2020年1月22日水曜日

一時的な効果しかない

 嫌子とは、「行動の直後に出現すると行動を減らす刺激やできごと」である。
 叱責、嫌み、無視、体罰などの相手の嫌がることをすることだ。
 これを多用すると、さまざまな副作用を引き起こす。 

 嫌子を使うことの5番目の問題として、舞田氏は、「一時的な効果しかない」と、次のように指摘する。 
 舞田氏による著書の紹介は第38回目である。

 【引用はじめ】

 一時的な効果しかない。
 行動分析学の創始者スキナーは一貫して、嫌子の使用による行動の制御に警鐘を鳴らし続けた。「罰なき社会」と題する講演で、嫌子を使うことなく、好子出現の強化による社会の創造について論じた。嫌子出現による弱化は一時的に効果があったとしても、長期的に見て何の解決にもならないのである。
  
  (舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.57、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 嫌子を使うと、一時的にはうまくいったように見える。嫌子出現による弱化で、その行動が減るからである。しかし、それはあくまでも一時的なことである。長続きせず、問題の解決にはならない。
 例えば、リーダーが職員の定時退社準備に対して、嫌な顔をする。職員は定時退社しなくなる。職員が定時退社しないのは、「嫌子出現による弱化」である。職員側からみると、定時退社しないという「嫌子消失による強化」だ。
 こうしたやり方はいい手法で言えず、長続きしないのである。

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