仕事(しごと)が 上手(じょうず)に なるとは
どういう こと だろう。
みそだねを しそで きれいに まく ことが できた。
しそまきの 形(かたち)が きれい。
しその まきかたの 失敗(しっぱい)が 少(すく)ない。
しその まきかたが 早(はや)く できる。
上手(じょうず)に なるとは
失敗(しっぱい) しないで 早(はや)く できる ことです。
仕事(しごと)が 上手(じょうず)に なるとは
どういう こと だろう。
みそだねを しそで きれいに まく ことが できた。
しそまきの 形(かたち)が きれい。
しその まきかたの 失敗(しっぱい)が 少(すく)ない。
しその まきかたが 早(はや)く できる。
上手(じょうず)に なるとは
失敗(しっぱい) しないで 早(はや)く できる ことです。
私たちは、周囲の環境いかんで行動のあり方が変わってくる。「おはよう」の挨拶を積極的にするようになる子は、周りの大人が「おはよう」とちゃんと返してくれる環境があったからである。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第149回目である。
【引用はじめ】
「強化履歴」とは、その人が生まれてきてからいままで、どのようなことに強化されてきたか、という歴史のことです。人は数限りない行動の強化を積み重ねて生きています。そして、「強化されることは、その後もより強化されやすい」という現象があります。
たとえば、小さいころに、近所の大人に対し「こんにちは!」と大きな声であいさつをした子どもKくんがいました。
「こんにちは。おりこうさんだね」と、近所の大人は声を返しました。この返事が好子となって、行動が強化されます。
Kくんはあいさつをたくさんするようになり、「積極的」で「元気な子」とまわりから言われて、育っていきました。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.179
【引用おわり】
小さい頃から「おはよう」の挨拶をして、近所の大人が「おはよう」と言ってくれる。そして、「えらいねえ」などと褒められる。そうした経験を繰り返している。
「おはよう」という行動が強化される経験を何度も繰り返している。そうなれば、近所の人たちは、あの子は「いい子で、明るく元気だ」となる。
これが、強化履歴が良かったということだ。
仕事(しごと)を 楽(たの)しく する。
仕事(しごと)を 進(すす)んで する。
できなかったら どうするか 聞(き)く。
わからなかったら どうするか 聞(き)く。
そうして 仕事(しごと)が 少(すこ)しずつ
上手(じょうず)に できるように しよう。
社員などのそれぞれの違いは、「性格」によるものだという考え方が一般的だ。しかし、そうしたレッテルによって理解したとしても、なかなかその改善にはつながらない。
今までの環境の違いがそうした違いを生み出したといった考え方によって、改善を図ろうとするのが私たちのやりかたである。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第148回目である。
【引用はじめ】
「人の行動は環境によって引き起こされて、繰り返すようになる」というのがABA(応用行動分析学)の原則的な考え方です。同じ改善策を実施しても、人によって効果が出る・出ないには差があり、それぞれに適した改善を行っていかなくてはなりません。
この人の個による差は、一般的に「性格」によると言います。しかし、ABCマネジメントでは、「性格」というような先天的なイメージのレッテルでとらえないようにし、「強化履歴」と「文脈」の違いという考え方をします。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.178~p.179
【引用おわり】
個人の違いを「性格」などでとらえず、環境の違いでとらえるとはどういうことか。
今までの「強化履歴」はどうだったのか。個人の行動をしたときの「文脈」はどうだったのか。こうしたことによって、個人個人の違いをとらえようとするのである。
そうしたことを把握し、行動の改善に結びつけるやり方である。
仕事(しごと)を たのしく できるには どうすれば いいか。
仕事(しごと)を すすんで すること です。
仕事(しごと)の しかたが わからなかったら どうしますか。
おしえて もらいましょう。
ていねいに おしえて くれます。
それでも わからなかったら くりかえし ききましょう。
できるように なるまで なんども ききましょう。
社内の社員といっても、一様ではない。いろんな人がいて、いろんな違いがある。それぞれに対して、どうすればよいか悩みもあったりする。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第147回目である。
