかで、その後の改善のアプローチも当然変わってきます。

 個人に原因がある、と見ると、「その個人を何とかしよう」という解決方法になっていきます。個人に対して、ふざけないように注意したり、内面を改善しようとしていくことになります。

 一方、環境に原因がある、と見ると、「その環境を何とかしよう」という解決方法になります。行動を引き起こしているまわりの環境は何か、それは、走り出すとまわりが注目してくれたり、嫌な授業が中断したりするからではないか、という見方になってくるのです。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.42~p.43d(

【引用終わり】

 問題行動の改善には、個人の「心」を何とかしようするやり方が行われる。しかし、その「心」というものはとらえどころがなく曖昧なものである。目に見えるものでない。明確に対応できないのだ。それでは、問題行動の改善は難しくなる。

 まずは、行動事実がどうなっているのか、そのときの環境はどうかをとらえることによって、環境のあり方を変えてみるほうがいい。どんな環境であれば、問題行動の改善につながるか試みるのである。 

2021年7月21日水曜日

主観的な見方と客観的な見方

  授業中、男の子が席を立って動き回っているシーンをどのような観点から見るか。個人の内面が原因として、主観的に捉えるか、それとも個人の外面的な行動事実と周囲の状況が原因として捉えるかでは大きく違う。

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第23回目である。

【引用はじめ】

 授業中に席を立って動き回っている男の子がいるシーンに対して、「一般的な見方」と「ABA的な見方」の二つで比較すると次のようになる。

 「一般的な見方」では、自分の主観を入れて考えます。

 男の子は走り回っていますが、ふざけているかどうかはわかりません。彼のなかでは、ふざけているのではなく、恐怖のため必死でやっている可能性もあります(そんなときに笑うこともよくあります)。

 一方、「ABA的な見方」では、心のなかを推測しません。

 客観的事実として、声を出して走っている、そしてそれをまわりが見ている、という見方をします。

 そして、重要なのが、原因をどこに見るか、という点です。

 「一般的な見方」では、「ふざけている男の子が悪い」というように、原因を個人へと目を向けます。

 一方、「ABA的な見方」では、個人が悪いのではなく、その個人の行動を引き起こしている環境に原因がある、と考えます。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.42~p.43d(

【引用終わり】

 授業中、男の子が動き回るのは「落ち着きがない」ことが原因だとしても、何の説明にもなっていない。ただ単に、「動き回る」ことを「落ち着きがない」という言葉で言い換えているに過ぎない。これでは、原因を明らかにしていることにはならない。

 男の子には、「落ち着きがない心」があるから、「落ち着いて」と注意するだけだ。それが「動き回る」ことをやめさせることができるとは思えない。それよりも、動き回っているとき、周囲の状況を変えてみるほうが効果的である。主観的な「心」でなく、客観的な「環境」に焦点を当てるほうが効果がある。

2021年7月20日火曜日

授業中に動き回っている男の子に対する見方

 授業中、男の子が席を立って動き回っているシーンをどのように解釈するか。それぞれの見方で異なる解釈となる。個人の内面を問題にするか、あるいは個人の行動事実と環境について問題にするかで大きく解釈が違ってくる。

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第22回目である。

【引用はじめ】

 授業中に動き回っている男の子がいるシーンに対する見方を、「一般的な見方」と「ABA的な見方」の二つで比較すると次のようになる。

 一般的な見方

  • 男の子が授業中にふざけていて、まわりの子が困っている。(ふざけているかどうかはわからない)
  • 集中して授業を聞けずに、ふざけてしまう男の子が原因(個人を問題の原因とする)
  • 男の子に今後ふざけないように注意する。男の子には、心の問題があるかもしれないので、それを治療する。(個人そのものを変えようとする)

 ABA(応用行動分析学)的な見方

  • 男の子が声を出して走り回っている。まわりの子がそれを見ている。(事実のみを見る)
  • 男の子をまわりの子が注目していることが原因(まわりの環境の変化を原因とする)
  • 男の子が走っても、まわりが注目しない。授業を中断してしまっているかもしれないので、授業をそのまま続ける。(問題が起きないように環境を変える)

