2021年5月31日月曜日

悲観的な発言がどうしても多くなってしまう

 楽観的な発言を強化したい。そのためには、どうすればいいか。楽観的な発言に対して、肯定的な対応をすればいい。しかし、本当にそれのみで楽観的な発言が強化されるのか。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第141回目である。

【引用はじめ】

楽観的な発言を強化する策を考えましょう。この人が楽観的な発言をしたら、周囲の人(特に上司)が、

  • 笑顔を見せる
  • 同意、賛成する

 といった強化策が考えられます。しかし、それだけで十分か。この場合、楽観的なことを言って、もし結果が予想外だったらあとで責められる。という不安や恐怖が彼を楽観的発言から遠ざけ、悲観的発言に駆り立てていたのです。ここをどうにかしない限り、笑顔や賛同だけで彼の言動が大きく変わるとは考えにくい。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、 p.188~p.189

【引用終わり】楽観的な発言をしてそれが逆の結果になったら立場がなくなる。なかなか予想がつかない。そうなる心配がつきまとう。その不安から悲観的発言が多くなる。そちらの方が、予想が外れても自分の立場がそんなに危うくならない。結局は、自分の立場を守るために悲観的な発言が多くなってしまうのだ、 

2021年5月30日日曜日

自己強化

 自らのより良い行動がうまくいったらどのように強化すべきか。自分を褒めることである。さらに、仲間からの励ましなども強化になる。できれば、あまり苦労しないでできる方策がいい。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第140回目である。

【引用はじめ】

相手の行動を変えようとするならば、できるだけコストの少ない、大変でない楽な方法とることもその工夫の一つです。なるべく弱化の影響を少なくしようとしているわけです。

そのほかに、ぜひ取り入れておきたいのが自己強化です。

自己強化とは自分を褒めることです。

やるべきことをやった自分を褒める。言うべきことを言った自分を褒める。望ましい行動をしたら、その直後に自分を褒めるのです。

さらには、お互いに称え合う仲間を持つことも有効です。たとえばあなたが誰かに対し、言いにくいけれど言うべきことを言ったとき、その相手の行動がすぐには改まらなかったとしても、「よく言ったね」と褒めてくれる仲間がいればどうでしょう。

あなたはこれからも頑張って言うべきことを言おうと思い、そのように行動するのではないでしょうか。

つまりここでは、あなたの望ましい行動を、仲間が強化してくれているわけです。このように強化し合う同志のような存在を持ち、お互いに励まし合うことで、なかなかは変わらない人と組織を最後まで諦めずに変えてゆけるようになります。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、 p.186~p.187

【引用終わり】

 望ましい行動ができたらああ良かったと自らを褒めよう。仲間たちから褒めてもらえればなおいい。それも行動の直後であればもっといい。やり方も難しくない簡単にできることだと、抵抗も少ない。そうすれば、強化されることが確実となる。 

2021年5月28日金曜日

自分の行動も弱化や消去にさらされている

 相手の行動は簡単には変わらない。そうなると、相手への働きかけが弱化されたり、消去されたりする。相手への働きかけがされなくなってしまう。そうならないようにしないと、相手の行動は変わらない。相手の行動を変えるには、相手への働きかけが弱化や消去されない工夫が必要である。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第139回目である。

【引用はじめ】

相手の行動はすぐに変わるとは限らない。

つまり、相手の行動が目に見えて変化するまで、皆さんは弱化と消去の危機にさらされることになるのです。

変革がたいてい途中で挫折してしまうのは、こうしたことが原因です。変革を推進するという行動そのものが、実を結ぶ前に弱化・消去されてしまうのです。

したがって、人や組織を変えようとする皆さんは、他者の行動だけでなく、自分の行動をどう強化し続けるか、消去や弱化されないようにするか、うまい工夫を持っておくことが実は極めて重要なのです。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.186

【引用終わり】

 相手の行動を変えるには、自らの行動も強化されるようにすることである。そうしなければ、相手の行動は変わらない。相手の行動を変えるための自らの行動変化も必要なのだ。 

2021年5月26日水曜日

相手の行動はすぐには変わらない

 相手の行動って簡単に変わるわけでない。そうなると、行動を変えようとすることが消去されることになる。俗に、諦めるということである。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第138回目である。

【引用はじめ】

相手の行動変化がすぐに起きれば、それは皆さんにとって心地よいでしょうから、皆さんの行動は強化されるでしょう。「こちらの働きかけで彼は変わった。これからもがんばろう」と皆さんは思うことでしょう。

しかし、相手の行動はすぐに変わるとは限りません。

もし皆さんが何かしても、なかなか相手は変わらなかったとしたら、それは行動分析学的には何が起きることになるでしょう? それは、皆さんの行動に対する消去が起きるということになります。「彼にいろいろやってあげても、何も変わらない。ならばやめよう」と思ってしまうということです。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.186