【引用はじめ】
次のような社員に対して、管理職がどのように対応したらいいのか、非常に困っている、という声をよく聞きます。
人による違いを考慮しながら、改善を図っていく必要があります。
「人の行動は環境によって引き起こされて、繰り返すようになる」というのがABA(応用行動分析学)の原則的な考え方です。同じ改善策を実施しても、人によって効果が出る・出ないには差があり、それぞれに適した改善を行っていかなくてはなりません。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.178
【引用おわり】
一人ひとり困った社員に対して、どうすれば改善が図れるか。
同じ改善策を実施しても、うまくいく場合も、いかない場合もある。相手に合わせた改善策を考慮することが大事だ。
その効果的な改善策とはどうすべきか。適切な行動に着目して、その直後に好子(例えば、褒め言葉)によって強化するのである。それを繰り返して、適切な行動を増やすことだ。
毎日(まいにち) の しごと たのしく やっていますか。
しごと いっしょに やっている 人(ひと)たちとも なか いいですか。
たのしく しごと できると いい。
たのしく なかまと いっしょに やれると いい。
毎日(まいにち) そうなると いい。
なかまと はげましあって たのしく やろう。
部下が望ましい行動をしたら、すぐに上司はそれに対して「いいね」などの反応をしてくれる。そうしたことがあれば、とても嬉しい。こうした繰り返しのある組織だと、とても明るい職場となる。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第146回目である。
【引用はじめ】
頑張って行動した直後に、誰からもフィードバックされないような行動は、強化(弱化)もされにくい。
逆に、頑張った直後に、褒められたり、嬉しい言葉をもらったりすると、その行動は繰り返されるようになります。
部下のモチベーションを上げることのできる有能な上司は、いつも部下を気にかけていて、褒めることを後回しにはせず、即時に声がけしています。
「見てくれている」という環境が、動機づけの起きる職場です。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.176
【引用おわり】
職員がみんな生き生きと仕事に励む組織でありたい。そのためには、一人ひとりの頑張りを認める職場にする。
それも適切な行動があったら、すぐにそれも直後に認める雰囲気である。褒め言葉、笑顔などによるフィードバックである。
りようしゃの人 から、このブログ みていると、いわれた。
もっと わかるように 書いてと いわれる。
そうだ。 しょくいんむけ だから むずかしい なあ。
でも わかるもの 書かないと 思(おも)う。
しごと がんばれるものに したい。
まず しそまき 何本 できたか。 毎日 ノートに 書いてみて。
今日(きょう)は 10本 できた。 昨日(きのう)は 10本 だった。
今日と 昨日は 同(おな)じ。
明日(あした)は いくつ やれるか。 なんてね。 できるよね。
個人目標「売上10%アップ」につながる具体的な行動は何か。そうしたものを明確にしていなければならない。行動をいくつか集積した成果では、具体的な行動とはいえないので要注意である。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第146回目である。
【引用はじめ】
次の4つの項目をまとめる必要があります。
【理念・仕事の目的】 私たちの理念は、子どもたちを笑顔にすること。私たちはこの商品とともに、子どもたちに幸せを届けます。
【今期の組織の目標】 売上10%アップ
【個人の目標】 個人売上10%アップ
【目標につながる具体的行動】 毎日、1件は新規のお客様に提案書を出す。 商品知識の勉強を週に1時間行う。 専門用語をなくしたパンフレットをつくる。
そして、ここに書かれた項目を、日々確認しながら、どれだけ取り組むことができたか、実際にどれぐらい行動したか、目標はどれだけ達成できたか、を評価実績としてまとめるようにしましょう。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.168~p.169
【引用おわり】
具体的な行動を決めたら、どれぐらいできたか、うまくいったか日々チェックして確認しておくことだ。
簡単に◯✕などでチェックできるようにするといい。
自らの達成程度が目に見えるにするのだ。
「個人目標の売上10%上げる」ことを達成するために、さらにそれにつながる「具体的な行動」が必要だ。それには、デッドマンテストやビデオカメラテストをクリアできるものである。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第145回目である。
