2021年1月22日金曜日

消去は一直線に起こるわけでない

    人の行動を消去するといっても、単純にはいかない場合がある。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第18回目である。

【引用はじめ】

 (今までずっと)直前「相手がこちらを見ない」⇒行動「相手に声をかける」⇒直後「相手がこちらを見る」

    ↓

 (それがいきなり)直前「相手がこちらを見ない」⇒行動「相手に声をかける」⇒直後「相手がこちらを見ない」

 消去は人の行動を「消し去る」わけだが、それは一直線に起こるわけではない。

 普段、私たちが誰かに声をかけると、その人はこちらを見てくれる。逆にいえば、こちらを向いてくれるから、私たちはその人に声をかける。つまり「こちらを見てくれる」ということが、声をかけるという行動を強化している。だから、声をかけてもこちらを見てくれない(無視する)人に対しては。こちらも声をかけなくなる。

 いつもこちらを見てくれることが、今回は声をかけてもこちらをみてくれなかった。そして、相手がこちらを見てくれるまで、何度か声をかけ続けたり、声を大きくしたりする。

 舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.29~p.30

【引用おわり】

 「強化」する場合、行動の直後の状況を変えることで、新たな行動を形成する。それも一回で形成するわけでない。一定の回数を繰り返す必要がある。

 それと同様、行動を消去する場合も、消去する状況を繰り返す必要があるのだ。行動の直前と直後の状況が変化しないということである。 

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