【引用終わり】

 こちら側の働きかけで相手の行動が変われば心地よく感じる。しかし、こうはいかない。相手の行動を変えることは簡単ではない。相手の行動が変わらないと、いずれ働きかけを止めてしまいがちである。働きかけそのものが消去されるのだ。これが行動分析学が唱えるメカニズムである。 

2021年5月25日火曜日

手間がかからない行動変化が必要

 相手の行動を変えようとするならば、できれば手間がかからない方がいい。手間をかけずに、相手の問題行動が変われば気分がいい。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第137回目である。

【引用はじめ】

無視する(消去する)という行動は簡単です。「簡単」というのは、行動分析学では「コストがかからない」という言い方をします。

強化も弱化も、自分が相手に何かをすることで相手の行動を変えてゆきます。つまり、変える側の皆さんにしてみれば、そこに手間(時間やエネルギー)がかかってしまいます。

手間を費やせば、疲れます。疲れるということは嫌なことですから、変えようとする行動に対して弱化が働くことになりかねません。

「彼を変えようとしても疲れるだけだから、やめよう」と思ってしまうかもしれません。

相手の行動変化がすぐに起きれば、それは皆さんにとって心地よいでしょうから、皆さんの行動は強化されるでしょう。「こちらの働きかけで彼は変わった。これからもがんばろう」と皆さんは思うことでしょう。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.185~p.186

【引用終わり】

 相手の問題行動を容易に変えられれば、やりがいを感じられる。できれば手間かからない行動を変える方策を求めることが大事だ。そうした工夫により効率的なやり方を見いだせるようになる。こうしたことが積み上がれば、ますます容易な行動変化の方策を見いだせることになる。 

2021年5月24日月曜日

消去にはバーストが伴う

  課長さんの悲観的な発言に対し、周囲が無視するなどして消去すると、バーストを引き起こす。「なんだ俺の話を聞かないのか」と怒りかねない。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第136回目である。

【引用はじめ】

消去にはバーストが伴うことがあります。

バーストとは、消去を開始すると一時的に行動が爆発的に増えることです。彼が悲観的に発言をしたときに周りが無視すると、「私の話を聞いているのか!?」とキレて、その発言を大きな声で繰り返すかもしれません。

それでも周りが聞く耳を持たない、つまり無視を続けていれば、彼の発言はいつかやみます。

ですが、無視し続けるのが適当でない場合には、ここで弱化に切り替えてもよいでしょう。たとえば、彼を厳しい目で見ながら、「君の発言はいつも悲観的だから、聞く価値がない。聞いても皆のモチベーションが下がるだけだ」などと言うことです。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.184

【引用終わり】

 相手を無視続けるというのは、なかなか難しい。周囲全体で無視することを協力し合わなければならないからだ。そこが消去することの難しさである。

 だから、悲観的な発言などの問題行動に対しては弱化する手続きが必要になってくる。 

2021年5月23日日曜日

悲観的な発言を消去したり弱化したりする

  課長さんの悲観的な発言を消去したり、弱化するにはどうするか。悲観的な発言に対しては、無視するとか、嫌な顔などするのがいい。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第135回目である。

【引用はじめ】

悲観的な発言を消去したり弱化したりするには、どうすればよいでしょう。

消去は、行動の直前・直後で何も変わらないことです。ですから、たとえばこの人が悲観的な発言をしても、周り(特に上司)が無視する、という手が考えられます。

弱化は、行動の直後に、

  • 不快や苦痛を感じる
  • 心地よさがなくなる

 ことです。ですから、弱化によって行動を改革するとすれば、たとえば、この人が悲観的発言したら、周り(特に上司)は、

  • 露骨に不機嫌な顔をする
  • 責めるような目で見る
  • 「その発言には根拠があるのか」などと突っ込む

 ことなどが考えられます。

 消去のときは周りが無反応(無視)、弱化のときは周りがネガティブに反応します。どちらを使うかは時と場合、また話の内容によって使い分けてよいでしょう。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.183

【引用終わり】

 課長さんの悲観的な発言には、何ら反応なしで対応するか、行動の直後に嫌な顔などすることである。悲観的な発言の直後には、無視を決め込んだり、嫌な態度を示すのだ。 

2021年5月22日土曜日

悲観的な行動を変えるには

  課長さんがなぜネガティブな行動ばかりするのか。それをどうすれば変えることができるか。分析する必要がある。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第134回目である。

【引用はじめ】

課長のネガティブな行動を、どうすれば変えることができるでしょう?

