嫌子とは、「行動の直後に出現すると行動を減らす刺激やできごと」である。
叱責、嫌み、無視、体罰などの相手の嫌がることをすることだ。
これを多用すると、さまざまな副作用を引き起こす。
嫌子を使うのは問題とわかっていても、「それでも人は嫌子を使う」と、舞田氏は次のように指摘する。
舞田氏による著書の紹介は第39回目である。
【引用はじめ】
それでも人は嫌子を使い続ける。嫌子を使う行動が強化されているからだ。リーダーがジロリと睨んだり、嫌みを言ったりする行動は、嫌子消失によって強化される。
職員が帰り支度を始めたとたん、ジロリと睨むと、一瞬、帰り支度の手が止まったり、職員がバツの悪そうな顔をしたりする。それが強化の随伴性となって、嫌子を与える行動を強化するのだ。したがって、リーダーが嫌子を与える行動は、職員の行動で強化されている。職員をコントロールしていたつもりのリーダーもまた、気づかぬうちに、職員によってコントロールされているのである。
(舞田竜宣+杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.58、2008年、日本経済新聞出版社刊)
【引用おわり】
嫌子が以上のように使われるのは、互いの関係がそうさせていることがわかる。
お互いがお互いの行動を制御しているのだ。
リーダーは、「嫌子出現による弱化」によって、職員の帰り支度を減らすことができる。
また、職員は「嫌子消失による強化」によって、リーダーのジロリと睨むを減らすのだ。
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