2021年4月29日木曜日

提案者が提案して良かったと思わせることが大事

 新しいアイデアを提案したからといって、それがすぐ取り上げられてわけでない。それなりに吟味されるのは当然である。そうなると、提案すること自体が消去される。そうしたことをなんとか防ぐやり方を工夫する必要がある。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第111回目である。

【引用はじめ】

提案に対して「検討しておきます」とだけ言われ、すぐには何の変化もないという状況は、どう変えたから良いでしょう。

規模の大きい提案ほど、また新規性の高い提案ほど、すぐには可決できません。だから誠実な対応として「検討します」と会社として言うわけですが、これでは残念ながら提案者の行動は消去されてしまいます。提案を即決する以外にも、提案者に充足感を感じさせる対応はあります。

たとえば、提案があったら、その検討をするためのアクションプランをその場でつくるといったことです。提案の可否を決めるために、何を調べたらよいか、提案の完成度を高めるために、誰と話したらよいか、そういったことのスケジュールを、即座にプランしてしまうのです。そうすれば、会社としての本気度が提案者にも伝わりますし、会社がそこまですると約束することは、とりもなおさず提案が評価されたということですから、提案者は「提案して良かった」と思うことでしょう。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.161~p.162

【引用終わり】

 新しい提案は、その場で取り上げられることなしに拒絶されてしまうようでは、提案自体されなくなる。

 まずは具体的に検討してみる方向性をその場で提示するのである。それがアクションプランと言われるものだ。いかに可能性があるものか追求してみるのである。もし、それがボツになったとしてもきちっと自分の提案が検討してもらったということで、次のアイデアを提案することにつながる。 

2021年4月28日水曜日

「できない理由」に対する代替行動を強化する

 新しいアイデアが出ると、「できない理由」を言う人がいる。こうしたことでは、新しいアイデアが出なくなる。こうなると、新製品開発なんておぼつかない。ルーティンを繰り返すのみで、惰性で動く面白くない組織になりがちだ。そうしない工夫が必要である。

 そういうことが繰り返されていることがないだろうか。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第110回目である。

【引用はじめ】

「できない理由ばかり言っても何も生まれないよ」などと注意しても、それだけでは、発言するという行動まで消去や弱化されてしまうおそれがあるので、ここでは代替行動を強化しましょう。

できない理由を述べる人に対して、「できる方法を述べる」という行動を強化することです。

また、アイデアに対して「面白いですね」というポジティブなリアクションをする。そして、「面白いですね」と言ったことに対し、あなたは同意したり笑顔で頷いたりする。そうすれば、このポジティブな行動が強化されることになります。

こうすれば、アイデアを提案したときに、できない理由を言われることがなくなり、かわりに「面白い」などと感心されたり関心を示されたりすることになります。そうなれば、提案するという行動は強化されます。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.160

【引用終わり】

 新しいアイデアが認められ、活かされる雰囲気を生み出す必要がある。それには、「できない理由」には、関心を向けない。

 新しいアイデアには積極的に関心を向け、「できる理由」をみんなで考えるようにする。アイデアをどんどん生み出す雰囲気をつくりだす、活気ある組織にするのである。 

2021年4月27日火曜日

「できない理由」を消去か弱化する

 新しいアイデアが出ないで困っている。それはどうしてなんだろう。

 「できない理由」に対して、強化してないか。また、新しいアイデアが提案されても、それを取り入れようしないなどの消去をしている。

 そういうことが繰り返されていることがないだろうか。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第109回目である。

【引用はじめ】

みんなから新しいアイデアがどんどん出てくるようにするにはどうしたらよいか。

新しいアイデアを出しても、他の人に「できない理由」を言われて否定される(弱化)か、「検討しておきます」とだけ言われてずくに何かが起きるわけではない(消去)か、いずれかの結果になることが多い。

「できない理由」を述べた人に、あなたは「なるほど」と感心している。それは、「できない理由を言う」という行動を強化していることになります。つまり、できない理由を言う人は、そうすると周りから感心されるから、言い続けているのです。

ですので、そこを変えます。できない理由を言う人がいても、あなたは感心しないのです。「ふうん」と聞き流すのです。これは消去にあたります。あるいは、「できない理由ばかり言っても何も生まれないよ」などと注意するのです。これは弱化にあたります。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.159~p.160

【引用終わり】

 新しいアイデアに対しては、積極的に反応することである。みんなで関心を向け取り上げることである。強化し続けて新商品開発に導いていくことが必要である。

 「できない理由」も出てきたら、その逆を考えてみることを促すのである。 

2021年4月26日月曜日

努力が報われる仕組みづくり

 新製品の開発がうまくいくようにするには、課題分析によってその途中経過の努力が報われるようにするといい。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第108回目である。

