2020年1月31日金曜日

人ではなく行動を褒める

 私たちができるのは、人を変えるのでなく、行動を変えることだ。
 行動を変えるには、行動の直後に褒めることである。

 それについて、舞田氏は、「人ではなく行動を褒める」ことが重要と、次のように指摘する。 
 舞田氏による著書の紹介は第47回目である。

 【引用はじめ】

 行動の直後に好子を出現させたり、嫌子を消失することである。単に、好子を出現させるだけでは強化にならない。単に、誉め言葉や励ましの言葉をかけるだけでは強化とは言わない。何らかの行動をした直後に、褒めたり、励ましたりするのでなければ、相手の行動を変えることはできないのである。随伴性は人を変えるのではなく、行動を変える。だから、人ではなく、行動を褒めねばならない。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.112、2008年、日本経済新聞出版社刊)
 【引用おわり】

 人を変えるなんてできないことである。そんな風に考えるべきでない。我々はもっと謙虚になるべきだ。せいぜい、相手の行動を変えることならできると。それも限界がある。
 相手の行動の直後に褒めるとか、励ますとか適切にしないとだめだから。

2020年1月29日水曜日

行動の問題を具体的に考える

 ただ単に褒めるというだけでは、行動を望ましいように変容することは難しい。
 どんな行動を褒めるのか、具体的であることが必要だ。

 ということで、舞田氏は、「行動の問題を具体的に考える」ことが重要と、次のように指摘する。 
 舞田氏による著書の紹介は第46回目である。

 【引用はじめ】

 リーダーは、褒めることを好子に使ったマネジメントを目指していた。しかし、現状は理想にはほど遠かった。リーダーの褒め方は、望ましい行動の強化につながっていない。リーダーは、ただ褒めることが重要だと漠然と考えているだけで、部下の何を褒めるのかという対象(ターゲット)を明確に認識していなかった。
 行動の問題を考えるときは、「頑張り」「努力」「よい仕事をする」という抽象的な言い方ではなく、できるだけ具体的に考えることが重要である。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.111、2008年、日本経済新聞出版社刊)
 【引用おわり】

 行動の問題をいかに具体的にとらえることができるか。
 そうでなければ、行動を変えるのは難しい。
 行動を具体的な言葉で言い表す必要がある。そして、それにしたがって適切な好子により行動の強化ができるようにするのだ。

逃れることができない嫌子を与えられ続ける

 嫌子ばっかりを与えられると、「学習性の無気力」状況となる。
 それは具体的にどんなふうになるということか。

 舞田氏は、「逃れることができない嫌子を与えられ続ける」と、次のようになると述べる。 
 舞田氏による著書の紹介は第45回目である。

 【引用はじめ】

 「学習性の無気力」 ということで、逃れることができない嫌子を与えられ続けるとどうなるか。
  1. 新しい学習をしようという動機づけの低下
  2. 新しい課題の対処可能であるという理解の阻害
  3. 慢性的な不安と無気力
という症状が現れる。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.98、2008年、日本経済新聞出版社刊)
 【引用おわり】

 嫌子は、一時的な効果があるため、つい使いがちである。
 怒ったり、叱責したり、嫌みを言うなどである。
 しかし、それが続けば決して良くない副作用を起こす。
 活動の低下、工夫の停止、心理不安などを引き起こすのだ。

2020年1月28日火曜日

学習性の無気力

  舞田氏は、「学習性の無気力」という動物実験で明らかになったものを、次のように紹介する。 
  舞田氏による著書の紹介は第44回目である。

 【引用はじめ】

 動物は、嫌子から逃れられない状況に置かれると、次第に活動性を失うとともに、別の場面においても、新しい課題の学習が困難になる。
 オーバーマイアーとセリグマンという心理学者たちは、イヌを使って次のような実験をした。イヌを二つのグループに分け、第一グループには、拘束した状態で強い電気ショックを与え、自力では電気ショックを止める術がないという経験をさせる。
 第二グループは、足でパネルを押すと電気ショックを終了できる状況に置く。つまり、嫌子消失による強化によって電気ショックから逃れられるという経験をさせる。
 このような経験させた後、両方のグループのイスに、予告信号が鳴ったら、壁を飛び越せば電気ショックを回避できるという新しい学習をさせる。
 その結果、前段階において電気ショックを回避できなかった第一グループの犬たちは、電気ショックを免れる方法を学べなかったのである。
 この現象を、学習性の無気力または学習性の絶望と名づけた。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.98、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 絶望的な状況に置かれると、ただ我慢するだけになってしまう。
 自ら、問題を解決しようとせず、あきらめてしまう。活動そのものが低下する。
 被虐児というのはこうした状況下にあるのだ。

