新製品の発売に関して、「この製品はお客様に受けない」と悲観的に主張する課長さんがいる。なぜそうしたことを主張するのだろう。こうした悲観的な主張が強化されているためだと考えられる。
そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第123回目である。
【引用はじめ】
新製品を発売する際に、「これは、あまりお客様には受けないのではないか」と言ったとしましょう。果たしてほんとうにお客様に受けるか受けないかは、現時点では誰にも確実なことは分かりません。
ですが、もし発売後、実際にお客様に受けなかったとしたら、彼は「やはり予想通りだった」と自分を正当化することができます。
お客様に受けないということは良くないことですが、たとえそうだったときでも、自分は正しかったと主張できる一種の保険をかけられるわけです。
そして、予測が外れてお客様の受けが良かったときには、期待以上に業績が上がったという点をクローズアップすればよいわけです。
どっちに転んでも損はない。悲観的な発言には、こうした安心感が伴うわけです。
舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.173~p.174
【引用終わり】
課長さんによる悲観的な主張が、予想通り当たったら、自分の主張が正しかったとなる。さらに予想が外れて逆にヒットしたとしても、自分の主張より期待以上になったとすればいい。何ら悲観的な主張が問題だったわけでないとなる。結局、いつまでも悲観的な主張が課長としての信条になってしまうということである。悲観的な主張が正当かどうかなど関係ないことになる。
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