新人には、営業で受注までこぎつけるのは夢のまた夢である。そうした「勝ち味」を経験するとしないでは大きな違いがある。そのような経験をさせる方法として、バックワード・チェイニングというやり方がある。
そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第52回目である。
【引用はじめ】
バックワード・チェイニング 一連の行動の連鎖(Chain)を、最後から逆順に強化してゆく
バックワード・チェイニングは、最初の行動からではなく最後の行動から逆順にやっていくものだ。
営業の例で言えば、新人にはまず、新規顧客から新規契約をいただくことではなく、既存顧客からリピート受注を得るところから仕事を始めさせるのである。
新人が、飛び込み営業で新規顧客を開拓し、そこから注文をいただき、さらにはリピート受注をいただけるようになるまでには、相当の期間がかかる。問題は、それまで、新人営業は「勝ち味」を覚えられないということである。注文をいただくことは可能なことであると思えるか思えないかで、営業担当者の姿勢や行動には微妙な差が出てくる。そしてその差が、その後の成果を左右する。
注文をいただいた経験のない営業担当者は、自分が注文をいただけると信じることができず、いわば「負けモード」で営業することになる。それでは、実際に注文をいただくことは極めて難しくなる。
舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.73~p.74
【引用おわり】
バックワード・チェイニングによって、一連の行動を身につけさせることは応用範囲が広い。
靴下を子どもにはかせる方法に使える。まず始めに靴下をはかせて、先端部だけ途中までしか上げない。それを子どもが引っ張り上げて靴下をはいたら強化する。
それができるようになったら、今度はくるぶしまで靴下をはかせて、子どもがそこから引っ張り上げてきちっと靴下をはくことができたら強化する。
それがきちっとできるようになったら、つま先まで靴下をはかせて子どもが一人で靴下をはけたら強化する。
最後に靴下を一人ではくことができたら強化するのだ。靴下をはくのに最後から逆順に、一連の靴下をはく行動を連鎖させるのである。
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