まず、物事に悲観的な発言をするという行動を変えましょう。ここでの戦略は2通りあります。

  1. 悲観的な発言を消去または弱化する
  2. 楽観的な発言を強化する

 悲観的な発言をなくしただけでは、この人は何も言わない人になってしまうかもしれません。ですからこの2つを同時に進行させてゆきましょう。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.182

【引用終わり】

 この課長さんは、物事に対して悲観的な発言ばかりする。まずは悲観的な発言を消去や弱化しなければならない。それだけではダメ。同時に楽観的な発言を引き出す工夫も必要である。 

2021年5月21日金曜日

課長が部長の発言に批判ばかりする

  課長さんが部長の発言に対して、時おり批判や反対をする。それはなぜか。どうもそれが強化されていることがわかった。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第133回目である。

【引用はじめ】

課長が、部長の発言に反対や批判ばかりするという点を分析しましょう。

これは実際にこのようなことが起きた場を観察していて分かったことですが、この課長は部長に反対意見を述べたり批判的なことを言ったりすると、少しすっきりした自慢げな顔になります。

そのことをあとで本人に指摘し、じっくりとインタビューしてみると、どうやら次のようなことがあると分かりました。

  • 部長の話を聞いていると、納得しかねるところがたいてい出てくる。それを黙って聞いていると、フラストレーションがたまってくる。そこで我慢できずに反対や批判を言ってしまうと、フラストレーションが解消される
  • 部長の話には、穴がたいていある。そこを指摘することで、自分が部長と同等以上の能力があると感じることができる

 この人はもともと真面目で頭も良いのに、その頭をこのような方向に使ってしまっていたのでした。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.180~p.181

【引用終わり】

 確かに、部長さんも課長さんにしてみれば、問題となることを発言する。だから、反対したくもなる。しかし、問題点を指摘するばかりではなんら生産的でない。それをわきまえて対応すべきなのだがそれができていない。組織内にとっても、それはいい結果をもたらすはずがないと知るべきなのだが。

2021年5月20日木曜日

部下の仕事を手伝わないを考える

 課長さんが部下の仕事にあまり関心を向けないことは問題である。任せているという理由からである。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第132回目である。

【引用はじめ】

課長は、「部下の仕事を手伝わない」という問題は次のようなことである。

  • 部下のために任せているのだ、という意図を伝えていない
  • 部下に任せっきりで状況を把握していない
  • 部下が壁に突き当たったときに助言をしない

 以上が、要改善項目である。「意図を伝える」「状況を把握する」「助言する」という行動は、今まで全くされていなかったので、強化も消去も弱化もされていません。ただ、行動のレパートリーの中に入っていなかったということでした。したがって、これらの行動を作り上げることが必要となります。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.180

【引用終わり】

 課長さんが部下を尊重して仕事に口出ししないというのは、それなりに理解できる。

 しかし、その意図は部下に伝えておく必要がある。また、仕事の途中経過を報告させることも大切だ。そこまでできたかを把握し、そのことを強化するのである。そこで仕事についてアドバイスすれば、部下はそのアドバイスを活用できたら、さらにより良い仕事につながればなおいい。

2021年5月19日水曜日

部下に対してどのような支援が必要か

  ここで取り上げている課長さんは、部下から仕事を手伝わないという訴えがある。それは必ずしも正しいとは言えない。課長としての支援のあり方を模索する必要がある。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第131回目である。

【引用はじめ】

部下の仕事を手伝わないという点についてはどうか。

これは、部下からの不満として出ていたものです。

部下の仕事を課長がどれだけ手伝うべきか。多少の苦労はあっても本人が完遂したほうが本人の成長にもつながるし、達成感も大きい。

課長に意見を聞いてみると、やはり「部下のために、あえて任せている」とのことでした。その意図が部下に伝わっていないことが、ここではむしろ問題と言えそうです。

ただ、課長に問題がないかと言えば、そうとも言えません。部下に仕事を任せるのはいいとしても、途中経過を確認することもしなければ、アドバイスすることもしないのです。

手伝うことはやりすぎかもしれませんが、状況を把握し助言を与え、必要なときにはアクションを起こすことは、やはり支援として必要なことなのです。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.179~p.180

【引用終わり】

 課長さんは、部下の仕事ぶりにもっと関心を持つべきである。ただ単に部下に仕事を任せてなんら関わらないのでなく、途中の経過報告を受けて適切なアドバイスすることも大事である。課長さんとしての適切なかかわり方と言っていい。

2021年5月18日火曜日

課長の褒め言葉に対して部下が素直に喜ばず皮肉を言う

 部下が課長さんに対して、褒め言葉にも皮肉を言ってしまう。なぜなんだろう。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第130回目である。

