2020年7月30日木曜日

自発的回復

 弱化されて減少した行動を元に戻すには、どうするか。
 消去された行動もやり方しだいでは回復することもある。
 このことについて、舞田本では次のように述べている。 
 舞田・杉山氏の共著書の紹介は、通算で219回目となる。

【引用はじめ】


 部下が成果の報告をしても、褒められることも関心を示されることもない。
 これは消去の手続きだ。
 しかし、そんな毎日を過ごしていても、人は時にまた頑張ろうと奮起して一時的に行動を起こす。
 これが自発的回復だ。
 自発的回復が起きたときに、すかさずその行動を強化すれば、行動は再び増加する。
 けれど、それをせずに、ひたすら消去が長い間続いてしまうと、人はもう行動を起こさなくなる。
 自発的回復の力が失せてしまうのだ。

 自発的回復=消去によってしなくなった行動が、一時的にまた起こるようになること。消去を続けていくにつれて自発的回復はなくなる。

 (舞田竜宣 + 杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.96~p.97、2008年、日本経済新聞出版社刊)
                     
【引用おわり】

 部下の報告に今まで全然関心を向けなかった。
 しかし、部下の報告に少しでも関心を向けられたりすると、再び報告する行動が増える。
 それでも、その後は関心を向けることがない。
 そうしたことが続けば、ほとんど報告する行動はなくなるのだ。
 消去の手続きが続くと新たな行動は生まれなくなる。

復帰

 弱化されて減少した行動を元に戻すには、どうするか。
 このことについて、舞田本では次のように述べている。 
 舞田・杉山氏の共著書の紹介は、通算で218回目となる。

【引用はじめ】


 復帰=これまで弱化されていた行動に対して、弱化の随伴性を中止すると行動は増加する。

 行動は弱化されれば減少する。
 だから、弱化の随伴性がなくなれば行動は元に戻って増える。
 会社の社員にとっては、何かしたり行ったりしても部長からは追及や否定の言葉しか返ってこないのであれば、むしろ何も言われないほうが頑張れる。
 これが復帰の原理だ。
 つまり、もともと積極的に活動する人ならば、弱化をやめれば、行動は活性化する可能性があるのである。

 (舞田竜宣 + 杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.96、2008年、日本経済新聞出版社刊)
                     
【引用おわり】

 会社の部長が部下に対して、否定的な発言を続ければ、前向きな発言などの行動が減少する。
 こうなれば、部下も指示待ちで消極的な行動が増え、ますます部長の部下に対する発言も否定的なものが増える。
 悪循環に陥り、組織もどんよりした雰囲気に包まれる。
 こうした弱化の随伴性を取りやめるだけで、雰囲気が変わり得る。
 部長の否定的発言がなくなるのが一番いいのだが、それが難しければ部長の配置替えなども考慮する必要がある。

2020年7月28日火曜日

職場の雰囲気が沈滞している

 職場の雰囲気が沈滞している。
 雰囲気の沈滞をどのようにとらえるか。
 このことについて、舞田本では次のように述べている。 
 舞田・杉山氏の共著書の紹介は、通算で217回目となる。

【引用はじめ】


 会社の中で問題になるのは、部長の部下の扱いによって、職場の雰囲気が沈滞していることだ。
 しかし、沈滞した雰囲気というのは行動ではない。
 沈滞した雰囲気を打開、活性化するために必要なのは、社員の適切な行動を増やすことである。
 したがって、まず考えられる基本的戦術は、部長のように、部下の行動を弱化や消去することではなく、望ましい行動を適切に強化することだ。
 具体的には、
 ① 開発が少しでも進んだら部下を褒める。
 ② 普段においても部下が活動していたら関心を示す(質問するなど)。
 ③ 部下の試行錯誤に対して自分なりの示唆をしてみる、などである。

 (舞田竜宣 + 杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.95、2008年、日本経済新聞出版社刊)
                     
【引用おわり】

 職場の雰囲気が沈滞しているを状況をどのように変えるか。
 積極的で意欲的な雰囲気をどのように作り出すか。
 それには、強化の随伴性が必要である。褒めたり、関心を示したり、適切なアドバイスをしたりなどを適時・適切に行うのである。