【引用はじめ】
【個人目標:売上10%上げる】
上記のように、死人にはできない(受け身ではない)表現にし、ビデオカメラで撮影した際に、映像を見て何をやっているかがわかるレベルにする(具体化する)ようにしましょう。
ただ、実際にやってみると次のようなケースで設定することがみられます。
【個人目標:売上10%上げる】に対して、
これでは、「行動」ではなく、「成果」を詳しくしただけです。こうなってくると、「受注を3月までに10件」達成するためには、どんな具体的行動をするのかが、結局は抜け落ちたままです。では、今日これからどんな行動をするのか、といわれても何も答えられず、あいまいなまま、成果を追いかけている状態です。必ず、何をするのかという、目に見える行動レベルで書き出せるようにしましょう。そして、その行動をすれば、掲げた目標に近づいていくという「必要十分」な内容かどうかも、チェックできるようにしてください。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.167~p.168
【引用おわり】
「個人目標の売上10%上げる」に直接つながる具体的な行動と、上記の例のような「成果」とは異なることを知っておくべきである。
結局は、具体的な行動の一つ一つが積み上がって、「成果」として生み出されるのである。
「組織の目標」が決まったら、それにつながる「個人の目標」を決める。そして、さらに個人目標を達成するための具体的な行動を設定する。その具体的な行動について、デッドマンテストとビデオカメラテストでチェックしてみる。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第144回目である。
【引用はじめ】
「仕事の目的・理念を決める」と、その次に、「組織の目標を決める」、さらに次には、「個人目標を決める」ことになります。この次には、個人目標につながる「行動」を決めます。この具体的な行動については、デッドマンテストとビデオカメラテストでチェックする必要があります。
【個人目標:売上を10%上げる】
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.166~p.167
【引用おわり】
デッドマンテストは死人にはできないことである。ビデオカメラテストはモニターでみたら何をしているかわかるものである。この二つのテストでチェックして合格できるものが具体的な行動といえる。
具体性がある行動かどうかを明確にするうえで大切なチェック項目なのだ。
「個人目標」を決めたら、具体的な行動をどうするか決めることが必要だ。「個人目標」と直結する「行動」を明確にするのである。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第143回目である。
【引用はじめ】
「仕事の目的・理念を決める」と、その次に、「組織の目標を決める」、さらに次には、「個人目標を決める」ことになります。この次には、個人目標につながる「行動」を決めます。
たとえば、個人の目標を「売上10%」にしました。この目標を達成するためには、どんな行動をどれだけやっていくのか、できるだけ具体的に設定しています。
その際に、「デッドマンテスト」と「ビデオカメラテスト」をクリアできるように、チェックするといい。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.166~p.167
【引用おわり】
個人目標において、「売上10%」と決めたら、それを達成するための具体的な行動を設定する。その行動は本当に具体的なものになっているか、チェックすることだ。
それで役立つのが「デッドマンテスト」であり、「ビデオカメラテスト」である。
「デッドマンテスト」とは、死人にできないことかどうかをチェックすることである。
「ビデオカメラテスト」とは、モニターで見て、何をしているかわかるかどうかをチェックすることである。
「組織目標」が決まったら、組織目標につながる「個人目標」を決めることである。個人目標は組織目標の下位目標の位置づけとなるわけで、そのつながりが明確になっている必要がある。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第142回目である。
【引用はじめ】
「仕事の目的・理念を決める」とその次に、「組織の目標を決める」、さらに次には、「個人目標を決める」ことになります。ポイントは、「必ず組織目標と連動している」ということです。個人目標となると、ついつい、自己啓発的なものになったり、個人的に好きなことを目標にしてしまったりしますが、それをどんなに頑張って、一生懸命に達成したとしても、組織の目標には何の影響もなかったなどという失敗をしないようにしましょう。