【引用はじめ】

部下は、なぜ素直に喜ばず皮肉を言ったりするのかと問うと、その答えは「日頃から、うっぷんたまっていて、こういうときについ出てしまう」というものでした。

要するに、皮肉を言えば課長に対する日頃のうっぷんが晴れるということなのですが、普段のときに言っても叱られるので、こういうタイミングで言えば、叱られずに済むということでした。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.178~p.179

【引用終わり】

 部下は課長さんに対する不満がたまってたりする。そうすると、皮肉っぽい言葉を発してしまう。こうしたことの繰り返しが、互いに言葉がけなど減らしてしまうことになる。互いのコミュニケーションが消去や弱化をもたらすのである。 

2021年5月17日月曜日

部下が課長から褒められても嬉しそうにしない理由

  部下の課長さんへの対応を分析すると、どうなっているか。課長さんが部下のことを褒めても特別嬉しそうにもしない。なぜそうなのだろう。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第129回目である。

【引用はじめ】

部下は、課長から褒められたときに、なぜ嬉しそうな顔をしないのか。

課員に聞いてみたところ、「褒められて喜ぶなんて、子どもみたいで恥ずかしい」という答えが返ってきました。ここでも「子どもみたいなのはダメ」という理由が出ています。人は大人になるにつれ、自然の摂理を自分から否定してしまう悪い癖があるのでしょうか。世の中で大成功している人を見ると、彼らは実はかなり子どもじみたモチベーションで動いていることも多いのですが。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.178

【引用終わり】

 部下にしても課長さんから褒められたから、嬉しそうにするかというとそうでもない。そんなことで、嬉しがる必要もないという思いがある。褒められたから嬉しがるなんて子どもじみていると思ってしまう。素直でない。こうした部下の対応は、課長さんが部下を褒めることを消去してしまう。

2021年5月16日日曜日

なぜ部下を褒めないのか

 課長さんは部下との関わりがうまくいかない。部下を褒めることをしない。その理由はどういうものか。分析してみる必要がある。褒めることが消去されたり、弱化されているのは何かということである。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第128回目である。

【引用はじめ】

課長さんが部下を褒めないということについて分析しましょう。

  1. 「褒められたくて仕事をするようではプロとは言えない」
  2. 「褒められても、部下はちっとも嬉しそうな顔をしない」
  3. 「褒めてみたら、『自分がやるしかないでしょう』と、課長である自分の頼りなさを皮肉られた」

 1番目は、課長の考え違いです。仕事をするのは、お金を稼ぐため、家族を養うため、お客様に喜んでいただくためなど、さまざまな尊い理由があるでしょう。褒められてうれしいからがんばるなどというのは、理由としては子どもじみていると思われるかもしれない。

 でも、子どもががんばる理由というのは、人ががんばる原初的な理由でもあります。そこには人を動かす真実があるのであって、決して馬鹿にしてはいけません。

 一方、2番目と3番目の発言については、課長にとってお気の毒というべきでしょう。褒めても部下が嬉しそうな顔をせず無表情のままであったら、褒めるという行動は消去されます。褒めても皮肉が返ってくるようでは、褒める行動は弱化されます。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.177

【引用終わり】

 課長さんは、部下の仕事に対して褒めるなんて必要ないと思っている。仕事をするのはプロだから当たり前との思いが強い。また、部下は課長さんが褒めても嬉しそうにしない経験があればなおさらだ。さらに輪をかけて、たまに部下を褒めたりすると、「自分たちがやるしかない」などと皮肉交じりの言葉を言われたりするのだ。こんな消去や弱化の経験が続けば、部下を褒めることはほとんどなくなってしまう。

2021年5月15日土曜日

課長が部下を褒めない理由

  ここで例をあげている課長さんは、部下をあまり褒めない。それははなぜだろう。褒めることに対する行動が消去されたり、弱化されているからと考えられる。それを分析する必要がある。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第127回目である。

【引用はじめ】

課長さんが部下を褒めないということについて分析しましょう。

これは、部下を褒めるという行動が消去または弱化されていると考えます。なぜ部下を褒めないのか。この課長に聞いてみると、このような考えが返ってきました。

「褒められたくて仕事をするようではプロとは言えない」

「褒められても、部下はちっとも嬉しそうな顔をしない」

「褒めてみたら、『自分がやるしかないでしょう』と、課長である自分の頼りなさを皮肉られた」

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.176~p.177

【引用終わり】

 課長さんにとって、部下を褒めることを了としてない。仕事ができて当たり前だし、褒めたから部下が喜ぶわけでもない。そうしたことなので、部下を褒めようともしない。

 部下たちはただ与えられた仕事をこなすだけである。 

2021年5月14日金曜日

課長が決断しない問題

  課長さんがなかなか決断しないのはなぜか。決断によって責任が伴う。それが重荷であり決断しない理由である。決断するという行動を弱化してしてしまうのである。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第126回目である。