2020年1月27日月曜日

笑顔と感謝を効果的に使う

  リーダーは、職員の適切な行動を引き出すことが重要である。
  それには、職員に対する「笑顔と感謝」が効果的である。 

  そのことについて、舞田氏は、「笑顔と感謝を効果的に使う」として、次のように説明する。 
 舞田氏による著書の紹介は第43回目である。

 【引用はじめ】

 優れたリーダーは、笑顔と感謝を効果的に使う。そして、いつでもそれができるよう、笑顔と感謝を日常から怠らない。自分の機嫌がよいときだけ笑顔になれるというのでは、人の上に立つものとしては失格だ。
 そして笑顔と感謝は非常に優れた好子だ。なぜなら、いつでも、どこでも、行動のまさに直後に与えることができるからだ。リーダーは相手のどのような行動を引き出すことが重要かを考え、それを自然な好子で強化していくことを何より考えなければいけない。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.90~p.91、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーの職員に対する「笑顔と感謝」は、適切な行動の直後に行うことができる。
 好子としての機能を果たすのに有効だ。
 職員の適切な行動を増やすことに役立つ。

2020年1月26日日曜日

人の行動は周りが作り出している

 皮肉な言葉を繰り返す職員は、なぜそうするのだろう。
 そのことについて、舞田氏は、「人の行動は周りが作り出している」として、次のように説明する。 
 舞田氏による著書の紹介は第42回目である。

 【引用はじめ】

 人の行動は周囲の環境から得られる状況の変化によって決まる。だから、まったく意識していないだろうが、職員の皮肉な言動は、周りが作り出しているともいえるのだ。
 周りの人間が職員の行動を作っているのなら、同じように周りの人間が彼の行動を変えることもできるはず。
 職員の皮肉は周囲の人々が与える好子(反論)の出現で強化されていた。だから皮肉を言ってもいっさい好子が与えられなければ、皮肉は強化されない。職員が皮肉を言っても、聞こえぬふりをして、こちらは無反応を決め込めばよい。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.71~p.72、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 職員の皮肉に対して、周りはついうっかり皮肉に対して言い返してしまう。
 それが職員の皮肉をくり返させる。ますます、職員は皮肉な言葉を繰り返すことになる。
 職員の皮肉にはまっすぐ付き合わないことである。

2020年1月25日土曜日

皮肉を言う行動の随伴性

 皮肉な言葉を繰り返す職員は、なぜそうするのだろう。
 そのことについて、舞田氏は、「皮肉を言う行動の随伴性」として、次のように説明する。 
 舞田氏による著書の紹介は第41回目である。

 【引用はじめ】

 どんな行動でも、強化の随伴性があるから繰り返される。職員が皮肉に聞こえる言動を繰り返すのも、以下のような好子出現による強化の随伴性が成立しているからである。

  (直前) 周囲が反論しない
→(行動) 職員がネガティブな発言をする
→(直後) 周囲が反論する ↑強化

 職員がネガティブな(皮肉な)発言をすると、周囲が反論する。たとえば彼が「一生懸命に働いたって、ろくなことにはならない」と言えば、周りの人は「そんなことはないよ。努力していれば、必ずよいことがある」と言ってくれる。つまり、職員が皮肉なネガティブなことを言えば、その結果として、一種の励ましが返ってくる。これが彼の行動を維持強化している。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.70~p.71、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 皮肉な言葉を繰り返す職員って、周りからの言葉によって、さらにその行動を繰り返しているのだ。周りから言われれば言われるほど、皮肉な言葉を言い続ける。互いが悪循環になっていることを理解すべきだ。

2020年1月24日金曜日

人にレッテルを貼るな

 一人のリーダーの悩みに関する相談である。
 その悩みについて、舞田氏は、「人にレッテルを貼るな」と、次のように指摘する。 
 舞田氏による著書の紹介は第40回目である。

 【引用はじめ】

 リーダーは、頭がいいが皮肉屋な職員を何とか変えたいという悩みがある。その職員を「皮肉屋」というのは慎みたいし、危険でもある。リーダーがネガティブな発言を多発する原因を「皮肉屋だから」と考えては、医学モデルに陥ってしまう。皮肉屋だからネガティブ発言をすると考えるのではなく、人の話に対してネガティブな発言をする傾向のある人に、周囲はわかりやすく「皮肉屋」というレッテルを貼るのだと考えるべきだ。皮肉屋だからネガティブな発言をするのではなく、ネガティブ発言という行動を「皮肉屋」とわかりやすく名づけたにすぎない。
 「彼は○○屋だ」という具合に人間を定型的な分類に当てはめることは、人の話をするときには便利な方法だ。日常生活でするぶんにはいっこうにかまわない。しかし、相手の行動を変えようとするときには、意味がないし、そういう捉え方をしている限り、その人は永遠に変わらないし、変える手段も見つからない。人を変えるためには、レッテルではなく具体的な行動に注目しなければならない。それこそが実効性のあるアプローチである。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.69~p.70、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 相手の行動を変えたいと思うならば、抽象的なレッテルで捉えても何ら変わることはない。
 具体的な行動で捉えることである。
 例えば、「皮肉」とみなされる行動とは何かを追求するのだ。「こんなことって意味があるの」などのネガティブな発言が多い人への対応を考えるべきである。

