心理学者セリグマンの実験は、いかに罰やペナルティの多用が問題となることの証明である。「学習された無気力感」に陥ってしまう。その回復は容易でない。そのことに関する、石田本による第97回目の引用である。
【引用はじめ】
アメリカの心理学者マーティン・セリグマン(Martin E.P. Seligman)が行った有名な実験がある。かれは犬を鎖でつないでおき、逃げようとするたびに電気ショックを与えた。これを繰り返していると、犬は鎖を外してもその場から逃げなくなったという。
人間の場合、罰やペナルティが電気ショックの代わりとなる。「お前は駄目だ」「やる気がない」「能力がない」といった言葉の罰だけでも、認知的にショックを受けてしまう。罰やペナルティを日常的に使い続けると、やがて部下は無気力になり、仕事に対する意欲が湧かない状態になるのだ。
行動分析では、これを「学習された絶望感」または「学習された無気力感」の理論と呼んでいる。
(石田淳著「短期間で組織が変わる行動科学マネジメント」p.125~p.126 2007年 ダイヤモンド社刊)
【引用おわり】
指示待ちで、自発性に乏しいとなれば、その環境がどうなっているか明らかにすることである。罰やペナルティが多くなっていないか。褒めることがほとんどないか、適切な行動であってもほとんど関心が払われてない可能性がある。非常に消極的な行動で終始しているとなれば、積極的な行動を生み出す環境が少なすぎるのである。
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