不安や恐怖に対する治療には、系統的脱感作が用いられて効果を上げている。交通事故が原因で運転ができなくなった人に対して、「不安階層表」による治療を用いた例がある。それについて、舞田本では以下のように述べる。舞田・杉山氏の共著書の紹介は、通算で355回目となる。
【引用はじめ】
交通事故を起こし、怖くて運転ができなくなった患者に対し、クシュナーが行った系統的脱感作では、次のような段階で、条件刺激にさらしていった。
- 事故を起こす前の車を想像する
- 車のそばに立っている自分を想像する
- 運転席に座っている自分を想像する
- エンジンをかけ、アイドリングしているところを想像する
- ガレージから車を出したところを想像する
- 近所を運転しているところを想像する
- 交差点にさしかかったが、他には車がないところを想像する
- 一旦停止の標識がある交差点にさしかかり、右側から車が近づいてくるところを想像する
これは不安階層表というもので、もちろん、1が最も弱い恐怖刺激であり、9は実際に事故に遭ったときの場面で最も強く恐怖を引き起こす場面である。患者は1の場面を想像することから始め、想像しても強い恐怖を感じなくなったら、2に移る。これを繰り返し、9の場面まで徐々に消去していくのである。
なお、この方法は、実際に車を運転するわけでなく、想像で恐怖反応を治療する点で、イメージ脱感作という。イメージでなく本物の刺激を使う、現実脱感作法という治療法もある。(舞田竜宣 + 杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.305~p.306、2008年、日本経済新聞出版社刊)
【引用おわり】
恐怖や不安を感じる場面や人に対して、不安階層表を作成して徐々に不安などを消去していくのは応用範囲が広い。苦手な人をついつい避けてしまうことでは問題を解決することにはならない。系統的脱感作で苦手意識を取り去る必要がある。
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