2020年1月23日木曜日

それでも人は嫌子を使う

 嫌子とは、「行動の直後に出現すると行動を減らす刺激やできごと」である。
 叱責、嫌み、無視、体罰などの相手の嫌がることをすることだ。
 これを多用すると、さまざまな副作用を引き起こす。 

 嫌子を使うのは問題とわかっていても、「それでも人は嫌子を使う」と、舞田氏は次のように指摘する。 
 舞田氏による著書の紹介は第39回目である。

 【引用はじめ】

 それでも人は嫌子を使い続ける。嫌子を使う行動が強化されているからだ。リーダーがジロリと睨んだり、嫌みを言ったりする行動は、嫌子消失によって強化される。
 職員が帰り支度を始めたとたん、ジロリと睨むと、一瞬、帰り支度の手が止まったり、職員がバツの悪そうな顔をしたりする。それが強化の随伴性となって、嫌子を与える行動を強化するのだ。したがって、リーダーが嫌子を与える行動は、職員の行動で強化されている。職員をコントロールしていたつもりのリーダーもまた、気づかぬうちに、職員によってコントロールされているのである。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.58、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 嫌子が以上のように使われるのは、互いの関係がそうさせていることがわかる。
 お互いがお互いの行動を制御しているのだ。
 リーダーは、「嫌子出現による弱化」によって、職員の帰り支度を減らすことができる。
 また、職員は「嫌子消失による強化」によって、リーダーのジロリと睨むを減らすのだ。

2020年1月22日水曜日

一時的な効果しかない

 嫌子とは、「行動の直後に出現すると行動を減らす刺激やできごと」である。
 叱責、嫌み、無視、体罰などの相手の嫌がることをすることだ。
 これを多用すると、さまざまな副作用を引き起こす。 

 嫌子を使うことの5番目の問題として、舞田氏は、「一時的な効果しかない」と、次のように指摘する。 
 舞田氏による著書の紹介は第38回目である。

 【引用はじめ】

 一時的な効果しかない。
 行動分析学の創始者スキナーは一貫して、嫌子の使用による行動の制御に警鐘を鳴らし続けた。「罰なき社会」と題する講演で、嫌子を使うことなく、好子出現の強化による社会の創造について論じた。嫌子出現による弱化は一時的に効果があったとしても、長期的に見て何の解決にもならないのである。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.57、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 嫌子を使うと、一時的にはうまくいったように見える。嫌子出現による弱化で、その行動が減るからである。しかし、それはあくまでも一時的なことである。長続きせず、問題の解決にはならない。
 例えば、リーダーが職員の定時退社準備に対して、嫌な顔をする。職員は定時退社しなくなる。職員が定時退社しないのは、「嫌子出現による弱化」である。職員側からみると、定時退社しないという「嫌子消失による強化」だ。
 こうしたやり方はいい手法で言えず、長続きしないのである。

2020年1月21日火曜日

望ましい行動を教えていない

 嫌子とは、「行動の直後に出現すると行動を減らす刺激やできごと」である。
 叱責、嫌み、無視、体罰などの相手の嫌がることをすることだ。
 これを多用すると、さまざまな副作用を引き起こす。 

 嫌子を使うことの4番目の問題として、舞田氏は、「望ましい行動を教えていない」ことになると、次のように指摘する。 
 舞田氏による著書の紹介は第37回目である。

 【引用はじめ】

 その場面に適切な行動を何も教えていない。
 問題行動を弱化したいのはわからなくはない。しかし、問題行動をしなくなることが本当の解決と言えるのだろうか。問題行動をしないだけではなく、その場にふさわしい望ましい行動をすることこそが求められているのではないだろうか。その場面で行うべき適切な行動を強化の原理によって教えていくことが、活気ある会社を作るためには必要だ。もし、問題行動と同時にはできないような望ましい行動があるとすれば、むしろ、その望ましい行動を強化するだけで、自然と問題行動はなくなる。行動分析学では、対立行動分化強化と呼ばれる手法である。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.57、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 問題行動だけに着目するのでなく、望ましい行動は何かを追求することである。
 問題行動と同時にできない望ましい行動を強化する手立てを用いる。
 こうした手立てによって、問題行動を減らすのだ。
 