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.42

【引用終わり】

 個人の内面に焦点をあて、それが問題行動の原因だとすれば、個人の内面を変えようとする。個人の心を何とかしようとするのだ。動き回る心」を何とかしようとすることになる。「動き回る心」って、どんなものなんだろう。そんなものは本当に存在するんだろうか。不明確な「心」に振り回されているに過ぎない。

 それよりも、問題となる行動の事実を環境を変えることによって、改善に努めたほうがいい。 

2021年7月19日月曜日

環境の変化で行動を改善する

 ABA(えーびーえー、Applied Behavior Analysis、応用行動分析学)の考え方は、個人の「心」を問題にすることでなく、個人の「行動」を問題するものである。行動と環境の関係がどうなっているかを明らかにする。

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第21回目である。

【引用はじめ】

 心のなかをなんとかしようとしてもうまくいかなかったことを、まったく違うアプローチから解決することが、ABA(応用行動分析学)のもっとも得意とすることです。

 ABAの対象は、他人だけではなく、自分自身のセルフマネジメントにも使えます。いままで、行動できないのを自分の性格や意思の弱さを原因として、うまくいかなかったケースでも、ABA的アプローチで環境を変化させることによって劇的に改善するケースも多く見られます。

 ここでいう「環境」とは、地球や自然というような環境ではなく、また、職場のきれいさとか、温度が適切だとかの環境ではありません。その人のまわりに起きる出来事や、どのような状態にいるかといった意味の「環境」です。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.39~p.40

【引用終わり】

 「心」というのは目に見えずあくまでも概念的に言語表現するものだ。抽象的であいまいである。反対に「行動」は具体的で目に見える。「心」という深層にあるとする仮説では、「行動」というものを特定するのは難しい。

 それより、目に見える「行動」はどういう環境で出現するかを観察するほうが、分かりやすい。このような観点で明らかにしようとするのがABA(応用行動分析学)である。 

2021年7月18日日曜日

ABA(応用行動分析学)は人の行動を変容させる学問

 ここで取り上げてきた内容は、ABA(えーびーえー、Applied Behavior Analysis、応用行動分析学)と呼ばれるものがベースになっている。個人の心理でなく、個人の行動に焦点を当てて行動の原理原則を解明しようとする学問である。

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第20回目である。

【引用はじめ】

 ABA(応用行動分析学)は、行動を専門にし、「意思」や「やる気」などの目に見えないものには頼らずに、人の行動を強力に変容させることができる学問です。

 「続けられないのは、意思が弱いからだ」「仕事ができないのは、意識が低いからだ」「取りかかれないのは、危機感がないからだ」

 いままで、このような考え方で、心のなかをなんとかしようとしてもうまくいかなかったことを、まったく違うアプローチから解決することが、ABA(応用行動分析学)のもっとも得意とすることです。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.39

【引用終わり】

 問題となる行動をいかに変えようとするのか。個人の「心」を変えるのでなく、「行動」を変えることに集中する。「行動」の直後にどうなっているかをよく観察して、その状況を変えることによって、その「行動」を変えるのである。 

2021年7月17日土曜日

「行動」を引き起こすのは「心」でない

 人の行動の原因は、「心」だというのが一般常識である。その「心」というのは、行動の事実というより言葉で大まかに概念化したものである。行動を「心」という言葉によって後づけしたのである。

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第19回目である。

【引用はじめ】

 いまの時代、人の行動は、「心」が先にあって、それが「行動」を引き起こしているという考え方が一般的であり、それは常識になっています。

 それに対して、「行動」は、実は「心」で引き起こされるのではなく、環境に対する刺激反応の結果にすぎず、「心」というものは、目に見えない概念的な後づけにしかすぎません。

 いまの常識から考えると、人間には心があり、意思がある。それを否定するのは人間への冒涜だ、ということになるかもしれません。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.33

【引用終わり】

 「心」という個人の内面に焦点を合わせることによって、「心」を変えようとすることが多くの誤解を生み出してきた。問題としている「心」は、問題行動の反映にしか過ぎない。