【引用はじめ】

課長さんが決断しないという問題について考えましょう。

これは、決断するという行動が消去または弱化されていると考えられます。特にこの場合は、部下から「決めてください」と行動を促されているにもかかわらず、しないのですから、相当に強い弱化が働いていると考えられます。

もし、決断すると、そこには責任が生まれます。何かをやろうと決めたなら、それを最後までやりぬかなければなりません。つまり、決断の直後に負担感が生じます。

特に課長として決めたことは、課員に対する責任も発生することになります。課員が苦労していたら助けなければなりませんし、もし失敗したら、課員からも部長からも責められます。そして課長が代表として何らかの責任をとることになるかもしれません。

こうした可能性が、決断するという行動を弱化しているのです。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.175~p.176

【引用終わり】

 課長は決断することが求められる。それができないとしたら、課長の役目を果たしているとは言えない。課員が求めることに応じてないことになる。こうしたことでは、課長の地位にはどんな意味があるのか。逃げ回っているという印象を受け、責任を引き受けない卑怯な課長と尊敬されなくなる。 

2021年5月13日木曜日

目標を低く抑える理由

  目標を低く抑える課長さんについてどう考えればいいか。そうするのはどんな理由からか。どういうことが強化されているか考える必要がある。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第125回目である。

【引用はじめ】

目標を低く抑えるのはなぜか。

低い目標を立てれば、結果的に目標達成率が高く出ます。ですから、低い目標を立てると、その瞬間に高い達成率への期待が持てるわけです。また、目標達成できないで終わる確率も低くなりますから、低い目標立てた直後には、目標未達で責められる不安感が減るわけです。

この課長さんは責められることに非常な恐れと不快感を持っているようです。

目標を低く抑える理由

   先行条件(A)目標設定時に

 ⇒ 行動(B)低い目標を立てる

 ⇒ 結果1(C)目標達成率が高く出る可能性が増える(強化)

 ⇒ 結果2(C)目標が達成できない不安が減る(強化)

 ⇒ 結果3(C)目標未達成で責められる不安が減る(強化)

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.175

【引用終わり】

 低い目標を立てるといろんなメリットがある。目標達成率が高まるし、達成できないんじゃないかという不安も減る。未達成の確率も低いのでそれに対する不安も減る。こうしたことの理由により目標を非引くすることが強化されることになる。

2021年5月12日水曜日

楽観的な発言をしない理由

 新製品の発売時に、「楽観的な予測を立てる」ことをしたら、どのような結果になるか。ここで登場する課長さんは、そのことに対して悲観的な発言をすることによって、楽観的な予測では安心感が得られない。もし予測が外れたらという思いが強い。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第124回目である。

【引用はじめ】

楽観的な発言をしたらどうなるか。「きっとこれ、お客様に受けますよ」などと言っておきながら実際には受けなかったとしたら、予測違いを責められるのではないでしょうか。

つまり楽観的発言には、この後に起こることへの不安感が伴うわけです。だから悲観的発言をすれば、こうした不安感から逃れることができるのです。

楽観的な発言をしない理由

   先行条件(A)新製品発売時に

 ⇒ 行動(B)楽観的予測を立てる

 ⇒ 結果1(C)「もし予測どおりなら、自分の正しさが証明される」という安心感(強化)

 ⇒ 結果2(C)「もし予測が外れたら、業績が下がる」という不安感(弱化)

 ⇒ 結果3(C)「もし予測が外れたら、予測違いを責められる」という不安感(弱化)

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.174

【引用終わり】

 楽観的な予測を立てたりしたら、予測が外れるかもしれない。それより悲観的な予測の方がそうした不安から逃れられる。だから、楽観的な予測は立てず、悲観的な予測だけ述べたりするのである。常に「悲観課長」として会社では振舞うことになる。新しいアイデアを提案するより、問題を指摘することが多くなるのだ。 

2021年5月11日火曜日

悲観的な発言への安心感

 新製品の発売に関して、「この製品はお客様に受けない」と悲観的に主張する課長さんがいる。なぜそうしたことを主張するのだろう。こうした悲観的な主張が強化されているためだと考えられる。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第123回目である。

【引用はじめ】

新製品を発売する際に、「これは、あまりお客様には受けないのではないか」と言ったとしましょう。果たしてほんとうにお客様に受けるか受けないかは、現時点では誰にも確実なことは分かりません。

ですが、もし発売後、実際にお客様に受けなかったとしたら、彼は「やはり予想通りだった」と自分を正当化することができます。

お客様に受けないということは良くないことですが、たとえそうだったときでも、自分は正しかったと主張できる一種の保険をかけられるわけです。

そして、予測が外れてお客様の受けが良かったときには、期待以上に業績が上がったという点をクローズアップすればよいわけです。

どっちに転んでも損はない。悲観的な発言には、こうした安心感が伴うわけです。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.173~p.174