2020年1月20日月曜日

嫌子によって行動を抑制する

 嫌子とは、「行動の直後に出現すると行動を減らす刺激やできごと」である。
 叱責、嫌み、無視、体罰などの相手の嫌がることをすることだ。
 これを多用すると、さまざまな副作用を引き起こす。 

 嫌子を使うことの3番目の問題として、舞田氏は、「嫌子によって行動を抑制する」ようになると、次のように指摘する。 
 舞田氏による著書の紹介は第36回目である。

 【引用はじめ】

 行動が全般的に抑制され、新しい行動が生み出されにくい。
 嫌子の出現で行動を抑制すれば、問題行動はしなくなる。しかし、それは同時に、行動全般を抑制することにもつながる。動物は嫌子から逃げることができない状況に置かれると、活動性を失うことが知られている。嫌子を与えられた行動をしなくなるばかりではなく、新しい学習も阻害されてしまう。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.56~p.57、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 嫌子を使ってばかりの状況では、行動そのものが起こりにくくなる。
 活動水準が低下し、新しい行動だって起こさなくなる。

2020年1月19日日曜日

嫌子を与える人間を避ける

 嫌子とは、「行動の直後に出現すると行動を減らす刺激やできごと」である。
 叱責、嫌み、無視、体罰などの相手の嫌がることをすることだ。
 これを多用すると、さまざまな副作用を引き起こす。 

 それについて、舞田氏は、「嫌子を与える人間を避ける」ようになると、次のように指摘する。 
 舞田氏による著書の紹介は第35回目である。

 【引用はじめ】

 嫌子を与えるような人のそばには、誰だって近づきたくない。良好な人間関係を育むことは難しくなり、部下も進んで教えを乞うような気にはなれず、適切な教育はできなくなる。それどころか、嫌子を与える人に対しては情動反応が起き、攻撃を生み出す危険性もある。部下からの反撃であれば生命の危険はないだろうが、相手次第では危険な世の中だ。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.56、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーが嫌子を多用すると、職員はそのリーダーを避けるようになるのは当然である。
 リーダーの叱責などには、耳をふさぎたくなる。
 常にリーダーからは距離を取ろうとする。

2020年1月18日土曜日

嫌子がエスカレートして虐待につながりかねない

 嫌子とは、「行動の直後に出現すると行動を減らす刺激やできごと」である。
 怒ったり、嫌みを言ったり、無視したり、体罰するなどの相手の嫌がることをすることだ。
 これを多用すると、さまざまな副作用を引き起こす。 

 それについて、舞田氏は、「嫌子がエスカレートして虐待につながりかねない」問題を、次のように指摘する。 
 舞田氏による著書の紹介は第34回目である。

 【引用はじめ】

 嫌子出現を繰り返すと耐性がつく。
 人は繰り返し与えられる嫌子に慣れ、いずれ行動を弱化できなくなる。いつも叱ってばかりいる上司の説教や叱責や嫌みは、だんだん聞き流すようになる。その結果、行動の弱化のために与える嫌子がエスカレートしていく危険が生じる。はじめは効果があった叱責や嫌みがだんだん効かなくなると、次はもっと強い嫌子、それにも慣れたらもっと強い嫌子とどんどんエスカレートする。相手次第では、これが虐待につながる可能性もある。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.56、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーが職員の行動に対して、叱責したりおどすなどがエスカレートし過ぎることがある。
 こうなると、パワーハラスメントといったことになりかねない。
 パワハラによって、職員が委縮し、職場環境を暗くしてしまう。

2020年1月17日金曜日

嫌子を使うことの問題

 嫌子とは、「行動の直後に出現すると行動を減らす刺激やできごと」である。
 怒ったり、嫌みを言ったり、無視したり、体罰するなどの相手の嫌がることをすることだ。
 これを多用すると、さまざまな副作用を引き起こす。 

 それについて、舞田氏は、「嫌子を使うことの問題」を、次のように述べる。 
 舞田氏による著書の紹介は第33回目である。

 【引用はじめ】

 嫌子を使う行動の制御は多くの問題がある。それにもかかわらず、人々は嫌子を使って相手をコントロールしようとする。部下に対しても、家族に対しても、子どもに対しても。
 嫌子を使うことの問題は主なものだけで以下の5つである。
  1. 嫌子出現を繰り返すと耐性がつく
  2. 嫌子を与える人間を避けるようになる
  3. 行動が抑制され、新しい行動が生み出されにくい
  4. その場面に適切な行動を何も教えていない
  5. 一時的な効果しかない  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.56~p.57、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 嫌子は行動制御になじまない。互いを不快にさせる。即効性があるので、ついつい嫌子を使ってしまう。嫌子の問題をしっかり理解しておかないと。
 嫌子は「耐性」「回避」「抑制」「不適」「一時」といった問題を引き起こすのみである。

