2019年10月29日火曜日

心理学の罠の正体

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 リーダーの性格が行動の原因であり、その性格が組織の業績に影響する考えがちである。
 それは大きな誤解である。 
 そのことに関して、島宗理氏は、「心理学の罠の正体」と称して、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第13回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 性格は行動の原因ではありません。
 そう思い込むのは、よくある誤解です。

 「自主性」があるから、会議で積極的に発言したり、自ら率先して部下の指導にあたるわけではありません。
 会議で積極的に発言したり、自ら率先して部下の指導をする人を「自主性がある」とみなしているのです。

 能力についても同じことが言えます。
 「想像力」があるから、他の人がなかなか思いつかないことを思いついたり、作れないものを作るわけではありません。
 そのような人を「想像力がある」と評価しているのです。

 心理学の罠の正体は、行動と原因のこのような取り違えにあります。  
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.39、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 一つ一つの行動の集まりが「自主性」だったり、「想像力」だったりするのである。
 自主性があるから質問や意見を言っているのだとみなしがちだ。
 あくまでも原因と結果の主客の転倒である。
 質問を多くすること、意見をたくさん言うという原因が先にある。
 その結果、自主性のある人となる。
 自主性が先にあるわけでない。
 従って、自主性がないから質問も意見も言わないとする見方からは、解決を見いだしにくい。
 それより、質問や意見を言うためにはどんな手立てがあるかを考えたほうが解決の道に近づく。

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