【引用はじめ】

普通の会社では、新製品開発に課題分析ごとに強化するなどまずやりません。特許取得も試作品の完成も、できて当たり前といわんばかりの扱われ方をします。

ですがそれでは、努力が報われる瞬間というのが、売り上げが立つまで訪れないことになります。しかも、新製品が売れるかどうかなど率直に言って神のみぞ知るですから、「当たる」か「はずれる」かは、誰にもわかりません。

そして、「当たり」が出れば報われますが、「はずれ」が出たら報われないで終わります。しかし、それではまるで博打です。

仕事は博打ではありません。ですから、仕事への報いを博打と同じにしてはいけません。努力したら努力しただけ必ず報われる仕組みを持たなければいけません。そうするからこそ、人は努力を重ねようとするのです。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.155

【引用終わり】

 新製品が開発されて売り上げがうまくいくまでには、いろんな困難がつきまとう。

 新製品が売り出されるまでのプロセスを課題分析して、個々の課題の成功を強化して進めることが大事だ。こうしたやり方は困難を克服しやすくし、新製品を生み出しやすくする。 

2021年4月25日日曜日

研究開発の課題分析

 新製品が生み出されるまでは、さまざまな段階があります。その製品が市場に出回って売り上げに貢献するようになるまでは、長い道のりがあります。その長い道のりを到達させるにはその時々の行動を強化することが必要です。そうしたことがあまり重視されていません。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第107回目である。

【引用はじめ】

新製品の開発を課題分析すれば、以下のような行動があることが分かります。

  1. 設計
  2. 技術開発
  3. ラボ試作
  4. 量産試作
  5. 市場投入 

 そして、これらの行動は、すべて強化が可能です。

  • 設計図が描けたら祝う。
  • 製作に必要な技術を開発し、特許を出願したらまた祝う。
  • ラボ(研究室内)でプロトタイプが試作できたら、さらに祝う。
  • ラボでの成果を踏まえ、工場で試作品が製造できるようになったらもっと祝う。
  • 市場投入のために、製造(工場への)移管が完了したら、盛大に祝う。

 こうしたことを、行動のたびにしてみてはどうでしょう。

 普通の会社では、こういうことは、まずやりません。特許取得も試作品の完成も、できて当たり前といわんばかりの扱われ方をします。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.154~p.155

【引用終わり】

 研究開発を推進するには、課題分析によって一つひとつの課題を強化することが必要です。そのことによって、順調な新製品開発が可能になります。 

2021年4月24日土曜日

最終成果は行動でない、成果に至る行動に着目すること

 研究開発で成果があがらず、どうしようもない気分になっている。最終的な成果はあがってないかもしれないが、途中経過の行動はどうだろう。結構、がんばっているはずである。

 その途中経過の行動に焦点を当てていくことで研究開発を進めていくことも大事だ。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第106回目である。

【引用はじめ】

 研究開発職での成果とは、新製品で売り上げをあげるということになる。

 ですが景気が悪いときには、なかなか新製品が売れず、周りからは「何でもっと売れる製品をつれないのだ」などと責められます。

 夜も寝ないで考えて、やっと作り上げた新製品が売れない。つくっても、つくっても、売れない。これでは閉塞感にとらわれても不思議はありません。

 新製品で売り上げを上げることが研究開発職にとって最終的な成果であることは、おそらく変えようがない事実でしょう。しかし、それまでは何の成果もあがっていないと思ってしまうのは間違いです。言うまでもなく、成果は行動ではありません。最終成果があがらないときに大切なことは、成果に至る行動に着目することです。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.153

【引用終わり】

 研究開発とは一石二鳥にいくものでない。失敗も多い。そうした失敗を糧にして、新しい工夫が見出される。

 最終成果は行動の所産から生み出されるものである。

 最終成果に至るまでの一つ一つの行動を強化してゆくことが重要である。

2021年4月23日金曜日

成果があがらない

  仕事の成果があがらず、働き甲斐がない。売り上げが伸びず職場の雰囲気もどよーんとしている。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第105回目である。

【引用はじめ】

 「成果があがらない」とはどういうことか。

 経済環境が悪ければ、営業職であれば売り上げを上げることが難しい。研究開発職もヒット商品を生み出すことがなかなかできない。しかし、私たちが懸命に働いているのに、何の成果もあがっていないはずは、本来ないはずです。働いたら働いただけ、何かができているはずです。そこをクローズアップすることが、職場のモラールを上げる一つの有力な工夫です。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.152~p.153

