2025年10月1日水曜日

組織が変わる(114) 「安全手順に従わない社員」

 煩わしい安全手順を守らない社員に対して、上司はなんら注意することもない。その社員は安全手順をないがしろにすることを続ける。何か問題が生じたら、誰が責任をとるのか。いざとなったら、責任のなすりつけになりそう。それでいいのだろうか。そのことに関する、石田本による第114回目の引用である。

【引用はじめ】

 ここに安全手順に従わない社員がいる。ややこしくて時間ばかりかかるので、彼は安全手順などないほうがいいと考えている。手順に従わなくても上司は罰やペナナルティを科さないので、違反と知りつつも安全手順をすっ飛ばす。時間と手間が省けるというメリットがあるからだ。このメリットは彼にとってポジティブなリインフォース(強化)に他ならない。上司は何ひとつしていないのだが、結果的に彼の違反をポジティブにリインフォース(強化)しているのだ。

(石田淳著「短期間で組織が変わる行動科学マネジメント」p.134    2007年 ダイヤモンド社刊)

【引用おわり】

 安全手順を守らなくても、今まで問題が起きなかった。だから、面倒な安全手順を守らないままである。上司も問題は起きないので、安全手順の厳守について問題視することもない。部下も上司も安全手順をそもそも重視してない。しかし、安全手順を設定しているのも、危険性が生ずる可能性があるからである。それを軽視していることである。その軽視が滅多にないとはいえ、重大事故が起きたらどうするのだろう。現場担当者のゆるみだけが問題とはいえない。上司も担当者に対する注意義務を果たしていないのだ。

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