2021年8月16日月曜日

発言しないのは「消極的」だからか?

 新人が会議でほとんど発言することがない。消極的だ、ゆとり世代だからと決めつけられる。それは本当だろうか。こんなことをいったからと言って、その新人の発言も多くなることはない。

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第45回目である。

【引用はじめ】

 新人のFくんは、会議ではあまり発言しません。まわりからは、消極的な人だと言われています。ゆとり世代だからダメなんだ、という声もあがっています。Fくんの行動をどのように改善したらよいのでしょうか?

まず、「消極的な人」ということは、循環論になって、レッテルを貼っている状態です。会議で発言しないという行動傾向を、別の主観的表現で言っているだけですね。「ゆとり世代」というのもレッテル貼りです。

改善の可能性を少なくしてしまっているだけで、これらのレッテル貼りの表現は決して行動の原因ではありません。

この考え方だと、おそらく、Fくんの内面を積極的にして、会議で発言できる人にしよう、という取り組みになるかと思います。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.62

【引用終わり】

 あの新人は、消極的だから会議での発言が少ないんだ。じゃー、会議での発言が少ないのはなぜなんだ。それは、あの新人が消極的だからだ。ん?、こんな風に循環論に陥るのがおち。

 ただ、発言が少ないことを、消極的と言い換えているに過ぎない。発言が少ないことの原因が明らかになっていない。これでは、発言が少ないことをどうやれば改善できるかが明確にできない。 

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