 問題行動に焦点を合わせて、どのような状況であれば、その行動が変えられるかを考えるべきなのだ。 

2021年7月16日金曜日

レッテルを貼って、可能性をつぶさない

 部下が「受身型」で「消極的タイプ」という行動特性だから、うまく営業ができないと決めつけてしまう。こうなると、その部下に対する期待もしなくなる。これでは部下の活用も不十分になって、事業所にとってはマイナスである。さらに、部下の可能性を無駄にすることになる。 

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第18回目である。

【引用はじめ】

 レッテルを貼るということは、あくまでも「いま現時点での」その人の行動特性の傾向を知るということです。

 そして、その行動特性は、後からいくらでも変えることができるものだ。

 人の行動変容には、かなりの可能性があるのです。

 教える側のやり方次第で、本当はできることはたくさんあるのです。

 「消極的だから」「慎重タイプだから」、あるいは「ゆとり世代だから」というように、勝手にレッテルを貼って、いかにも原因っぽくしてしまうことのないようにすべきです。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.29

【引用終わり】

 部下などに対して、レッテルを貼って、うまくできない理由づけで満足してしまう。消極的だから、営業には向かない。人としゃべるのは苦手みたいだから、お客さんをうまく勧誘できないなどなってしまう。

 今時点での行動をみてダメと決めつけてしまう。レッテル貼ってダメな理由にしてしまう。行動はやりようによっては変わり得る。その試みを止めてしまっては、人材の無駄遣いになってしまうのだ。せっかくの人材が生きる試みを行う必要がある。 

2021年7月15日木曜日

「レッテル貼り」はみんな大好き

 私たちは、心理テストなどによって、性格をタイプ分けしてそれをとても重視する傾向がある。金科玉条のように性格を決めるものだと思ってしまう。 

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第17回目である。

【引用はじめ】

 人は他人に「レッテル」を貼ることがとても大好きです。

 社員に関する適性検査でも、同じようにタイプ分けをすることがあります。そして、結果が出ると、それがその人にレッテルとして貼られます。

  • パーソナリティは「受け身型」
  • 感情タイプは「冷静」「慎重」タイプ

 そして、このようなタイプの人には、こう接したほうがいいとか、このような職種が向いている、などとアドバイスされたりします。

 しかし、気をつけなければいけないのは、この性格診断はあくまでも選択肢にある項目のなかから回答を選んだという、行動の結果だということです。

 そして、その選んだ回答項目からの傾向を指し示すものであって、行動の原因そのものであるとして、決して次のようにとらえてはいけないのです。

  • 「受け身型」だから、指示をしないと動かない人だ
  • 「冷静タイプ」だから、忙しくても取り乱されないはずだ

 これでは、「循環論」に陥ってしまって、その先の改善にはつながらなくなってしまいます。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.28

【引用終わり】

 心理テストや適性検査も、その人の傾向を見る上では参考になるものである。しかし、そうだからといってそれが全てというわけでない。

 個別の行動を改善するには、状況を適切に変えることでその人の行動の変容も可能である。心理テストの性格が消極型となっているから、積極的な行動なんて無理と決めつけるのは問題だ。 

2021年7月14日水曜日

不適切な行動は職場の問題

 個人の内面ばっかりに気をとられて、問題行動の原因は性格が悪いからだと決めつける。個人を攻撃しがちだ。しかし、それでは多くの場合問題解決にはつながらない。個人の内面にこだわらず、行動そのものをどうするかとしたほうがいい。 

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第16回目である。

【引用はじめ】

 「望ましい行動ができない社員」は、循環論から抜け出すことだ。個人の内面が悪いとするのでなく、行動から先に変えるアプローチへと切り替える。

 社員に望ましい行動が起きない、もしくは不適切な行動が起きるのは個人に原因があるとして攻撃するのではありません。それを職場の皆の問題として、望ましい行動が適切にできるような職場づくりにもっていくわけです。

 そのほうが、個人攻撃をしたまま、何も改善につながらないよりも、よほど建設的であり、現実的な問題解決への道筋となる。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.26~p.27

【引用終わり】

 個人の内面を問題にしてしまうと、人格や性格を攻撃することになる。人格が悪いから、遅刻ばっかりするんだと考えてしまう。そして、遅刻の原因は人格が悪いからだと、原因と結果が循環していることに気がつかない。

