自律型社員を育てるには、「やる気」や「意識の高さ」といったことを問題にする考え方が多い。問題の原因は、個人の内面だから、その内面を改善しようとする。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第24回目である。
【引用はじめ】
「やる気」や「意識の高さ」、「情熱」や「想い」などが大事であって、それを引き上げていけば、きっと自律型の良い社員になる、という考え方がやはり主流なのです。
しかし、それでうまくいっていないケースは本当に多く見かけます。そもそも、心のなかを原因とすると、すべて結果論でいくらでもいうことができてしまいます。
うまくいけば、「意識が高まったから」といえますし、うまくいかなければ、「まだまだ意識が低いから」といえます(循環論に陥っている状態です)。
人のどこかに「意識メーター」なるものは存在していないのです。目に見えないメーターがあるとしても、それはまわりがいくらでも主観で決められるものなのです。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.44
【引用終わり】
個人の内面に関する「意識」が高まればうまくいくし、「意識」が低下すればうまくいかないと、「意識メーター」の高低いかんが問題行動を変えるというのは、結果論にしか過ぎない。
物事の結果を見て言っているだけであり、因果関係の説明にはなっていない。これでは問題行動の改善にはなんの役立つものでないのだ。
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