2020年7月26日日曜日

行動改善の場合のトリアージ

 「トリアージ」は、フランス語で「選別」を意味する言葉である。
 通常は、大災害時で治療の優先順を判断するための医療的緊急時の概念である。
 このことについて、舞田本では行動の改善におけるトリアージについて、次のように述べている。 
 舞田・杉山氏の共著書の紹介は、通算で216回目となる。

【引用はじめ】


 行動の改善にあたっても、トリアージが必要なときがある。
 問題を抱えた集団内のどの特定個人から、行動の改善を試みるか、また、複数の問題を抱える特定個人のどの行動から介入を始めるかを考えるときである。
 かつて、行動分析学会会長をつとめたR・M・フォックス教授は、
 (a)非常に大きな問題で、かつ改善がきわめて困難な行動、
 (b)喫緊の改善が必要な非常に大きな問題ではあるが、改善の可能性がある行動、
 (c)比較的軽度な行動、
 の三つが目の前にあるとき、第一に改善に取り組むべき(b)で、次が(c)、場合によっては切り捨てなければならないのは(a)であると論じた。

 (舞田竜宣 + 杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.94~p.95、2008年、日本経済新聞出版社刊)
                     
【引用おわり】

 行動の改善にあたって、簡単には改善が困難な事例もある。
 2020年3月からは、新型コロナウィルス感染拡大を防ぐ自粛規制などが実施された。
 全てがそれにしたがっていたかというと、そういうわけでもない。
 経済的な利害関係などが複雑にからみあったりして、全てがステイホームというわけにはいかなかった。
 このように国民全体を従わせるなんてとうてい無理。
 それより、協力者に具体的に働きかけ自粛をお願いするという次善策こそ効果があったといっていい。
 こうしたことも、行動改善のトリアージと言える。

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