 ただ単に遅刻の原因を人格の悪さに置きかえているに過ぎない。これでは、循環論が延々と続く。問題の解決を見いだすことができなくなってしまうのだ。 

2021年7月13日火曜日

循環論は個人攻撃の問題を引き起こす

 あの人は「だらしない性格」だから遅刻ばかりするんだ。そうやって決めつけられる。個人の内面が悪いと原因にされる。そうなると、その人「個人が悪い」と個人が焦点化されて、個人が問題にされる。 

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第15回目である。

【引用はじめ】

 循環論に陥ることの大きな問題点は、特定の個人の人間性を攻撃することになる、という点です。

 望ましい行動をしない、もしくは不適切な行動をするのは、その人個人が悪いから、という考え方になるのです。

 原因をもっているその人が、なにやら犯人のようになり、まわりから攻撃される対象となってしまいます。

 こうなると、さまざまな弊害が出てきます。

 たとえば、個人攻撃された社員は、上司や会社が嫌いになり、自分を責めるようになり、ますますパフォーマンスを発揮できない社員になってしまいます。

 職場のコミュニケーションも悪くなり、より仕事から自分を避けるようになってしまいます。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.25~p.26

【引用終わり】

 あの人が遅刻ばっかりして、報告するのも遅いのは、「だらしない性格」のせいにされる。

 性格がなおらないとだめだとなる。性格を直せと強制されたり、自らも性格をなんとかしようとする。

 しかし、性格を直すというのはどうすればよいか分からない。こんなことを繰り返しているうちに、仕事に対する意欲が低下し、自らをダメな奴と悲観的になってしまう。個人の内面が攻撃の対象になってしまうと、ドツボにはまってしまう。解決が遠のいてしまうのだ。 

2021年7月12日月曜日

研修を受けても行動が変わらない

 職場以外の場で行われた特別の内容によって、行動が変わった。それを称して研修効果があったと思い込んでしまう。しかし、実際、職場に戻って仕事を始めると本人の行動が変わったかというと、以前のままである。結局、研修の場と職場は、環境が異なる。本人は環境に適応しているだけなのだ。 

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第14回目である。

【引用はじめ】

 内面的なものは、問題行動の原因ではありません。

 研修の場では、いろいろな環境要因が実際の職場とは異なるため、望ましい行動が起きるようになってきます(強制的に行動せざるを得ないとも言えそうです)。すると、行動事実の改善が見られるので、内面を表現する言葉も変わってきます。

  • 研修では毎日遅刻せず、提出物もすべて期限を守れた ⇒ だらしなくなった
  • 研修では名刺を全て配り終わった ⇒ 積極性が出た。羞恥心が消えた
  • 研修では黒歴史をみんなに伝えられた ⇒ 折れない心が身についた

 これらのことも、やはり行動事実から内面的なものを表しているだけで、実際には体内に何か因子ができたわけではありません。研修の場では、やらなければ終わらない、まわりから注目されている、などのさまざまな環境要因があり、実際の職場の状況と異なるために引き起こされただけなのです。

 職場の環境が何も変わってなければ、必ず行動は元に戻ってしまいます。現在の環境に適応していくわけです。

 そして、結局は、解決につながっていかないのです。

 その結果、「〇〇さんはまだまだ、意識が低いよな」となります。原因は内面にあるとして、さらにそれを変えようとするか、そこであきらめて思考停止になり、いつまでも「意識が低いから」とずっと言い続けることになってしまいます。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.24~p.25

【引用終わり】

 「だらしない性格」という本人の内面を変えようと、研修の場に出す。そこでは、遅刻することなく、提出物もきちんと出すことができた。研修結果は上々。「だらしない性格」が変わったと思う。しかし、職場に戻っていつも通りのやり方が続くと、いつの間にか以前のように遅刻を繰り返すなんてことになる。こうした遅刻するのは、「だらしない性格」のせいなんて考えることそのものが問題なのだ。 