それぞれ、個人が目標を達成したら、ちゃんと組織の目標も達成できるように、個人と組織がつながっていることを意識して決めましょう。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.165~p.166
【引用おわり】
「個人目標」は「組織目標」から見てその個人で達成できる、より具体的なものにするのである。「個人目標」の集まりが、「組織目標」の達成になるようにするのだ。
「個人目標」だからといって、自らの好みを優先させては組織に貢献しなくなってしまう。あくまでも、組織における「個人目標」を設定するのである。
「組織の目標」を決めて、社員が一丸となって成果を上げる努力が必要だ。その目標が社員一人ひとり理解できているかどうか。それがなかなか難しい。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第141回目である。
【引用はじめ】
「仕事の目的・理念を決める」とその次に、「組織の目標を決める」ことになります。「業績アップ」につなげる項目です。組織の数字目標ということで、売上や利益などが、設定されます。
大事なのは、成し遂げたいことをしっかり設定し、社員にもそれを認識してもらことです。
組織の目標は、実際には、経営者や上司が思っているほど、社員には伝わっていないことが多くあります。現場の社員に「今年の会社の目標って何ですか?」と聞くと、「えーっと・・・」となってしまうケースがあります。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.164~p.165
【引用おわり】
「組織の目標」は、組織内の構成員がみな共通に理解できるようにしておかないといけない。
誰もが言葉で復唱できるのでないと。「組織の目標」は、どんなふうになっていると達成できているのかわかる必要がある。
組織の生産性を上げるには、まずは構成員にその組織の理念や目的が周知されていなければならない。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第140回目である。
【引用はじめ】
まずは、「企業理念」や「仕事の目的」は、社員にとって、仕事を進めるにあたって魅力あるものかどうかが、とても重要です。例えば、次のようなことです。
これらは、仕事を進めることの価値を高めるものになっています。
ここで決めたことは、しっかりと浸透させましょう。頭の中に常に入れておくことで、「A:先行条件」として機能することになります。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.164
【引用おわり】
いかにすれば、企業理念や仕事の目的が個人一人ひとりに浸透させられるか。
日々の仕事の中でそれに関係する具体的な目標が必要になってくる。
それには、今取り組んでいる仕事にとって、上位概念としての理念や目的に通じるようにすることこそ重要だ。
組織の活性化には、個人一人ひとりの働きが大事になってくる。個人のより良い働きを促すには、人事評価制度を明確にすることである。この制度はどんな狙いで実施するのかを個人にわかるようになっていなければならない。そのことで、業績も向上することがわかる必要がある。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第139回目である。
【引用はじめ】
より良い組織にするためには、人事評価制度を導入することが大事です。その狙いは、次の2つです。
その狙いを達成するために、次のようなしくみを構築することです。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.162~p.163
【引用おわり】
組織において、人事評価制度をうまく運用して、個人にも組織にとっても有効にはたらくようにするにはしっかりしたしくみを構築することだ。
それには、組織目標、個人目標、行動目標、チェックといったことをやり続ける。そして、個人の成果、組織の成果を上げることだ。
どこの事業所や会社でも「自律型社員」を求めている。その育成はいかにあるべきかで苦闘している。自律性の高さは、行動一つ一つの成果の集まりで決まる。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第138回目である。
【引用はじめ】
会社や組織の業績というものは、社長一人で何とかしようと思っても、成し遂げられるものではありません。
たくさんの社員の、それぞれの行動の積み重ねにより、成果が出て、それが集まったものが業績となるのです。
その一人ひとりの行動が、望ましいものであり、行動の量も質も増えるようであれば、組織の業績はより向上していきます。
