2021年7月23日金曜日

個人の内面に「意識メーター」は存在しない

 自律型社員を育てるには、「やる気」や「意識の高さ」といったことを問題にする考え方が多い。問題の原因は、個人の内面だから、その内面を改善しようとする。

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第24回目である。

【引用はじめ】

 「やる気」や「意識の高さ」、「情熱」や「想い」などが大事であって、それを引き上げていけば、きっと自律型の良い社員になる、という考え方がやはり主流なのです。

 しかし、それでうまくいっていないケースは本当に多く見かけます。そもそも、心のなかを原因とすると、すべて結果論でいくらでもいうことができてしまいます。

 うまくいけば、「意識が高まったから」といえますし、うまくいかなければ、「まだまだ意識が低いから」といえます(循環論に陥っている状態です)。

 人のどこかに「意識メーター」なるものは存在していないのです。目に見えないメーターがあるとしても、それはまわりがいくらでも主観で決められるものなのです。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.44

【引用終わり】

 個人の内面に関する「意識」が高まればうまくいくし、「意識」が低下すればうまくいかないと、「意識メーター」の高低いかんが問題行動を変えるというのは、結果論にしか過ぎない。

 物事の結果を見て言っているだけであり、因果関係の説明にはなっていない。これでは問題行動の改善にはなんの役立つものでないのだ。

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