2020年1月16日木曜日

4つの基本随伴性

 行動の原因を理解するときは、随伴性がどのようになっているか。
 ダイアグラムを書くとわかりやすい。

 それについて、舞田氏は、「4つの基本随伴性」があると、次のように述べる。 
 舞田氏による著書の紹介は第32回目である。

 【引用はじめ】

 「4つの基本随伴性」とは、好子出現の強化、好子消失の弱化、嫌子出現の弱化、嫌子消失の強化である。
 行動の原因を理解するには、次のようにどの随伴性で制御されているか判断する。
  1. 行動は「強化」されているのか、「弱化」されているのか判断する
  2. 直前から直後の変化は「出現」か、「消失」か判断する
  3. 出現もしくは消失したものが、「好子」か「嫌子」か判断する
これで、現在繰り返される行動、逆にしなくなった行動が、どのように随伴性に制御されているか明らかになり、同時に対処の方法が見えてくる。
 行動は随伴性で制御されているのだから、行動を変えるには随伴性を変えればよい。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.54~p.55、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 「4つの随伴性」で行動を見れば、行動がいかに制御されているか、よくわかる。
  1. 好子が出現すると強化
  2. 好子が消失すると弱化
  3. 嫌子が出現すると弱化
  4. 嫌子が消失すると強化
行動が繰り返されるか、それともその行動をしなくなるかがわかるのである。

2020年1月15日水曜日

ダイアグラムを書く手順

 行動の原因を随伴性で考えるときは、「ダイアグラム」を書くといい。

 それについて、舞田氏は、「ダイアグラムを書く手順」を、次のように述べる。 
 舞田氏による著書の紹介は第31回目である。

 【引用はじめ】
 
 (直前) リーダーが睨んでいない
 (行動) 職員が定時退社の準備をする ↓【弱化】
 (直後) リーダーが睨んでいる

  上記のように、ダイアグラムを書く手順をまとめる。
  1. 誰のどの行動を分析するのかを決め、「行動」を先に書く。「行動とは死人にはできないこと」という定義を忘れずに、できるだけ具体的に書く。
  2. 行動の直後に起こったことを「直後」に書く。直後とは60秒以内である。
  3. 行動の直前に起こったことを「直前」に書く。このとき、直前直後は対称的に(「ある」⇒「ない」またはその逆)。  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.51~p.53、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

2020年1月14日火曜日

定時退社しないのはなぜか?

  定時退社しない理由をダイヤグラムを使って考えるとどうなるか。 

  それについて、舞田氏は、「定時退社しないのはなぜか?」を、次のような随伴性ダイアグラムを用いて書くといいと述べる。 
 舞田氏による著書の紹介は第30回目である。

 【引用はじめ】

 ダイアグラムの書く際は、「行動」の項目から始める。
 「職員が定時退社の準備をする」と書き入れる。行動だから、動詞で、動詞の原形で書くこと。また、主語をつけて書く。
 次に、「定時退社準備行動」が繰り返されている(増加する)のか、それともやらない(減少する)のか、という点だ。職員たちは帰らないのだから、この行動は減少していると判断できる。行動が減少していることを視覚的に表すために、下向きの矢印つける。
 その次に考えることは、この行動が減少する理由である。行動の理由は、直前直後の状況の変化にあるから、この行動の直前と直後に何が起こっているのかを考える。「直後」に何が起こっているかを先に考える。
 直後を記入したら、それと対称的な出来事を「直前」に書く。「ない」「ある」の変化を明確にすることが重要だ。ダイヤグラムは次のようになる。 

  (直前) リーダーが睨んでいない
→(行動) 職員が定時退社の準備をする  ↓ 弱化
→(直後) リーダーが睨んでいる

 職員が帰社準備をすると、直前から直後にかけて、「睨んでいない」→「睨んでいる」と状況が変化する。この変化が原因となって、定時退社準備の行動が起こりづらくなっている。定時退社行動は、出現の変化によって弱化している。 
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.50~p.51、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 随伴性ダイアグラムは、次のような手順で書く。
 1 行動をまず動詞の原形で書く。
 2 直後の状況を書く。
 3 行動が増加する↑のか、減少する↓のかを矢印であらわす。
 4 直前の状況を「ない」か「ある」の変化の形で明確に書く。