当たり前といえば、当たり前なのかもしれませんが、あまりこの「社員の行動」までは落とし込めていないことが多く、「個人の成果」までで止まっていることが多いのです。
「個人の成果」も、その個人の行動の結果でしか出せません。成果は、行動の集積なのです。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.156~p.157
【引用おわり】
組織で働く個人個人の成果の集まりが、組織の成果となる。一人ひとりの働きぶりが組織を良くも悪くもする。
組織の長一人だけであがいてもなんともならない。組織を構成する一人ひとりによる多くの働きが、組織の生産性に大きく影響するのだ。個人の望ましい行動の積み上げが、より良い組織をつくりあげる。
「自律型社員」の望ましい行動の一つとして、積極的に提案するようになった。こうした行動の定着は、次の望ましい行動にも影響して、新たな行動に広がり見せる。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第137回目である。
【引用はじめ】
改善提案をするときに、成功体験があるおかげで、「この上司には、改善提案だけではなく、お客様にこうしたほうがいい、ということを伝えたら、認めてくれるのでは?」というようになってきます。
このように行動できることに、意識的とか無意識とかは考えなくてよいのです。(これを考え出すと、また循環論に陥ります)。強化履歴がある人は、似たようなケースでも行動が強化されやすくなるのは事実で、行動の原理の一つ「般化」だととらえておけばよいのです。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.152
【引用おわり】
望ましい行動を少しずつ獲得することで、それが次々とより良い行動を生み出すきっかけとなっていい循環ができるようにする。それが可能なのである。中核的行動からさらに広がって、自発的な行動を生み出す。立派な自律型社員が育つのである。
「自律型社員」って、自発的で能動的な行動のさまざま身につかないとダメかというとそうでもない。自発的な「提案」行動などが定着した社員は、他の望ましい行動もできるようになってくる。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第136回目である。
【引用はじめ】
「自律型社員」ができるといわれる行動の特性は、提案だけではなく、もっとたくさんあります。例えば、次のとおりです。
【自ら考える】 もっとよい仕事のやり方を、自ら提案する。 どうしたらお客様にもっと喜んでもらえるか、案を出す。
【自ら判断する】 次の仕事は何をやるべきかを決めて、まわりに伝える。 お客様から質問を受けたときに、的確に回答する。
【自ら行動する】 指示が出る前に、仕事を始める。 会議では、必ず意見をいう。
これらがすべてできるようになれば、「自律型社員」になれないかというとそうではありません。
人には、「般化」という、素晴らしい行動の特性が備わっているのです。「提案する」などの「成功体験」をして、消去抵抗の強い行動の強化が身についている社員は、「提案」という行動だけにとどまらず、別の行動でも似たようなことが起きるようになってきます。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.150~p.152
【引用おわり】
今までできなかった能動的な望ましい行動を定着させることが、まず大事だ。それによって、これにつながる望ましい行動も身につくようになるから不思議である。これが、「般化」という行動特性である。望ましい行動の中核といえる内容をしっかり定着させることをめざすことである。
社内において、積極的で能動的な望ましい行動ができた部下こそが、「自律型社員」といえる。始めから「自律型社員」がいるわけでない。望ましい行動がたくさん身につけた部下を「自律型社員」とよぶのだ。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第135回目である。
【引用はじめ】
「自律型社員」の行動が、指示がなくてもたくさんできるようなれば、その人は「自律型社員」と認められるようになります。
「自律型社員」という抽象的な内面を先につくり、それが行動を引き出しているのではありません。行動が先で、望ましい行動がたくさんできるようになり、それが繰り返されて定着することで「自律型社員」となるのです。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.150
【引用おわり】
部下には望ましい行動を一つずつ身につけてほしい。
