分化の原理やシェイピングの技法といった行動分析学的知見を明らかにするために、ハトを使った実験をした。ハトが実験箱の円盤をつつく行動ができるまでを記録したのである。そうした内容について、「パフォーマンス・マネジメント」による第93回目の引用である。
【引用はじめ】
分化の原理もシェイピングの技法も、元々は動物を使った基礎研究で見いだされ、開発されたものだ。行動分析学の基礎研究ではハトを被験体に使うことが多い。ハトを実験箱に入れ、はこの側面についたプラスティックの円盤をつつく行動をエサで強化するのだ。
ところが初めて実験に参加するハトには、円盤をつつくという行動が身についていない。最初は実験箱の中で歩き回ったり、羽をついばんだりしている。そこで、ハトの行動の中で円盤をつつくのに最も近い行動、たとえば円盤の方を見る行動を選んで強化するのだ。するとハトは円盤を頻繁に見るようになる。
そこで今度は円盤を見ただけではエサを与えないようにする。消去の開始だ。するとハトは円盤を見ながら首を振ったり、回転したり、しゃがんだりと、いろいろな行動を始める。これが消去によって生じる。様々な行動の出現だ。この中から、円盤をつつくのに一番近い行動、たとえば円盤に向かって近寄る、を強化する。分化の原理が働いて、強化された行動は増え、それ以外の行動は減っていく。そして、消去と強化を繰り返し、徐々に標的行動に近づけていく。
(島宗理著 「パフォーマンス・マネジメント―問題解決のための行動分析学」 1999年 開成出版刊、p.48~p.49)
【引用おわり】
ハトを実験箱に入れて、円盤をつつく行動を身につけることができた。そのプロセスを明らかにして、どうすれば標的行動を達成するのか分かった。分化の原理やシェイピングの技法として一般化する科学的知見を見出したのである。
0 件のコメント:
コメントを投稿