【引用終わり】

 仕事に対する取り組みがマンネリ化して意欲に欠ける。新しいアイデアもほとんど生み出されることもないまま、惰性で仕事を続けている。こんなことでは職場が活気づくわけがない。

 仕事に積極的に取り組んで、成果をあげる工夫ができるようになればいい。常に改善に取り組む職場づくりが必要だ。

2021年4月21日水曜日

働き甲斐を持てない職場とは

 仕事に対して、働き甲斐がないというのはどういうことか。それをまず明確にしておくことである。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第104回目である。

【引用はじめ】

 働き甲斐を持てない職場とはどういう状況か。

  • 成果があがらない(消去)
  • 充実感が得られない(消去)
  • 成長感が得られない(消去)
  • 自分や会社が成功する気がしない(消去)
  • お客様からクレームをつけられる(弱化)

 という消去と弱化ばかりがあるために、がんばって働かなくてはと頭では思いつつも、体や心のほうがいうことをきかないという状態になっています。

 そこで、これらの消去や弱化とを、できるだけ強化に転じるような策を講じたい。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.152

【引用終わり】

 働き甲斐がない職場においては、働くことに対して強化されないことが問題なのである。

 働いても成果があがらず消去や弱化になってしまう。

 それをどう逆転させるか。働くことが強化されるようにしたいのだ。

2021年4月20日火曜日

閉塞感とは無縁な職場づくり

 職場が活気あるものにしたい。そのためには、どんな風になっていればいいか。閉塞感を打破する状況とはどうなっているのか。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第103回目である。

【引用はじめ】

 毎日の仕事に働き甲斐が感じられず、新しいアイデアも出てこず、お互いが協力することもなく、人が次々と辞めてゆく職場は、たしかに閉塞感に満ちている。

 逆に、

  • みんなが日々の仕事に働き甲斐を感じ
  • いろいろな人からどんどんと新しいアイデアが出され
  • お互いに協力し、支え合いながら働き
  • 我先にと人が辞めてゆくようなことのない

 そんな職場をつくれれば、その職場は閉塞感とは無縁になるはずです。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.151~p.152

【引用終わり】

 職員がみな意欲的に取り組むような職場にしたい。

 働き甲斐のある職場になっているようにしなければ。互いに積極的に声がけや挨拶が飛び交う元気な職場である。互いに信頼し合い強い協力関係が成り立つ職場である。

 それには、報告・連絡・相談が密に行われるような職場でありたい。 

2021年4月19日月曜日

人が辞めるのはなぜか

 人が次々辞めたりするのはなぜだろう。どんな行動がそうしたことを触発するのか。単なる辞表を出すことに対する強化では理解できないメカニズムが働いているはずだ。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第102回目である。

【引用はじめ】

 働き甲斐がない、アイデアが出ない、協力し合わない、ということに並ぶ4つ目の問題は、人が辞めるということです。

 それは、辞める(辞意を表明する、辞表を出す)という行動が強化されているからでしょうか。

 強化とは、「ある行動をしたら、その直後に心地よさを感じた」という経験を何度も味わうことで、その行動の再現性を高まることを言います。つまり、その行動を何度も繰り返し、心地よさを何度も感じることが必要なのです。しかし、会社を辞めるというのは多くの人にとって何度もすることではありません。

 これは、一種のモデリングによるものと考えられます。つまり、同じ会社の他の人が辞めるのを見て、自分も辞めようと思い行動に移すということです。

 辞表を出した人を見ていると、それまでは会社に対する不満でいっぱいの顔つきをしていたのが、辞表を出した後は不満など忘れたすっきりした顔つきになっているのかもしれません。また、それまでは仕事のプレッシャーから常に眉間にしわを寄せていたのが、辞表を出した後はプレッシャーから解放された、すがすがしい表情になっているのかもしれません。あるいは、それまでは未来に対して希望が持てず暗い目をしていたのが、辞表を出した後は将来への希望で目が輝いているのかもしれません。

 そういう人を見てしまうと、それも次々に見てしまうと、「自分も辞めようかな」と思う、つまり辞めるという行動が引き起こされるのです。離職は連鎖するとよく言われますが、それは、このような心理的メカニズムによるものと思われます。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.149~p.150

