医学モデル(行動の原因は心の中にあるとする行動観)によって、行動の問題を考えるデメリットは何か。それは、「循環論」になることと、「個人攻撃の罠」にはまって、問題解決を遠ざけてしまうことだ。
そこで、舞田氏は「循環論による説明の問題」について、次のように指摘する。
舞田氏による著書の紹介は第10回目である。
【引用はじめ】
満足な仕事をしないことの原因は、「やる気がない」ことだと考える。
それでは、なぜその部下が「やる気のないやつ」だとわかるのだろう。
それは、期日までに仕事を仕上げないし、質の低い仕事しかしないからである。
すなわち、「やる気のなさ」というのは、「満足な仕事をしない」ことの言い換えに過ぎない。
やる気というのは、その人の行動につけられたレッテルなのであって、行動の原因ではないのである。
(舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.15~p.16、2008年、日本経済新聞出版社刊)
【引用おわり】
仕事をしないのはなぜか。それは、やる気がないからだ。
それじゃあ、やる気がないのはなぜか。満足な仕事をしないからだ。
こう見ると、単なる言い換えを繰り返しているに過ぎない。
これでは、行動の原因を明らかにできず、行動の問題を解決できないままとなる。
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