ABA(応用行動分析学)では、行動とは何かをとことん突き詰めて考える。これは、行動かどうかを判断する上で使用されるのが、「デッドマンテスト」と呼ばれるものである。「デッドマンテスト」なんて言われると奇妙すぎると思われるが、それがなかなか便利な手法である。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第92回目である。
【引用はじめ】
次の事象は、行動といえるでしょうか。デッドマンテスト(死人テスト)で考えてみてください。
- 騒がないでいる
- 提示に出社する
- 失敗しない
- 咳をする
- 不満を言わない
一見、すべて具体的な行動のような気がします。解答は次のようになります。
- 騒がないでいる ➡ ✕ 行動ではない(死人でもできる)
- 提示に出社する ➡ ◯ 行動(死人は出社できない)
- 失敗しない ➡ ✕ 行動ではない(死人でもできる)
- 咳をする ➡ ◯ 行動(死人は咳できない)
- 不満を言わない ➡ ✕ 行動ではない(死人でもできる)
「受け身」の表現になっていると、デッドマンテストに引っかかってしまいます。また、「~しない」という表現にならないように、具体的な行動を決めていくことが必要です。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.102
【引用終わり】
この行動は、死人でもできるか、死人にはできないかで判断する。
たとえば、「横になる」は行動だが、「横になっている」のは行動とは言えない。
「横になる」は能動的であるから、死人にはできない。だから、行動と言える。
しかし、「横になっている」は死人にもできる状態だから行動とは言えないのである。
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