【引用終わり】

 会社などにとって人が辞めるのは大きな痛手だ。一人が辞めると続いて辞める人が出てくることがある。辞めるという人がとてもすがすがしい顔つきをしているのを見て、自分もと思う人がいることは確かだ。会社内でさまざまな問題から解放されるからでもある。そうしたことが、辞表を出すことにつながる。 

2021年4月18日日曜日

互いに協力し合わないことの分析

 職場において、職員同士の協力がうまくいかないのはどうしてか。職場内で協力することに対して、強化されず、弱化や消去されているからである。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第101回目である。

【引用はじめ】

 みんながお互いに協力し合わないということについて分析しましょう。

 「協力する」という行動が消去または弱化されているわけです。具体的にはどのようなことが起きているのか。

  • 協力すると、自分の仕事(残業)が増える(弱化)
  • 協力すると、自分の目標が達成できなくなる(弱化)
  • 協力しても、会社には認められない(消去)

 このうち1番目と2番目は、会社が原因をつくってしまったという背景ががある。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.146

【引用終わり】

 なぜ協力関係がうまくいかないのか。

 協力すると残業が増えたり、目標が達成できなくなったりするからだ。協力することで、弱化されてしまう。これでは、互いに協力しなくなる。

 お互いに協力すれば仕事がはかどり仕事の質が高まるよう強化されるようにすれば良いのだが。 

2021年4月17日土曜日

新しいアイデアを提案して良かったと思える工夫が必要

 職場で新しいアイデアを提案することが強化されるようにしたい。すぐすぐ実現は難しいかもしれないが、積極的にアイデアだけでも提案する雰囲気づくりが重要である。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第100回目である。

【引用はじめ】

 たいていの提案は、メリットとデメリット、費用と効果を比較し、実現可能性も見極めながら、やるべきか否かを慎重に検討する必要があります。

 斬新なアイデアであればあるほど、そうなります。しかも、やると決まったことでも、すぐに実現できるものは少なく、準備にある程度の時間がかかるものも多い。だから、提案する側にとっては、すぐに実現されることを望んでも、現実にはその期待通りにはなかなかならないのです。

 提案者が「提案して良かった」と思える工夫はできる。

 ここで大切なのは、私たちがやりたいことは、新しいアイデアを提案するという行動を強化するのであって、アイデアを実現するということとは別の次元の話であるということです。提案者にとって、たとえ実現されなかったとしても、「提案して良かった。またこれからも、もっと新しいことを考えて提案しよう」と思ってもらえる工夫はあるはずなのです。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.144~p.145

【引用終わり】

 職員一人ひとりが、新しいアイデアを提案することを奨励する組織づくりをめざしたい。突飛なアイデアであっても、アイデアそのものを提案したことを認めるようにするのである。

 いずれそのうちからこれはというものが生み出される可能性があるから。

2021年4月16日金曜日

新しいアイデアが提案されなくなる

 職場において、新しいアイデアがなかなか生まれないし、提案がなされないのはなぜか。

 それは、そうしたことに対して、適切な対応がなされず、提案されたとしても、弱化や消去されてしまうのである。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第99回目である。

【引用はじめ】

 新しいアイデアが生まれない、提案されないという状態を行動分析学的に考えてみましょう。

 新しいアイデアを考えついても、提案されないものは存在しないのと同じです。提案されない理由は以下のようなことがあります。

  • 提案しても、「できない理由」を言われて否定される(弱化)
  • 提案しても、「検討します」と言われ、いつ結果が出るのか分からない(消去)

 つまり、どのようなアイデアを提案しても、否決か持ち越しになり、その場で採用されることはないというのです。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.143~p.144

【引用終わり】

 新しいアイデアを取り上げてもらえなければ、なあんだ無駄骨かと思ってしまう。そんなアイデアは無理だよ、もっと現実的なものを考えてなんて言われてしまう。せっかくのアイデアがボツにされてしまうのだ。

 本人にとってはいいアイデアと思って提案したのだが。こんなことが何度か繰り返されると、いくら提案してもダメだなということで、新しいアイデアを提案もしなくなるのである。 

2021年4月15日木曜日

「日々の仕事に働き甲斐が感じられない」とは   

 日々の仕事に対して、「働き甲斐」を感じることができないとは、行動的に解釈するとどうなるか。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第98回目である。

【引用はじめ】

 「日々の仕事に働き甲斐が感じられない」とは、どういうことか。

 働き甲斐というのも感覚を表す抽象的な表現です。これを行動的に解釈する必要があります。

 「働く」という行動が消去または弱化されていることです。それは次のようなことです。

  • 仕事をしても、成果があがらない(消去)
  • 仕事をしても、充実感が得られない(消去)
  • 仕事をしても、成長感が得られない(消去)
  • 仕事をしても、お客様からクレームをつけられる(弱化)