2021年7月11日日曜日

研修の場と実際の職場では環境要因が異なる

 だらしない性格を変えようと、研修の場に出す。そこで行われる内容については、なんとかやり遂げる。そうすると、だらしなくなったと思い込む。しかし、そうしたことって長続きするものだろうか。 

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第13回目である。

【引用はじめ】

 遅刻ばっかりする「だらしない性格」をなんとかしようと、精神を鍛えるというような厳しい研修や、意識改革を起こすための研修などに、救いを求めていくことがあります。たとえば、駅前で名刺を配らせたり、人前で大声で過去の黒歴史を語らせたり。

 しかし、実際には内面的なものは、問題行動の原因ではありません

 研修の場では、いろいろな環境要因が実際の職場とは異なるため、望ましい行動が起きるようになってきます(強制的に行動せざるを得ないとも言えそうです)。すると、行動事実の改善が見られるので、内面を表現する言葉も変わってきます。

  • 研修では毎日遅刻せず、提出物もすべて期限を守れた ⇒ だらしなくなった

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.24~p.25

【引用終わり】

 研修においては、しっかりしたことができるようになった。とても頑張った。心を入れ替えて、見違えるようになった。そうしたことは確かに可能である。一時的に研修という場で行われることには、うまく適応できたのだ。

 しかし、今度は日常の職場に戻ってそれがうまくいけばいいのだが、研修で実施されたこととは異なる要因が職場にはいっぱいある。結局、元の木阿弥になるケースが多いのだ。 

2021年7月10日土曜日

循環論に陥ることのデメリット

 あの人は遅刻ばっかりする。遅刻する原因は、「だらしない」からだ。それじゃー、「だらしない」ってなぜ? 遅刻ばっかりするじゃない、だから「だらしない」んじゃない。「だらしない性格」が原因? そうかなあ? 

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第12回目である。

【引用はじめ】

 遅刻するのは「だらしない性格」だからだ。「だらしない性格」だから、遅刻するのだ。こういった「循環論」に陥ると、問題が多く発生します。

 問題の一つは、いつまでたっても現実的な解決にはつながらないこと。もう一つは、個人を責めて攻撃することです。

 内面的なことを原因にすると、問題行動を解決するアプローチは、内面を何とかしようとする方法になっていきます。

 「だらしない」ので、「だらしなくならない」ようにし、「危機感が足りない」ので「危機感をもつ」ようにし、「プロとしての意識が低い」ので、「意識を高める」ように、内面を変えるための研修を実施したりします。

 つまり、精神を鍛えるというような厳しい研修や、意識改革を起こすための研修などに、救いを求めていくわけです。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.23~p.24

【引用終わり】

 原因と結果が堂々巡りすることを、循環論という。

 個人の内面を問題にすることで、内面を変えようとする。そうなると、個人が変わらなければならないとなる。個人への問題を攻撃することになる。意識改革などといったあいまいな対応が主になってしまう。 

2021年7月9日金曜日

「性格」は行動事実の傾向をまとめた概念

 「あの人はだらしない性格だ」などと個人を表現する。この「性格」という表現は、一つひとつの行動事実の傾向をまとめて表現した概念である。

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第11 回目である。

【引用はじめ】

 遺伝などの影響で、行動することの原因には多少はもって生まれたものがある。しかし、それよりも後からの環境によって形成されてくるもののほうが、ほとんどなのです。そして、後から形成されるものは、そのときの環境によって、適応するために変容するものなのです。

 その行動事実の傾向を、「性格」とか「人間性」という、まとめた概念で表現しています。その概念があるおかげで、行動事実をまとめて伝えられるという、コミュニケーション上のメリットがあるわけです。

 したがって、会話のなかで「あの人はだらしのない性格だ」と表現すること自体は、もちろんOKです。

 しかし、「だらしない」という性格は決して原因ではなく、行動の傾向を表現しているものだということなのです。そのことを理解しておく必要があります。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.23~p.24

【引用終わり】

 あの人は遅刻が多い、報告が遅いなどがあると、「だらしない性格」だと言いがちである。性格をなんとかしないとダメだ決めつけたりする。原因を性格にしてしまう。「だらしない性格」だから、遅刻するのだとなる。