2020年1月13日月曜日

ダイアグラムの書き方

 行動随伴性を分析するとき、有効な道具が随伴性ダイアグラムである。
 直前、行動、直後の三つの項目を順番に並べて図示する。

 それについて、舞田氏は、「ダイアグラムの書き方」を、次のようにするのがいいと述べる。 
 舞田氏による著書の紹介は第29回目である。

 【引用はじめ】

 ダイアグラムの書く際は、「行動」の項目から始める。
 例えば、行動の項目に、「職員が定時退社の準備をする」と書き入れる。

  (直前) リーダーが睨んでいない
→(行動) 職員が定時退社の準備をする  ↓ 弱化
→(直後) リーダーが睨んでいる 
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.50、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 随伴性ダイアグラムは、行動の直前と直後の変化を視覚的にとらえることができるようにするのだ。

2020年1月12日日曜日

行動随伴性を図示するダイアグラム

 「行動は、行動直後の状況の変化によって変わる」。これを行動随伴性と呼んだ。
 行動随伴性とは、「行動と行動直後の状況の変化との関係で、行動の原因を解明し、行動を改善するための枠組み」であった。 

 それについて、舞田氏は、「行動随伴性を図示するダイアグラム」によって、よりわかりやすくできるとして、次のように述べる。 
 舞田氏による著書の紹介は第28回目である。

 【引用はじめ】

 行動随伴性で分析するときに有効な道具は、直前、行動、直後の三つからなる随伴性ダイアグラムである。これは、行動随伴性を図示したもので、行動の直前直後の変化が視覚的にわかりやすい。
  (直前) リーダーが睨んでいない
→(行動) 職員が定時退社の準備をする  ↓ 弱化
→(直後) リーダーが睨んでいる 
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.49、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 上記の行動随伴性ダイヤグラムのように、「職員の定時退社の準備」の直後に、「リーダーが睨む」ことで、その行動が減少する。
 随伴性ダイアグラムは、行動の直前直後の変化をわかりやすくできる。

2020年1月11日土曜日

問題を具体的な行動レベルに落とし込む

 問題に関して、どうしても漠然とした言葉でとらえがちだ。
 こうすると、問題の解決が難しい。 

 それについて、舞田氏は、「問題を具体的に行動レベルに落とし込む」必要性を、次のように指摘する。 
 舞田氏による著書の紹介は第27回目である。

 【引用はじめ】

 問題はたいてい、漠然とした言葉で表現されることが多い。「帰りにくい」というのもその典型だ。行動を随伴性で分析するには、問題をもっと具体的な行動レベルに落とし込む必要がある。漠然とした問題を行動の言葉に翻訳する作業を、「行動的翻訳」という。具体的に翻訳できたかどうかの目安は、その行動が観察測定できるかどうか考えるとよい。「帰りにくい」かどうかは、本人はともかく、他者が見ても判断は難しいから、観察測定できない。では、「定時に帰社」しないという翻訳は可能か?それでは、「行動とは死人ではできないこと」という行動の定義に反する。「~しない」という非行動は死人の得意技だからだ。したがって、正解は「定時に帰社する」である。そしてこの行動がなぜ起こらないのかを分析するのである。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.48、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 職場が定時になっても「帰りにくい」雰囲気があって、多くの職員が残ってしまっている。
 残業しているからといって、能率的に仕事に打ち込んでいるわけでもない。
 残ることが「よし」となっている職場だ。
 こうしたことの問題を明確な言葉に翻訳して、問題解決につなげることが必要である。

2020年1月10日金曜日

エンゲージメントが高いか

 職員がいきいきとよい仕事をしている組織とは、どうなっているか。 

 それについて、舞田氏は、「エンゲージメント」という指標を使って、以下のように述べる。 
 舞田氏による著書の紹介は第26回目である。

 【引用はじめ】

 社員がいきいきとよい仕事をしている状態をエンゲージメントが高いという。社内外で自分の会社や仕事のことをよく言っているか、それとも愚痴や文句ばかり言っているか。これはエンゲージメントを端的に示す指標の一つ。
 上司の前では従順でいながら陰では不平を言う、いわゆる面従腹背もエンゲージメントが高いとはいえない。
 ただ命じられたことや役割に書かれていることしかしないという人の集団は、組織としてエンゲージメントが高いとはいえない。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.38~p.39、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 組織として、いい状況にするためには、エンゲージメントを高める必要がある。
 職員が自分の属する事業所や仕事のことをよく言う。肯定的にとらえている。
 リーダーを信頼し、リスペクトしている。仕事に積極的で常に工夫と改善に努めている。

