私たちの職場でも、「遅刻をなくすために出勤時間を厳しく管理する」「ミスを避けるために仕事を任せない」といった対応を考えることがあります。しかし、それだけでは成長の機会を失うこともあります。行動を変えるための工夫について考えてみましょう。
【引用はじめ】
一人の営業マンが営業活動中に、やめたい、やめなければならないと思いながらやめられないパチスロ通いに対処するために、自己強化を始める前にメンバーズカードをすべて捨てた。これを抹殺法と呼んでいる。
抹殺法とは、問題行動をやめさせるための方法の一つで、その問題行動を物理的にできないようにする方法である。パチスロやゲーセンをこの世から抹殺すれば、絶対にこの営業マンはパチスロには行かない(行けない)。重大なミスを繰り返す部下を解雇すれば、少なくともその部下に悩まされることはもうない。来客に向かって飛びつく犬を別の部屋に閉じ込めれば、飛びつくことは不可能だ。
物理的に当該の問題行動は二度と起きないが、抹殺法の欠点は望ましい学習の機会を奪う点だ。与えられた状況の中で、随伴性を工夫することによって、新しい行動を学ぶことが人の成長につながるからである。一人の営業マンは抹殺法で退路を断っただけでなく、自己強化も取り入れることで、学習の機会も得ることができた点が成功につながったのである。
(舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.285~p.286)
【引用おわり】
問題行動を防ぐ仕組みづくりは大切ですが、それだけでは人は育ちません。失敗しにくい環境を整えながら、できたことを認め、望ましい行動を増やしていくことが成長につながります。利用者支援も職員育成も同じです。

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