そのためには、上司の部下に対する具体的指示や、部下の望ましい行動の結果に対する強化を繰り返す必要がある。そして、部下がの望ましい行動が繰り返されるようになったら、上司の強化のあり方を変え徐々に強化の回数を減らすなど工夫するのである。そのような対応により、望ましい行動を一つずつ定着できるようにするのだ。
自律的な社員を育てるには、上司の対応が重要になる。改善の余地がある事柄について、部下からの提案を引き出す。その提案があったら、上司はすかさず褒める。そういったことによって、部下の自発的な提案といった行動を促す。それが繰り返されるようになれば、自律した社員といえる。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第134回目である。
【引用はじめ】
部分強化は、人材育成が得意な上司は、自然にできたりします。
毎回褒めるわけではないけれど、そろそろかな、というタイミングや、同じ行動でも、より質の高い行動であったときに、間髪入れずに褒める。すると、部下は、やっぱり見てくれていたんだ、頑張ってやった甲斐があった、と次の行動への動機づけになるのです。アメの使いどころです。
褒める、というよい結果は、いきなりまったくなくしてしまうと、せっかく強化していた「提案する」という行動をしなくなってしまいます。徐々に、毎回ではなく、たまには褒めないときをつくってみましょう。
ここで、頑張って提案してきたら、いままで以上に大きな承認で褒めてあげる。少しずつ減らしていくことで、消去抵抗が強くなってくるわけです。
しかし、まったく褒めることをしなくなると、いつの日か行動は消去されていきます。「たまのアメ」は、必ず出せるようにしておきましょう。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.149
【引用おわり】
部下が指示待ちで何か言わないとできない。そんな嘆きが上司からきかれるとしたら、それは部下に責任を負わせても問題解決にはつながらない。上司の部下への対応を見直す必要がある。
部下が少しでも能動的な行動をしたら、上司はそれを見逃さず強化するのだ。その繰り返しが部下の行動に変化をもたらすことになる。部下の変容にも上司はうまく対応していくのだ。そのことが部下の成長を助けることになる。
連続強化は、適切な行動ができるようにするには大事である。ただ、それをずっと続けることは得策でないし、簡単にできることでもない。徐々に部分強化に移行するのがいい。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第133回目である。
【引用はじめ】
連続強化に比べて部分強化のほうが、行動は継続します。それまで当り前に必ず出ていたものが出なくなると、諦めも早くなるということです。
たとえば、次のようなことです。
【連続強化からの消去】→ 消去しやすい「ボールペンのインクが出ていた→出なくなった→使わなくなる」
【部分強化からの消去】→ 消去しにくい「ボールペンのインクが出たり出なかったり→今日は出なくなった→もう少し粘って使う」
このように、よい結果「C:好子」が、当たり前のように毎回出ているときは、出なくなったら、もう終わりというように消去されやすくなります。
一方、もともと出たり出なかったりの経験をしていると、いまは出ないけれども「次こそは」とか「もっと出れば出るかも・・・」と行動はより継続するのです。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.148~p.149
【引用おわり】
部分強化は、連続強化よりも行動を消去しにくい。この原理を応用して適切な行動を定着させるといい。いろんな場合に応用できるのだ。
部下が仕事の改善に対する提案をしてきたら、上司が褒める。もちろん、はじめは提案するたびに褒める。ある程度定着できたら、次は2回に1回、4回に1回と徐々に褒める回数を減らしていくのである。そうすることで、自発的に提案行動を定着できるようにするのだ。
人材育成などにおいて、適切な行動ができた直後の結果おいて、褒めたりして強化する。それも毎回強化するのがいい。しかし、だんだんとその強化の回数を減らし、強化したりしなかったりするようにしても適切な行動ができるようになる。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第132回目である。
【引用はじめ】
部下が適切な提案してきたら毎回褒めるといった「連続強化」でなく、徐々に褒めることを減らしていく「部分強化」でも、継続的に提案行動は行われます。
連続強化から部分強化(たまに褒められる)にしていくと、褒められないときに行動しなくなってしまうことに、抵抗力がついてくるようになります。これを「消去抵抗」といいます。
