専門の支援者を育てる話の20回目。
「豊かな人間性」を支える資質として「利用者の利益の最優先」といったことに配慮しなければならない。
そのことに関して、川村隆彦氏(2006年)は次のように主張する。
【引用はじめ】
「虐待」などの権利侵害をしないことだけが、利用者の利益を最優先することではない。
本来、権利侵害をしないことはあたりまえで、利用者のためになる、それ以上の支援を行うことが利益を最優先することである。
しかし現実には、支援者が権利侵害に陥るケースは減っていない。
問題を抱える人々は、社会的にも経済的にも力が弱められている。
支援者は、自分の専門的な能力や立場を、こうした人々を支え彼らの力を強めるためにこそ用いるべきである。
もし支援者が未熟さや怠惰なために自分の能力を十分に出せなかったり、意図的に自分の利益や満足のために濫用するならば、たとえその選びがどんなに小さなものでも、利用者の権利を侵害する道を進み始める。
(川村隆彦著「支援者が成長するための50の原則」p.53、2006年、中央法規出版刊)
【引用おわり】
支援者の存在は、利用者あってのものである。
利用者のためになる適切な支援がなされてこその支援者なのだ。
あれもできない、これもできないと利用者をさげすむ態度は、支援者失格である。
利用者の今ある姿を受け入れることだ。
そこから、次への方向性を見いだすのが専門的な支援者といえる。
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