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.141

【引用終わり】

 「働き甲斐を感じられない」ということは、「働く」行動が強化されることなく、消去や弱化されているということだ。

 仕事という行動の直後に成果が上がらない。充実感も得られない。という風に消去が繰り返される。さらに、仕事したらその直後に顧客がクレームをつけてくれば、仕事という行動は弱化されることになる。

 こうしたことが続けば、仕事に対する「働き甲斐」を感じることができないのは当然である。 

2021年4月14日水曜日

閉塞感という雰囲気に包まれていることを行動的に解釈する

 職場が閉塞感に包まれている。そうした雰囲気をなんとかしたい。これだけでは、職場の雰囲気を変えることが難しい。そのためには、閉塞感とは具体的にはどういうことか行動的に解釈する必要がある。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第97回目である。

【引用はじめ】

 行動分析学マネジメントの基本の第一番目は、現状の問題を行動的に解釈することです。

 職場の組織内が「閉塞感」という雰囲気に包まれているというのだが、これは行動ではありません。雰囲気というものは目に見えない捉えどころのないものですから、それ自体を変えることはできません。あくまで人の具体的な行動を変えることで、職場の雰囲気は変わってゆくのです。

 ただ、閉塞感という職場全体の雰囲気は、ある特定の個人の行動だけに由来するものでないから複雑です。

 まず、閉塞感という漠然としたイメージを、具体的な状態にとらえ直す必要があります。たとえば、次のような職場の状態のことです。

  1. 日々の仕事に働き甲斐が感じられない
  2. 新しいアイデアが生まれない、提案されない
  3. みんなが互いに協力し合わない
  4. 人が辞める

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.140~p.141

【引用終わり】

 閉塞感といっても漠然としてわかりにくい。それを具体的な行動レベルで捉え直すことである。

 たとえば、仕事に熱心さが足りない。同じことばっかりでおもしろくない。互いに反目し合っている。長続きしない。こうした問題が多い。 

2021年4月13日火曜日

行動分析学マネジメントの基本

 職場などの組織を活性化するためには、どうするか。行動分析学による組織改革を考えてみよう。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第96回目である。

【引用はじめ】

 行動分析学マネジメントの基本

  1. 問題を行動的に解釈する
  2. 現在の行動の原因となっている強化や消去や弱化を明らかにする
  3. 行動を変えるための新しい強化/消去/弱化を計画し実行する

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.140

【引用終わり】

 行動分析学によるマネジメントの基本は、まず問題に関して行動として捉えることである。問題行動はどうなっているのか具体的に把握しなければならない。

 次にその行動の原因はどのように強化されているのか、あるいは消去なのか、弱化なのかを明らかにするのである。

 第3段階は、問題行動を変えるための新たな強化・消去・弱化をどのように実施するか計画するのである。

 こうした基本に忠実な対応が問題行動の変容を可能にする。 

2021年4月12日月曜日

発言を強化する

 職場のミーティングなどで部下が積極的に発言できるようにしたい。それには、発言の直後に強化するだけでなく、発言を促すためのきっかけをつくることである。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第95回目である。

【引用はじめ】

 ミーティングなどで発言するようにするには、どうしたらよいか。まずは行動のきっかけを与えましょう。

  1. ミーティングの初めに、「積極的に発言してほしい」と出席者に言う
  2. 他の出席者の発言を褒めたり傾聴したりする
  3. 対象者に「君の意見は?」と水を向ける

 ここでの2は、他の出席者の発言を強化しているわけですが、それを対象者に見せることで、発言すればこういう良いことがあるのだと知らせ、それにより対象者の行動を促そうとしています。

 また3は、言語的指示で、行動を促しています。このように促されれば、たいていの人は何か言うでしょう。そうしたら、その行動を強化するのです。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.130~p.131

【引用終わり】

 ミーティングにおける発言を促すために、きっかけになるような働きかけをすることが大事である。それに促されて発言した直後に強化することも忘れてはならない。言語指示、見本の提示、発言の指名などである。

2021年4月11日日曜日

目を伏せがちな部下に対して

  職場において、目を伏せがちな覇気がみられない部下に上司はどう対応すべきか。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第94回目である。

【引用はじめ】

 以前は目を上げると上司と目が合い、すると上司が仕事のことについてあれこれと聞いてくるので、それがうっとうしくて目を伏せていました。

 そこで、部下が目線を上げているとき、上司と目が合ったら、上司はただねぎらいの言葉をかけるようにしたらどうでしょう。それならば、うっとうしさもなく、自分のことを認めてもらえてうれしいと思うのではないでしょうか。