【引用終わり】

 課長さんによる悲観的な主張が、予想通り当たったら、自分の主張が正しかったとなる。さらに予想が外れて逆にヒットしたとしても、自分の主張より期待以上になったとすればいい。何ら悲観的な主張が問題だったわけでないとなる。結局、いつまでも悲観的な主張が課長としての信条になってしまうということである。悲観的な主張が正当かどうかなど関係ないことになる。 

2021年5月10日月曜日

悲観的な発言が強化されている

  物事に関して悲観的な発言を繰り返す課長は、なぜこうした行動を繰り返すのか。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第122回目である。

【引用はじめ】

ある課長の問題は、物事について悲観的な発言をするということです。

たとえば新製品を発売するときも、彼は「お客様に受けないのではないか」「期待するほど売れないのではないか」「品質問題を起こすのではないか」などと言っていました。なぜ、彼はこのようなことを言うのでしょうか?

行動分析学的に言えば、彼は悲観的な発言をするという行動が強化されていると言えます。

強化とは、行動の直後に、

  • 心地よさを感じる
  • 苦しみから逃れられる

 といった経験をすることです。

 ということは、彼は悲観的発言の後で、何らかの心地よさを感じたり何らかの苦しみから逃れたりしていると思われます。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.172~p.173

【引用終わり】

 この課長が悲観的な発言をたびたび言うのは、そうした行動の直後に強化されているからだ。「お客様に受けないのではないか」と言ったとき、なるほどと共感して頷く人がいたりするのである。こうなると、こうした悲観的な発言は肯定されたとこの課長は思い込むのである。ますます、いろんな悲観的な発言を飛び出すのだ。 

2021年5月9日日曜日

課長の問題を行動的に解釈して整理する

  課長の問題を行動的に解釈してみると、より明確になる。行動という形に見える化すると問題のありようがはっきりする。そして、その問題行動にどう対処するか分析すればいい。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第121回目である。

【引用はじめ】

ある課長の問題を行動的に解釈したうえで、改めて問題を整理すると、次のようになります。

  1. 物事について悲観的な発言をする
  2. 目標を低く抑える
  3. 決断する(ことが欠如あるいは不十分)
  4. 部下褒める(ことが欠如あるいは不十分)
  5. 部下の仕事を手伝う(ことが欠如あるいは不十分)
  6. 部長の発言に反対や批判ばかりする

 こうした行動が、どのように強化・消去・弱化されているのか分析する必要がある。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.172

【引用終わり】

 ここで取り上げる課長には困った問題が種々ある。それを上記のように6つ明らかにし、行動的に解釈して列挙した。課長としての問題に関する実情である。この問題はどのように強化・消去・弱化されて維持されているのか分析することになる。

2021年5月8日土曜日

課長の問題を行動的に解釈する

 課長の問題を7つも列挙した。その問題を行動的に解釈することによって、どんな行動問題があるか明らかにするのである。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第120回目である。

【引用はじめ】

ある課長の問題には次のようなものがあります。

  1. 物事を悲観的に見る
  2. 目標を低く抑える
  3. 会議でネガティブな発言をする
  4. 部下へのリーダーシップがない
  5. 部下とのコミュニケーション能力が低い
  6. 部下の仕事を支援しない
  7. 部長との折り合いが悪い

 これらの問題を行動的に解釈しましょう。

 3の「会議でネガティブな発言をする」というのは、1の「悲観的に見る」と同様と言っていい。「ネガティブな発言」という行動的解釈である。

 4の「リーダーシップがない」というのは抽象的な論評なので、具体的な行動として解釈する必要があります。「決断する」という行動が欠如していることです。

 5のコミュニケーション能力が低いというのも、具体的とは言えません。そこで、どういうことなのか詳しく調べると、「部下を褒める」行動が欠如していることです。

 6の「支援」というのも、今一つ具体的でありません。部下の期待としては、「手伝ってくれる」ことが欠如していることです。

 7の部長との折り合いというのは、部長が彼と話をしているとイライラするということです。より具体的には、この人は部長の発言に対して反対意見や批判ばかりするということです。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.170~p.171

【引用終わり】

 問題といってもより明確にしなければその内容が曖昧で分かりにくく、何をしていいか捉えられない。そこで、問題の内容を行動のレベルで解釈してとらえ直すのである。行動によって解釈されれば、その問題行動の何たるかがより明確になる。それに対して焦点化してどう対応するかを明らかにすることになる。

 

