「あの人はだらしない性格だ」などと個人を表現する。この「性格」という表現は、一つひとつの行動事実の傾向をまとめて表現した概念である。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第11 回目である。
【引用はじめ】
遺伝などの影響で、行動することの原因には多少はもって生まれたものがある。しかし、それよりも後からの環境によって形成されてくるもののほうが、ほとんどなのです。そして、後から形成されるものは、そのときの環境によって、適応するために変容するものなのです。
その行動事実の傾向を、「性格」とか「人間性」という、まとめた概念で表現しています。その概念があるおかげで、行動事実をまとめて伝えられるという、コミュニケーション上のメリットがあるわけです。
したがって、会話のなかで「あの人はだらしのない性格だ」と表現すること自体は、もちろんOKです。
しかし、「だらしない」という性格は決して原因ではなく、行動の傾向を表現しているものだということなのです。そのことを理解しておく必要があります。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.23~p.24
【引用終わり】
あの人は遅刻が多い、報告が遅いなどがあると、「だらしない性格」だと言いがちである。性格をなんとかしないとダメだ決めつけたりする。原因を性格にしてしまう。「だらしない性格」だから、遅刻するのだとなる。
じゃー、「なぜ遅刻するの?」となると、「だらしない性格」だからとなる。えっ、原因と結果がぐるぐる循環しているだけ。これでは、何も言っていることにならない。原因が明らかにならないのである。
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