鈴木さんと佐藤さんの行動は「結果」によって大きく異なってくる。先行条件と行動が同じにも関わらずだ。「コーヒーを淹れる」行動の直後、鈴木さんは「感謝された」が、佐藤さんは「舌打ちされた」。「結果」が次の行動に影響するのである。そのことに関する、石田本による第85回目の引用である。
【引用はじめ】
人の行動を方向づけるのは結果だ。 たとえ先行条件と行動が全く同じでも、結果によって次の行動は大きく変わる。
たとえば、次のケースはどうだろう。
A(先行条件) 「先輩が叱られている」
B(行動) 「コーヒーを淹れる」
C1(結果1) 「感謝された」
C2(結果2) 「舌打ちされた」
鈴木さんの目の前で先輩社員が叱責されている。理不尽な理由であることは明らかだ。同情した鈴木さんは、場が収まったのを見計らってコーヒーを淹れた。さりげなく先輩の机に置く。先輩は無言で頷き、力ないながらも笑顔を浮かべた。(結果1)
佐藤さんの目の前で先輩社員が叱責されている。理不尽な理由であることは明らかだ。同情した佐藤さんは、場が収まったのを見計らってコーヒーを淹れた。さりげなく先輩の机に置く。先輩は舌打ちし、苦虫を噛み潰したような顔で「ミルクは要らないっていつも言ってるだろう」と吐き捨てた。(結果2)
再び先輩が叱られたとき、気遣いを示すのはどちらだろうか。
(石田淳著「短期間で組織が変わる行動科学マネジメント」p.119~p.120 2007年 ダイヤモンド社刊)
【引用おわり】
鈴木さんも、佐藤さんも先輩に対して、気を遣ってコーヒーを淹れた。しかし、先輩は鈴木さんと佐藤さんへの行動直後の結果が大きく異なっていたのである。鈴木さんは先輩の感謝が次の同じような行動を促すことになる。
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