2021年5月7日金曜日

「物事を悲観的に見る」を行動的に解釈する

   行動分析学マネジメントの基本の一番は、問題などを「行動的に解釈する」ことである。「物事を悲観的に見る」とは、行動的な解釈によればどうなるか。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第119回目である。

【引用はじめ】

ある課長の問題には次のようなものがあります。

  1. 物事を悲観的に見る
  2. 目標を低く抑える
  3. 会議でネガティブな発言をする
  4. 部下へのリーダーシップがない
  5. 部下とのコミュニケーション能力が低い
  6. 部下の仕事を支援しない
  7. 部長との折り合いが悪い

 これらの問題を行動的に解釈しましょう。

 1の「物事を悲観的に見る」というのは、「物事について悲観的な発言をする」と再定義しましょう。組織に悪い影響を与えているのは、悲観的な見方というより悲観的な発言だからです。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.171

【引用終わり】

 「物事を悲観的に見る」とは、行動的に解釈すると「悲観的な発言」となる。発言の多くがネガティブだということだ。

 結局は、ダメだしばっかりで新しい提案がほとんどないのである。これでは新しいアイデアなど生み出しようがない。

2021年5月6日木曜日

問題を行動的に解釈する

  さまざま問題を抱える課長などのリーダーシップに対して、どのようにすればよいか。それを行動分析学マネジメントで把握してみる。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第118回目である。

【引用はじめ】

行動分析学マネジメントの基本は次のとおりである。

  1. 問題を行動的に解釈する
  2. 現在の行動の原因となっている強化や消去や弱化を明らかにする
  3. 行動を変えるための新しい強化/消去/弱化を計画し実行する

例えば、ある課長の問題には次のようなものがあります。

  1. 物事を悲観的に見る
  2. 目標を低く抑える
  3. 会議でネガティブな発言をする
  4. 部下へのリーダーシップがない
  5. 部下とのコミュニケーション能力が低い
  6. 部下の仕事を支援しない
  7. 部長との折り合いが悪い

 以上のような問題をまず行動的に解釈する必要があります。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.170~p.171

【引用終わり】

 行動分析学マネジメントの基本の第一番は、問題に関して行動的に解釈することである。「悲観的に見る」「ネガティブな発言」「リーダーシップがない」などとは行動的にはどう解釈できるか。詳細にとらえることである。

2021年5月5日水曜日

ある課長の問題を列挙する

 リーダーシップを発揮してほしいと思っている課長がいるのだが、その課長にはさまざま問題がある。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第117回目である。

【引用はじめ】

良いリーダーを育てることは、企業の活力と成長を左右する重大な問題です。ですが、今管理職となっている人が理想的なリーダーであるかというと、ほとんどの会社ではそうとは言えません。そのため、管理者を育てるということが、多くの会社で重要課題となっています。

例えば、ある課長の問題には次のようなものがあります。

  1. 物事を悲観的に見る
  2. 目標を低く抑える
  3. 会議でネガティブな発言をする
  4. 部下へのリーダーシップがない
  5. 部下とのコミュニケーション能力が低い
  6. 部下の仕事を支援しない
  7. 部長との折り合いが悪い

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.169~p.171

【引用終わり】

 課長の常日ごろより見出される問題は何か。その問題をまず明らかにすることである。それも行動のレベルで具体的な形で明らかにするのだ。

 何が問題なのか明確にして、その問題の解決策を探っていくのである。今できる解決手段によって。なにもかもいっぺんに解決できないにとしても、一つずつ着実に問題を解決していくのである。

2021年5月4日火曜日

リーダーシップ育成の難しさ

 人事部の担当者が、ある課長の問題で悩んでいる。リーダーシップの評価が低い。どうしたらいいか。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第116回目である。

【引用はじめ】

私は人事部の人材育成担当です。今、ある課長の問題で悩んでいます。彼はプレーヤーとしては良い腕を持っているのですが、どうも物事を悲観的に見る癖があります。

そのために、課の目標も低く抑えがちです。課長以上が集まる会議などでもネガティブな発言が目立ちます。部下からの評判も芳しくなく、360度フィードバック(上司だけでなく部下や同僚から評価される仕組み)でも、「リーダーシップがない」「コミュニケーション能力が低い」「部下の仕事を支援してくれない」などのコメントがありました。

彼の上司である部長にとっても、頭痛の種となっています。そもそも、彼は部長との折り合いも悪いようです。

このような人も、リーダーとして成長できるのでしょうか? 育成のためには、なにをしたらよいのでしょうか?

