舞田氏は、「学習性の無気力」という動物実験で明らかになったものを、次のように紹介する。
舞田氏による著書の紹介は第44回目である。
【引用はじめ】
動物は、嫌子から逃れられない状況に置かれると、次第に活動性を失うとともに、別の場面においても、新しい課題の学習が困難になる。
オーバーマイアーとセリグマンという心理学者たちは、イヌを使って次のような実験をした。イヌを二つのグループに分け、第一グループには、拘束した状態で強い電気ショックを与え、自力では電気ショックを止める術がないという経験をさせる。
第二グループは、足でパネルを押すと電気ショックを終了できる状況に置く。つまり、嫌子消失による強化によって電気ショックから逃れられるという経験をさせる。
このような経験させた後、両方のグループのイスに、予告信号が鳴ったら、壁を飛び越せば電気ショックを回避できるという新しい学習をさせる。
その結果、前段階において電気ショックを回避できなかった第一グループの犬たちは、電気ショックを免れる方法を学べなかったのである。
この現象を、学習性の無気力または学習性の絶望と名づけた。
(舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.98、2008年、日本経済新聞出版社刊)
【引用おわり】
絶望的な状況に置かれると、ただ我慢するだけになってしまう。
自ら、問題を解決しようとせず、あきらめてしまう。活動そのものが低下する。
被虐児というのはこうした状況下にあるのだ。
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