 じゃー、「なぜ遅刻するの?」となると、「だらしない性格」だからとなる。えっ、原因と結果がぐるぐる循環しているだけ。これでは、何も言っていることにならない。原因が明らかにならないのである。 

2021年7月8日木曜日

人の行動を医学モデルで考えがち

 個人の内面には、「だらしない因子」があるから、遅刻したり仕事に真面目に取り組まないんだと考えるだろうか。

 そのことについて、榎本氏、次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第10回目である。

【引用はじめ】

 原因と結果の関係は、医学モデルだとわかりやすく、ついつい、ひとのどこかに「だらしない因子」みたいなものがあって、それがその人の行動を引き起こしていると考えがちです。

 医学モデルでは、人の体内に入り込んだウィルスが原因で熱をだすと考えます。

 人の行動は、個人の内面に「だらしない因子」があって、それが原因で時間に遅れるのだとは考えられません。体内に「だらしない因子」など存在するわけないのです。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.22~p.23

【引用終わり】

 人の行動の原因は、「だらしない因子」といった個人の内面にあるといった医学モデルで考えてもなんの解決にもならない。遅刻ばかりするのは、だらしない性格だから。じゃー、だらしない性格というのは、遅刻ばかりするからだ。循環論になってしまい、原因を明らかにできず、問題解決をすることができない。 

2021年7月6日火曜日

行動事実を見ずに、その人の内面をいうことはできない

   私たちは、人の行動を見て、性格・特性・人間性などを表現することがほとんど。そうなると、その人の性格といった概念化したものを全人格と見がちである。

 そのことについて、榎本氏、次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第9回目である。

【引用はじめ】

 いままでまったく会ったことも話したこともない人が、目の前にいます。まだ表情もあまり動いていません。その人に対して、内面を指摘することはできるでしょうか。

 どんな性格の人なのか、きちんとしているのか、だらしないのか、優しいのか、怖いのか、細かいのか、ずぼらなのか・・・・等々。

 本来は、その人の行動事実を見て、その人の内面として言い換えているだけなのです。

  • いつも時間に遅れてくる        ⇒ だらしない人
  • 文章の書き間違いをいつも指摘する   ⇒ 細かい人
  • 困ったときに笑顔で声をかけてくれる  ⇒ 優しい人
  • いつも冗談ばかり言っている      ⇒ 面白い人
  • 誰よりも最後まで仕事を頑張っている人 ⇒ 熱心な人

 上記のとおり、人の内面的なものの表現は、表に現れる行動事実を見て、それをわかりやすく伝えるために概念化したものなのです。

 つまり、「行動事実」が先にあって、その結果、人の「内面」が決まってくるという、逆転の考え方こそが真実である、ということなのです。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.22

【引用終わり】

 私たちの多くは、個人の内面にある性格などが行動を決めると思ってしまう。実際は行動が先にあって、そうした傾向を総称したものを性格などと言っているに過ぎない。 

2021年7月5日月曜日

原因と結果が循環している

   Aくんの報告がいつも遅くて問題になっている。どうして報告が遅いのだ。それはだらしがないからと決めつけられる。だらしがないというのは、どうしてわかる。それは報告が遅いことからわかる。原因と結果がぐるぐる循環した言い方になっている。

 そのことについて、榎本氏、次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第8回目である。

【引用はじめ】

 「人間性・性格・気持ち・意識」など、個人の内面を原因にすることの最大の問題点は、「循環理論」に陥ることです。

 「循環理論」とは、「原因」と「結果」が循環してしまっている状態のことをいいます。

 たとえば、次のようなことです。

 報告が遅いAくん。さて、なぜAくんは報告が遅いのでしょうか?

 Aくんがだらしないから。Aくんは社会人の意識が低いから。Aくんには危機感がたりないから。

 まさしく、問題行動を個人の内面に原因づけをしています。

 では、どうしてAくんはだらしない、と思ったのでしょうか?

