個人の内面に問題があるとして、部下を決めつける。やる気が足りない、意欲不足だからだと言ってしまう。こうした個人の内面を問題することで問題は解決しないから困ってしまう。
そのことについて、榎本氏、次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第7回目である。
【引用はじめ】
部下の育成がうまくいかないことに対して、個人の内面(人間性・性格・気持ち・意識など)に、原因を求めてしまう。
すると、なんと楽で便利なことでしょうか。
やる気がないからできない、意識が低いからやらない、危機感がないから動かない…。
このように、うまくいかない原因を、人の内面的なものに結びつけて原因づけすると、何やらそこで問題の答えが確定でき、終わったような感じになります。
うまく人材育成ができない悩みが、ここで一度落ち着くのです。しかも、目に見えないことなので、誰も明確には否定できません。
どうしてうまくいかないんだろう、という悩みは、原因を見つけることでいったん解決し、ここから、人の内面を何とかしようというマネジメントが生まれてきます。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.19
【引用終わり】
部下が仕事をうまくできないのはなぜか。意識が低いからだ。それでは、意識が低いのはなぜか。仕事ができないからだ。
えっ、仕事ができないことについて、きちっと説明できていない。結局、循環論になっているためだ。こうした意識が低いなどという個人の内面で仕事のできない理由を説明しまうと、単なる繰り返される循環論に陥る。説明にはなっていないのだ。
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