舞田氏は、自らの行動をコントロールするための手順について、6つあげている。
1つ目が「標的行動を定義する」、2つ目が「行動を記録する」、3つ目が「ベースラインをとる」、4つ目が「グラフをつける」、5つ目は「新しい随伴性を導入する」ことだった。
最後の6つ目にあげるのが次のような「随伴性を改良する」ことである。
舞田氏による著書の紹介は第126回目である。
【引用はじめ】
せっかく工夫した人為的な随伴性も効果があまり見られないこともある。
何日か続けても行動に変化がないようなら、さらに工夫して随伴性を改良する。
筆者は過去19年間、自己管理のプロジェクトを課題とする講義を持っている。
履修学生は3か月の間、自分が直したい行動を取り上げ、毎日記録をとり、グラフを書き、自己管理のための人為的な随伴性を考え、行動を修正し、レポートを提出する。
その中で、衝動買いをやめるプロジェクトに取り組んだ学生のことは忘れられない。
夏休みの海外旅行を目指して貯金したいが、ショッピングも好きで目についたものを衝動的に買ってしまい、貯金はほとんどない。
そこで、一日に使う金額を決め、制限金額を守る行動を自己強化したところ、目標通り着々と貯金残高が増えていった。
夏休みが近づいたある日、「ところで、旅行はどこに行くの?」と聞いてみると、言いにくそうな様子で、「実はやめようかと思うんです」と答える。
何か家の事情でもできたかと深くは追及しないでいたところ、真相は次のようなものであった。
「貯金がだんだん貯まってくるのを通帳で毎日見ていたら、もったいなくてとても使う気になれなくなった」と言うのである。
「ついこの間まで衝動買いばかりしていた自分が、まさかこれほど変わるとは信じられません!」
(舞田竜宣 + 杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」 p.281~p.282、2008年、日本経済新聞出版社刊)
【引用おわり】
上記のように「衝動買い」という本人にとって、切実な問題を自己管理の手順によって「貯金」できるようになった。
それは具体的にどんな手順だったか。
① 一日に使う金額を決めた。
② 一日に使った金額を記録した。
③ 一日に使え金額を制限をすることなしに1週間ぐらい使った金額を記録した。
④ 使った金額をグラフに書き込んだ。
⑤ 一日に使った金額が制限内の時には自らをほめた。
⑥ 一日に制限以上の金額になったので、制限内の金額を達成したら大好きなスイーツを食べることにした。
こんなふうな手順によって、衝動買いしなくなったかもしれない。もちろん、これは私流の仮想自己管理手順である。
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