よい結果(好子)が出てこなくなると、それまで強化されていた行動をしなくなってしまいます。しかし、毎回必ずよい結果(好子)が出てきたときに比べ、出たり出なかったりするときのほうが、行動をしなくならずに継続するのです。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.147
【引用おわり】
人材育成をめざして、上司は部下の提案に対して連続強化することは重要である。でも、その行動が安定してきたら部分強化でもよくなる。そのタイミングを見計らって部分強化にしたほうがいい。
上司にとっても気を遣わずにすむ。また、部下のほうも上司からの褒め言葉がなくてもできることで、自主性が高まっていることになるのだ。
人材育成には、時間を要する。手間暇がかかる。「塵も積もれば山となる」ものであり、一気にできない。だから、後回しにされがちになる。結局、放置されかねない。すごく大事なことなのだが、自然に任せてしまう。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第131回目である。
【引用はじめ】
人材育成には、手間暇がかかります。いわゆる「優秀な上司」は、人材育成のデザインを、経験などから身につけています。
はじめは丁寧に教え、自分でもやって見せて、そしてやらせて、相手が喜ぶフィードバックをする。それから、教えることや指示を少しずつ減らしていって、それでも頑張ったときには、大きく褒める。これが人材育成の原理原則です。これをできる人が優秀な上司といえます。
経験則だけでは、なかなか教えられないものを、ABA(応用行動分析学)マネジメントは「しくみ化」して、誰でも取り組めるようにしています。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.145
【引用おわり】
人材育成ができる「優秀な上司」がいる組織は、活性化を図ることができる。経験で身につける上司もいるだろう。しかし、なかなかそういかないからこそ、人材育成は難しいのである。
人材育成の方法論を身につける必要がある。ここで取り上げる原理原則を試すことである。そして、「優秀な上司」をめざすのだ。
上司からの部下に対するきっかけ(プロンプト)は徐々にフェードアウトしていくと、時には部下の適切な行動が出現しなくなる場合もある。そうなったら、また再び行動を促すきっかけ(プロンプト)が必要です。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第130回目である。
【引用はじめ】
上司の部下に対する自発的行動を促すためのきっかけ(プロンプト)を減らしていくと、上司から促さないと部下は言わなくなってしまうこともあります。
その際には、しばらくしてから「最近、提案がないけど、どう?」というように、聞いてあげましょう。再度きっかけを提示するわけです。
そして、提案が出てきたら、いままで以上に大きな好子を提示するようにします。「おお、なるほど! やっぱりAさんの案はいいよ! 提案してくれないともったいないなあ」
このように、様子を見ながらも、指示はフェードアウトできるように減らしていく必要があります。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.144
【引用おわり】
「自律型社員」を容易に育成できるわけではない。
きっかけ(プロンプト)を徐々に減らし、適切な行動に対して、うまく好子を提示することが必要だ。
こうしたことについても、部下に合わせたやり方でなければならない。みな一様にやっても難しい。中長期の取り組みにより、上司も試行錯誤を繰り返してより良い工夫をすることである。
「自律型社員」の育成には、まずは適切なきっかけ(プロンプト)から始めて、それを徐々に減らし、最終的にきっかけ(プロンプト)がなくても、目指した行動ができるようにする。部下などには、こうしたやり方で対応することが大事である。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第129回目である。
【引用はじめ】
いままでは「何か改善点はないか?」と聞いていたのを、「どう思う?」と変えます。詳細な指示から、おおまかな指示に変えることで、自分自身で考える余地が大きくなっていきます。
さらには、「これからは、こちらからは聞かないけれど、思いついたらどんどん提案してくれ!」というように、指示をフェードアウトしていきます。
自分から言うルールとして、「Aさんだったら、これから自分で考えてくるのを期待している」と明確に伝え、きっかけ(プロンプト)がなくとも、自分で提案してくるように形づくっていくのです。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.142
【引用おわり】
