人材育成といっても簡単にはいかない。そのことを多くのリーダーは分かっている。しかし、どうやればいいのかで悩む。そのため、ついつい「あいつはダメだ」なんて言ってしまいがちだ。個人攻撃の罠にはまってしまう。
そのことについて、榎本氏は次のように述べる。榎本氏の著書からの引用は第121回目である。
【引用はじめ】
「自律型社員」の育成において、「意識を高くして自律型社員になれ!」といくら声高に言っても、そのとおりになることはできません。しかし、いくつかのステップにデザインして、それを実践していくことでちゃんと自律型社員を育成することができるのです。
自律型社員になってもらうには、3ステップで段階を追って育成するデザインのもとに行います。3ステップとは、次の3つです。
- 「きっかけ」(A)と「フィードバック」(C)で「ターゲット行動」(B)を「連続強化」する
- 徐々に「きっかけ」(A)を減らし、自分自身でできるようにする
- 「フィードバック」(C)を減らしていき、「連続強化」から「部分強化」に変える
最初からいきなり「自立型社員」を求めても、すぐになれるものではありません。この3ステップデザインで、手順を追ってしっかりと習熟具合をみながら育成していくことが、最終的には近道となり、現実的な人材育成へとつながっていきます。
榎本あつし著「自律型社員を育てる〖ABAマネジメント〗」2017年(アニモ出版刊) p.136
【引用終わり】
社員の消極性に対して、「もっと積極的になれ」「もっと頑張れ」とアドバイスしているつもりだが、こうしたことはほとんど効果がない。何をすればいいか具体性に欠けているためだ。
具体的な行動に焦点をあて、その行動が自発できるよう、そして繰り返すよう段階的に働きかけるのである。それが上記の引用で提示したABC分析による3ステップ方式だ。
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