2021年10月2日土曜日

「受け身」や「否定」の表現は行動とは言えない

 ABA(応用行動分析学)では、行動とは何かをとことん突き詰めて考える。これは、行動かどうかを判断する上で使用されるのが、「デッドマンテスト」と呼ばれるものである。「デッドマンテスト」なんて言われると奇妙すぎると思われるが、それがなかなか便利な手法である。

 そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第92回目である。

【引用はじめ】

 次の事象は、行動といえるでしょうか。デッドマンテスト(死人テスト)で考えてみてください。

  1. 騒がないでいる
  2. 提示に出社する
  3. 失敗しない
  4. 咳をする
  5. 不満を言わない 

 一見、すべて具体的な行動のような気がします。解答は次のようになります。

  1. 騒がないでいる ➡ ✕ 行動ではない(死人でもできる)
  2. 提示に出社する ➡ ◯ 行動(死人は出社できない)
  3. 失敗しない ➡ ✕ 行動ではない(死人でもできる)
  4. 咳をする ➡ ◯ 行動(死人は咳できない)
  5. 不満を言わない ➡ ✕ 行動ではない(死人でもできる)

 「受け身」の表現になっていると、デッドマンテストに引っかかってしまいます。また、「~しない」という表現にならないように、具体的な行動を決めていくことが必要です。

榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版) p.102

【引用終わり】

 この行動は、死人でもできるか、死人にはできないかで判断する。

 たとえば、「横になる」は行動だが、「横になっている」のは行動とは言えない。

 「横になる」は能動的であるから、死人にはできない。だから、行動と言える。

 しかし、「横になっている」は死人にもできる状態だから行動とは言えないのである。 

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