新しいアイデアを提案したからといって、それがすぐ取り上げられてわけでない。それなりに吟味されるのは当然である。そうなると、提案すること自体が消去される。そうしたことをなんとか防ぐやり方を工夫する必要がある。
そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第111回目である。
【引用はじめ】
提案に対して「検討しておきます」とだけ言われ、すぐには何の変化もないという状況は、どう変えたから良いでしょう。
規模の大きい提案ほど、また新規性の高い提案ほど、すぐには可決できません。だから誠実な対応として「検討します」と会社として言うわけですが、これでは残念ながら提案者の行動は消去されてしまいます。提案を即決する以外にも、提案者に充足感を感じさせる対応はあります。
たとえば、提案があったら、その検討をするためのアクションプランをその場でつくるといったことです。提案の可否を決めるために、何を調べたらよいか、提案の完成度を高めるために、誰と話したらよいか、そういったことのスケジュールを、即座にプランしてしまうのです。そうすれば、会社としての本気度が提案者にも伝わりますし、会社がそこまですると約束することは、とりもなおさず提案が評価されたということですから、提案者は「提案して良かった」と思うことでしょう。
舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.161~p.162
【引用終わり】
新しい提案は、その場で取り上げられることなしに拒絶されてしまうようでは、提案自体されなくなる。
まずは具体的に検討してみる方向性をその場で提示するのである。それがアクションプランと言われるものだ。いかに可能性があるものか追求してみるのである。もし、それがボツになったとしてもきちっと自分の提案が検討してもらったということで、次のアイデアを提案することにつながる。