課長さんは部下との関わりがうまくいかない。部下を褒めることをしない。その理由はどういうものか。分析してみる必要がある。褒めることが消去されたり、弱化されているのは何かということである。
そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第128回目である。
【引用はじめ】
課長さんが部下を褒めないということについて分析しましょう。
- 「褒められたくて仕事をするようではプロとは言えない」
- 「褒められても、部下はちっとも嬉しそうな顔をしない」
- 「褒めてみたら、『自分がやるしかないでしょう』と、課長である自分の頼りなさを皮肉られた」
1番目は、課長の考え違いです。仕事をするのは、お金を稼ぐため、家族を養うため、お客様に喜んでいただくためなど、さまざまな尊い理由があるでしょう。褒められてうれしいからがんばるなどというのは、理由としては子どもじみていると思われるかもしれない。
でも、子どもががんばる理由というのは、人ががんばる原初的な理由でもあります。そこには人を動かす真実があるのであって、決して馬鹿にしてはいけません。
一方、2番目と3番目の発言については、課長にとってお気の毒というべきでしょう。褒めても部下が嬉しそうな顔をせず無表情のままであったら、褒めるという行動は消去されます。褒めても皮肉が返ってくるようでは、褒める行動は弱化されます。
舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.177
【引用終わり】
課長さんは、部下の仕事に対して褒めるなんて必要ないと思っている。仕事をするのはプロだから当たり前との思いが強い。また、部下は課長さんが褒めても嬉しそうにしない経験があればなおさらだ。さらに輪をかけて、たまに部下を褒めたりすると、「自分たちがやるしかない」などと皮肉交じりの言葉を言われたりするのだ。こんな消去や弱化の経験が続けば、部下を褒めることはほとんどなくなってしまう。
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