 逆に目を伏せているときに、「どうした?元気ないじゃないか。何か問題でもあるの? どうなっているのか、現状を説明して」などと聞いてはいかがでしょう。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.129

【引用終わり】

 上司は部下と少しでも目線が合ったら、ねぎらいの言葉をかけたりするなど心がけるといい。部下が元気なそうな態度が見えたら、上司は部下に対して自ら声をかけ相談に乗るなどしてみることだ。 

2021年4月10日土曜日

上司の意識と行動は職場に伝染する

  職場における挨拶一つもおろそかにできない。挨拶なんて当たり前でなく、上司自ら部下に対して、積極的に挨拶などの働きかけをすることによって職場の雰囲気を明るいものにする。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第93回目である。

【引用はじめ】

 目を伏せがちであるという問題に対する改善策を、行動変革フレームワークに基づき、行動のきっかけとなる刺激を使うことで考えてみる。

  1. 朝礼などで「下を向かず、目線を上げて働こう」と職場の人びとに呼びかける
  2. 目線を上げて働いている人を見つけたら、対象者が見聞きできるところで褒める
  3. 上司自身がいつも、うつむかず目線を上げているように努める

 挨拶にしても目線を上げることにしても、「きちんとやって当たり前なのだから、やっている人を褒めることなど必要ない」と思ってはいけません。

 元気な挨拶をしている人には、「お、きょうも元気だね!」などと言い、目線を上げて働いている人には「気合が入っていていいね」などと言う。そうやって職場の雰囲気をつくってゆくのが、職場の長の責任の一つです。

 もちろん、自らが手本を示すことも極めて重要です。上司の意識と行動は職場に伝染する。それくらいの気持ちでもって、日常の職場をマネジメントしていただきたい。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.127p.128

【引用終わり】

 前向きな職場を創り出すことに上司は精力を傾ける必要がある。挨拶は基本中の基本である。上司はその基本を忠実に部下に示すのである。そうしたことが職場内の雰囲気を明るくするのである。

2021年4月9日金曜日

きっかけ⇒行動⇒強化の三本柱で考える

 望ましい行動をするようにするにはどうするか。行動分析学では「行動変革フレームワーク」を使う。三つの動きによってとらえるやり方である。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第92回目である。

【引用はじめ】

 きっかけ⇒行動⇒強化の三本柱で考えるのが、行動変革の一つの「型」とも言えます。これを行動変革フレームワークと言います。

 行動変革フレームワーク

 きっかけ(望ましい行動を引き出す)⇒行動(対象者が行動する)⇒強化(強化する)

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.126~p.127

【引用終わり】

 望ましい行動をするために、三つの枠組みで捉える。まずは、望ましい行動を引き出す「きっかけ」を提示する。その「きっかけ」によって適切な行動をしたら、褒めたりするなどの「強化」をする。

 きっかけ⇒行動⇒強化という一連の経過によって、行動を変えようとするのが、「行動変革フレームワーク」である。 

2021年4月8日木曜日

行動変革フレームワーク

 覇気のない部下が適時適切に挨拶するようにさせたい。そのために挨拶するよう促す工夫はどうあるべきか。挨拶したらその直後に褒めるなどの強化するのがいい。

 しかし、それだけでは順調に挨拶するようになるかというとなかなか難しい。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第91回目である。

【引用はじめ】

 強化の工夫は、全て行動の後に行います。つまり、対象者が挨拶しない限り、強化はできません。そこで、行動直後の強化に加え、行動の前にも、行動を促すきっかけを作ってみることです。

 たとえば、

  1. 朝礼などで「お互いに、きちんと挨拶しよう」と職場のみんなに呼びかける
  2. 元気でいい挨拶をしている人を、対象者が見聞きできるところで褒める
  3. こちらから声をかけ挨拶する 

 特に2と3は、対象者から模倣という行為を引き出します。2では、褒められている人を見て、その人の行動を真似しようとします。3では、挨拶したあなたの行動を、相手が真似ることになります。そうやって挨拶という行動を引き出したうえで、強化するのです。

 このように、きっかけ⇒行動⇒強化の三本柱で考えるのが、行動変革の一つの「型」とも言えます。これを行動変革フレームワークと言います。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.126