2020年1月9日木曜日

好子がなくなると行動はどうなるのか

 ミーティングにおいて、職員が消極的な発言をすると、リーダーは笑顔をやめた。
 今までの笑顔という好子をなくしたのである。 

 それについて、舞田氏は、「好子がなくなると行動はどうなるのか」を以下のように述べる。 
 舞田氏による著書の紹介は第25回目である。

 【引用はじめ】

 職員から消極的な発言が飛び出したとたん、リーダーは、それまでの笑顔をさっと消した。消極的な発言の直後に、「笑顔あり」から「笑顔なし」に状況が変化する。つまり、消極的な発言に対しては、直前にあった好子(ここでは笑顔)を消失させたのである。その結果、職員の消極的な発言は抑制された。直前から直後の状況の変化によって、行動が抑制されることを、専門用語で弱化という。
  (直前) 「リーダーの笑顔あり」
 →(行動) 「職員が消極的な発言をする」
 →(直後) 「リーダーの笑顔なし」
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.35~p.36、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 今まで笑顔だったリーダーは、職員が消極的で後ろ向きの発言を発した直後に笑顔を消した。
 そうすると、しだいに職員の消極的発言は減っていく。
 笑顔という好子を行動の直後になくすと、消極的発言という行動が抑制される。
 これが、弱化という働きである。

2020年1月8日水曜日

直後の好子の出現で発語が変化する実験

 職員がミーティングで発言した直後に、リーダーがポジティブなリアクションをする。
 そうすると、職員の発言が増える。
 職員の発言の直後にポジティブなリアクションの好子を出現すると、発言という行動が増加するのだ。

 それについて、舞田氏は、次のような実験を証拠としてあげる。 
 舞田氏による著書の紹介は第24回目である。

 【引用はじめ】

  直後の好子の出現で発言が変化することを、最初に実験的に証明したのは、1955年に発表されたグリーンスプーンの研究である。グリーンスプーンは、75名の学生を被検者にして、思いついた単語を順番に言わせた。そして、複数名詞を言った時だけ、さりげなく、うなずいたり、「うんうん」などの肯定的なリアクションを行った。すなわち、複数名詞をいう行動を、肯定的なリアクションという好子出現で強化したところ、その回数が有意に増加したのである。しかも、このとき被検者は、自分が複数名詞を多用するようになつたことに気づかなかったという点だ。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.34~p.35、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 沈滞的なミーティングにおいては、発言することを、積極的に肯定する対応が求められる。
 素朴で単純な質問でも受け入れる雰囲気が大事だ。

2020年1月7日火曜日

好子(こうし)の活用

 行動の直前直後の変化によって、行動が変化する。
 これが、行動分析学が唱える行動の原理である。

 そこで、舞田氏は、行動の直後に出現して行動を強化する「好子(こうし)」のことを、次のように説明する。  
 舞田氏による著書の紹介は第23回目である。

 【引用はじめ】

 行動の直前直後の変化によって社員の行動は驚くべき変化をする。
 たとえば、「笑顔がない」から直後の「笑顔がある」、「うなずいていない」から「うなずく」などと変化する。こうした直前の「ない」から直後の「ある」への変化を「出現の変化」という。発言する前になかった笑顔やうなずきが、発言によって出現した。
 そして、この出現の変化によって、実際に出てきたものは、笑顔、うなずき、「そうですね!」のリアクションなどである。
 この、「うなずき」「そうですね!」といった、行動の直後に出現して、行動を強化する刺激やできごとを、専門用語で好子(こうし)という。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.33、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 行動の直後に「好子(こうし)」を出現することで、より良い行動の変化を促すことができる。
 好子の活用は組織行動にも大きな変化をもたらす。

2020年1月6日月曜日

前向きな発言を増やすには

 行動の直後にどんなリアクションがあるかによって、行動が増えたり減ったりする。
 例えば、ミーティングにおいて、参加者の発言を増やすにも、発言の直後にリーダーなどのリアクションが大事だ。

 そこで、舞田氏は、「前向きな発言を増やすには」、次のように発言の直後にポジティブなリアクションを返すことだと述べる。  
 舞田氏による著書の紹介は第22回目である。

 【引用はじめ】

 行動直後の随伴性によって行動の回数や強度が増えることを専門用語で、強化という。
 リーダーが、計画的に、発言の直後にポジティブなリアクションを返して前向きの発言を増やしている。
 このように、直後にリアクションを返して行動を増加させる操作のことも強化という。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.32~p.33、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 行動の直後に適切なリアクションをして行動を増やす。
 強化という対応を積極的に行えば、ポジティブな行動を引き出すことができる。

2020年1月5日日曜日

行動随伴性の枠組みで行動を改善する

 ミーティングなどにおいて、職員の発言を増やすには、リーダーなどの職員に対する発言直後のリアクションが重要である。
 行動と行動直後の状況変化といった枠組みを「行動随伴性」という。

