生まれもって行動を促す刺激は、「生得性」のものであり、さまざま経験によって生み出される刺激が、「習得性」とよばれるものである。「習得性」の刺激は人によって異なるのである。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第74回目である。
【引用はじめ】
習得性の場合、人によっては好子として働いても、別の人には好子にならないケースもあり得ます。嫌子も同様です。
みんなの前で褒められることが好子だと思って褒めてあげても、その人が以前、みんなの前で恥をかかされた経験などがあり、それと似たような状況になることで、褒められることが嫌子として働くこともあったりするのです。
食べ物の好き嫌い、嗜好品の好き嫌い、注目されること・目立つことの好き嫌い、趣味の好き嫌いなどについても同様です。
これらは、育ってきた過程のなかで、たまたま他の好子と一緒に出てきたために好子になったり、逆に他の嫌子が出てきたときに同時に出たりして嫌子としての機能をもったりするなどして形成されているのです。
本当に好子なのか、それとも嫌子なのか、あるいはどちらでもないのか、実際に行動が強化されるか、弱化されるかで初めて明らかになるものでもあるのです
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.83~p.84
【引用終わり】
人は多くの経験を積み重ねて学んでくる。その経験が好子になるものもあるし、嫌子になるものもある。
その人にとって好子となる刺激であれば、行動が強化され、その行動は繰り返されるようになる。たとえば、とても甘い口当たり良い果物だったら、大好きになる。
それが逆に苦くて口当たりがよくない野菜だったら、嫌いな食べ物となり二度と口にしなくなる。こうしたことにより、「習得性」の刺激が決まってくる。
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