規則を破ることに対して、強化せず「消去」するだけでうまくいくだろうか。以下、そのことについて、舞田本では、次のように説明している。引用は、通算で第34回目となる。
【引用はじめ】
消去 vs 弱化
強化 (直前)得なし⇒(行動)規則を破る⇒(直後)得あり
消去 (直前)褒められない⇒(行動)規則を破る⇒(直後)褒められない
強化 (直前)得なし⇒(行動)規則を破る⇒(直後)得あり
弱化 (直前)叱られない⇒(行動)規則を破る⇒(直後)叱られる
規則を破るという行動を減らすために消去を使ったらどうか。消去なら、何もしない、強化しない(褒めない、注目しないなど)ということだから、叱るとか罰するよりも、やりやすいと感じる人も多いだろう。もちろん、消去で片付く場合もあるが、しかし、行動を減らすために消去だけに頼るのは現実的でない場合がある。
人が規則を破るのは、それによって、何らかのメリットがあるからである。自分だけ得できるとか、面倒くさいことをしなくて済むとか。つまり、そこに強化が働いているから、人は規則を破るのだ。
それに対して、規則を守らなかったら褒めない、といった程度のことでは、規則破りを強化しているメリットの魅力には対抗できない。
だが、規則を破ったら怒られる、という弱化を使えば、多少の得があっても、怒られるのが、嫌で規則を守る、ということはあるだろう(怒られるのが嫌だから規則を守る、ということ自体は、決して褒められたことではない。規則には全て合理的な理由があるのだから、それを理解させ、守ったら言葉で褒めるとかなどの強化をすべきである)。
舞田竜宜著・杉山尚子監修「行動分析学で社員のやる気を引き出す技術」2012年(日本経済新聞出版社刊) p.40~p.41
【引用おわり】
規則破りによって得するようなことがあってはならない。強化されてしまわないようにしなければならない。規則破りに対して、なんにもしない消去が効果があれば良いが、そういかない場合のほうが多い。やはり、規則破りがあったら、得しない不快な叱責や罰などの弱化が必要である。消去より弱化が効果的なケースが多いだろう。
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