【引用終わり】

 挨拶する行動を促すには、挨拶したらその直後に強化することは最も大事である。しかし、いつ挨拶するか分からずそれを待ってなどということになりかねない。挨拶をしやすいきっかけをつくるなども大事である。元気に挨拶している人を、みんなの前で褒めたり、相手に対してこっちから挨拶をするのである。挨拶を促すきっかけも必要だ。

  

2021年4月7日水曜日

相手のために笑顔を向ける

 笑顔の重要性に関し、もっと認識すべきである。ただ、自然に任せればいいということでは問題なのだ。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第90回目である。

【引用はじめ】

 「自然」という美名のもとに笑顔を自分のためにしかしない人は、たとえば自分の気分や体調がすぐれないときには、人から挨拶されても笑顔を向けることはないでしょう。「嬉しくも楽しくもないのだから、笑えないのは当然じゃないか」というわけです。

 しかしそれは社会人としては甘えであり、上司としては怠慢であると言わざるをえません。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.123

【引用終わり】

 自分中心のままでいると、自ら不調の時には仏頂面を決め込むことだってある。そうなると、相手は不快になってしまう。相手を思いやることを考えれば、笑顔を絶やさないことは大切である。 

2021年4月6日火曜日

笑顔の練習をする

 笑顔の練習などというと馬鹿にしてないでしょうか。笑顔なんていつでも簡単にできると考えがちです。相手を思いやることを考えたら、笑顔というものはとても大事なのです。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第89回目である。

【引用はじめ】

 皆さんは、笑顔の練習ということをしているでしょうか。挨拶を返すとか、ねぎらいの言葉をかけるといった言語的行動は、自分の声が自分にも聞こえる(フィードバックがある)ので、きちんとできているかどうかは自分自身でも分かります。

 しかし笑顔については、自分の顔の表情が今どのようになっているかは自分自身では分からないことが多いので、ここぞというときに良い笑顔ができるとは限りません。

 「笑顔は誰のためにするのか?」笑顔は自然に任せればよいという人は、笑顔というものを自分視点で、自分のためにするものと思っていないでしょうか。相手のために、相手を喜ばせてあげたいためにする、という視点が欠けてはいないでしょうか。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.122~p.123

【引用終わり】

 相手から好感を持てるようにする。それには、笑顔で接することがとても大事だと多くの人は思っているはずです。笑顔なんて別に練習も必要ない。自然にできると思っている。しかし、適切な笑顔は意外と難しい。そのためには、笑顔の練習なんて馬鹿にせず、鏡の前でやってみることだ 

2021年4月4日日曜日

笑顔で挨拶する

 覇気がないと言われている部下が挨拶しない。部下が挨拶するようにするにはどうするか。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第88回目である。

【引用はじめ】

 部下が挨拶しないのは、

  1. 挨拶しても、返事がなく無視される
  2. 挨拶をすると、相手にジロリと睨まれる
  3. 挨拶をすると、仕事について追及される 

 そこでまずは、上司から率先して、

  1. 部下が挨拶したら、必ず挨拶を返す
  2. 部下が挨拶したら、笑顔で頷いてあげる
  3. 部下が挨拶したら、「ご苦労さま」などねぎらいの言葉をかけ、その場では部下の仕事を追求しない

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.122

【引用終わり】

 部下が挨拶しないのは、上司によって無視されたり、睨んだり、追求されたりといった消去や弱化が部下の挨拶の直後に伴うからである。そこで、部下の挨拶の直後に、上司は挨拶を返し、笑顔で頷き、ねぎらいの言葉をかける。部下の挨拶の直後に上司の行動によって強化するのである。そうすれば、部下は挨拶するようになるのだ。

ゆっくり仕事をする理由

 部下は仕事がゆっくりで速くできないのだろう。上司はイライラしてしまう。そうした例が維持されるのはなぜか分析してみる。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第87回目である。

【引用はじめ】

 ゆっくり仕事をすると行動の結果として、次のようになる。

  1. 上司が「まだかね」と言わんばかりのイライラした目で見る
  2. 上司が他の人に仕事を振り分ける
  3. 優しい同僚が手伝ってくれる

 1は、「ゆっくり仕事をする」という行動に対する弱化にあたります。ですから多くの人は、上司からこのような目で見られないように一生懸命に仕事をしようとします。ですがいつも目を伏せがちな人は、上司の険のある表情を見ないで済むので、弱化の効果はあまりありません。

 2は、本人にとっては自分の仕事の負担が軽くなるわけですから強化となります。上司にとっては皮肉なことに、部下の仕事の遅さにイライラさせられた挙句にとった対処が、その部下のゆっくり仕事をするという行動をさらに強化していることになります。

