コンプライアンス(法令・規則の遵守)がうまくいかない。
そうしたことは組織にとって大きな損失となる。なぜこうしたことがしょっちゅう起こるのだろう。そこで、舞田氏は、「生産ラインを止めるなどの規則が守られない」ことについて、次のように述べる。
舞田氏による著書の紹介は第136回目である。
【引用はじめ】
規則が守られないのはなぜか。
たとえば生産ラインで流れ作業をしているが、もし自分のところに不良品・欠陥品と思われるものがきたら、ラインを止めてチェックする。それが規則だ。ところが、守られない。
ラインを止めてチェックすれば必ず不良や欠陥が見つかる訳ではない。
部分強化は行動を維持するには有効であるが、それは、行動が十分形成されてからの話だ。
行動が形成されるには連続強化が必要だ。
生産工程が原始的で、品質が不安定な工場であったなら、止めれば、高い確率でそこに不良や欠陥を発見できるため、ラインを止める行動が形成できただろう。
ところが最新式の工場で、不良や欠陥などめったに発生しない状況下では、ラインを止めても不良や欠陥を発見できる可能性は低い。
そうなると、ただの空振りに終わってしまい、生産スピードを落とすだけという結果になり、この行動は身に付かないのだ。
一方、生産スピード低下の随伴性は、不良や欠陥が見つかろうと見つかるまいと100%の確率で起きる。
そして、生産スピードの低下は生産高の減少を招き、最終的にはボーナスが減ることになる。
作業員の報酬が減るために、ラインを止める行動が維持促進されないのである。
(舞田竜宣 + 杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」 p.318~p.320、2008年、日本経済新聞出版社刊)
【引用おわり】
規則が守られなくても、そう大きな問題にはならない。
規則を守らない方が生産スピードが落ちない。
めったに起きない不良品を見つけるために、ラインを止めるのは効率が悪い。
しかし、不良品が出ていることを知らずに出荷して顧客からクレームがきて大騒ぎとなる。
そのためにも、不良品の発見には定期的な点検がなければならない。
生産ラインを止めるなどの効率を犠牲にしてでも。
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