2020年7月15日水曜日

「皮肉を言う行動」の随伴性

 ネガティブな発言の多い人を「皮肉屋」と呼ぶ。
 「皮肉屋」と呼ばれるような、ネガティブな発言を繰り返すのだろうか。
 周囲の人たちの関係でそうなるのである。
 このことについて、舞田本では次のように述べている。 
 舞田・杉山氏の共著書の紹介は、通算で204回目となる。

【引用はじめ】


 どんな行動でも、強化の随伴性があるから繰り返される。
 小田切(仮称の人物)が皮肉に聞こえる言動を繰り返すのも、次のような随伴性が成立しているからである。

 (直前)周囲が反論しない→(行動)小田切がネガティブな発言をする→(直後)周囲が反論する

 現状では、小田切がネガティブな(皮肉な)発言をすると、周囲が反論する。
 たとえば彼が「一生懸命に働いたって、ろくなことにはならない」と言えば、周りの人は「そんなことはないよ。
 努力していれば、必ずよいことがある」と言ってくれる。
 つまり、小田切がネガティブなことを言えば、その結果として、一種の励ましが返ってくる。
 これが彼の今の行動を維持強化していると考えられる。


 (舞田竜宣 + 杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.70~p.71、2008年、日本経済新聞出版社刊)
                     
【引用おわり】

 皮肉屋と呼ばれている小田切という人物は、周囲の人たちの反論に抗しようとますます皮肉ぽいネガティブな発言を繰り返す。
 周囲の人たちの反論が小田切にとっては、ネガティブな発言を繰り返す行動になっている。
 これこそ、皮肉な話とも言える。
 周囲の人たちの反論が、小田切のネガティブな発言を強化しているのだ。
 周囲の人たちが小田切の皮肉という問題行動を増やしているということだ。

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