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.169

【引用終わり】

 課長の実態はネガティブな傾向であることが分かる。

 ネガティブな発言が多い。コミュニケーション不足なところがある。部下に対する支援も不十分だ。部下もあまり頼りにしてない。

 こうした課長がリーダーシップを発揮するようにするにはどうするか。 

2021年5月3日月曜日

仕事のプッレシャーをどう克服するか

 仕事に対するプレッシャーはどの会社でもある。ある意味、プレッシャーを克服することが仕事でもある。しかし、プレッシャーも程度問題である。社員にとって克服できる程度でなければならない。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第115回目である。

【引用はじめ】

仕事へのプレッシャーがあることは決して悪いことではありません。どのような会社、どのような仕事にもプレッシャーはあり、それが嫌だという人は、そもそも仕事に向いていないかもしれません。

ですが、過度なプレッシャーはストレスのもとになります。それに、自分がいつかそのプレッシャーを克服できると思えれば忍耐もできますが、克服の見込みがなければ、そこから逃げることを考えるようになるでしょう。ですから、プレッシャーそのものをコントロールすると同時に、働く人の能力向上も積極的に支援することが会社にとっては重要です。

今の職場には、いろいろ問題があるかもしれない。でも、会社はそれを解決しようと取り組んでいる。

今の自分には、きついプレッシャーがかかっている。でも、会社の支援もあり、自分はいつかそのプレッシャーを克服できるようになる。今の会社は、お世辞にも完璧とは言えない。でも、他の会社より良い点もある。

社員がこのように信じることができれば、そこに希望が生まれます。その希望が、今いる社員を会社に引き留め、もう少し頑張ってみようかという気にさせるのです。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.167~p.168

【引用終わり】

 仕事のプレッシャーに耐え、克服するための道筋が見えるようになっていれば、社員もその仕事への取り組み続けるものだ。その社員の仲間たちによる適切な支援も必要である。プレッシャーとなっている仕事の中身が明確になっていればなんとかなるものだ。その一つ一つを順序良く解決してゆくのである。 

2021年5月2日日曜日

自社の良さを認識してもらう

 自分の会社の良さを知らせることが大事である。他にはない良さが必ずあるはずだ。ごく当たり前と思っていることが、結構すばらしいことだったりする。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第114回目である。

【引用はじめ】

どんな会社にも、良いところと悪いところはあります。悪いところを見ていたら、きりがありません。ですからマネジメントとしては、この会社のよいところに、いかに従業員の目を向けさせるかという努力が求められます。

こうした、自社の良いところを自社の社員に認識してもう活動を、インターナル(社内)ブランディングと言います。通常のブランディングは社外(市場、顧客、社会)に対して行われますが、最近では、こうした社内に向けたブランディングも重要視されています。

人の意識は不思議なものです。コップ半分の水を見ても、「半分しかない」と不満に思う人もいれば、「半分もある」とポジティブに見る人もいます。

しょせん完璧になれない会社を、いかに魅力的に見せるか。これはマネジメントの腕の見せどころです。問題があれば、それを改善しようとしていることを訴求しましょう。

他社より勝っているところがあれば、それを大きく取り上げましょう。辞めてしまったら、そうした改善後の会社にいることができず、他社より優れた環境を得られなくなることを社員に認識してもらいましょう。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.166~p.167

【引用終わり】

 この会社で働いていることはとても意義あることだという思いを持たせたい。すべてがいいわけではない。

 でも、一つでも自社の良さを知ることで、社員の認識を新たにするのである。

 ダメ出しばっかりでは、やる気もなくする。

 会社の良さを強調することで、社員もそれに応じて頑張る姿勢を見せることになる。 

2021年5月1日土曜日

会社への不満を取り除く

 会社を辞めていく人を押しとどめるにはどうするか。会社に対する不満を少しでも減らす必要がある。

 そのことについて、舞田本では次のよう説明する。その引用は第113回目である。

【引用はじめ】

人が辞めないようにするには、どうすればよいか。

辞めていく人を見ると、辞めると決めた(辞表を出す)ことで、

  • 会社への不満を感じなくなった
  • 仕事のプレッシャーから解放された
  • 将来への希望を持てようになった

 といったことがあり、それを見て、「自分も辞めようかな」と思うという状況がある。

 会社への不満は、皆無にはできない。ですから、辞表を出すことで不満を感じずに済むようになるということは、完全に消し去ることはできない。

 ただ、不満の原因を一つずつ取り除き、働く人にとって良い会社にしてゆくことはできる。そうやって、不満のレベルを下げることで、辞めることによる解消効果を弱めることはできる。

舞田竜宜著、杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」(日本経済新聞出版社、2012年)、p.165~p.166

【引用終わり】

 人が会社を辞めていく動機をいかに減らすことができるか。会社への不満を明らかにして、その不満の一つ一つをなくすことである。

 不満の内容を行動レベルにとらえ直して、その不満行動が解消できる方策を試みることである。すべてを解消できるわけでないから、少しずつ不満を減らせるようにするのだ。