部下は仕事がゆっくりで速くできないのだろう。上司はイライラしてしまう。そうした例が維持されるのはなぜか分析してみる。
そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第87回目である。
【引用はじめ】
ゆっくり仕事をすると行動の結果として、次のようになる。
- 上司が「まだかね」と言わんばかりのイライラした目で見る
- 上司が他の人に仕事を振り分ける
- 優しい同僚が手伝ってくれる
1は、「ゆっくり仕事をする」という行動に対する弱化にあたります。ですから多くの人は、上司からこのような目で見られないように一生懸命に仕事をしようとします。ですがいつも目を伏せがちな人は、上司の険のある表情を見ないで済むので、弱化の効果はあまりありません。
2は、本人にとっては自分の仕事の負担が軽くなるわけですから強化となります。上司にとっては皮肉なことに、部下の仕事の遅さにイライラさせられた挙句にとった対処が、その部下のゆっくり仕事をするという行動をさらに強化していることになります。
3は、本人にとって負担が軽くなるだけでなく、同僚の優しさに触れることもできて嬉しい気持ちになるので、強化の効果は大きいかもしれません。
舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.120
【引用終わり】
以上のように部下は「ゆっくり仕事する」ことが認められる状況にある。上司から多少の小言に対してあまり意を介さない。仕事は他の人に代わってもらえる。また、同僚が手伝ってくれる。このように受身のままでなんとか問題が解決してしまうのだ。部下の仕事ぶりは従前のままで良くならないということである。
0 件のコメント:
コメントを投稿