 そこで、舞田氏は、「行動随伴性」を、次のように定義する。  
 舞田氏による著書の紹介は第21回目である。

 【引用はじめ】

 行動随伴性とは、「行動と行動直後の状況の変化との関係で、行動の原因を解明し、行動を改善するための枠組み」。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.32、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 「行動随伴性」によって、行動の変化を解明しようとすることは、とてもわかりやすい。
 行動の改善にも効果的である。
 単純すぎて疑問を持ってしまうかもしれないが、実際的である面がすぐれている。

2020年1月4日土曜日

発言にすかさず応答すると発言の回数が増える

 ミーティングで職員の発言がほとんどない。職員は業績のことについて真剣に考えてないなどと言ってしまいがちである。本当にそうだろうか。

 舞田氏は、リーダーが職員の反応に適切なリアクションをしないからだとみなす。
 そこで、舞田氏は、「発言にすかさず応答すると発言の回数が増える」と、次のような見方を提示する。  
 舞田氏による著書の紹介は第20回目である。

 【引用はじめ】

 発言にすかさず応答すると発言の回数が増える。日常会話だってそうだ。ろくに相槌も打たない相手に話はできない。相手が、目を輝かせたり、身を乗り出したり、タイミングよくうなずいたりする
から、話が弾む。コンピュータを使った実験では、相手からのリアクションを0.3秒遅らせただけで違和感を覚え、話し方がぎこちなくなるという結果があるほどだ。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.32、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 発言がはずむ状況というのは、互いのやりとりが積極的なときである。
 リーダーは、職員の発言の良しあしにかかわらず、適切なリアクションを行う必要がある。

2020年1月3日金曜日

行動は、行動直後の状況の変化によって変わる

 行動は、心や性格が原因だとする常識的な考え方がある。やる気がない、責任感が足りないなどと決めつける。しかし、これでは解決の手がかりがつかめないのだ。

 そこで、舞田氏は、「行動は、行動直後の状況の変化によって変わる」と、次のようの見方を提示する。  
 舞田氏による著書の紹介は第19回目である。

 【引用はじめ】

  行動は、行動直後の状況の変化によって変わる。
  これが行動の根本原理であり、専門用語では、行動随伴性と呼ぶ。
  行動を医学モデルではなく、随伴性によって見る、これが行動分析学の行動観だ。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.32、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 私たちの行動は、その行動の直後にどんな状況があったかで変化する。
 職員がミーティングで発言した。その直後、リーダーは「なるほど」とリアクションする。
 そのことによって、その職員は笑顔になり再び発言するようになり、発言の回数が増えるといったことである。
 行動の直後にどんな状況になったかに着目することが重要だ。

2020年1月2日木曜日

ミーティングががらりと変わる

 ミーティングしても、発言する職員がいない。リーダーは、職員たちがなんの意見も持っていないといらだつ。なぜそうなのか。本当に意見を持っていないのだろうか。

 舞田氏は、「ミーティングががらりと変わる」やり方があると、次のように述べる。  
 舞田氏による著書の紹介は第18回目である。

 【引用はじめ】

 社員たちが発言するたびに、必ず何らかのリアクションを返す。たとえ、「何も変わらないんじゃないですか」というシニカルな発言対しても、「なるほど」と応じる。そして前向きの発言が出れば、満面の笑顔で応酬する。発言の直前は、無表情だ。しかし、発言した途端に、必ずポジティブなリアクションを返す。この発言直前の無表情から、発言直後の明るい笑顔とポジティブな応答への変化。
 これがミーティングをがらりと変える。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.31~p.32、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーは、職員の発言に対して、リアクションをしてこなかった。
 あるいは、期待どおりの発言でないと否定的なリアクションだった。
 リーダーのリアクションが職員の発言を制御してきたことを知るべきである。
 発言を促進するリアクションを多用するのだ。

2020年1月1日水曜日

行動後のリアクションが大事

 行動することの原因は何か。医学モデル(心や性格が行動の原因だと説明すること)では、本当の原因を解明することができない。

 それで、舞田氏は別な解釈を用いる。 
 舞田氏によれば、「行動後のリアクションが大事」として、次のように述べる。  
 舞田氏による著書の紹介は第17回目である。

 【引用はじめ】

 行動分析学では、ヒトの行動の原因は心や性格にあるのではなく、行動の結果、さらにいえば、行動の直前から直後への状況の変化にあると考える。
 行動する前に出した指示よりも、行動したあと、聞き手に何を返すかが重要なのである。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.29、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 リーダーが事前に指示することより、職員の行動を見ていて、その行動に対してリーダーが適切な働き返しをすることの方が効果的である。
 「いいね!」「頑張っているね」などの励ましの言葉である。