行動の原因をどのように考えるか。一般的には心のあり方を原因とする場合が多い。しかし、ABA(応用行動分析学)では、行動の原因は環境にありと考える。行動の前後がどのような状況にあったかで、原因を捉えようとするのである。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第180回目である。
【引用はじめ】
人の心、性格、気持ち、意識―これらはとても尊いもので、目に見えないからこそ、大事だといわれます。それをABAは否定する学問では決してありません。
心を否定するのではなく、行動の原因が心にある、という認識から、行動の原因は環境にある、ということが真理だと主張する学問なのです。
大事なのは、「何が、その人をよりよくさせるのか」ということです。心のなかを原因とするのは、とても楽で簡単なことです。
望ましい行動ができない個人に対して、意識が低いからだ、といえば、まわりも本人も否定できず、それが原因だという感じになります。
そして、望ましい行動をしてもらうために、意識を高めるような教育やしつけをします。それがうまくいけば、「意識が高まった」となり、うまくいかなければ、「まだまだ意識が低い」といわれるのです。結局は、結果論でしか語られず、うまくいかない人は、まわりから「もっと意識を高くしろ」といわれ続け、自分自身に対しても攻め続けることになります。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.219~p.220
【引用おわり】
いくら意識を高めようとしても、以前と同じ環境であったら、行動を変えようがない。
行動を変えようとするなら、環境に着目することである。行動している前後関係がどうなっているか。特に、外的な環境に着目するのである。その環境を変えてみることで、行動がどのように変わるか試してみるのである。
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