仕事に改善の余地があれば、上司としては部下に対して「改善点はないか?」と働きかけてみるのである。部下自ら動かなければ、上司から促す必要があるのだ。「自律型社員」の育成では、きっかけを作ることを試みるのである。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第125回目である。
【引用はじめ】
上司のBさんにとって、部下のAさんが自律型社員になってくれることを望んでも、手立てなしでなんにもなく待っていても、変化を期待できません。そのためには、きっかけとなる「A:先行条件」を変える必要があります。
そこで、B上司はAさんに「何か改善点はないか?」と聞きます。
すると、Aさんは、「紙ではなくデータで管理したらどうでしょうか?」と提案してきました。
B上司が声をかけるという「きっかけ」を示したことで、行動が引き起こされ、Aさんから提案が出ました。
次に、このままでは、行動を引き出すだけなので、提案したらよいことが起こるこという経験をさせる必要があります。
そこで、B上司は、提案したAさんを褒めました。「さすが! いいアイデアだね。やってみよう!」 これをABC分析すると、次のようになります。
(A:先行条件)【改善点はない?】「仕事に改善の余地あり」➡(B:行動)「提案する」➡(C:結果)「褒められた!」 ↑
(C:結果)に好子が出現しました。これにより、Aさんの「提案する」という行動を増やしていくことができます。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.138~p.139
【引用おわり】
上司のきっかけに促されて、部下が適切に行動したならば、上司もそれに対してすぐに応えるのである。
そうした関係がうまくつながると、部下の適切な行動が繰り返されることになる。それによって、部下もより良く育っていくことが期待できる。
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