「自律型社員」を育成することをめざすには、きっかけ(プロンプト)をだんだん減らしていく方策が大切だ。具体的な指示内容によるきっかけ(プロンプト)によって、適切に行動ができるようになったら、
次はそうした指示の回数を減らしたり、指示内容をだんだんあいまいにしていったりする。
そして、最終的にはきっかけ(プロンプト)がなくても適切な行動をするようになることが目標である。
何らかのきっかけによって、適切な行動が促される。そのきっかけは、相手の行動を引き出す手がかりであり、プロンプトとなるものである。プロンプトがあれば、相手の行動を引き出すことができる。プロンプトの工夫はとても大事である。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第128回目である。
【引用はじめ】
部下に対して、上司による「何か改善点はないか?」という指示は、「プロンプト」といわれるものです。
適切な行動を引き出す、補助的なきっかけであり、そのうちこれがなくても、適切な行動ができるようになってきます。
これらとまったく同じ機能で、最初は声がけ(プロンプト)されないと提案しなかったのが、そのうちなくてもできるようになります。
人により、早い・遅いの差はありますが、少しずつ指示のしかたを変え、提示を減らし、自分から提案してくるようになるまで、もっていくことです。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.142
【引用おわり】
プロンプトは相手の行動を引き出す手がかりとなる。そのプロンプトをだんだんと減らしても、相手の行動を繰り返すことができる。そうなれば、プロンプトなしでもできるようにすればよい。
はじめはプロンプトを毎回提示することで行動が促されていたのが、プロンプトを減らしても行動ができるようになってくる。そして、最終的にはプロンプトなしでも適切な行動ができるようにするのである。
仕事に改善の余地があれば、部下に対して上司は行動を促すようなきっかけをつくってやるのがといい。部下にはそのきっかけによって行動が引き出される。しかし、その行動に対して、上司がどのような結果をもたらすかが問題である。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第127回目である。
【引用はじめ】
「何か提案はない?」とB上司が指示したら、Aさんは、「データ化はどうでしょうか?」と提案しました。
しかし、そこでB上司は、「何言っている? そんなのわかっているよ」とか、「いまいち、レベル低いな」などというフィードバックをしてしまうことがあるのです。
「嫌子出現による弱化」ですね。
これでは、Aさんの「提案する」という行動は、どんどんやらなくなってしまいます。「提案」したら、嫌なことが起きるからです。
そのうち、「B部長の考えることが一番です! 私なんてまだまだです」などといっていれば、嫌な結果をもらわなくてすむようになったりします。
これでは、Aさんは、次第に「提案する」という行動をしなくなりそうです。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.141
【引用おわり】
上司が部下に対して、「何かいい案ない?」などとたずねて、それに対して部下が「問題となることを記録とったらどうですか」などと応える。
それに上司が「そんなことわかっているよ」などと否定的な対応すれば、次には部下も消極的になってしまう。上司の「嫌子出現による弱化」では、部下による提案は減少することだろう。
仕事に改善の余地があるならば、部下に対して上司はきっかけをつくってやるといい。部下は気づいてないこともあるからだ。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第126回目である。
【引用はじめ】
「仕事に改善の余地がある」場合、上司がきっかけとして「改善点はない?」と部下に声をかけることです。
そのことで、部下が「提案する」という行動が出ます。そして、フィードバックとして上司が「いいアイデアだね!」というよい結果を提示します。そうすると、部下の提案するという行動が繰り返されるようになるのです。
つまり、「好子出現による強化」です。
しばらくは、必ず毎回、フィードバックには「よい結果」(好子)を提示してあげるようにしてください。
行動に対して毎回、好子を提示して「連続強化」するわけです。
「提案したら、ちゃんと褒められる」という、成功体験をまずは学習してもらうのです。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.140
【引用おわり】
部下が適切な行動をしたら、上司はその行動をすぐ褒めてやることだ。
はじめのうちはそうした行動をするたびに褒めることを続ける。きちんと部下が学習できるようにするわけである。