 それは、Aくんの報告が遅いという「行動事実」をみて、そう感じたからです。つまり、ここで原因と結果がお互いに循環してしまっているのです。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.20~p.21

【引用終わり】

 上記のように原因と結果が循環していることでは、原因を明らかにしていることにはならない。ただ、分かったつもりになっているだけだ。Aくんの報告が遅いことを変えることにはつながらない。

 Aくんはだらしないといったところで、報告が遅いことを変えることにはならないのだ。問題は報告の遅さなのだから、それを変えるにはどうすれば良いか考えるべきである。 

2021年7月4日日曜日

とても便利な「人の内面」への原因づけ

   個人の内面に問題があるとして、部下を決めつける。やる気が足りない、意欲不足だからだと言ってしまう。こうした個人の内面を問題することで問題は解決しないから困ってしまう。

 そのことについて、榎本氏、次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第7回目である。

【引用はじめ】

 部下の育成がうまくいかないことに対して、個人の内面(人間性・性格・気持ち・意識など)に、原因を求めてしまう。

 すると、なんと楽で便利なことでしょうか。

 やる気がないからできない、意識が低いからやらない、危機感がないから動かない…。

 このように、うまくいかない原因を、人の内面的なものに結びつけて原因づけすると、何やらそこで問題の答えが確定でき、終わったような感じになります。

 うまく人材育成ができない悩みが、ここで一度落ち着くのです。しかも、目に見えないことなので、誰も明確には否定できません。

 どうしてうまくいかないんだろう、という悩みは、原因を見つけることでいったん解決し、ここから、人の内面を何とかしようというマネジメントが生まれてきます。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.19

【引用終わり】

 部下が仕事をうまくできないのはなぜか。意識が低いからだ。それでは、意識が低いのはなぜか。仕事ができないからだ。

 えっ、仕事ができないことについて、きちっと説明できていない。結局、循環論になっているためだ。こうした意識が低いなどという個人の内面で仕事のできない理由を説明しまうと、単なる繰り返される循環論に陥る。説明にはなっていないのだ。

2021年7月3日土曜日

環境に働きかけて行動を変える

  「意識改革」による研修では、個人の意識が変わらず個人が責められる例がある。そうしたやり方より、環境要因を問題にして、個人の行動を変えたほうが組織にとってもいい。

 そのことについて、榎本氏、次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第6回目である。

【引用はじめ】

 研修をしたのに、望ましい行動に結びつかない。その結果、「意識が変わらないお前はダメなやつだ」と、個人の人間性が責められます。すると、その責められる個人も不幸になり、組織も結局は成長しません。

 「ABAマネジメント」では、この考え方を180度転換し、「行動」に直接働きかけ、科学的な原理原則を用いて変えていきます。

 個人が責められるのではなく、どうしても行動が起きないのかという、環境要因に着目するようになります。その結果、望ましい行動ができる社員が育成され、組織の成長にもつながります。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) はじめに

【引用終わり】

 個人の意識を変えるなんて簡単にはできない。それよりも、個人の行動のあり方がどうなっているかに着目することだ。そして、望ましい行動はどのように引き出すかを行動原理の手法によって試みるのだ。 

2021年7月2日金曜日

「意識改革」による研修で行動は変えられるか

  「意識改革」を目指す研修で実際行動を変えることはできるか。一時的に変わっても、それが長く続かない。そうした例が多い。

 そのことについて、榎本氏、次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第5回目である。

【引用はじめ】

 会社の組織においての人材育成手法は、「意識改革」系のアプローチがほとんどです。

 「望ましい行動をしないのは、その個人の意識が低いから」という理屈には、多くの人がそのとおりと思っています。「意識を変えれば人が変わる」という考えになり、研修や人材マネジメント手法なども、意識を変えるもののを行うことが多くなってきます。

 これでうまくいっていないケースも非常に多い。研修をしたのに、望ましい行動に結びつかない。その結果、「意識が変わらないお前はダメなやつだ」と、個人の人間性が責められます。すると、その責められる個人も不幸になり、組織も結局は成長しません。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) はじめに

【引用終わり】

 意識を変えようとしてもなかなか難しい。そうなると、意識が変わらない本人が悪い、努力が足りないと個人攻撃されたりする。それよりも、行動に着目して、行動を変えようとする方が、分かりやすいし効果的である。