2019年10月28日月曜日

心理学の罠・研修の罠

 リーダーの行動は、組織の業績に大きく影響する。
 私たちは、抽象的でりっぱな言葉で企業目標を立てがちだ。
 さらに、研修によって学んだことで一時的満足を得がちである。
 それによって、リーダーや職員の行動が適切に増えたり、減ったりすることはほとんどない。
 そのことに関して、島宗理氏は、「心理学の罠や研修の罠」と称して、次のように述べる。
 島宗理氏のリーダー論からの第12回目の紹介である。

 【引用はじめ】

 標的行動の候補を洗い出す行動化ですが、この最初のステップでつまずく原因の一つが心理学の罠です。
 「自主性」とか「想像力」とか「判断力」といった、抽象的な言葉を駆使することに満足してしまう。
 これでは、どのような行動を増やし、どのような行動を減らせばいいのかわからない。
 最悪、会社案内に掲載するようなお題目で終わってしまいます。
 お題目としては立派な企業理念や経営目標が、世の中にいかに多いのか。

 また、知識や感動による行動の変化は一時的なものでしかない。
 それにも関わらず、感動や"目からウロコが落ちる"ことを期待して、研修会に出かけていく人が絶えません。
 もちろん、常に新しいことを学ぶ姿勢は大切です。
 でも、目からウロコが落ちても行動は変わりません。
 これを「研修の罠」と言います。
 知識や感動はそれだけでは業績に結びつきません。
 それらをきっかけに行動変容まで引き起こす仕組みが必要です。 
   
 (島宗理著「リーダーのための行動分析学入門」p.38・p.39、2015年、日本実業出版社刊)

 【引用おわり】

 私たちは、「積極性」とか「自主性」とか「思いやり」などの抽象的な言葉で物事を解釈して、何とかしようとする。
 さらに、研修や本などにより知識を得て、うまくいくように思う。
 ところが、そうしたことだけでは、何も変わらず嫌悪感さえ味わうことになる。
 だからこそ、変えるべきことを行動化し、その中から標的行動を焦点化するのである。
 そして、焦点化した行動を変容する仕組みを工夫しなければならない。
 






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