2021年7月5日月曜日

原因と結果が循環している

   Aくんの報告がいつも遅くて問題になっている。どうして報告が遅いのだ。それはだらしがないからと決めつけられる。だらしがないというのは、どうしてわかる。それは報告が遅いことからわかる。原因と結果がぐるぐる循環した言い方になっている。

 そのことについて、榎本氏、次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第8回目である。

【引用はじめ】

 「人間性・性格・気持ち・意識」など、個人の内面を原因にすることの最大の問題点は、「循環理論」に陥ることです。

 「循環理論」とは、「原因」と「結果」が循環してしまっている状態のことをいいます。

 たとえば、次のようなことです。

 報告が遅いAくん。さて、なぜAくんは報告が遅いのでしょうか?

 Aくんがだらしないから。Aくんは社会人の意識が低いから。Aくんには危機感がたりないから。

 まさしく、問題行動を個人の内面に原因づけをしています。

 では、どうしてAくんはだらしない、と思ったのでしょうか?

 それは、Aくんの報告が遅いという「行動事実」をみて、そう感じたからです。つまり、ここで原因と結果がお互いに循環してしまっているのです。

 榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.20~p.21

【引用終わり】

 上記のように原因と結果が循環していることでは、原因を明らかにしていることにはならない。ただ、分かったつもりになっているだけだ。Aくんの報告が遅いことを変えることにはつながらない。

 Aくんはだらしないといったところで、報告が遅いことを変えることにはならないのだ。問題は報告の遅さなのだから、それを変えるにはどうすれば良いか考えるべきである。 

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