私たちは利用者支援の中で、「この人は○○が苦手」と感じることがあります。しかし、その反応は生まれつきではなく、過去の経験によって形づくられているかもしれません。行動の背景に目を向ける視点を大切にしたいものです。
【引用はじめ】
ワトソンが行った有名な実験恐怖症と呼ばれる研究がある。レスポンデント条件付けの仕組みを使って、実験的にねずみ嫌いを形成した研究である。ワトソンは、実験のはじめに、生後11か月のアルバートに、白ねずみを見せたが、アルバートは怖がることなく、手を伸ばして触ろうとした。一方、鉄の棒をハンマーで叩き、大きな音を出したところ、アルバートはびっくりして泣き出した。突然大きな音がすれば、大人といえども身体がびくっとするなどの情動反応が起こる。これは、われわれには、本来、大きな音(無条件刺激)が与えられると、恐怖反応(無条件反応)を引き起こす無条件反射が備わっているからである。
これを確認したあと、アルバートに、白ねずみを見せてから、背後で鉄の棒をハンマーで叩いた。アルバートは驚いて泣き出す。これを繰り返すと、アルバートは白ねずみを見せただけで(大きな音を立てなくとも)、泣き出し、後ろを向いてハイハイで逃げ出すようになった。中性刺激だった白ねずみが条件刺激に変わり、条件反射が成立したのである。それだけではなく、ハンマーの音と対提示しなかったウサギや犬、脱脂綿など、白くてふわふわしたものを見せても泣き出すという、般化と呼ばれる現象も起こった。
(舞田竜宣・杉山尚子「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」日本経済新聞出版刊 2008.12.16, p.300)
【引用おわり】
以前に叱られた経験から作業を避けたり、大きな声を聞くだけで緊張したりすることがあります。見えている行動だけで判断せず、「なぜその反応が起きているのか」を考えることが、より良い支援への第一歩です。

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