てきるだけ強化の機会を増やす工夫として、トークン(しるし、象徴)を用いるといい。トークンを一定量ためて価値あるものと交換できるようにするのである。
そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第74回目である。
【引用はじめ】
トークン
(直前)褒められない⇒(行動)良い仕事をする⇒(直後)褒められる 「一時的な強化」
(直前)カードなし ⇒(行動)良い仕事をする⇒(直後)カードあり 「トークンによる強化」
⇒景品交換・パーティー招待
強化をすれば、人は伸びる。これはシンプルかつ確実な真理である。問題は、いかに強化の機会を増やし、強化そのものを効果的に行うかにある。
小さな目標をたくさん設定せよ、というのは、強化の機会を増やす工夫というものもある。その一つがトークンだ。
トークンは「しるし、象徴」という意味であり、何か価値あるものを象徴する代替物のことである。たとえばポーカーチップなどは、代表的なトークンの一つだ。カジノで使われるプラスチック製のポーカーチップは、それ自体に物質的価値はほとんどない。けれど、それが後に貨幣と交換できるから、実質的に貨幣と同じ価値を人は感じる。つまりポーカーチップは貨幣の「しるし、象徴」として機能しているのである。実は貨幣そのものも、一種のトークンである。なぜなら、貨幣そのものは金属の塊か紙片にすぎず、食べることも着ることもできないからだ。
しかし人は、後に食べ物や服飾類や各種娯楽と交換できるから、貨幣に価値を感じるのである。
舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.99~p.100
【引用終わり】
トークンにはいろんなものがある。その代表が貨幣である。カジノで使われるポーカーチップもその一つだ。クーポンやカードなども価値あるものと交換できるなら、トークンである。トークンを使うことで強化の機会を増やすことができ、適切な行動を形成することができるようになる。