 3は、本人にとって負担が軽くなるだけでなく、同僚の優しさに触れることもできて嬉しい気持ちになるので、強化の効果は大きいかもしれません。 

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.120

【引用終わり】

 以上のように部下は「ゆっくり仕事する」ことが認められる状況にある。上司から多少の小言に対してあまり意を介さない。仕事は他の人に代わってもらえる。また、同僚が手伝ってくれる。このように受身のままでなんとか問題が解決してしまうのだ。部下の仕事ぶりは従前のままで良くならないということである。 

2021年4月3日土曜日

発言しない理由

 覇気がないと思われている部下がミーティングにおいてほとんど自ら発言しようとしない。発言を促されてようやく発言しても上司などからほとんど認められるようなことがない。そうなると、ますます黙っていることが多くなる。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第86回目である。

【引用はじめ】

 ミーティングで発言しない理由はなぜか。分析すると次のようになる。

 実際のミーティングでは、全く一言も発せずに済むことはなく、「〇〇君は何かない?」と促され、発言はしています。ですが、促されない限り自分から自発的に発言することがなく、それが問題として認識されています。

 それでは、現状、ミーティングの場で(=先行条件)、発言すると(=行動)、何が起きているか(=結果)をABC分析してみましょう。

 この人が発言すると、結果として

  1. 出席者(特に上司)は、つまらそうな顔をして聞く
  2. 返答が必要な話の場合、答えをはぐらかされる
  3. アクションが必要な話の場合、「じゃあ、君やってくれ」と自分一人に負担がかかる
  4. 話の内容を十分に検討もせずに、即座に否定される 

 といったことが起きています。

 1は弱化です。2は、行動の前後で状況が何も変わらないので消去となります。3は発言前より負担が増してしまうので弱化となります。4も当然、弱化です。

 つまり現在の職場では、この人がミーティングで発言することを様々な形で消去や弱化していることが分かります。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.117

【引用終わり】

 普段からミーティングでの発言が期待されてない。そうした部下は自ら発言しようというしない。だから、積極的にミーティングに参加する態度がみられないとみなされてしまう。ミーティングで話される内容に関して、考えるモチベーションも低くなる。ミーティングに参加していることさえ、苦痛そのものとなったりするのだ。 

2021年4月2日金曜日

目を伏せるのはなぜか

 覇気のないと言われている部下が目を伏せがちである。人と話をするときでも、目を伏せがちだ。話しかけられるのが苦手なのである。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第85回目である。

【引用はじめ】

 覇気のない部下の場合、職場では目を伏せがちでいるのはなぜか。

 目を伏せれば、人と目が合いません。そして、話しかけられる機会も少なくなる。この人は人から話しかけられることが苦痛なのだ。

 だから、人と目が合わせず話しかけられないように、目を伏せるという行動が強化されている。裏返して言えば、同じ理由から「目を伏せずに目線を上げる」という行動が弱化されているとも考えられる。 

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.117

【引用終わり】

 人と話をしたり、話しかけられることがそもそも苦手という人もいる。そうなると、人から話しかけられないように相手と目を合わないようしてしまう。目を合わせないことが強化されることになる。目を伏せることが強化される。相手からは、いつも人と目を合わせず目を伏せがちなことを覇気がないなあと解釈される。 

2021年4月1日木曜日

上司の「お気に入り」の部下に対しては挨拶する

 お気に入りの部下に上司が挨拶を笑顔で「ご苦労さま」のねぎらいの言葉とともに返してくれる。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第84回目である。

【引用はじめ】

 お気に入りの部下が「おはようございます」と挨拶すると、上司は「おはよう」と返事をします。しかも自然と笑顔になっています。返事があることも、笑顔を向けられることも、部下にとっては強化にあたります。しかも、お気に入りの部下のときには、「いつもご苦労さま」という、ねぎらいの言葉つきです。これも強化です。

 上司の「お気に入り」の部下の場合

 先行条件(A)上司を見かけたとき

 ⇒行動(B)挨拶する

 ⇒結果(C)1  返事をしてもらえる(強化)

 ⇒結果(C)2  笑顔で見てもらえる(強化)

 ⇒結果(C)3 「ご苦労さま」とねぎらわれる(強化)

 

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.115~p.116

【引用終わり】

 部下の挨拶に対して、上司も適切な反応があれば、部下の挨拶は強化される。そうなると、いつもきちっと挨拶が返ってきて互いにいい関係を保てるようになる。部下にしても、覇気ある元気のいい部下として上司からみなされる可能性は高くなる。