上司は組織内の状況をよく知るべきと思っているかどうか。組織状況の把握に努力する上司は、その努力が強化されるためである。
そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第150回目である。
【引用はじめ】
世の中には、何か特別な強化を受けなくても部下の仕事をきちんと把握している管理者はいます。ですが彼らも、何の強化もなければ行動を維持することはできないはずです。それでは彼らは、何によって、部下の仕事を把握する(より具体的には、部下に仕事の状況を尋ねる)という行動が強化されているのでしょうか。
部下には仕事の状況を尋ねれば、自分の組織が円滑に動いているかどうかが、「分からない」から「分かる」へと変化します。この変化が心地よいために、管理者は部下の仕事を把握しようとします。ですが、この課長は今まで、そうしたことをしなくても平気でした。
つまり、自組織の状況が分かることは、もしかするとこの彼には何の意味もないかもしれません。分かったところで、「だから何なの?」という感じかもしれません。
舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.197~p.198
【引用終わり】
上司が部下の話をよく聞こうとするのは、組織の状況や様子を知ることが重要と思っているからだ。組織の動きが円滑かどうかしっかり把握することで、問題を早期に発見できることを知っているからだ。部下の話を聞けば、組織の動きが分かることが強化されるのである。
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