2020年12月21日月曜日

生産ラインは止められない状況

   生産ラインを止めると確実に欠陥品が見つかるといいのだが、必ずしもそうはならない。

 見つかることがごくまれな状況だとコンプライアンスどおりに作業員は動かない。

 それについて、舞田本では以下のように述べる。舞田・杉山氏の共著書の紹介は、通算で360回目となる。

 【引用はじめ】 

 一〇人が一つの生産ラインで共同作業している場合、一人がラインを止めることで、一〇人全員のボーナスが減る。となれば、ラインを止めたら周囲から白い目で見られるかもしれない。

 ラインを止めるとボーナスが減り、周囲から白い目で見られる。そうなれば、ラインを止めるという行動は弱化されることになる。

 では逆に、怪しいものを見つけてもラインを止めなかったら、どうなるか。この職場では何も起こらない。つまり、ラインを止めるという行動を強化する効果的な随伴性は、ここには存在しない。

(舞田竜宣 + 杉山尚子著「行動分析学マネジメント 人と組織を変える方法論」p.320、2008年、日本経済新聞出版社刊)

 【引用おわり】

 作業員にとっては、不良品かもしれないと疑い持っても、生産ラインを止めるのは簡単ではない。

 生産スピードを落とすことになって報酬にも響く。さらに、もし不良品でなかったら他の作業員から白い目で見られるかもしれない。

 こうした状況にあれば、コンプライアンスを守らないことになる。最初は不良品はごくわずかで問題にならないが、それが繰り返されれば大ごとになりかねない。大ごとになってからでは取り返しつかないのだが、作業員たちの多くは目先の対応に追われることが続く。 

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