昇給というのは、一生懸命働いた直後にあるわけでない。60秒ルールのメカニズムにはあてはまらない。一生懸命働けば、昇給がかなえられるという「期待」が、働くことを強化していると考えられる。
以下、そのことについて、舞田本では、次のように説明している。引用は、通算で第39回目となる。
【引用はじめ】
「大幅昇給の期待なし」⇒「きょうの目標を達成する」⇒「直後に大幅昇給の期待あり」
一生懸命に働く人の中には、来年の昇給を期待してがんばる、という人もいるだろう。たしかに、がんばった人ほど昇給するような人事制度のもとでは、そうでない制度のもとよりも、人は一生懸命に働くことが多い。だがこれは、60秒ルールからは外れている。きょう一日がんばって目標を達成するのと、昇給するのにかなりの時間差がある。
なぜ、昇給ががんばりのもととなるのだろうか。それは、正確に言うと、昇給そのものが行動を強化しているのではなく、昇給への期待が行動を強化しているのである。きょうの目標を達成したとき、直後に「これを続けてゆけば、きっと来年は給料がたくさん上がるぞ」と思えるから、「明日もまた、がんばろう」と思うのだ。
ここに、大事なポイントがある。毎日のがんばりを支えるのが、昇給そのものよりも昇給への期待であることを考えると、いかにみんなが期待を持てるようにするかが、マネジメントの鍵となるという点だ。
舞田竜宜著・杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」2012年(日本経済新聞出版社刊) p.44~p.46
【引用おわり】
一生懸命働くことを促すには、昇給に対する期待を持てる制度が必要である。がんばりが認められるようにしておくことだ。ここまでのがんばりは、昇給を保障するという明確な提示が必要である。
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